2023.08.31
このように思っている人は多いのではないでしょうか?
猫は環境の変化に敏感で、引越しで大きなストレスを感じます。人間に例えると、「目隠しをされて、どこかに連れ去られる」ようなものです。
引っ越しが原因で病気になったり、一時的にパニックになったりすることも。また一刻も早く新居に慣れさせて、平穏な暮らしを取り戻す必要もあります。
今回は猫のストレスを最小限におさえながら引っ越すための準備や動きに関して解説します。
ぜひ本記事を参考に、ストレスフリーな引っ越しを実施しましょう。
猫にストレスを与えず引っ越しするには、以下の事前準備が大切です。
まず、引っ越し作業中に、猫にどこにいてもらうか考える必要があります。そして動物病院を見つけたり、迷子対策したり、猫の健康と安全を守れるようにしなければいけません。
もちろん、飼い主にとっては引っ越しするだけでもたいへんですよね。しかし猫の健康を考えれば、ここはひと頑張りしたいところです。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
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まず、引っ越し中どこにいてもらうか考えましょう。作業でドタバタしていたり、見知らぬ引っ越し業者の人が入ってきたりすると、猫のストレスになるからです。
その際の居場所として以下が挙げられます。
このようにして、搬出作業から遠ざけるようにしましょう。特に引っ越し業者の人が来ているなど、猫が怖がるような状態になるならなおさらです。
引っ越し中にどこにいてもらうか、事前に考えておきましょう。
続いて、引っ越し先の動物病院を調べて、いざというとき連れて行けるようにしましょう。
引っ越し直後は、猫がストレスから体調不良を起こしやすく、緊急で診てもらうケースがあるからです。場所をわかっていないと、手遅れになるかもしれません。
動物病院を探すなら、EPARKペットライフを使うのがおすすめです。
(引用:EPARKペットライフ)
同サービスにはGoogle Mapよりも数多くの動物病院が掲載されており、近い場所に診療先を見つけやすいです。ぜひ一度検索してみましょう。
続いて、迷子対策を実施しましょう。引っ越し作業の開始から新居到着までの間に、迷子になる可能性があるからです。
猫は外に出たがる傾向があり、引っ越し中に出ていったり、新居から前の家に戻ろうとしたりします。特に後者の場合は遠くまで行って、再会できない可能性があります。
万が一脱走した場合に備えて迷子対策を実施しましょう。
首輪があれば保護されやすくなり、迷子札をつけておけば発見時に連絡できます。ただ、できればマイクロチップを埋め込んでおきたいところ。
これをつけておけば、GPSによって猫がどこにいるか簡単に把握できます。マイクロチップ埋め込みは、多くの動物病院にて、3,000〜5,000円程度で実施できます。
続いて、できるだけ家具を買い替えずに済むか考えましょう。猫は自分の匂いがついていないものが多くあると、ストレスを感じるからです。
たとえば猫が愛用していた椅子やキャットタワーなどは買い替えずに持っていきましょう。普段寝場所にしていた布団やカーペットなども買い替えないのがおすすめ。
一方で冷蔵庫や電子レンジなど、材質的に匂いがつきにくいものは買い換えても問題ありません。また猫が普段触っていないものも、据え置きする必要はないでしょう。
とにかく愛着を感じているものだけでも買い替えずに持っていけば、猫は新居で大いに安心できます。
最後に、猫がストレスを感じたときに発するサインを知っておきましょう。
これは、猫がストレスを感じているときにありがちな行動です。ちなみにこれは、保護猫が引き取られて、初めて家にやってきた場合とほぼ同じ様子。
上記の行動があれば、保護猫が見知らぬ人に知らない場所へ連れてこられたのと同程度のストレスを感じています。こういったことがあれば、後ほど解説するように、ストレスの解消を手伝う必要があります。
続いて、引っ越し当日の動きをおさえましょう。当日も、可能な限り猫にストレスを与えないようにする必要があります。
まずは引っ越し作業から猫を隔離することからスタート。そのあとは、以下いずれかの方法で新居へ移動することになります。
どの方法で移動するかによって、猫のストレスレベルや注意点が違います。少しでもストレスを減らせるポイントを解説するので、参考にしてください。
まずは、猫を引っ越し作業から隔離しましょう。上述のとおり、搬出が終わった部屋や押し入れ、キャリーケースのなかにいてもらいます。
またこの際、脱走しないように注意しましょう。引っ越しのときはドアが開きっぱなしになりがちで、そこから猫が出ていくこともあります。
外に出る習慣があれば戻ってきますが、完全室内飼育ではその限りではありません、
マイクロチップや迷子札などを使っていない場合は再会できないかもしれません。やはり迷子になっても戻ってこられるような対策はしておきたいところです。
なお猫を引っ越し作業から離すため、ペットホテルを使う人もいます。これは、猫を短期間預かるための施設です。
(引用:ヌーノ高円寺)
「ホテル」というだけあり、食事やトイレの世話、ブラッシングや運動時間の提供など、サービスが充実しています。費用は1泊なら2,000〜4,000円程度です。
ただしホテルに泊まることも、猫にとってはストレスになりがちなので、帰ってきたら撫でたり抱っこしたりして可愛がってあげましょう。
猫を隔離している間に引越し作業が終わったら、次は新居へ移動します。移動方法は4つあるでしょう。
それぞれで、手続きや注意点が異なります。それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
おそらく、たいてい自動車で移動するでしょう。この際のポイントは3つあります。
もっとも重要なのは、キャリーケースに入れることです。そうでないと窓から脱走したり、運転を邪魔したりするかもしれません。
「自動車の中だから」と油断せず、かならずキャリーケースのなかに入れましょう。また匂いや温度にも配慮が必要です。
エンジン音などがストレスになるため、長時間連続の運転も避けましょう。1〜2時間に1回停車するなどして、定期的に心を落ち着かせるのが大事です。
鉄道や新幹線に乗車する場合も、当然キャリーケースに入れておく必要があります。そして以下の点に注意しましょう。
もっとも重要なのは、乗車時のルールを確認することです。鉄道会社によって、乗車可否や料金の有無が異なります。たとえばJR東日本の場合、「手回り品きっぷ(290円)」を購入しなければいけません。
(引用:JR東日本)
事前にルールを確認して、改札前で立ち往生しないようにしましょう。
実は、猫は飛行機に搭乗できます。といっても座席に座るのではなく、荷物として預けることになります。
手続きは以下のとおりです。
なお、一部のLCCは猫の預かりを実施していません。その点も含めて1での事前予約をきちんとおこなうようにしましょう。
猫を飛行機に乗せる際は、ストレスを緩和するため、獣医指導のもと鎮静剤を投与することがあります。
飛行機での移動には、機体の揺れで猫が怯えたり、貨物室でひとりぼっちになったり、いろいろな不安要素があります。また、飼い主自身も見守りできないのは不安が募るところでしょう。
しかし鎮静剤を投与すれば、猫もある程度落ち着いた精神状態でフライトに臨めます。
少しでもストレスを減らしたいなら、一度動物病院で相談してみるとよいでしょう。
最後の方法として、猫引っ越しサービスを利用する方法もあります。これは一部の引越し業が提供する「猫専用の輸送サービス」です。
(引用:ワンニャンキャブ)
猫引越しサービスでは、空調や送風孔が完備された専用車両で、猫が入ったキャリーケースを運搬します。鉄道や飛行機での移動を避けたいときに、利用を検討するとよいでしょう。
なおワンニャンキャブの場合は、輸送中の事故による怪我に対して保険がかかっており、医療費などを補償してもらうことも可能です。
引っ越しが終わってからも、やることがたくさんあります。猫が新居で安心して暮らせるように、工夫しなければいけません。
引っ越しは猫にとってストレスですが、新しい場所にやってくることにも精神的な負担を感じます。以下の方法で、少しでも早く慣れられるようにしましょう。
とにかく猫が安心して暮らせる空間づくりがポイントになります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
ちなみに猫が新居に慣れるには、弊法人の引き取り事業の経験に基づく限りでは、1〜2週間ほどかかります。
最初にやるのは、一匹になれる場所を作ることです。
そもそも猫は群れる生き物ではなく、一匹で過ごすことを好みます。
しかし新居に来たばかりの段階では、これまであったはずの隠れ家がないはずです。
そのままだと安心して過ごせる場所がなく、ストレスを感じてしまいます。新居に来たらただちに一匹で過ごせる場所を作ってあげましょう。
続いて、猫自身の匂いが感じられるものを用意しましょう。自分の匂いがついているものがあると、「ここは自分のテリトリーだ」と実感し、安心するからです。
新居に着いたら、以前から気に入っていたタオルケットや布団、おもちゃなどをすみやかに配置しましょう。
また以下のように、猫が床に寝転がったり、壁に擦り付いたりするなら、邪魔しては行けません。
これは新居に自分の匂いをつけることで、「一刻も早くテリトリーを作り、安心したい」がゆえの行動です。猫の毛が飛ぶなどの問題もありますが、ストレスを少しでも軽減するため、大目に見てあげましょう。
スキンシップも重要です。適度なふれあいは、猫のストレスを着実に軽減します。
撫でたり、抱っこしたりすることで安心感を得て、引っ越しと新居に滞在していることから来る不安を軽減できるでしょう。
また、普段より大きいストレスが生じていることに鑑み、いつもより多めにスキンシップを取るのがおすすめです。
一方で過多なスキンシップはかえって精神的な負担になると考えられています。
(引用:Yahoo!)
獣医師の藤井仁美氏も、上記のように指摘しています。猫の様子を見ながら、適度なスキンシップを図りましょう。
搬入作業などがひと段落したら、迷子防止用のマイクロチップを埋め込んでいるなら、住所変更手続きを実施しましょう。
ほとんどの都道府県で、引っ越し後には住所変更手続きを実施するように定められています。忘れずに手続きしましょう。
またこれを怠ると、猫が迷子になったとき所有権を主張しにくくなったり、再会するまでに時間がかかったりするので注意してください。
もしまだマイクロチップを埋め込んでいないなら、この機会に実施しておくとよいでしょう。
本記事では猫の引っ越しに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
特に引っ越しによる死亡の可能性を心配している人は多いようすです。
また、夜鳴きなどに悩まされるケースもあるようですね。それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。
ストレスで死ぬことはめったにありません。よほど配慮が欠けていない場合をのぞき、死亡を心配する必要はないでしょう。
ただし、引越しのストレスが原因と見られる死亡例がわずかながら確認されます。
猫は本能的に環境の変化を好まないと聞きます。
猫は引っ越しや旅行など、なわばりから離れることに対して恐怖を感じます。
仕事でミラノからローマに猫と引っ越した知り合いのまだ若い猫は1週間で突然お空に。
環境の変化によるストレス死でした。
寅吉くんのことを考えると簡単には引っ越せません。— mimosa (@mimosasomim) September 8, 2020
やはり引っ越しは猫にとって大きなストレスになるのがわかります。できる限り配慮しながら、引っ越し作業を進める必要があるでしょう。
「引っ越しを経験した猫の寿命が縮む」というのがデータで裏付けられている訳ではありません。
しかし猫の習性や挙動、そして上記のような死亡例を踏まえれば、引っ越すことでストレスを感じているのは明らかです。
そのストレスが原因で体調を崩したり、病気になったりして、結果として寿命を縮めることはあるでしょう。
引っ越ししてから猫が鳴き続けたり、夜泣きしたりする場合は、相当なストレスを感じていると思われます。また、精神疾患を患っているかもしれません。
たとえばこういったようすが見受けられるなら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。そうすればいったんは診断を受けられます。
ただし、動物病院に行けば、すべての問題が解決するわけではありません。
根本的な問題を解決するため、新居に一匹で過ごせる場所を作ったり、スキンシップを図ったりして、少しでもストレスを感じなくて済むように努力しましょう。
本記事では、猫の引っ越しに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
猫は、環境の変化に敏感な生き物で、ちょっと家具の配置が変わっただけでも動揺します。それを踏まえれば、引っ越しが大きなストレス要因になるのは想像に難くありません。
引っ越しが始まってから新居での暮らしに慣れるまで、しっかりとケアしてあげましょう。また迷子対策のマイクロチップ埋め込みなども忘れずに実施しましょう。
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