コラム

猫を飼うんじゃなかった…疲れた・ノイローゼの対処法と相談先

猫ちゃんとの暮らしをもっと豊かにするための専門コラム

2025.12.27 猫との暮らし

「猫を飼うんじゃなかった」という言葉は、二つの場面で出てきます。ひとつは、いま猫と暮らしていて負担に押しつぶされそうなとき。もうひとつは、これから迎えようとして「自分に務まるだろうか」と不安になったときです。

毛と猫砂が終わりなく散らかる、夜中と早朝に起こされて眠れない、思っていた額を超える医療費が続く。こうした現実は、かわいいと思う気持ちとは別のところで心をすり減らします。いま苦しいのも、迎える前に迷うのも、どちらも特別なことではありません。

その負担が限界を超えたときの受け皿のひとつが、東京都町田市で猫の生涯預かりを行っているNPO法人ねこほーむです。本記事では、後悔が生まれる6つの理由を整理したうえで、今日から手を付けられる対処法、つらさが和らぐ条件、一人で抱え込まないための相談先、そしてどうしても飼い続けられないときの責任ある選択肢までを解説します。すでに猫と暮らしている方は次の章から、これから迎えるか迷っている方は「これから猫を迎える人へ」の章から読んでいただいても構いません。

飼い続けられるか迷っている方へ|NPO法人ねこほーむ

東京都町田市で、さまざまな事情で飼えなくなった猫を生涯にわたってお預かりしています。ご相談は無料です。手放すと決める前の、気持ちの整理がついていない段階でも構いません。

お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。

「猫を飼うんじゃなかった」と思ってしまうのは、あなただけではありません

外を眺める猫の後ろ姿

猫との暮らしに疲れると、まず「こんなふうに思う自分はおかしいのではないか」と自分を責めてしまいがちです。迎える前から不安になる方も同じで、その気持ちを口に出しにくいのは変わりません。けれど、その感情には理由があり、理由がある以上は手の打ちようもあります。

まずは後悔がどんなときに強く出るのか、その言葉が本当は何を指しているのかを整理しておきましょう。ここが定まると、この先の対処法のどれが自分に必要なのかが見えてきます。

後悔の気持ちが強く出やすい時期

「飼うんじゃなかった」という気持ちは、いつも同じ強さで続いているわけではありません。次のような場面で、急に強く出てくることがあります。

  • 迎えて間もない時期:生活が一変し、猫の行動もまだ読めないため、負担がもっとも大きく感じられる
  • 自分の生活が変わったとき:引っ越し、転職、家族構成の変化などで、これまで回っていた世話が回らなくなる
  • 猫が体調を崩したとき:通院と看病が重なり、時間もお金も一気に削られる
  • 別れが近づいたとき:老いていく姿を見るつらさから、出会わなければよかったという思いがよぎる

同じ「後悔」でも、時期によって中身はまったく違います。迎えて間もない時期の負担は環境と仕組みで減らせますし、体調不良にともなう負担はお金と医療の相談で軽くできます。別れのつらさは、そもそも減らすものではなく受け止めていくものです。自分がいまどこにいるのかが分かれば、打つ手も変わってきます。

「飼うんじゃなかった」は、猫が嫌いになったという意味とは限りません

この言葉には、大きく分けて二つの意味が混ざっています。ひとつは日々の世話そのものが重いという意味、もうひとつは、失うのがつらいから出会わなければよかったという意味です。後者は、猫を大切に思っているからこそ出てくる言葉といえます。

ただ“好き”というだけの感情では説明のしようがない感覚が恋と似ているのだ。
猫たちのことを思うと、苦しくなるのだ。

これは猫と暮らす方が個人の投稿で書いていた一節です。言葉の選び方は違っても、似た感覚を抱えている人は少なくないはずです。もしあなたの「後悔」がこちらに近いのなら、それは暮らしを見直す話ではなく、気持ちの持っていき方の話になります。

一方で、掃除やにおい、費用、睡眠といった具体的な負担が理由になっている場合は、対処の余地があります。次の章で理由を分解したうえで、その先の章で一つずつ手を打っていきましょう。

「猫を飼うんじゃなかった」と感じる6つの理由

猫との暮らしで負担になりやすいのは、次の6つです。

  1. いつかお別れしなければいけない
  2. 部屋が傷つき、毛や猫砂が散らかる
  3. トイレのにおいが気になる
  4. 猫中心の生活で自分の時間がなくなる
  5. 想像以上にお金がかかる
  6. 病気やけがで医療費がかさむ

クロス・マーケティングが2024年10月4〜6日にインターネットで実施した調査(全国20〜69歳の男女・有効回答5,000)でも、ペットを飼うにあたって気にすることとして「ペットを置いて長時間留守にできない」「お金がかかる」が4割台、「ペットロス」「病気になってしまわないか」「掃除が大変」が3割台にのぼりました(出典:株式会社クロス・マーケティング「ペットに関する調査(2024年)意識編」)。ここから先で、それぞれを詳しく見ていきます。

いつかお別れしなければいけない

猫を看取るのは、たいてい飼い主のほうです。その日のことを想像しただけで胸が苦しくなり、「いっそ出会わなければよかった」という言葉になって出てくることがあります。

この気持ちは暮らしの工夫で消えるものではありませんが、いま目の前にある別れではなく、いつか来る別れを先取りして苦しんでいる状態だとは言えます。気持ちの落ち込みが長く続くようなら、猫のこととは切り離して相談できる窓口があります。後半の「一人で抱え込まないための相談先」で紹介します。

部屋が傷つき、毛や猫砂が散らかる

猫の飼い主が抱える悩みのアンケート結果

猫と暮らしていると、家は少しずつ形を変えていきます。

  • 壁紙や柱が爪とぎで傷つく
  • 抜け毛が衣類やソファ、カーテンに付着する
  • 猫砂が部屋中に散らばる
  • 食べたものを吐く
  • 猫グッズが増えてスペースが圧迫される

株式会社ぽぽねこが同社オンラインショップの会員を対象に行ったアンケートでは、猫の「行動」に関する悩みでもっとも多かったのが「壁や家具を爪で傷つけてしまう」で24%でした。暮らしで困ることとしては「外出、旅行がしづらい」34%、「抜け毛が多くて掃除が大変」30%が上位に並んでいます(出典:株式会社ぽぽねこ アンケート調査・2019年4月11日〜6月15日実施・回答数122人)。回答者が同社のオンラインショップ会員に限られる小規模な調査のため参考値ですが、爪とぎと抜け毛が上位に来るのは、猫と暮らす家に共通した実感でしょう。

爪とぎも換毛も猫の習性で、しつけで止められるものではありません。だからこそ、後半の対処法では「やめさせる」ではなく「散らからない仕組みにする」方向で手を打ちます。

なお賃貸にお住まいの場合、退去時の費用がどうなるかは契約書の特約の内容によって異なります。ペット可の物件でも敷金の償却や原状回復の範囲が個別に定められていることがあるため、不安があれば早めに契約書を確認しておくと安心です。

トイレのにおいが気になる

猫のトイレは毎日掃除していても、においが残ることがあります。猫砂や消臭剤を工夫しても、湿度が高い時期や換気がしにくい住環境では、においがこもりやすく感じられるでしょう。

来客時に気になったり、自分では慣れたつもりでもふとした瞬間に強く意識してしまったりと、小さな不満が毎日積み重なっていくのがこの項目の厄介なところです。ただし、においは対処の効果が出やすい項目でもあります。負担に感じているなら優先的に手を付ける価値があります。

猫中心の生活で自分の時間がなくなる

猫との生活で大変だと感じることの投稿

猫と暮らしていると、生活の中心が少しずつ猫に移っていきます。

  • 朝早く起こされる
  • ご飯をねだられる
  • 外に出せとせがまれる
  • 猫に合わせた温度調整が必要になる
  • 友人を呼びづらくなる
  • トイレや食事の世話を毎日欠かせない
  • 構わないとスネるのに、構いすぎると怒る

猫は手がかからない動物だという印象を持って迎える方もいますが、実際には日々の配慮と世話が要ります。そのうえ気ままなので、こちらの都合には合わせてくれません。この気ままさをかわいさとして受け止められるかどうかが、後悔するかしないかの分かれ目になることもあります。

疲れが重なって「猫ノイローゼ」になることもある

猫の世話に疲れたという投稿

世話の負担が長く続くと、「少し疲れた」では説明のつかない状態になることがあります。眠れない、食欲が出ない、集中できない、猫に会うのが気が重い。こうした変化が出てきたら、我慢の量が限界に近づいているサインだと考えてください。

つらいのは、この状態を人に話したときに「飼い主としての責任を持って」と返されてしまうことがある点です。それが本人をさらに追い込みます。猫のことと、あなた自身の心身のことは、切り離して相談してかまいません。相談先は後半の章にまとめました。

想像以上にお金がかかる

アニコム損害保険が同社のペット保険契約者に対して行った調査によると、猫1頭にかけた1年間の費用は合計178,418円でした。内訳は次のとおりです(2024年1月1日〜12月31日の1年間の支出をインターネットアンケートで集計・回答数1,966頭・どうぶつの平均年齢5.6歳)。

費目 1年間の金額
フード・おやつ 61,283円
ケガや病気の治療費 32,458円
ペット保険料 29,791円
光熱費(飼育に伴う追加分) 15,635円
ワクチン・健康診断等の予防費 13,977円
日用品 11,079円
サプリメント 4,959円
シャンプー・カット・トリミング料 3,435円
ペットホテル・ペットシッター 1,981円
防災用品 1,501円
首輪・リード 958円
交通費 799円
洋服 559円
合計 178,418円

(出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」1-33 1年間にかけた費用)

この調査の回答者はペット保険の契約者に限られており、合計にはペット保険料29,791円が含まれています。保険に入っていない場合はその分が下がる一方、治療費の自己負担は増えるという見方になります。あくまで一つの目安として捉えてください。

そして猫との暮らしは1年では終わりません。同じ白書によれば、猫の平均寿命は2023年度で14.5歳(混血猫14.9歳・日本猫15.3歳)です。年間の支出がこの水準で続くと考えると、生涯でかかる金額の見当がつきます。

病気やけがで医療費がかさむ

猫は体調不良を隠す動物のため、気づいたときには治療に時間もお金もかかる状態になっていることがあります。年齢が上がるほど負担が重くなるのも特徴です。

年齢帯 年間診療費の平均値 年間診療費の中央値
0〜4歳 39,102円 15,510円
5〜9歳 55,845円 21,450円
10歳以上 106,158円 46,606円

(出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」2-3-6 猫の年齢帯別の年間診療費・2023年度・対象269,938頭・通院と入院と手術を含む)

注目したいのは、平均値と中央値の開きです。10歳以上では平均106,158円に対して中央値は46,606円で、2倍以上の差があります。これは一部の高額な症例が平均を押し上げているという意味で、多くの飼い主が実際に負担しているのは中央値に近い金額だと読めます。とはいえ、その「一部」に自分が入る可能性は誰にでもあるため、備えの考え方は次の対処法の章で扱います。

負担別に見る、今日からできる対処法

窓辺でくつろぐ猫

後悔の理由が分かったら、負担の大きいものから順に手を入れていきます。すべてを一度に変える必要はありません。まずは自分がどれに当てはまるかを、次の表で見つけてください。

感じている負担 まず試すこと 効果の出方
毛・猫砂・においが気になる トイレの数と置き場所を見直す/猫砂を替える/掃除を家電に任せる 数日〜2週間で体感が変わりやすい
早朝に起こされて眠れない 就寝前に遊ぶ時間を作る/給餌のタイミングを変える/寝室を分ける 猫が新しいリズムに慣れるまで2週間〜1か月
費用が重い 費目ごとに内訳を出す/定期健診で重症化を防ぐ/保険の要否を考える 翌月から効くものと、数年かけて効くものがある
懐かない・関係がうまくいかない 距離を詰めずに同じ空間で過ごす/体調のサインがないか動物病院で相談する 数週間〜数か月。個体差が大きい

掃除とにおいの負担を減らす

掃除とにおいは、完璧を目指すほど苦しくなる項目です。減らす方向で仕組みを変えていきましょう。

  1. トイレの数と置き場所を見直す:猫の数より1つ多いのが目安といわれます。人の出入りが少なく、換気しやすい場所に置き直すだけでもにおいの体感は変わります
  2. 猫砂を替えてみる:飛び散りにくい大粒タイプ、固まりやすいタイプなど、性質が違います。うちの猫と自分の掃除の癖に合うものを探します
  3. 掃除を家電に任せる:ロボット掃除機や空気清浄機を入れると、毎日の手間そのものが減ります
  4. 爪とぎの置き場所を増やす:やめさせるのではなく、とぎたい場所の近くに専用の爪とぎを置いて誘導します

環境省が示す家庭動物の飼養基準でも、動物の種類や習性に応じた環境を整えることが飼い主の役割とされています(動物の愛護及び管理に関する法律第7条第1項)。猫の習性を変えるのではなく、習性に合わせて部屋の側を変えるほうが、結果的に手間は少なくなります。

生活リズムと睡眠の負担を減らす

夜中の運動会や早朝の要求鳴きは、猫の生活リズムが人と違うことから起きています。猫を人に合わせるのは難しいので、こちらの仕組みを変えるほうが早く効きます。

  • 就寝前にしっかり遊ぶ:狩りに近い遊びで満足させてから食事を出すと、そのまま休みに入りやすくなります
  • 早朝の給餌を自動給餌器に任せる:起こせばご飯が出る、という学習を切り離せます
  • 寝室を分ける:罪悪感を持つ方もいますが、飼い主が眠れないほうが暮らしは続きません
  • 日中に退屈させない:窓際に休める場所を作る、上下に動ける導線を作るなど、日中の運動量を確保します

睡眠は削られ続けると判断力にも影響します。ここは我慢する場所ではなく、優先して手を入れる場所です。

費用の負担を減らす

費用は、まず内訳を出すところから始めます。前掲のアニコム損害保険の調査(2024年調査)を自分の家計に当てはめると、手を付けられる費目と、手を付けにくい費目がはっきりします。

手を付けやすい費目 手を付けにくい費目
フード・おやつ(買い方の見直し)
日用品・猫砂(まとめ買い、詰め替え)
サプリメント(必要性を獣医師と確認)
洋服・グッズ
ケガや病気の治療費
ワクチン・健康診断等の予防費
光熱費(猫の体調に直結するため下げすぎない)

削減できる金額は家庭ごとに違うため、ここで「月◯円下がる」とは言えません。ただ、支出の内訳を書き出すだけでも、漠然とした不安がはっきりした数字に変わります。それだけでも気持ちの負担は軽くなります。

あわせて確認しておきたいのが、自治体の助成制度です。避妊去勢手術の費用の一部を助成している自治体があり、金額や条件は地域によって異なります。「お住まいの市区町村名+猫+不妊去勢+助成」で検索するか、自治体の動物愛護担当窓口に問い合わせてみてください。予防にお金をかけて重い病気を防ぐという考え方も、長い目で見れば費用対策になります。

猫との関係がうまくいかないと感じるときの見直し方

懐かない、攻撃してくるといった悩みは、猫の性格の問題として片づけられがちです。けれど背景に環境や体調の要因が隠れていることもあります。

  • 猫のペースを尊重する:追いかけず、同じ空間で静かに過ごす時間を増やします
  • 隠れ場所と高い場所を用意する:安心して身を隠せる場所があると、猫の側に余裕が生まれます
  • おやつと遊びで「良いこと」と結びつける:飼い主が近づくと良いことが起きる、という経験を積み重ねます
  • 急な変化がないか振り返る:引っ越し、家具の配置換え、来客、同居動物の増減などが引き金になることがあります

そして、粗相や攻撃といった行動が急に始まった場合は、体調の不調が背景にあることがあります。しつけの問題として抱え込む前に、まず動物病院で相談してください。原因が体にあるなら、対処の方向はまったく変わってきます。

つらさはいつ落ち着く?「時間」ではなく「減らせる負担」で決まります

「この状態はいつまで続くのか」は、この悩みを抱えたときにもっとも知りたいことだと思います。ただ、何か月で落ち着くと言い切れる調査データはありません。代わりに整理できるのは、待っていれば変わることと、動かないかぎり変わらないことの切り分けです。

猫の成長とともに自然に変わること

次のような負担は、時間の経過とともに軽くなっていくことがあります。

  • 子猫期の運動量:夜中に走り回る、噛みつく、何にでも飛びつくといった行動は、成猫になるにつれて落ち着いていく傾向があります
  • 発情期の鳴き声やマーキング:避妊去勢手術によって変化することがあります。猫の所有者は、みだりに繁殖して適正な飼養が難しくならないよう、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならないと定められています(動物の愛護及び管理に関する法律第37条第1項)
  • 新しい環境への慣れ:迎えて間もない時期の警戒や落ち着きのなさは、住まいと人に慣れるにつれて減っていきます

ただし、これらは「必ずこうなる」というものではなく、個体差があります。とくに行動の変化については、獣医師に相談しながら見ていくのが確実です。

動かないかぎり変わらないこと

一方で、待っていても変わらない負担もあります。

  • 掃除の頻度とにおい
  • 毎年かかる費用
  • 起こされる時間帯と睡眠
  • 住まいの広さや間取りとの相性

これらは猫が年を取っても自動的には軽くなりません。むしろ猫がシニアになると通院が増え、費用の負担は上がっていきます。つまり、いま感じている負担のうち、この列に入るものは「待つ」対象ではなく「手を入れる」対象です。前章の対処法の表に戻り、どれか一つでよいので今週中に着手してみてください。

対処しても気持ちが戻らないときに考えること

環境を変え、費用を見直し、睡眠を確保しても気持ちが戻らないときは、原因が別のところにある可能性があります。次の三つのどれかに当てはまらないか、確認してみてください。

  1. 猫の体調:問題行動が続いている、食欲や排泄に変化があるなど。動物病院で相談する
  2. あなた自身の心身:眠れない状態が続いている、気持ちの落ち込みが長引いている。猫のことと切り離して相談する
  3. 生活環境そのもの:住まい、仕事、家族の状況が変わり、そもそも飼育を続けられる条件が崩れている

三つ目に当てはまる場合は、対処法ではなく選択肢の話になります。この記事の後半で、相談先と、それでも難しいときの進め方を扱います。

それでも「猫と暮らしてよかった」と思える瞬間

こちらを見上げる灰色の猫

負担の話が続きましたが、猫と暮らすことで得られているものにも目を向けておきます。いま苦しい方にはすぐ実感できないかもしれませんが、後から振り返ったときに残るのはこちら側です。

猫のしぐさや存在に癒される

猫と暮らしてよかったことのアンケート結果

アニコム損害保険が猫のペット保険契約者に対して行った「nekokusei調査」では、「猫と暮らし始めて幸福度が高まったと感じるか」という質問に99.7%が「とても高まった/高まった」と回答しました。暮らしてよかったこととしては「癒される」が9割で最多です(出典:アニコム損害保険「nekokusei調査」2018年2月28日〜3月8日実施・有効回答4,036件)。

回答者がペット保険の契約者である点は割り引いて見る必要がありますが、それでもこの数字の高さは、負担と満足が同時に存在しうることを示しています。つらいと感じることと、よかったと思うことは、両立します。

生活のリズムが整う

同じ調査では、「家族との会話が増えた」が約半数、「家の中を片付けるようになった」が3割という結果も出ています。猫に合わせて生活すると、結果として自分の生活も規則的になっていく、という変化です。

決まった時間に起き、部屋を片付け、危ないものをしまう。世話のために身につけた習慣が、そのまま自分の暮らしを整えていることもあります。負担として数えていたものの一部は、見方を変えると生活の土台にもなっています。

自分が弱っているときにそばにいてくれる

体調を崩したときや落ち込んだときに、猫がいつもより近くにいると感じる飼い主がいます。猫が人の不調を理解しているかどうかは分かりませんが、いつもと違う様子に反応しているのは確かなようです。

そばに温かいものがいるという事実だけで気持ちが持ち直すことがありますし、言葉のやりとりがないぶん気を遣わずにいられるのも、猫との暮らしの特徴でしょう。

一人で抱え込まないための相談先

猫との暮らしで行き詰まったとき、相談先は悩みの種類によって変わります。どこに何を相談できるのかを整理しておきましょう。

悩みの内容 相談先 相談できること
猫の体調・行動が気になる かかりつけの動物病院 問題行動の背景に病気がないか、食事や環境の見直し
自分の気持ちが限界に近い 自治体の保健所・精神保健福祉センター、公的な相談窓口 猫のことと切り離した、自分自身の心身の相談
飼い続けられるか迷っている 動物愛護団体、生涯預かりを行うNPO法人、自治体の窓口 続ける方法、預ける場合の条件、手続きの進め方
近隣とのトラブルが心配 自治体の動物愛護担当窓口 飼育環境の助言、地域のルール

猫の行動や健康のことは動物病院へ

粗相、過剰な鳴き、攻撃、食欲の変化。こうした行動は、しつけの問題に見えて体の不調が背景にあることがあります。かかりつけの動物病院を持っておくと、小さな変化の段階で相談できます。

相談するときは、いつから・どのくらいの頻度で・どんな状況で起きているかをメモして持っていくと話が早く、動画があればなお伝わります。

自分の心が限界に近いと感じるときの相談先

眠れない日が続く、何をしても気持ちが晴れない、猫の顔を見るのがつらい。そうした状態が続いているなら、それは飼い主としての資質の話ではなく、あなた自身の健康の話です。

厚生労働省は、電話やSNSで相談できる窓口をまとめたページを公開しています(厚生労働省「まもろうよ こころ」)。お住まいの自治体の保健所や精神保健福祉センターでも相談を受け付けています。猫の話をしなくてもかまいません。まず自分のことを話してよい場所です。

飼い続けられるか迷うときの相談先

手放すかどうかを決める前の段階でも、相談できる先はあります。動物愛護団体や保護施設、猫の生涯預かりを行うNPO法人、自治体の動物愛護担当窓口などです。相談したからといって、その場で手放すことが決まるわけではありません。続ける方法を一緒に探せる場合もあります。

私たちNPO法人ねこほーむでも、飼えなくなった猫の生涯預かりについての相談を受け付けています。どうするか決めきれていない段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください(お預かりについて)。

猫を飼えなくなったときの選択肢を、あらかじめ整理しておきたい方は以下の記事も参考にしてください。

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続けるか手放すかを自分だけで決めきれないときは、預かる側の話を聞いてから決めても遅くはありません。

ねこほーむに相談してみる

それでも飼い続けられないときの、責任ある手放し方

キャリーケースの中から外を見る猫

環境を整え、相談もしたうえで、それでも飼い続けられないという結論に至ることがあります。手放すという判断そのものを責める必要はありません。大切なのは、その後の猫の暮らしが守られる形で進めることです。

「続ける」「手放す」を決めるための判断基準

感情のまま決めると後悔が残りやすいので、条件を書き出して確認してみてください。飼い主側の条件と猫側の条件は分けて考えます。

確認すること 続けられる方向 相談を検討する方向
住まい ペット飼育が認められており、当面転居の予定がない 転居先がペット不可、入院や施設入所が決まっている
健康・体力 毎日の世話を続けられる 自分の通院や介護が必要で、世話の時間が取れない
経済 年間の費用と急な医療費に対応できる 収入の減少などで、治療の選択を諦めざるを得ない
家族の状況 同居家族の理解がある 家族のアレルギーなど、健康上の理由がある
猫の年齢・持病 持病があっても通院を続けられる 介護が必要で、日中の対応ができない

右の列に多く当てはまるなら、それは飼い主としての愛情が足りないという話ではなく、条件が変わったという話です。飼い主には、できる限りその動物が命を終えるまで適切に飼養する終生飼養の努力義務が定められていますが(動物の愛護及び管理に関する法律第7条第4項)、自分で抱え込んで猫の暮らしが立ちゆかなくなるより、早めに相談して次の場所を整えるほうが、猫にとってよい結果になります。

手放すと決めたときに取れる選択肢

猫の次の暮らしを確保する方法は、大きく4つあります。それぞれ性格が違うので、自分の状況に合うものを選んでください。

選択肢 特徴 向いている状況 注意すること
生涯預かりを行うNPO法人・施設 新しい飼い主を探さず、施設で生涯世話をする。面会や近況報告に対応する団体もある 高齢猫、持病がある猫、人に慣れていない猫。里親が見つかりにくい場合 受け入れの条件があり、事前の検査や処置を求められることが多い
動物愛護団体への相談 保護と里親探しを行う。団体によって対応範囲が異なる まず何をすべきか分からない段階 どの団体にも定員があり、すぐに受け入れられるとは限らない
里親を探す(知人・SNS・里親募集サイト) 新しい家族に迎えてもらう。ペットのおうちやOMUSUBIなどのサイトがある 若く健康で、人に慣れている猫 相手の飼育環境を確認する。譲渡の条件を書面で決めておく
自治体の窓口 相談と助言を受けられる。引取りを求める場合は条件がある 地域の制度や譲渡会の情報を知りたい場合 引取りには法令上の条件があり、断られる場合がある(後述)

手放すと決めたときの預け先として

ねこほーむでは、面会や写真付きの近況報告にも対応しています。飼い主様のご希望に合わせて里親をお探しすることもできます。

お預かりの条件・費用・流れはお預かりについてをご覧ください。

動物愛護団体に引き取ってもらう場合の流れは、以下の記事で詳しく解説しています。

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やってはいけないこと|屋外に放すのは法律違反です

飼えなくなった猫を屋外に放す行為は「遺棄」にあたります。動物の愛護及び管理に関する法律第44条第3項は、愛護動物を遺棄した者を一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金に処すると定めています。同条第4項で、猫はこの「愛護動物」に含まれます(出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」)。

室内で暮らしてきた猫が外に出て生きていくのは、現実にはきわめて困難です。法律の問題である以前に、猫の命に直結します。どれほど行き詰まっていても、この選択だけは取らないでください。相談できる先は必ずあります。

手放す前に確認しておきたい手続きと準備

引き渡し先が決まったら、次の情報を整理しておくと引き継ぎがスムーズです。

  • 猫の基本情報:年齢、性別、避妊去勢の有無、体重
  • 健康状態:持病、服用中の薬、かかりつけの動物病院、直近の検査結果
  • 性格と生活:人や他の猫との相性、トイレの砂の種類、食べているフード、苦手なこと
  • これまでの記録:ワクチン接種証明書、検査の記録

また、引き渡し先によっては事前の処置を求められます。ねこほーむの場合は、混合ワクチン、猫ウイルス検査、血液検査、避妊去勢手術、ノミ取りと爪切りをお願いしています。ご自身で動物病院に連れて行くのが難しい場合は、当ホームで代行することも可能です(費用は実費)。

費用や条件は引き渡し先によって大きく異なります。複数の団体に問い合わせて、条件と流れを比べたうえで決めてください。家族がいる場合は、決める前に必ず話し合っておきましょう。

これから猫を迎える人へ|後悔しやすい傾向と迎える前の準備

草の上に座る猫

ここからは、これから猫を迎えるか迷っている方に向けた内容です。すでに猫と暮らしている方にとっても、いま感じている負担がどこから来ているのかを確かめる材料になります。

猫との暮らしが負担になりやすい人の傾向

次の項目に当てはまる場合、猫との暮らしで負担を感じやすくなります。ただし、当てはまるから飼えないという話ではなく、迎える前に対策を決めておく必要があるという意味です。

傾向 何が起きるか 対策できるか
家をきれいに保ちたい 抜け毛、吐き戻し、爪とぎの跡が日常的なストレスになる 掃除の仕組み化である程度は減らせるが、ゼロにはならない
出張や旅行が多い 留守中の世話を任せる先が毎回必要になる ペットシッターやホテルで対応できるが、費用と猫の負担が増える
15年先の生活が見通せない 途中で飼えなくなる可能性がある 飼えなくなったときの引き取り先を先に決めておけば備えになる
アレルギーがある くしゃみ、鼻水、目の充血などが日常的に出る 迎える前に医療機関で確認する。健康に直結するため慎重に
猫の気ままさを受け入れにくい 言うことを聞かない、構いすぎると離れるといった行動がストレスになる 猫の習性を知ることで受け止め方は変わる

猫アレルギーの症状に関するアンケート結果

とくにアレルギーについては、我慢して暮らせるものではありません。迎える前に医療機関で確認しておいてください(参考:ねこのきもち)。

迎える前にそろえておくもの

最低限そろえておきたいのは次のものです。

  • トイレ(大きめのもの)と猫砂
  • フードと食器(フード用・水用)
  • キャリーバッグ
  • 寝床(段ボールと毛布でも代用できます)
  • 爪とぎ

そのうえで、おもちゃ、猫用ブラシ、キャットタワーなどがあると暮らしやすくなります。予算に余裕があれば、掃除の負担を下げる家電を先に用意しておくのも有効です。

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迎える前に決めておきたいこと

物より先に決めておきたいのが、次の3点です。

  1. 家族全員の同意を取る:世話の分担と、アレルギーの有無を含めて確認します
  2. 年間費用の見通しを立てる:前掲のアニコム損害保険の調査(2024年調査)では猫1頭あたり年間178,418円でした。10年以上続く支出として考えます
  3. 飼えなくなったときの引き取り先を先に考えておく:入院、転居、家族の事情など、誰にでも起こりうることです

3つ目は迎える前に考えたくないことかもしれません。けれど、先に決めておくことが、いざというときに猫を守ります。入院も転居も前ぶれなく決まることがあり、そうなってから探し始めると、選べる先はどうしても限られてしまいます。

「猫を飼うんじゃなかった」に関するよくある質問

猫を飼って後悔しているのは自分だけですか?

いいえ、珍しいことではありません。後悔の中身は、日々の世話の重さから来るものと、別れのつらさから来るものに分かれます。どちらなのかが分かると、対処の方向が決まります。世話の負担であれば、掃除、睡眠、費用のどれから手を付けるかを決めるところから始めてください。

猫の世話に疲れたときはどうすればいいですか?

まず、完璧を目指すのをやめてください。そのうえで、負担の種類を一つに絞って手を入れます。掃除を家電に任せる、寝室を分ける、トイレの数を増やすといった対処は、数日から2週間で体感が変わることがあります。距離を取る時間を作るのも有効です。それでも気持ちが戻らないときは、動物病院か公的な相談窓口に頼ってください。

猫を飼うのをやめたいとき、どこに相談できますか?

動物愛護団体、猫の生涯預かりを行うNPO法人、お住まいの自治体の動物愛護担当窓口が相談先になります。相談した時点で手放すことが決まるわけではないので、迷っている段階で連絡してかまいません。なお、飼えなくなった猫を屋外に放すのは遺棄にあたり、動物の愛護及び管理に関する法律第44条第3項により一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金の対象です。

猫の飼育費用はどのくらい減らせますか?

減らせる金額は家庭ごとに違うため、一律の目安はありません。ただ、費目ごとに見ると手を付けやすいものと付けにくいものがはっきり分かれます。フード、日用品、サプリメント、グッズは買い方を変える余地があります。一方、治療費と予防費は削ると後で高くつくことがあるため、下げる対象にはしないでください。アニコム損害保険の2024年調査による内訳を参考に、自分の家計に当てはめてみるのが早道です。

保健所に引き取ってもらうことはできますか?

できる場合もありますが、条件があります。動物の愛護及び管理に関する法律第35条第1項は、都道府県等は所有者から犬猫の引取りを求められたときは引き取らなければならないと定める一方、環境省令で定める場合には拒否できるとしています。その具体的な場合は施行規則第21条の2に列挙されており、「あらかじめ引取りを求める犬又は猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合」「犬又は猫の老齢又は疾病を理由として引取りを求められた場合」「引取りを求める犬又は猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合」などが含まれます(出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則」第21条の2)。

つまり、まず自分で引き取り先を探す取組が前提とされているということです。順序としては、動物愛護団体や生涯預かりを行う施設への相談を先に進めるのが現実的でしょう。

まとめ

本記事では、「猫を飼うんじゃなかった」と感じたときの理由の整理から、今日からできる対処法、相談先、責任ある選択肢までを解説しました。押さえておきたいのは次の5点です。

  • 後悔の中身は「日々の負担」と「別れのつらさ」に分かれ、対処の方向が違う
  • 掃除、睡眠、費用は待っても変わらない。仕組みを変えると数日から数週間で体感が変わる
  • 猫の年間費用は178,418円という調査結果がある(アニコム損害保険・2024年調査)。内訳を書き出すと手を付けられる費目が見える
  • 気持ちが限界に近いときは、猫のことと切り離して相談してよい
  • 飼えなくなった猫を屋外に放すのは遺棄にあたり、法律で罰則が定められている

いまのあなたに近いのは、次のどれでしょうか。

  • 負担を減らしたい:対処法の表に戻り、今週中に一つだけ着手する
  • 誰かに聞いてほしい:動物病院か公的な相談窓口に連絡する
  • 飼い続けられるか迷っている:手放すと決める前に、相談できる先に状況を話す
  • これから迎えるか迷っている:年間費用の見通しと、飼えなくなったときの引き取り先を先に決めておく

陽の当たる場所で休む猫

猫との暮らしをどう続けるか、あるいはどう手放すかに正解はありません。ただ、一人で抱え込んだまま動けなくなることだけは避けてください。NPO法人ねこほーむは、飼い主様と猫の双方にとって何がよいかを一緒に考える立場でご相談を承っています。

ひとりで抱え込んだまま動けなくならないために

NPO法人ねこほーむは、東京都町田市で猫の生涯預かりを行っています。ご相談は無料です。いま決めきれていない段階でも、状況をうかがったうえでできることをご案内します。

お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。

ねこほーむ編集部より

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。