2024.12.27
このようなことを感じていることでしょう。
猫の出産は、ほかの動物と比較して安全性が高いものの、やはり一定以上の配慮や工夫、サポートが必要なものです。何も知らずに出産に介入すると、最悪の場合、流産などの事態に発展するかもしれません。
そこで本記事では以下の点を中心に解説します。
出産時のトラブルに直面している人は参考にしてください。
※万が一の事態が考えられるため、余裕があれば事前に獣医師に「出産を迎えていること」を伝え、可能な限りサポートを受けられる体制を整えておきましょう。
猫が出産を途中でやめる場合、すみやかに以下の手順を実施してください。
この手順を踏めば、出産の中断はたいてい避けられます。それぞれ具体的に何をするのか解説します。
まず、出産しやすい環境を整えましょう。
具体的には以下の条件を満たす状況を整えてください。
この条件が整うと、出産の中断が解消される場合があります。
また産箱を作るのであれば、以下の動画が参考になるでしょう。
トイプードルのために作られたものですが、猫の産箱の作り方とほぼ同一です。
飼い主ができることをやったなら、すみやかにその場を離れましょう。
「出産のようすを見ている」のが、途中でやめてしまう原因かもしれないからです。
猫は基本的に、出産に介入されるのを好みません。たとえ慣れ親しんだ飼い主にでも、補助されたり、観察されたりするべきではありません。
ずっと見ていると、その日の出産すらあきらめることもあります。
やることがなければ、その場を離れ、出産に集中させましょう。また子どもがいる場合は、出産の妨害をしないように伝えて、距離を取らせましょう。
前の新生猫が生まれ、次の出産があるまでに1時間以上のインターバルが生じた場合、ただちに獣医師に連絡しましょう。
通常、猫の出産は1頭あたり30分程度のペースでおこなわれます。
しかし子猫の姿勢の悪さ(逆子)や大きさ、母猫の出産経験の少なさなどが原因で、「難産」になることがあります。
そのままだと、出産が失敗に終わる、つまり死産になるかもしれません。また出産時間が長くなると、母親の体力面も心配されます。
この場合は、帝王切開などが必要となるため、獣医師に連絡し、指示を仰ぎましょう。
なお新生猫の生命に関しては一定のリスクはともなうものの、母猫側が命を落とすのはまれです。母猫が無事であれば何でもよいわけではありませんが、冷静になるためにもこの事実を理解しておきましょう。
続いて、猫の出産時における注意点と、あるべきサポートの一覧を示します。
最低限、これだけの注意点を理解し、サポートする必要があります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫の出産では、基本的に飼い主による介入や観察を避けるべきです。
とはいえ、放置しているとトラブルに気づけなくなります。15分に1度のペースで、猫のようすを見に行くようにしましょう。
そうすれば、何かトラブルがあったときに、対処しやすくなります。一方で、母猫の出産を大きく妨げることもありません。
ただ、ようすを見るといっても、あまりはっきりと観察しないようにしましょう。可能であれば、少し離れたところから、気づかれないように眺める程度にしたいところ。
また声をかける、「がんばれ」などとエールを送る必要もありません。可能な限り、こちら側に意識が向かないように配慮しましょう。
また、母猫が子猫を踏まないように注意しましょう。
母猫は、子猫に対して愛情を個体や出産回数によって程度の差こそあれど感じています。
しかしその思いとは裏腹に、子猫を踏みつけてしまい、命を奪ってしまうことも。
そのような事態を避けるため、飼い主が子猫と母猫を離すなどして、踏みつけてしまわないようにしましょう。
そのあと、子猫は本当的に母猫に近づき、授乳を受けようとします。
その際にも、母猫が体勢を変えても踏まれない様にしたいところ。
また飼い主も、新しく生まれた子猫は非常に繊細であることを理解しましょう。そのうえで、怪我などがないようていねいに扱う必要があります。
ここまで配慮すれば、基本的には問題なく出産を終えられるでしょう。
しかし人間と同様、出産時には予期せぬトラブルが起こることもあります。以下のような出来事があれば、獣医師に連絡しましょう。
これらの事態があれば、何らかのトラブルが起こっているかもしれません。もしくは帝王切開が必要である可能性も生じています。
自力で何とかしようとせず、かならず獣医師に連絡しましょう。
夜間の場合でも、以下のサイトを利用すれば、獣医師によるサポートを受けられるかもしれません。
(引用:夜間・救急動物病院マップ)
夜間の受診では、昼間よりも費用がかかるケースがあります。しかし、ここで費用を心配していると、母猫と子猫の生命が危ぶまれます。
ここは診察料などよりも、正常な出産を優先しましょう。
無事に出産が終わったあと、飼い主にはいくつかやることと、注意点があります。
母猫は、本来、自然環境下で出産しています。この場合では、出産のダメージから回復できなかったり、授乳がうまく行かなかったりします。
しかし飼い主の適切なサポートがあれば、このような事態を避けられるでしょう。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、母猫に十分な食事を与えるようにしましょう。
出産には莫大なエネルギーを消費するため、すみやかな栄養補給が必要です。
母猫のようすにもよりますが、以下のようなポイントをおさえましょう。
基本的には、「いつもより多くの量を食べさせる」と考えておけば、大きな問題ありません。しかし、タンパク質やカルシウムなど、成分まで意識すれば、母猫と子猫の健康を向上させられるでしょう。
出典:ロイヤルカナン
このように特定の栄養成分に特化したキャットフードも存在します。必要に応じて食べ分けさせるとよいでしょう。
もっとも避けたいのは、太り過ぎなどを心配し、与える餌の量が不足すること。出産には莫大なエネルギーが必要である点を踏まえ、十分な栄養を与えるようにしましょう。
また胎盤を食べさせないようにしましょう。
母猫は、本能的にへその尾を噛みちぎり、胎盤を食べることがあります。
へその尾のほうはさほど問題ありません。しかし胎盤を食べると、食中毒になる可能性があります。
胎盤を食べるのは、栄養を補給して体力回復を図るため。野良猫であれば胎盤は必要ですが、十分に食事を与えられる過程で食す必要はありません。
それ以上の食事をきちんと与えるようにしましょう。なお胎盤に関しては、そのまま生ゴミとして廃棄して問題ありません。
また、母親が安心して過ごせる環境を作るのも大切です。
先述のとおり、出産を終えた母猫は相当に体力を消耗しています。
しばらくは遊んだりじゃれたりするのは避けて、ゆっくり過ごせるようにしましょう。
猫用ベッドや、上部に寝転がれる部分があるキャットタワーなどがあるとよいでしょう。
また子どもがいる場合、母猫をかまいすぎないようにするなど、工夫したいところです。
体力の低下により、風邪を引いたり、何らかの疾患を発症したりしやすい点にも注意してください。何かあれば獣医師に相談する準備を整えておきましょう。
続いて、母猫による子猫の授乳を補助しましょう。
子猫は、生まれたそばから、本能的に母猫の乳首に吸い付き、ミルクを得ようとします。
しかし、なかには授乳に興味を示さない、あるいは母猫のもとにたどり着けない個体も。そのような場合は子猫を抱えて、母猫のそばに連れて行きましょう。
なお、初産では、母猫が授乳に対して興味を示さない場合があります。年齢が若く、母性が育っていないからです。
これは本能的なものであり、母猫に落ち度があるわけではありません。しかし子猫たちにとって、生まれたばかりの時点で授乳が得られるか否かはきわめて重要なポイントです。
母猫が嫌がる場合でも、可能な限り授乳がなされるようにしましょう。ただ、できることとしては、母猫と子猫の距離を近づけるくらいしかありません。
どうしても授乳がうまくいかないなら、飼い主がミルクを作って、与える必要があります。
関連記事:子猫の育て方・しつけ方・ミルクのあげ方・注意点などを一挙解説
また、必要に応じて子猫の体温を維持しましょう。
生まれたての子猫は特に体温調節が苦手で、多少寒いだけでも命にかかわることがあります。
寒そうに見えるなら、毛布をかけたり、母猫にくっつけたりするとよいでしょう。そうすることで一定の体温が保たれます。
また、タオルに湯たんぽを包み、寝床に配置するなどするとよいでしょう。
子猫が子猫期を乗り越えられるかは、適切な温度調節にかかっています。防寒対策はできる限り実施しましょう。
本記事では猫の出産に関して解説しました。
ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
一般的に、一回の出産で3〜8匹ほど出産します。
基本的には乳首の数以上(8)の頭数を出産することはありません。
なお、猫は年に2、3回出産する能力を有します。つまり母猫は、年間最大で24頭の子猫を出産しうるわけです。
それだけの頭数が出産された場合、自宅で育てるのは困難でしょう。それを避けるため、避妊手術を受けるのが一般的です。
避妊手術に関しては、「発情期の猫の鳴き声が気になる!うるさいときの対策は?」で解説しているので参考にしてください。
なお、育てるべき猫の数が多く、飼育がままらならなくなるのを、多頭飼育崩壊と呼びます。
このような事態を避けるためにも、避妊手術を受けるのは大切です。
以下の方法で、子猫がお腹に残存しているか確認できます。
ただし、お腹に子猫が残っているかどうかは、エックス線検査などを受けないと確定はできません。判断に悩む場合は、獣医師による検査を受けましょう。
母猫の死亡率は低く、数%もないと考えて問題ありません。
また新生猫の難産率は平均5.8%。死亡率に関しては、それよりも低いといえるでしょう。
したがって、猫の出産で死亡の事態に直面する可能性は低いでしょう。
ただし、新生猫が生後2ヶ月以内に死亡する確率は、7.6%とやや高い点に注意してください。
そもそも猫は、成猫になるのがややむずかしい生き物であり、子猫期には相当な配慮が必要です。新生猫の命が守られるよう、徹底した健康管理を実施しましょう。
参考文献:水谷雄一郎ら-難産を生じた一頭二顔体の猫の1例(ショッキングな画像があるため閲覧注意)、MDPI
関連記事:子猫の育て方・しつけ方・ミルクのあげ方・注意点などを一挙解説
母猫による授乳以外でミルクを与える場合は、かならず子猫用ミルクを使ってください。
出典:楽天市場
これを、メーカーが指定する方法で溶いてミルクにします。与え方に関しては、以下の動画が参考になります。
このように、4つ足をつかせて、前方からシリンジを向けるのが基本です。
シリンジとは、液体を少しずつ出水するための、注射器に似た道具。これは100円ショップやAmazonなどで簡単に購入できます。
今回は、猫の出産に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
猫の出産は、比較的安定していますが、それでも十分な配慮が必要です。
猫の習性や状況をきちんと理解し、常に適切な対応を取る様にしましょう。
人間と同様に、出産では、予想だにしないトラブルも起こりうるものです。そのような事態があったときは冷静に対処しましょう。
また何かあれば獣医師に相談するのがもっとも安心できるでしょう。
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