猫が死ぬ直前にみせる兆候とは?お別れ前に知っておきたい最期の行動

  • 最近、猫のようすがあまりにもおかしい
  • 年齢や病歴を考えれば、いよいよかもしれない
  • 死ぬ直前にはどのような症状が現れるのだろうか?

このように考えている人は多いでしょう。

最期の瞬間が訪れようとしているとき、猫の行動や見た目にはさまざまな症状が現れます

それを知っておけば、容態が急変したときに適切に対応できるでしょう。また飼い主自身が心の準備をできたり、よりよいか形で看取れたりします。

そこで本記事では、死ぬ直前を迎えた猫に見られる症状や、最後にしてあげられること、そして亡くなったあとにやるべきことを解説します。

猫のようすがおかしい、あるいは見取りの段階を迎えている場合はぜひ参考にしてください。

死ぬ直前を迎えた猫に見られる症状と変化

死ぬ直前を迎えた場合、猫には以下3つの面に症状と変化が現れます。

  • 行動
  • 見た目
  • バイタルサイン

まず、猫の行動自体が大きく変わります。そして見た目にも変化が出るでしょう。

そして、心拍数や脈拍などの、いわゆる「バイタルサイン」にも何かの異変が生じます。それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。

行動に現れる症状

猫の死期が迫ってきたとき、行動にはさまざまな変化が現れます。

  • 口呼吸をする
  • ゴロゴロと音を立てる
  • 甘えてくるようになる
  • ご飯を食べなくなる
  • グルーミングしなくなる
  • トイレを失敗する
  • 睡眠時間が長くなる
  • けいれんやてんかんを起こす
  • あちこちをうろうろするetc.

呼吸や食事、トイレや睡眠、あらゆる面に症状が表れるでしょう。また「けいれん」や「てんかん」など、ややショッキングな症状が出ることも。

ちなみに「てんかん」とは、以下のように体が震えたり、激しく暴れ回ったりする現象を指します。

もちろん、持っている疾患やその進行によって症状が異なるものです。しかし基本的には死期が近いほど、多様かつ重度の症状が表れやすいです。

隠れるようになる?

よく「猫は死期を悟るといなくなる」と言われますが、これは本当です。

普段なら行かない場所、たとえば押入れの奥部や屋根裏などに隠れることがあります。これは、「弱っている状態で敵に出会うのを避けるため」と言われています。

もし行方がわからなくなったら、押入れや屋根裏など、いかにも「入るのが面倒くさそうな場所」を探してみましょう。

また冷たい場所や、飲み水が確保できるようなところに移動するケースもあるので、そちらも当たってみましょう。

見た目に現れる症状

また、猫の見た目にも以下の症状と変化が現れます。

  • 明らかに痩せる
  • 目の焦点が合わなくなる
  • 目つきが弱々しくなる
  • 鼻水を垂らすようになる
  • 毛並みが悪くなる

特に痩せ具合にははっきりとした変化を感じるでしょう。

また目にも死の兆候が現れやすく、焦点が合わなくなったり、目つきが悪くなったりします。さらに鼻水を垂らしたり、毛並みが悪くなったりして不清潔になることも。

こういったことを避けるために、看取りをする際にはいろいろなボディケアが必要となります。この点は後ほど解説するので参考にしてください。

バイタルサインに現れる症状

身体のはたらきを示す「バイタルサイン」にも、死ぬ直前の症状や変化が現れます。

  • 呼吸数が下がる
  • 心拍数が下がる
  • 体温が下がる
  • いつもと違う匂いがする

呼吸数や心拍数などは、基本的に下がる傾向にあります。また、これまで嗅いだことのない匂いが出るのも、死期が近いサインです。

呼吸数は、猫の死期を予測するうえで役立ちます。通常、猫は毎分30回前後の呼吸をしていますが、死期が近いとそれより少なくなるはず。

猫の口元に耳を当て、1分間の呼吸回数(吸って吐くで1カウント)を数えてみましょう。極端に回数が少ないなら、死期が近づいていると言えます。

呼吸数が乱れたら死ぬ直前?

呼吸数が下がるだけでなく、激しく上がったり下がったりすることがあります。これは「チェーン・ストークス呼吸」と呼ばれるもので、猫に限らず多くの哺乳類に見られる現象です。

この呼吸を始めた場合は、生きられる時間は数分から数時間だと思ってください。

すぐに駆け寄って、最期の瞬間を看取ってあげましょう。

猫に死ぬ直前の症状があらわれたとき飼い主にできること

猫に死ぬ直前の症状が現れたら、いわゆる「看取り」の時期に入ります。飼い主のやることとして、以下が挙げられます。

  1. 動物病院に行く
  2. おだやかに過ごせる環境を整える
  3. ポジティブな声かけをする
  4. ボディケアをする 
  5. できるだけそばにいる

まず、動物病院に行っていないなら行きましょう。もしかしたら、死ぬこととは関係がなく、治療して元気になるのかもしれません。

もし死期が近いことを伝えられたら、2以降のステップに移りましょう。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

1.動物病院に行く

猫のようすがおかしいと思ったら、動物病院へ行きましょう。年齢が高かったり(おおむね15歳以上)、病歴が多かったりすれば、死期が近いかもしれません。

獣医師から「お別れのときが近い」旨を伝えらたとき、「延命治療」と「緩和治療」ふたつの選択肢があります。

延命治療は、少しでも長生きできるよう積極的に処置をおこなうことです。生きられる時間は長くなりますが、入院したり、苦しい治療を受けたりするデメリットがあります。

緩和治療は、病気を治すのでなく、最後の時間をできるだけおだやかに生きるための措置です。この場合は、自宅でゆっくりと過ごすことになります。

獣医師の指導も聞きながら、延命治療と緩和治療、どちらを選ぶか選択しましょう。なお延命治療を選択した場合は動物病院および獣医師が主導して処置を進めるため、それにしたがいましょう。

よって以降は、自宅での緩和治療を選択した場合に関して解説します。

2.おだやかに過ごせる環境を整える

緩和治療を選択した場合、残された時間をおだやかに過ごせるように環境を整備しましょう。具体的なポイントとして以下が挙げられます。

  • 騒音がない場所を選ぶ
  • 人の出入りが少ない場所を選ぶ
  • 布団やクッションを用意する
  • 適切な気温を維持する
  • トイレや水飲み場は近くにする
  • 横向けの姿勢を取る(下図参照)

このように環境を整備して、楽に過ごせるようにしましょう。

注意したいのは、以前の環境から大きくは変えないことです。猫は環境変化に対してストレスを感じるので、気遣いが逆効果になることがあります。

長年愛用していた毛布を使ったり、いつも過ごしていた場所を寝床にしたり、これまでの暮らし方をできるだけ変えないようにしましょう。

3.ポジティブな声かけをする

猫に対してポジティブな声かけをするのも大切です。これは、猫の感じるストレスを軽減するうえで役立ちます。

米国の論文掲載サイトNIHによれば、猫には、人間の感情を、声と表情から感じ取る能力がそなわっています。つまりやさしい表情でポジティブな声かけをすれば、気持ちが伝わるというわけですね。

もちろん、声をかけて劇的に症状が改善するわけではありません。しかし猫のストレスを軽減したり、最期の時間を幸せに過ごしたりするうえで役立ちます。

最後に触れ合えた経験が、飼い主がペットロスに陥ったとき、心の支えになるかもしれません。また動画や写真を撮影しておけば、よい思い出となるはずです。

4.ボディケアをする

猫を看取るあいだ、できるだけボディケアを実施するようにしましょう。

ここで言うボディケアとは、具体的に以下を指します。

  • 体を撫でる(グルーミングの体力が残っていないため)
  • 血流をよくするため、ときどき姿勢を撫でる
  • 鼻水を拭く
  • マッサージする
  • 食事や排泄を手伝う
  • 薬を処方されているなら投与する
  • 水を飲ませる

死期が近づいている猫は、あまり動けません。状況によりますが、下記動画の3:40〜あたりのような状態になります。

猫ができなくなってしまったことを、代わりにやってあげましょう。

また食事に関してですが、今後長くは生きられないことを踏まえて、好きなものを食べさせてあげるのもひとつです。

5.できるだけそばにいる

そして、できるだけそばにいてあげるようにしましょう。そうすることで、猫の気持ちがおだやかになるからです。

死期が近づいているとき、猫は多かれ少なかれ不安を感じています。妙に甘えてくるケースが多いのも、これが原因かもしれません。

よって猫の気持ちを考えるなら、できるだけそばにいてあげましょう。そうすることで、ある程度不安を軽減できます。

また容態が急変したときも、すみやかに対応できるようになります。

そして最期の時間をともに過ごすことが、飼い主にとっての幸せにもつながるでしょう。

猫が亡くなったあとにするべきこと

猫が亡くなったあと、ひとまず精神的に落ち着く時間を持ちましょう。急ぐ必要はまったくありません。

少しだけ気持ちが落ち着いたら、以下のステップに移りましょう。

  1. 死亡を確認する
  2. 遺体を保存する
  3. 供養をおこなう
  4. 納骨する/手元供養する

まず、本当に死亡しているか確認する必要があります。そのあとで遺体を保存し、供養の段取りなどをおこないます。

死亡を確認する

まず、本当に死亡したかを確認しましょう。これを判断するポイントは大きく分けて4つあります。

  • 呼吸があるか
  • 心拍があるか(お腹部分に耳を当てると聞こえる)
  • 目に光を当てたとき、瞳孔が動くか
  • 体が温かいか

上記いずれかに該当するなら、まだ生きている可能性があります。この場合は引き続き見守りましょう。

またわかりやすい変化として、死後硬直が挙げられます。もし亡くなっているなら、1、2時間後には手足が硬くなり、曲げられなくなるはずです。

確実に死亡したことを確認し、以下のステップへ移ります。

遺体を保存する

このあと、霊園などで供養をするのですが、亡くなったその日に連れて行けるわけではありません。

おそらく2、3日かかるので、その間遺体は安全に保存しましょう。手順は以下のとおりです。

  1. 段ボールを用意する
  2. 毛布などを敷き詰める
  3. 保冷剤やドライアイスを置く
  4. 猫の遺体を横たわらせる
  5. お花やおやつを置く
  6. 保冷剤やドライアイスが溶けたら取り替える

下記動画の9:17〜あたりのようすがわかりやすいです。

この状態で、適切な温度の場所に安置しておきましょう。遺体の腐敗を防ぐため、エアコンは効かせておいてください。

供養をおこなう

現在では、亡くなった猫に関しては、地域のお寺が開くペット霊園などで供養するのが一般的です。

(引用:慈恵院

たとえば東京都の慈恵院というお寺は、ペットの供養や法要をおこなっています。具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 猫の供養をしたいと連絡する
  2. お別れのセレモニーを執り行う(合同、個別などさまざまなパターンあり)
  3. 猫を火葬してもらう

費用はペット霊園によりますが、成猫なら20,000円〜40,000円程度です。ただし個別や訪問の方法を取るなどすると、より多くの費用がかかるかもしれません。

なお「拾骨」に関しては、人間の場合と違い、霊園の担当者が実施することが多いです。ただしお寺の方針によっては、飼い主自身が骨を拾うこともあります。

お骨をお墓に納める

供養をおこなったあとは、骨壷が返却されているはずです(返骨)。これをペット用の墓地に納めましょう

近年ではペットを埋葬する共同墓地が各地に存在します。周辺にそういった場所がないか、検索してみましょう。

また上記した慈恵院のように、供養だけでなくお骨を納めるお墓や納骨棚を持っている寺院や霊園もあります。

(引用:慈恵院

費用はお墓のグレードなどによって異なりますが、10,000円から30,000円程度と考えましょう。

一方で、お骨をお墓に納めず自宅で保管する「手元供養」を選択する人もいます。どちらの方法を取るか、家族で協議しましょう。

よくある質問

本記事では、死ぬ直前を迎えた猫の症状に関して解説しました。最後によくある質問に回答します。

  • ペットロスを癒すには?
  • 死期が近づくと鳴くようになるのはなぜ?
  • 突如元気になるのはなぜ?

特に心配なのが、飼い主自身のペットロスです。この解消法はぜひ知っておきましょう。

また「死期が近づくと鳴く」「突如元気になる」といった、やや不可解な行動に関しても解説します。

ペットロスを癒すには?

猫が亡くなったあと、寂しさや喪失感に苛まれる「ペットロス」に陥ることがあります。これを癒す方法として以下が挙げられます。

  • 過去の写真や動画を見返す
  • 思い出をノートに書き出す
  • 趣味に没頭する

最近ではカウンセラーによる「グリーフケア」と言うサポートも受けられます。

(引用:ボイスマルシェ

グリーフケアは、辛い気持ちを話したり、カウンセラーから声かけしてもらったりして、心の整理をつけられます。こういったサービスを使うのもひとつです。

といってもペットロスは永遠に続くわけではありません。日にちが経てば、猫の思い出を大切にしながらも、前を向けるようになるでしょう。

死期が近づくと鳴くようになるのはなぜ?

死期が近づくと、やたらと鳴くようになる猫もいます。これには以下3つの理由が考えられます。

  • 認知症の症状が出ている
  • 痛みや痒みを訴えている
  • 感謝を伝えようとしている

まず、認知症の症状が考えられます。不安になったり、見えるはずないものを見たりして、鳴いているかもしれません。

また痛みや痒みを感じている場合もあります。その場合は薬を投与したり、姿勢を変えたりしてケアしてあげましょう。

そして、「感謝を伝えようとしている」と解釈する飼い主や獣医師もいます。もしそう感じたのなら、その声をしっかりと聞いてあげましょう。

突如元気になるのはなぜ?

亡くなる数時間前から数日前に、突如元気になることがあります。

この原因ははっきりと分かってはいませんが、認知症の症状ではないかと考えられています。

そもそも生物は、死期が近づくと認知能力が落ち、現実を正しく見られなくなるもの。猫も同様で、誤った認知を持ってしまい、動き回ったり、鳴いたりすることがあります。

残念ながら「本当に元気になって、死をまぬがれる」ケースはほとんど見られません。突如として元気を取り戻したなら、死期が近いと考えましょう。

まとめ

本記事では、死ぬ直前を迎えた猫に現れる症状に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 死ぬ直前の症状の多くは、猫の行動面に現れる
  • たとえば口呼吸やトイレの失敗、てんかんなど
  • 明らかに痩せるなど、見た目にも症状が出る
  • 体温や心拍数の低下など、バイタルサインにも
  • 死期が近いときは、延命治療か緩和治療どちらかを選択する
  • 緩和治療の場合、おだやかに過ごせる環境を
  • 亡くなったあとは、供養と納骨をおこなう

猫の寿命は15年前後と言われています。ほとんどの場合、私たちが彼らを見送ることになるでしょう。

死期が近づいたとき、猫には行動・見た目・バイタルサインにさまざまな変化が現れます。これをきちんと理解したうえで、適切なケアを実施しましょう。

そして、残された時間をおだやかに大切に過ごしましょう。

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