2025.05.30
このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
猫は地震に遭遇したとき、普段からは考えられないほど狼狽することがあります。時には、暴れたり鳴いたりする、パニック行動を引き起こすことも。
パニックになってしまった猫を落ち着けるには、適切に対処する必要があります。同時に、飼い主の安全も確保しなければいけません。
本記事では、地震発生時における猫のパニックの対処法や、パニック状態に陥る原因などを解説するので、参考にしてください。
地震時に猫がパニックになったときの対処法は以下のとおりです。
まず、猫のパニックを解消する前に、自身の安全を確保するのが大切です。そのうえでパニック行動に対応しましょう。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、飼い主自身の安全を確保する必要があります。
自身発生時は、タンスなどの倒れてきそうなものを避け、座布団や枕で頭部を守りましょう。余裕があれば、猫を抱きしめて守るなどしてもかまいません。
揺れが収まったらガスの元栓を閉め、コンロなどの火を消します。
飼い主に被害があると、猫を助けることができなくなります。まずは自身の安全を第一に行動しましょう。
猫を抱き抱えられなかった場合、揺れがおさまったら、猫の居場所を確認しましょう。家具の下、押し入れの奥、カーテンの裏などに隠れていることが多いです。
その段階で、猫がどのような精神状態にあるのか観察し、適切に対応しましょう。
なお、地震発生時の行動に関しては、福岡市消防局公式チャンネルの啓発動画が参考になります。
仮に猫が抱っこを嫌がらないなら、落ち着くまで抱き抱えましょう。
抱き抱えられ、撫でられるなどするとリラックスし、パニック症状が落ち着くと考えられます。
一方で狭いところから出てこない、抱っこを嫌がるなら、無理に抱き抱える必要はありません。
一方で、津波の到達や家屋の倒壊などが想定される場合は、猫を落ち着かせるよりも、避難することが重要です。被害状況や津波速報などを参照にし、適切な行動を取りましょう。
猫のようすが明らかおかしい、あるいは避難が必要な場合は、猫をケージやキャリーバッグに入れます。
この中にいれば、少なくとも飼い主を攻撃したり、あちこち走り回って怪我をしたりすることはありません。
ただし、ケージやキャリーバッグを極端に嫌うケースもあります。特に動物病院での恐怖体験を持っている場合は、ケージやキャリーバッグが出てきただけで怖がるでしょう。
どうしても入りたがらない場合は、無理に押し込めないのを推奨します。
続いて、避難経路をのぞく出入り口をすべて塞ぎましょう。
強い地震があるとドアや窓が開いて、猫の脱走できる状態になることがあります。これらを施錠し直し、外に出られないようにしましょう。
何らかの原因で施錠ができないなら、家具などを配置して塞ぎましょう。
また、扉や窓を開閉する際は、猫が脱走しないように細心の注意を払います。
猫が地震でパニックになる理由はいくつかあります。
地震そのものではなく、飼い主のようすや過去の経験によっても、パニックは起こります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、音や振動に対して恐怖を感じる点が、原因として挙げられます。
猫は基本的に大きな音を嫌います。人間の4倍程度の聴力を有し、人間には聞こえない地鳴りや、家屋が軋む目立たない音もはっきり聞こえてしまい、結果として恐怖を感じます。
さらに肉球やヒゲから地面の振動をするどく察知してしまい、そこに恐怖を覚えることも。
このような音の振動が突如として発生するため、パニックになりやすいと考えられます。
また、緊急地震速報の音に対しても、恐怖や動揺を見せるケースも。
猫は緊急地震速報で怖がる😢 #クロみな pic.twitter.com/nXVnamnj2r
— ゆの (@geocronite_y) October 7, 2021
一方で音や振動に対して無頓着で、地震が来ても落ち着いている猫も一定数は存在します。
音や振動にさほど驚かなくても、飼い主の緊張や焦燥が伝わってしまうことがあります。その結果、パニックを起こすケースもあるでしょう。
猫は、飼い主が思う以上に飼い主のようすを見ています。普段は見せない表情や振る舞いを見てしまい、なおかつ音や振動を感じていると、何か恐ろしいことが起こったと解釈します。
なお、飼い主が緊張や焦燥を猫に伝えないようにするのはむずかしいでしょう。
猫はわずかな声のトーンや表情の変化、体のこわばりや呼吸の乱れを感じ取る能力を持っています。地震時に、これらを完全に隠すのはむずかしいと考えられます。
とはいえ、明らかに取り乱すとより強い恐怖を感じさせるのは事実。地震が発生したとき、飼い主ができるだけ冷静に振る舞い、猫に不安を与えないようにするのも一つの方法です。
また、過去の恐怖体験をフラッシュバックしている場合があります。 かつて地震によって、怪我をしたり、危機的な状況に陥ったりしたことがあるなら、それをフラッシュバックするでしょう。
また、地震に近い影響を与える落雷などによっても、恐怖体験を思い出す場合があります。
今回の地震の経験が、新しいトラウマになってしまうこともあるでしょう。特に家財が転倒する、食器棚から皿が落ちて割れるなどの出来事は、猫のトラウマになりやすいです。
なお、人間と同様に、猫もPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することがあります。
猫が地震時に見せるパニック行動はさまざまですが、主だった点では以下が挙げられます。
押入れや隙間に隠れる 激しく鳴いたり暴れたりする トイレに失敗するようになる 飼い主に近寄らなくなる 攻撃的な態度を示すようになる
どのようなパニック行動を見せるのか理解しておけば地震発生時にも冷静に対応できます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、押入れや隙間に隠れる行動が、もっとも頻繁に見受けられます。
猫は危険を感じた場合、基本的に狭く暗いところに隠れたがります。
来客の気配で隠れる猫 pic.twitter.com/Rx5cbSuIMx
— 𝚖𝚎𝚛𝚞 ꕤ (@meruchame) May 11, 2025
地震に対して恐怖を感じた場合、そのような場所に行きたがるのでしょう。
また、冷蔵庫や洗濯機など、あまり普段は入り込まないところ隠れるケースも。
どこかに隠れたら、しばらくそのままにしておきましょう。地震が落ち着いたら自然と出てくるはずです。
ただし、すみやかな避難が必要な場合はその限りではなく、キャリーバッグに入れて避難先へ向かいましょう。
激しく鳴いたり暴れたりするのも、パニック行動の一つです。
恐怖や不安が極度に高まると、逃げ場を求めて部屋の中を走り回ったり、家具にぶつかったり、普段はしないような高い声で鳴き続けたりするケースがあります。
無理に抱きかかえようとすると、引っ掻かれたり噛まれたりする可能性も。
まずは猫が落ち着けるよう、安全な場所を確保し、静かに見守ることが大切です。
長期的には、トイレを失敗するなどの問題が生じることも。
愛猫かいが、またトイレを失敗…地震のストレスか、ただ単に私へのいやがらせか…?
— かいママ (@nursemiukichi) April 13, 2011
地震の経験が大きなストレスになり、精神的な外傷を負うことで、うまく排泄できない、トイレをトイレとして認識できないなどの問題が起こりえます。
多くの場合、このようなことがあっても、地震から何日か経てば回復するでしょう。
しかし、あまりにも怖い思いをした場合は、長期的にトイレの失敗が続くかもしれません。
また、避難時のストレスや、食料の不足から来る栄養不足が、この問題を引き起こすとも考えられます。
地震を経験した結果、飼い主に近寄らなくなることもあります。
これは、猫の認識のなかで、あやまって地震の恐怖と飼い主の存在が紐づくことに起因します。
たとえば猫から見て、音や振動の原因が飼い主によるものだと誤解してしまえば、飼い主は近寄り難い存在となるでしょう。
また、飼い主が地震発生時に見せた動揺が、フラッシュバックの引き金になるケースも。
飼い主に近寄らなくなったら、もう一度信頼関係を積み上げる取り組みが必要になるかもしれません。
長期的に、攻撃的な態度を示すケースもあります。これもパニック行動の一種です。
攻撃的になるのは、恐怖から自分自身を守るための防衛行動。たとえば、唸る、威嚇する、近づくと反撃してくるなどの行動を見せる可能性があります。
場合によっては、飼い主に怪我を負わせることもあるでしょう。
攻撃的な態度を示している場合は、適度に距離を置き、精神的に落ち着いたことを確認してからコミュニケーションを取りましょう。
地震に遭遇した際は、猫のパニックをおさえるのと同時に、命や安全を守る必要も生じます。むしろ、こちらのほうが優先されるでしょう。
そのためには、以下の方法で地震時の被害をあらかじめ予防するのが大切です。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、家具を固定して転倒しないようにしましょう。
これで、猫が家具の下敷きになるなどの被害を避けられます。
出典:Amazon
家具を固定するグッズはさまざまですが、いずれにせよ数百円から数千円で購入できます。
また、家具の下敷きにならなくても、それが転倒したり、大きな音が鳴ったりすること自体が、パニック行動を誘発します。
それを防ぐうえでも、家具の固定は重要な対策といえるでしょう。
猫とともにすみやかな避難ができるように、以下のように準備しましょう。
特に大規模な地震では、避難所での生活を送るケースがあります。その生活が長期化することもあるでしょう。
避難所でも、猫が最低限の健康を維持できるよう、準備しておくのが大切です。
可能であれば、キャリーバッグでの移動にも慣れさせましょう。
地震発生時、避難所に移動したり、一時的に落ち着かせたりするため、キャリーバッグを使用します。
しかし、動物病院でのトラウマなどから、バッグ内に入るのを嫌うケースが多いです。
そのため、普段から少しずつキャリーバッグのなかで過ごす機会を持たせて、苦手を克服しておきましょう。
地震発生時から避難所での生活に至るまで、猫の脱走が容易に想定できます。万が一、行方がわからなくなったときのため、以下の準備をしておきましょう。
これらの準備ができていれば、脱走時の捜索が容易になります。
ただし、地震発生時には、周囲の家屋が崩壊するなどして、捜索に危険がともなうケースもあります。
飼い主の安全を確保しながら、捜索を進めましょう。
なおマイクロチップ付き首輪とは以下のようなもので、チップから発信される情報を追跡して場所を特定します。
出典:Amazon
本記事では、猫の地震時のパニックに関して解説しました。
ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫は地震を予知できる可能性があります。 猫は、人間には聞こえない、地震の初期微動に見られる「P波」を聞き取れると言われています。
これを聞き取ることで、ある程度地震を予知できるのかもしれませんが、詳細はわかっていません。
予知できたとしても、その精度は決して高くありません。さらに、「今のがP波であって、これは地震の初期微動である」と理解できるわけでもありません。
地震の震度やマグニチュードの大きさを示すものでもなく、猫の予知能力が地震に対する備えの一つにはならない点に注意してください。
猫が地震に対してトラウマを抱えてしまったら、以下のように対応しましょう。
トラウマになったときは、とにかくリラックスさせ、安心感を覚えさせるのが大切です。まずは隠れ場所を用意し、単独で過ごせるように工夫しましょう。
それを補助するうえで、フェロモン製品を利用するのもおすすめ。猫が安心できる成分を多分に含むスプレーを散布すれば、より精神的に穏やかになります。
出典:Amazon
また、飼い主による活発なコミュニケーションは、精神的なダメージを癒す最大の治療となります。普段よりも愛情を込めて接して、トラウマを解消するよう取り組みましょう。
かならず猫をキャリーバッグに入れて、避難しましょう。
抱き抱えて連れて行くと、脱走の危険が生じます。
また避難を開始する前に、かならず避難所がペットを受け入れているかどうかも確認しましょう。受け入れがないなら、ペットホテルや親族宅に預けるなどの選択肢が考えられます。
もちろん、家族と猫全員で、避難所ではない場所に避難する方法も考えられるでしょう。
本記事では、地震が起きた時の猫のパニック行動に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
地震が発生したら、まずは飼い主自身の安全を確保しましょう。もし飼い主に何かあれば、猫を守るための行動が取れなくなってしまいます。
そのうえで、猫のようすに向き合うようにしましょう。あとは被害状況や余震・津波のリスクに鑑み、冷静かつ速やかに行動するのが大切です。
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