2024.06.30
このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
猫は、人間と同様に熱中症にかかることがあります。そしてその死亡率は50%とも言われています(参考:草津犬猫病院)。
つまり2回に1回は命を落としている計算になり、このことから当該疾患がいかに危険であるかがうかがえるでしょう。
したがって、熱中症にかからないように、きちんと配慮する必要があります。
そこで本記事では猫の熱中症に関する基礎知識や予防法、かかってしまった場合の対処法を解説します。ぜひ参考にしてください。
もくじ
まずは猫の熱中症に対する理解を深めるため、以下の点を解説します。
人間の熱中症とは異なる部分があります。またそのリスクの大きさも、人間のそれとは異なります。きちんと違いを理解しておきましょう。
猫の熱中症の一般的な症状は、程度によりますが、おおむね以下のとおりです。
これらの症状のうち複数が同時多発的に生じます。さらに重篤な場合は、意識レベルの低下や出血、舌の色の変化(チアノーゼ)などが生じます。
熱中症になりやすい猫の特徴として以下が挙げられます。
つまり、若くて健康的な成猫以外は、熱中症リスクが高いといえます。
子猫は体温調節に不慣れであるため熱中症にかかりやすです。
老猫、具体的には10歳以上の猫は体温調節機能が衰えているためうまく放熱できません。
太った猫も同様で、熱を体に溜めやすく、熱中症になりやすい傾向にあります。
飼い猫が上記に該当する場合は、いっそうの境界が求められるでしょう。
熱中症になりやすい環境として以下が挙げられます。
基本的に人間が「暑い」と感じる環境は、猫にとっても熱中症になりやすい環境です。夏場は発症のリスクが高いといえるでしょう。
以下の猫種は、熱中症になりやすいとされています。
特にラグドールのような、毛が長い種類は、体に体温がこもりやすく、熱中症リスクが比較的高いとされています。
上述の猫種もしくは類似した猫種を飼っている場合は、いっそうの警戒が必要となるでしょう。
熱中症にかかった場合の予後は一般的に悪いです。
冒頭で述べたとおり、発症した場合の死亡率は50%にも及ぶとされています(参考:草津犬猫病院)。
生還したとしても、腎臓障害や脳障害などを後遺症として残すこともあり、予後は厳しいと言わざるを得ません。
やはり熱中症にかからないよう、きちんと予防するのがポイントになりそうです。
続いて、猫の熱中症を防ぐ方法に関して解説します。
上述したように予後が悪い熱中症に、そもそもかからないようにするのが重要です。それぞれの方法を詳しく解説するので参考にしてください。
猫の熱中症を防ぐうえでもっとも大切なのは、適切な室温を保つことです。エアコンをきちんと作動させ、常時27度前後で保たれるようにしましょう。
熱中症は、基本的に30度台の室温でなければ発生しません。もちろん例外はありますが、まずあり得ないと考えて問題ないでしょう。
したがってエアコンさえ動いていれば、熱中症のリスクはほとんどなくなります。
また27度前後は人間にとっても過ごしやすい室温。猫も飼い主も快適に過ごすことが可能です。
まずはエアコンで、27度前後の室温がきちんと保たれるようにしましょう。
また飲み水を十分に与えるのも重要です。食器に新鮮な水を出して、いつでも飲めるようにしましょう。1箇所ではなく、複数の水飲み場があると、さらに安全性が高まります。
水に関して注意したいのは、水自体が古くなってしまうこと。腐敗などがあった場合、猫が匂いの変化を嗅ぎつけて、飲まなくなる可能性があります。
そうすると、当然ながら水分不足になり、熱中症を発症するリスクが高まります。最低でも1日1回は水を取り替えるようにしましょう。
これが面倒である場合、自動給水器などを使うのがおすすめ。
(引用:Amazon)
これを使えば、指定した時間に自動的に水が供給されます。価格は4,000円ほど。
なお人間が熱中症の予防する際に飲まれるスポーツドリンクは、猫にとって摂取が望ましくない禁忌に該当する場合があります。与えるのは水道水やミネラルウォーターに限定しましょう。
またクールマットなどを設置するのも賢い方法です。クールマットとは、床面温度を低く保つ特殊なマットのこと。
これが一枚あれば、猫の体温を適切に低く保ち、熱中症になるリスクを大きく下げることが可能です。
またクールマットなどは、「猫自身が快適に暮らせる」というメリットをもたらします。
猫は全身が毛で覆われており、夏場は暑さに対して強いストレスを感じていることがあります。
しかしエアコンや扇風機、そしてクールマットなどがあれば、夏でもある程度快適に過ごせるようになるでしょう。
もっとも熱中症を発症するリスクが高い夏場は、独りで留守番させないように徹底しましょう。思わぬミスやトラブルが考えられるからです。
たとえば夏季に独りで留守番させるとなると、以下のような問題が起こるかもしれません。
このような事態があると、外出しているがゆえに発見が遅れ、大きな問題に発展することがあります。熱中症リスクの高い夏季は、なるべく留守番させないようにしましょう。
万が一、熱中症にかかったら以下のように対応しましょう。
予後が悪いとされる熱中症でも、適切かつ迅速に対応できれば、死亡や後遺症の発症を避けられるかもしれません。それぞれにステップに関して解説するので参考にしてください。
まず症状の度合いを見極めましょう。
<軽度>
<中度>
<高度>
<中度>以上に該当した場合は動物病院で診察を受ける必要があります。ただちにその準備に取り掛かり、同時に2.以降の処置を実施してください。
<軽度>に該当する場合も、可能であれば動物病院へ連れて行くのが望ましいですが、2.以降を実施してようすを見てもかまいません。
続いて、首と脇を冷却しましょう。これは体の中にたまった熱を外に逃すうえで強力な手段となります。
濡らしたタオルや保冷剤、アイスパックなどを当てましょう。適当なものがなければ、ペットボトルや氷枕などでもかまいません。
とにかく血管が多数通っている首と脇を冷やし、冷たい血液を循環させるのが大切です。
なおアイスパックとは以下のようなものを指します。
大人用などと書かれているものもありますが、猫に使用してもかまいません。
続いて濡れタオルで体を包み、さらに体温が外に逃げるようにしましょう。
このように、タイトに巻き付けると、冷却効果が高まります。同時に扇風機で送風する、エアコンをかけるなどするとよいでしょう。
なお濡れタオルは、時間が経つと常温に戻ってしまいます。その場合は再度濡らして、もう一度体を包みましょう。
また猫は水に濡れることにショックを受ける可能性があるので、直接入水させるなどの処置は避けてください。
続いて体を冷やしつつ、適度に水分を与えましょう。
自分で動けるようすなら、食器に水を出し、目の前に差し出します。
ただし熱中症は、大量の水分を摂取すればよくなる、というものではありません。
もし水を飲まなくなったら、それは十分に水分補給がなされたサインです。それ以上無理に飲まさないようにしましょう。
なお、猫に与えられるのは、純粋な水だけです。スポーツドリンクなどは猫にとって禁忌物になりうるため、決して与えてはいけません。
明らかに水分不足であるにもかかわらず、猫が水を飲まない場合は、口元に水滴をつけましょう。
単に水を飲みに行く気力すらない場合は、水滴を舐めとることにより水分補給できます。
また口を開けさせて、スポイトやシリンジを使って水分を取らせる方法もあります。ミルクを与えるようなイメージで考えるとよいでしょう。
それでも飲みたくないなら、本当に飲む必要がないと考えられます。その場合は無理やり飲ませないようにしましょう。
ここまでやっても回復しない、あるいは症状が重篤な場合はただちに動物病院へ連れて行きましょう。
土日深夜の場合は、以下のサービスを使って、最寄りの動物病院を検索してください。
(引用:夜間・救急動物病院マップ)
夜間・救急動物病院マップを使えば、地図上から対応可能な動物病院を検索できます。診療時間外の場合はこれを利用しましょう。
動物病院に着いたら、医師の診察を受け、その後も指示を仰いで処置を継続しましょう。
本記事では猫の熱中症に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
熱中症の治療には1回あたり4,000円から12,000円ほどの費用がかかるでしょう。
その後何度も通院するとなると相当な出費となるでしょう。入院すると数十万円の出費になることも。
一方できちんと治療しないと、後遺症を発症するなどのリスクをともないます。
最悪の場合、命を落とす可能性もあるため、経済的な理由で通院を避けるのは好ましくありません。
やはり 一度発症すると、経済的にも肉体的にも大きい負担がかかるので、きちんと予防するのが非常に重要です。
結論から言えば、ちゅーるを与えただけで熱中症を予防するのはむずかしいでしょう。
特に体温の上昇や水分不足を防ぐような効果が期待できないからです。
多少の塩分が入っていますが、それも熱中症を予防できるほどではありません。
したがってちゅーるを与えても何ら予防効果はないと考えましょう。
ただし熱中症と無関係に、ちゅーるは猫にとって魅力的なおやつです。
猫の機嫌を取ったり、仲良くなるためのツールとして活用したりすることが可能です。必要があればおやつとして採用するのもよいでしょう。
冬は、夏と比較すれば熱中症のリスクが低いといえます。少なくとも気温上昇やエアコンのつけ忘れなどで、熱中症にかかる可能性は低くなるでしょう。
とはいえ、冬であっても熱中症を発症する可能性はあります。
たとえばこたつの中で長時間過ごした結果、体温上昇と水分不足の状態に陥ることも。
基本的に熱くなれば出てくるはずですが、何らかの理由で適切なタイミングで出て来れないこともあります。
冬場でも、暖かい場所に長居していないか、ある程度は木を配る必要があるでしょう。
本記事では猫の熱中症に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
猫は意外にも熱中症になる可能性が高い生き物です。
人間の場合でも熱中症に対しては相当な警戒が求められていますが、それは猫も同様。
特に夏季は症状を呈しやすいので注意が必要。
熱中症のリスクをきちんと理解して、夏を過ごすようにしましょう。
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