2024.05.31
このような疑問を持っている人は多いでしょう。たしかに猫の適正な体重を数字で考える機会は少なそうです。
そこで本記事では猫の年齢・品種ごとの適正体重、ダイエットの方法、正しい体重の測り方などを解説します。
猫の肥満などを避けたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
もくじ
猫の適性体重は3〜5kgと言われています。
年齢別での平均体重は以下のとおりです(一般的な雑種、ミックスの場合)。
齢齢 | 体重めやす(g、kg) |
---|---|
1〜7日 | 100g |
8〜14日 | 150~300g |
15〜30日 | 300~500g |
1ヶ月 | 500~600g |
2ヶ月 | 900~1.0kg |
3ヵ月 | 約1.0~1.6kg |
4ヵ月 | 約1.5~2.5kg |
6ヵ月 | 約2.5~3.5kg |
1歳 | 約3.5~5.0kg |
それ以降 | 約3.5~5.0kg |
あくまでも目安であり、個体によって、多少のズレがある点に注意してください。
とはいえほとんどのケースにおいて、上記の範囲内の体重で収まっているのであれば、基本的に問題ありません。
主要な猫種別の平均体重は以下のとおりです。
種類 | 成猫の体重(kg) |
---|---|
シンガプーラ | 2.0~3.0 |
アメリカンショートヘアー | 3.0~5.0 |
ミックス | 3.0~5.0 |
ブリティッシュショートヘアー | 3.0~5.0 |
シャム | 3.0~5.0 |
ノルウェージャンフォレスト | 3.5~7.0 |
ラガマフィン | 4.0~7.0 |
ペルシャ | 4.0~7.0 |
サイベリアンフォレスト | 4.0~8.0 |
メインクーン | 5.0~10.0 |
品種によって体重に大きな違いがある点に注視してください。
猫の体重は意外と軽く、大きな猫として知られるメインクーンでも、体重が10kg以上であれば、やや太り気味と判断されます。
年齢と合わせてこちらも参考にしましょう。
猫が体重が適正かどうか正確に判断するうえでは、BCS(ボディ・コンディション・スコア)も役立ちます。
これは「猫を上方向、横方向から見た際の体型によって、痩せているか太っているかを判断するための指標です。
出典:環境省
これは環境省が発表している「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載されている、BCSスコアごとの体型です。
これと猫を見比べ、BCS3か逸脱しているか否かを判断しましょう。
BCS4か5に見えるなら、3に近づける努力が必要となるでしょう。
猫の体重増加や、そのリスクに関して不安を抱えている人も多いでしょう。本章では以下の点を解説します。
なぜ体重増加や肥満が起こるのか、それがどの程度危険か理解していれば、今後の飼育で非常に役立ちます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫の体重増加や肥満が生じる原因として以下が挙げられます。
人間と同じく、食べ過ぎや運動不足によって、体重増加や肥満の状態がもたらされるのが大半です。
一方、去勢・不妊手術で生殖を目的としたカロリー消費が失われ、それが太り過ぎにつながることも。しかし飼育を続けるうえで去勢・不妊の処置は欠かせないものであり、この現象とは向き合う必要があります。
一方でストレス、もしくは猫が悪くしやすいとする甲状腺機能低下症が原因になっていることも。
食事量や運動量に特段の変化がないにもかかわらず体重が増えているなら、念の為動物病院へ連れて行くことを推奨します。
肥満が引き起こす病気としては以下が挙げられます。
特に注意したいのは、心臓病や呼吸器疾患など、生命維持に関わる部分の病気です。これらを発症すると、急死する可能性すらあります。
また糖尿病なども、治療が困難になりやすく、十分に警戒しなければいけません。
また関節炎や膀胱炎など、命に別状はないものの、猫にとってはいちじるしい苦痛の原因となるものもあります。
さらにいえば、極端な太り過ぎや肥満の状態であること自体、通常の活動を妨げる疾患とも考えられます。
このような状態にならないよう、体重に関してはある程度気を使う必要があるでしょう。
関連記事▶︎猫の呼吸がお腹が動くほど激しいのはなぜ?正しい知識と対応を解説
太ることと同様に、痩せすぎているのも、猫にとっては大きな問題です。
出典:環境省
先述したBCSスコア1のような痩せ方をしていると、以下のようなリスクが生じます。
不要な脂肪は猫の活動や健康を阻害します。しかしある程度の脂肪は必要であり、それが不足していればさまざな問題が生有じるでしょう。
ただ猫が若いうちは運動量が圧倒的に多く、スリムになる傾向があります。またそれが著しい体調不良の原因になるわけではありません。
したがってよほどの低体重でもない限り、体重の低さに関して心配する必要がないでしょう。
猫の体重を測る、肥満度をチェックする方法として以下が挙げられます。
まず、体重計を使って測定する方法が考えられます。ただ、人間と同じように測っては不正確な数字が出るので以下のように工夫しましょう。
この方法で、ある程度正確な体重を測ることが可能。
ただし体重計や猫の抱き方によって数値が変わることもあります。多少の誤差があることは念頭に入れておきましょう。
子猫は数十グラム単位での計測になるので、人間の体重計を使っても正確に計測できません。
したがってキッチンスケールなどの小さな計測器具を利用します。
キッチンスケールは、Amazonなどで、1,000円弱で購入できます。なるべくデジタル式のものを使うのがおすすめです。
なお子猫が動かないように、容器や箱に入れた状態で計測するとやりやすいでしょう。
そこまで厳密に管理する必要がないなら、以下のように触ることで、太り具合を確認する方法もあります。
こういった特徴が感じられなければ、太りすぎている可能性があります。
うまく計測できない場合は、ペット専用の体重計を使う方法もあります。これなら、ただ乗せるだけで簡単に正確な数字を把握できます。
出典:Amazon
ペット専用の体重計は、Amazonや楽天などで購入可能です。
基本的に秤の上で動いても、ある程度正確に計測できるように設計されています。より頻繁に体重を確認したいなら、ペット専用の体重計があると便利でしょう。
これらの方法で体重を計測したら、先ほど触れたBCS基準も確認して、状態を総合判断しましょう。
出典:環境省
体重だけでは、脂肪が増えているのか、それとも筋肉が発達しているのか、判断しきれない部分があります。つまり肥満かどうかはわからないわけですね。
そこで体重を参照にしつつ、上図を見ながら、BCSスコアがいくらか確認してみましょう。
たとえば数値的には標準的だったとしても、BCS4に近いなら、ある程度改善の必要がある、と判断できます。
うまくBCSを使いこなし、より正確に猫の状態を把握するようにしましょう。
猫の体重が気になるときは、人間同様にダイエットに取り組むのが有効です。
とてもシンプルな解決法ですが、やはり無理なく体重を調整するには、このような方法に地道に取り組む必要があります。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
第一に食事量を調整する必要があります。
猫が肥満になる要因のほとんどは、食事量が多すぎること。したがってこれを調整するだけでも、たいてい肥満傾向を解消できます。
具体的には以下のように取り組みましょう。
基本的にキャットフードの量を減らすだけでも効果があります。
また、餌を器に置いたままにする置き餌はカロリー過剰摂取の大きな要因。食事の時間以外は、器を空っぽにするようにしましょう。
またおやつなどを与える頻度も減らせば、より調子よく体重を落とすことが可能です。
また、食事の量ではなくその質にも着目しましょう。
まず、普段食べているキャットフードをダイエット仕様のものにするとよいでしょう。
主要なキャットフードメーカーであるサイエンスやロイヤルカナン、カルカンブレッキーズなどからダイエット仕様のものが出ています。
これらは低脂質高タンパクを意識しており、脂肪燃焼、体重減少の効果が望めるもの。
普段食べているものがダイエットフードになれば、高い効果が得られるでしょう。
またおやつや人間の食べ物など、カロリーが高いものを与えるのは控えましょう。
このように食事の質を向上させれば、十分に体重を減らしていけるはずです。
運動量を増やせば、ダイエットはさらにうまくいくでしょう。
人間同様に、痩せるためには、「摂取カロリーから消費カロリーを引いた数値がマイナスである」ことを、日々繰り返していくのが大切です。
そして摂取カロリーばかり減らそうとしてもうまく行きません。減らせる食事量には限界があるからです。
したがって消費カロリーも増やすようにし、両面からダイエットができるように工夫しましょう。
なおキャットホイールとは、以下のような車輪型の遊具を示します。
個体によっては、このキャットホイールで走り続けるのを強く好みます。もし気に入ったら運動量を十分に確保できるでしょう。
またストレスを減らすのも大事です。人間同様に、猫も精神的な負荷を感じていると、つい食べすぎる、運動量が減るといった問題が起こります。
たとえば以下のようなストレス要因は可能な限り排除するようにしましょう。
こういったストレス要因をひとつずつ排除していけば、猫にとって過ごしやすい環境になります。
そうすれば、食欲が落ち着いたり、体重が減少したりするといった効果があるかもしれません。
本記事では猫の体重に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
太りやすい猫種として以下が挙げられます。
基本的にヨーロッパ原産の猫種は太りやすいとされています。気温の低い北欧では脂肪を蓄積できたほうが生存において有利だったからだと考えられます。
上記の猫種を飼育する場合は、太りやすいことを念頭にして、食事や運動の量を調整するとよいでしょう。
なおノルウェージャンフォレストキャットなどの大型種は太っているか痩せているか判断しづらい部分があります。
しかし先述したBCSなどを組み合わせればある程度正確な判断ができるはず。「もともと体が大きいから大丈夫」と、決めつけてしまうのだけは避けましょう。
猫が痩せすぎている場合、以下の病気が考えられます。
特に猫が傷めやすい腎臓の不全は真っ先に疑われます。そのほか口内炎や肝炎など、消化に関連する部分の炎症もありうるでしょう。
痩せすぎは、太り過ぎ同様、もしくはそれ以上に健康リスクをともなうものです。あまりにも食べない、痩せているなら、すみやかに病院へ連れていきましょう。
なお、このなかでもFIPは致死率が高く、特別の警戒を要するものです。下記記事で症状や治療法などに関して解説しているので参考にしてください。
関連記事▶︎猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)とは?治療法や予防法を解説
あまり例は多くありませんが、子猫が肥満気味になることもあります。ただしこの段階では、まだ「食事量を減らす」といったことは避けましょう。
子猫期は、とにかく(体重から考えれば)大量のミルクなどの摂取が必要な時期です。むしろ少量しか飲まないことが問題になりがちです。
ここでミルクの量を制限するなどした場合、発育に問題が生じるかもしれません。
また子猫はこれから運動量が増えていくため、少々の体重増加なら今後カバー可能です。
あまり太りすぎていることを心配しすぎないようにしましょう。
関連記事▶︎子猫の育て方・しつけ方・ミルクのあげ方・注意点などを一挙解説
本記事では猫の体重に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
近年ではキャットフードの栄養価が高くなったり、おやつが充実したりして、猫が太りやすい環境になっています。
また人間の食べ物を与えたり、ストレスフルな環境になっていたり、飼い主自身が太るような環境を作ってしまうことも。
今の時代は太りやすいことを踏まえ、肥満にならないように工夫してみましょう。
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