猫の呼吸がお腹が動くほど激しいのはなぜ?正しい知識と対応を解説

  • 「猫が苦しそうにしている」
  • 「お腹が激しく動いていて、呼吸が乱れている」
  • 「これは動物病院へ連れて行ったほうがよい?」

猫の呼吸が乱れていると、不安になりますよね。

お腹が動くこと自体は自然なのですが、それが異常に激しいようだと何かの問題があるかもしれません。

そこで本記事では、以下の点を解説します。

  • お腹が激しく動くほど呼吸を乱す原因
  • 猫の呼吸がおかしい時に考えられる病気
  • 呼吸のようすがおかしいときの対処法

本記事を読めば、猫の呼吸の異常が生じた場合に、適切に対応できます。ぜひ参考にしてください。

猫がお腹が激しく動くほど呼吸を乱す原因

猫が、お腹が激しく動くほど苦しそうに呼吸する原因は、大きく分けて4つあります。

  • 運動量の増加
  • 体温調節による呼吸の活発化
  • ストレスや痛み

呼吸が早くなったらからといって、ただちに重大な病気であるとは限りません。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

病気の可能性に関しては後ほど詳しく解説します。

運動量の増加

まず、運動量の増加によって、呼吸が激しくなっている可能性があります。

人間でも走ったり運動したりすると、その直後は呼吸が早くなり、腹部も普段以上に動くでしょう。それと同じように、猫も遊んだり走ったりしたあとは、呼吸が乱れがちです。

つまりキャットタワーで遊んだ、外から帰ってきたなど運動の直後に息が上がっているのは自然なこと。この場合は、特に心配する必要はありません。

ただししばらく待っていても呼吸が乱れているなら別の原因も考えられるので注意してください。場合によっては動物病院へ連れていく必要もあります。

体温調節による呼吸の活発化

体温調節をするために、呼吸が活発化している可能性もあります。口を開けながら息をしている場合、ほとんどはこれでしょう。

猫は汗腺を持たず、呼吸でしか熱を排出できません。つまり口を開けて排熱し、息を激しくすることでそれを効率的におこなうわけですね。

これは夏場などであれば、さほど珍しいことではありません。

しかしあまりにも高熱の状態が続くと、熱中症や脱水症状になる可能性があります。

部屋を涼しくしたり、水分補給させたりしてサポートしてあげましょう。

なおこのようにして冷えた床に寝転がり、放熱することもあります。この仕草が見られたら、単に厚がっていると考えて問題ありません。

ストレス

ストレスや不安感があって、呼吸が乱れていることもあります。具体的には以下の場面が考えられます。

  • 野良猫と喧嘩した
  • 知らない、嫌いな人に出会った
  • 稼働する掃除機など、苦手なものを目にした
  • 通院のため、キャリーケースに入れられた

わかりやすいのが、通院時にキャリーケースに入れられたときです。注射の痛みなどを連想し、ストレスを感じ、呼吸が乱れます。

この場合、基本的にストレスの原因が解消されれば問題ありません。ただしそれが何度も繰り返されると、脱毛などの症状を呈することがあるので気をつけましょう。

猫の呼吸がおかしい時に考えられる病気

一方で、何らかの病気によって、猫の呼吸が乱れている可能性もあります。運動や一時的なストレスで説明できないほどようすがおかしいなら何らかの病気かも知れません。

考えられる病気の種別は、大きく分けて3種類に分けられます。

  • 呼吸器疾患
  • 心疾患
  • 消化器疾患

やはり呼吸器や心(臓)に関する疾患である可能性が高いです。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

呼吸器疾患

猫は呼吸器が弱い傾向にあり、呼吸が乱れている場合は以下の疾患が考えられます。

  • 気管支炎
  • 猫喘息
  • 猫風邪

人間と同様に、猫も気管支を傷めたり、喘息になったりします。いずれの場合も抗ウイルス薬のやステロイド剤の投与が必要であり、獣医に診せる必要があるでしょう。

気管支炎の場合は食欲不振や咳が、猫喘息の場合はよりひどい咳や喘鳴(ヒューヒューした音)が認められます。これらが確認されたらすみやかに病院へ連れて行きましょう。

猫風邪は、多くの猫が発症するものであり、大した問題にはなりません。子猫期や老齢期などをのぞけば、安静にしておけば完治しうるものです。

しかし猫風邪だと断定するのがむずかしく、大病を見逃さないためにもできれば動物病院へ連れて行きたいところです。

心疾患

お腹が動くくほど呼吸が乱れているのは、心疾患のサインかも知れません。これは症状が重い、あるいは治療が困難であるケースが多いです。

  • 心筋症
  • 心臓病
  • 大動脈狭窄症
  • 心臓腫瘍etc.

特に心筋症は発症率が高い疾患で、多くの獣医がその危険性を警告しています。

心疾患が起こった場合、呼吸の乱れとともに、多くは以下の症状が伴います。

  • やや元気がない
  • 数日前から食欲がないと感じられる
  • 長時間にわたって呼吸が乱れている
  • 咳をする
  • 水を飲まなくなる

こういった症状がともなうなら、ただちに診察を受ける必要があるでしょう。

消化器疾患

お腹が激しく動くほど呼吸の乱れは、以下の消化器疾患の兆候かも知れません。

  • 大腸炎
  • 過敏性腸症候群
  • 急性胃腸炎
  • 膵炎

消化器疾患の場合は、涎を垂らしたり、粗相をしたりするようすが多々見られます。

単なる便秘などの可能性もありますが、急性胃腸炎や大腸炎などはすみやかな診察が必要な疾患です。心疾患などと同様、すみやかに診察を受ける必要があるでしょう。

その他

そのほかにも、以下のような病気が考えられます。

  • 血栓塞栓症
  • 中耳疾患
  • 食中毒・アレルギー反応
  • 骨折

血栓塞栓症とは、血管に血栓がつまり、血液の循環が停滞する疾患です。非常に強い痛みがともない、その結果として呼吸が激しくなります。

中耳疾患は、別名鼻咽頭ポリープと呼ばれる腫瘍のようなもの。3歳未満の若年齢猫によく見られる疾患です。

また食中毒やアレルギー反応、または骨折など外科的な原因で呼吸が乱れるケースも。骨が折れている場合は、動き方に特徴が見られることがあります。

後述しますが、骨折に関しては動かすと強い痛みをともなうため、無理に体を動かさないのが重要です。

猫の呼吸がおかしい時の対処法

体が動くほど猫の呼吸が乱れている場合、動物病院へ連れていくか、それともようすを見るか判断する必要があります。以下の手順で対処しましょう。

  1. 呼吸の回数を確認する
  2. エマージェンシーサインを確認する
  3. 問題がなさそうなら安静にさせる
  4. 問題がありそうなら動物病院へ連れて行く

基本的に呼吸の回数とエマージェンシーサインを確認すれば、どういう状態かある程度把握できます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

呼吸の回数を確認する

まず、猫の呼吸の回数を確認しましょう。正常な回数は、毎分20〜40回です。下記の動画を参考にして比較しましょう。

毎分40回以上呼吸しているなら、通常よりも早いペースです。それが継続するなら、動物病院へ連れて行ったほうがよいでしょう。

エマージェンシーサインを確認する

しばらくして呼吸が落ち着いても、問題が残っている可能性があります。それを判断するため、各種疾患の兆候、いわゆる「エマージェンシーサイン」を確認しましょう。

  • トイレに何度も行く
  • 眼の充血や目脂の増加がある
  • 咳やくしゃみを繰り返している
  • 口呼吸している
  • ヨダレを垂らしている
  • 食事や排泄の回数が減っている
  • 通常では考えられない呼吸音がする
  • 鼻を広げて呼吸している(尾翼呼吸、努力呼吸)

これらのサインがはっきりと、あるいは数多く出ているなら、明らかに普段とは様子が違うはずです。すぐに「4.問題がありそうなら病院へ連れて行く」を参考に行動してください。

問題がなさそうなら体勢を変えず安静にさせる

エマージェンシーサインが出ていない、あるいは出ているかどうかはっきりしないなら、しばらく安静にさせてようすを見ましょう。

このとき注意したいのが体勢を変えてはいけない点です。

猫はおそらく、呼吸が楽にしたり、痛みをおさえたりするため、このような姿勢を取ります。体勢を変えてしまうと、呼吸が困難になる、痛みを感じるなどの問題が起こります。

したがって、体勢を変えずに見守りましょう。

問題がありそうなら病院へ連れて行く

安静にしても呼吸が落ち着かない、もしくはエマージェンシーサインがともなう場合は動物病院へ連れて行きましょう。

生死にかかわる疾患を発症している可能性が否定できないことから、ただちに連れて行くことを推奨します。

なお近年は土日や深夜でも診察を実施する動物病院が増えています。

(引用:夜間・救急動物病院マップ

夜間・救急動物病院マップを使えば、地図上から対応可能な動物病院を検索できます。診療時間外の場合はこれを利用しましょう。

可能であれば動画を撮る

猫の呼吸に問題があるなら、可能であれば動画を撮りましょう。息の吸い方やお腹の動き方のようすの記録が、診察に役立つからです。

自宅にいる時点で猫の呼吸が乱れがあっても、動物病院に着くころには落ち着いてしまうことがあります。これでは、何が原因で息が乱れたのか、何の病気か特定するのが困難になります。

しかし猫の呼吸が乱れた、つまり症状が発生したときの動画があれば、獣医はより正確な診察をおこなうことが可能。

時間や精神的な余裕があれば、動画を撮影し、のちに動物病院へ向かいましょう。

猫の呼吸に関するよくある質問

本記事では、猫の呼吸が、お腹が激しく動くほど乱れた場合の対処に関して解説しました。運動直後、温度調整など原因が明らかな場合をのぞいて、できる限り早く動物病院へ連れて行くことをおすすめします。

ここでは、よくある質問に対して回答します。

  • 寝てる時にお腹が動くのは普通?
  • 呼吸が早いが元気な時は?
  • 「ゴロゴロ」「グフグフ」という音がするのは異常か?
  • 口呼吸すると余命がわずか?

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

寝てる時にお腹が動くのは普通?

猫が眠っているときにお腹が動くのは普通のことです。

そもそも猫の体は、呼吸にあたり、腹部が収縮します。それは睡眠時でも変わりません。したがって、このケースに関して特別なリスクはありません。

ただし痙攣するかのようにお腹が動いていたり、呼吸が頻回だったりするなら、何らかの疾患が考えられます。

寝ているかどうかではなく、呼吸の回数やお腹の動き方に注目し、異常があるかどうか判断しましょう。

呼吸が早いが元気な時は?

呼吸が、お腹が激しく脈打つほど早いものの、元気に見えるなら、おそらく問題ありません。

たいてい多少のストレスを感じたか、運動した直後のどちらかです。

しばらくすれば呼吸は安定するでしょう。

問題はその激しい呼吸が継続することで、それは上述した疾患群の兆候かも知れません。安静にしても息が乱れているなら、エマージェンシーサインを確認のうえ、動物病院へ連れて行くなどの対処を取りましょう。

「ゴロゴロ」「グフグフ」という音がするのは異常?

まず「ゴロゴロ」という音が鳴るのは異常ではありません。これは人間でいう「喉仏」の部分が震える音です。

ゴロゴロとした音が鳴るのは、猫がラックスしていて、上機嫌であることを示します。したがって特別に心配する必要はありません。

ただし「ゴロゴロ」の音が、何かを要求するサインであることもあります。ずっと同じ音を出しているなら、何を求めているか察知して応える必要がありそうです。

「グフグフ」という音は、鼻詰まりの兆候です。単に鼻水が溜まっているだけで、基本的には問題ではありません。ただしあまりにも長期にわたってこの音が聞かれる場合はアレルギー性鼻炎や副鼻鼻炎などが疑われるため、動物病院で診察を受けるようにしましょう。

口呼吸をすると余命わずか?

「口呼吸をしだすと余命がわずか」という情報が聞かれますが、結論からいえば誤りです。

猫は通常、鼻で呼吸するため、口呼吸自体は異常な行動です。動物病院へ連れて行くなどの対応が求められるでしょう。

しかし異常であっても、重篤な疾患であるとは断言できず、また余命がわずかであるのを示すわけでもありません。

ただし猫がきわめて高齢である、もしくはすでに何らかの疾患を抱えている場合、口呼吸は死の兆候である可能性があります。

まとめ

本記事では、猫の呼吸の乱れに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 呼吸に準じて猫のお腹が動くのは普通のこと
  • ただし呼吸が早く、お腹の動きが激しい状態が続いているのは異常
  • 原因としては運動量の増加やストレスなどが考えられる
  • 呼吸器や心臓、消化器類の疾患である可能性も
  • 猫の呼吸回数は1分間で20〜40回なので、それよりも早いかまずは確認
  • エマージェンシーサインの有無もチェック
  • 少しでも心配ならただちに動物病院へ連れて行くこと

猫の呼吸が乱れた場合、それが長く続くなら、何らかの疾患が予想されます。

もちろん、単に少し興奮していただけかも知れません。しかし、そうではない場合に適切な治療を受けられないのが懸念点です。

少しでも疑わしいと思ったら動物病院を訪れるようにしましょう。また心疾患などは発見が遅れると重症になりうるので、できるだけ早く診察を受けさせることを推奨します。

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