2024.04.30
このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
猫の睡眠時間や習慣は人間のそれと異なり、非常に特徴的です。それを踏まえてうえで睡眠環境を作ってあげられば、猫に対してより健康的な暮らしを与えられるようになるでしょう。
そこで本記事では猫の睡眠時間や習慣の特徴、よりよい睡眠環境に作り方などを解説します。ぜひご参考にしてください。
まずは、あまり知られていない猫の睡眠時間や習慣の基礎知識を理解しましょう。ポイントは以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫の睡眠時間は、1日12〜16時間。つまり1日の半分から2/3程度を睡眠に費やしています。「寝る子」と呼ばれるとおり、相当に眠るのが好きな生き物だといえるでしょう。
ただし、人間同様に常にぐっすり眠っているわけではありません。たいはんは「うとうと」に近いレム睡眠であり、深い眠りにあたるノンレム睡眠はごくわずか。
つまり「寝る」というよりも、「1日の大半をうとうと過ごしている」と言えるでしょう。
また人間と異なり、下図のように細切れに睡眠を取る特徴もあります。
(引用:子猫の部屋-猫の睡眠・完全ガイド~眠りのサイクルを理解して安眠妨害を防ごう!)
なお成長期ないし老齢期の猫は、さらによく寝るとされています。12〜16時間ではなく、16〜20時間ほど眠ることが多いようす。
成長期の猫がよく眠るのは、成長ホルモンの分泌をうながすためだと言われています。
老齢期の猫がよく眠るのは、単純な体力の低下が原因として考えられるでしょう。
いずれにしても、それだけの睡眠時間は猫にとって必要なものです。眠るのを邪魔せず、たっぷりと寝られるようにするのがよいでしょう。
猫がよく寝る理由は、ひとえに肉食動物だからです。
肉食である限り、狩りをして他の動物を捕食しなければいけません。
そしてその捕食活動には心身に大きな負担がかかります。つまり狩りの瞬間に最高のパフォーマンスを発揮するために、普段は寝ておく必要があるわけですね。
猫は狩りをする際、以下のように集中し、また爆発的な瞬発力を発揮します。
これだけの集中と運動をおこなうため、十分な睡眠を確保しているわけです。
猫は、一般的に雨の日はさらによく寝ると呼ばれます。湿気で毛皮が重くなり動きづらくなるようです。また雨に打たれたがらず、じっとするため、やはり寝るくらいしか無くなってくるのでしょう。
またフラワー動物病院によれば、「雨の日は気圧が低くなり、猫の体調が崩れやすくなる」とのこと。
いわゆる気象病というものです。そういう背景も踏まえれば、やはり雨の日は眠ってゆっくりしたくなるのでしょう。
一般的に、「猫は夜行性」と認識されています。
しかし厳密にはこれは誤りで、正しくは薄明薄暮性を有しています。これは、早朝と日の出直前に、もっとも活発に活動する性質のこと。
なぜ薄明薄暮性を有しているかというと、安全に狩りができるからです。夜行性や昼行性の天敵たちの活性が落ち、主な獲物である小動物や昆虫類は活発に動き始めます。
また光や音の刺激が少なく、ストレス要因もさほどありません。こういった背景から、薄明薄暮性を有するようになったと言われています。
なお昼行性を有する人間と、薄明薄暮性を有する猫が共存するためにはある程度の工夫が必要。その点に関しては以下で解説しているので参考にしてください。
関連記事▶︎猫は夜行性の生き物?人間との生活リズムを合わせる方法
なお、猫の寝る姿勢によって、以下のように睡眠・リラックスの度合いが異なります。
【アンモナイトのように丸くなって眠っている】
→夢も見ないほど深い眠りについている
【お腹を上に向けて眠っている】
→まったく警戒することなく、もっとも高い水準でリラックスしている
【横になって眠っている】
→深い眠りと浅い眠りを繰り返し、リラックスしている
【前足をしまい、箱のようにして目を閉じている】
→うとうとしているが、すぐに立って活動できるようにスタンバイしている
【普通に座って、目を閉じている】
→実際にはほぼ眠っておらず、いつでも活動できるようにスタンバイしている
アンモナイトのように丸くなっているときは、多くの場合熟睡しています。それ以外は、朝い眠りであることが大半で、いつでも動き出せるような準備をしています。
アンモナイトの状態になっているのは、貴重な熟睡の機会。できるだけ、邪魔しないようにしましょう。
上記では、猫の睡眠時間や習慣に関して解説しました。そして大切なのは、これを踏まえたうえで、猫の睡眠のクオリティが高まるよう、睡眠環境を整えること。
人間同様に、猫にとって睡眠不足は重要な問題だと言われています(参考文献:一般社団法人どうぶつ予防医療協会)。それを避けるためにも睡眠のクオリティを確保するのは大切。
具体的には以下のような工夫が有効です。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、ベストな室温と湿度が保たれるように意識しましょう。
猫にとってもっとも好ましい室温は20~28度、湿度は40〜60%とされています。
獣医師やブリーダーによって微妙な意見の違いがありますが、基本的にこの数値以内なら大きな問題はありません。
まずは上記の室温と湿度で保たれるようにしましょう。基本的にはエアコンを回し、必要に応じて加湿器や除湿器を使うことになりそうです。
電気代はかかってしまいますが、なるべくベストな室温と湿度が保たれるように工夫しましょう。
また、体型や年齢に合ったベッドを用意しましょう。ぴったりのサイズの寝床があれば、やはり睡眠の質も向上します。
近年では、眠りやすさに工夫を凝らしたベッドが多数販売されています。こういったものを用意して、寝床とするのがよいでしょう。
(引用:Amazon)
これは「グッドドリーム」という猫用ベッドです。頂点部に座りやすいくぼみ、やわらかな素材が特徴。価格も1,781円と決して高いものではありません。
こういったものを探して、寝床として与えるとよいでしょう。ただしサイズが合っていないとむしろ寝苦しくなるので、購入前に大きさを確認するようにしましょう。
また、暖かくて、暗くて、狭い場所を作ってやるのがよいでしょう。
一般的に猫は、寒さと天敵による襲撃を徹底して避けたがる傾向にあります。風が当たらない軒下や、エンジンの暖かさが伝わる自動車の下を好むにはこういった習性が関係するわけですね。
したがって家のなかでも、暖かい、暗い、狭い場所を用意するのが理想的です。
たとえば上記の猫用ベッドを押し入れや部屋の隅に配置するとよいでしょう。さらに光量を調整すれば、かなり理想に近い環境が完成します。
とはいえ、あまりにも暗いと人間の生活に支障があるので、そのあたりの兼ね合いもよく考えるようにしましょう。
また、騒音のない環境を整えるのも大切です。
人間同様に、猫はうるさい環境ではゆっくりと眠れません。
足音くらいなら問題ないでしょうが、子供の声やテレビの音声などが行き交っている状態では安眠できないでしょう。
したがって、リビングなどではなく、使用頻度の低い部屋に寝床を作るのが有効。
また以下のような「ダンボールハウス」を作り、雑音をシャットアウトするのも有効です。
人間と共生し、また眠るタイミングが異なる以上、どうしても騒音は生じるものです。上記のような方法で、できるだけ音が眠りを妨げないよう、配慮するのがよいでしょう。
上述のとおり、猫は1日16時間ほどを睡眠に費やします。
「では残りのたった8時間で何をしているのか」と思った人もいるのではないでしょうか?
猫は限られた覚醒時間を、以下に費やしています。
起きている間も、周囲を見回ったり、体をメンテナンスしたり、「生きるため」に努力している点が目立ちます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
起きている間の相当な時間を、周囲に異常がないかを確かめる観察に費やしています。
窓の外を眺めたり、家のなかを見て回ったりする行動がこれに該当します。匂いを嗅いでよその猫の匂いがついていないか確認したり、マーキングしたりといった行為がともなうことも。
猫はなわばり意識が非常に強い生き物であり、そこに知らない猫が立ち入るのをひどく警戒しています。そういう存在がいないか、よく見ているわけですね。
そして実際にテリトリーに立ち入っている猫などがいれば激しく威嚇します。
また、猫は十分な観察ができないと強い不安にかられてしまうもの。その時間を邪魔せず、じっくりと見回りができるように配慮しましょう。
毛並みを舐めて整えるグルーミングにも余念がありません。
しきりに、前後の足、お腹、背中、尻尾、顔とくまなく舐めるので、かなりの時間がかかります。
この行動の目的は、体をきれいにすること。そして気化熱を発生させて体温を下げる、という意味合いもあります。
ただ、「ストレスや不安を感じ、気持ちを落ち着かせるためにグルーミングする」ケースも(愛着行動)。あまりにも頻繁に体を舐めるなら、ストレス要因を取り除くための工夫が必要となります。
長時間ではありませんが、遊びやスキンシップにも一定の時間を割いています。
おもちゃで遊んだり、飼い主に甘えたり、同居する猫とじゃれあったりします。
すこし遊んで、横になり、そのまま寝るというのは、私たちねこほーむにいる猫たちにもよく見られるものです。
遊びやスキンシップとはいえ、猫にとっては重要な時間。遊ぶのは狩りの練習になり、スキンシップはストレスや不安を解消し、仲間がいることを再確認するための重要な「儀式」となります。
眠るとは言わないまでも、横になってくつろぐ時間もあります。横になったり、箱座りしたりしてたたずむわけですね。
とはいえ何も考えていないわけでもなく、体力を温存しながら周囲を観察していることもあります。
もちろん、食事をする時間もあります。ただし猫は基本的に早食いなので、かける数分程度です。
また、自宅の周囲をパトロールすることにもある程度の時間を割いています。
上述のとおり猫はなわばり意識が非常に強く、猫が自分のテリトリーに入り込むことを決して許しません。つまり侵入者がいないか、周囲数百メートルほどを見て回っています。
なお、やはり猫らしく身軽であり、以下のように側溝など人目につかないところを探索しています。
ただし飼い猫の場合、室外に出る習慣を持たせるのはおすすめしません。なるべく完全室内飼育することを推奨します。
関連記事▶︎猫は外飼いしてもよい? 完全室内飼育のメリットとは?
本記事では猫の睡眠時間などに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫は人間同様に夢を見ることが証明されています。
仏リヨン大学によれば、レム睡眠中に夢を見ているとのこと。また、その内容は危険な状況から脱出したり、真剣な狩りに取り組んだりするものとされています(参考文献:マイナビニュース)
過酷な環境を生きるため、夢のなかでもトレーニングしているのかもしれません。
また夢に起因する寝言を言うこともわかっています。
このように寝言を言うのは、猫のありふれた行動のひとつです。
猫の睡眠不足を解消するには以下の取り組みが有効です。いくつか試せば、十分な改善が見られるでしょう。
一部は先ほどと重複しますが、こういったことを組み合わせて、改善が見られないか試してみましょう。
また、以下のように猫用の睡眠導入・不安解消用ミュージックも存在します。
あくまでも猫用の音楽で、人間にとって最適ではありません。一緒に寝るときは流さないようにしましょう。
残念ながら、「よく寝る猫は、そうでない猫として長生きする」ことを裏付けるデータは確認できません。したがって積極的に長時間の睡眠を促す、といった工夫は有効ではありません。
とはいえ、十分な睡眠時間の確保が猫の健康状態を高める点は、多くの獣医師によって言及されています。したがって、睡眠不足にならないような努力は有効といえるでしょう。
ただし、あまりにも長い時間眠りすぎるのは、むしろ不健康だとされています。睡眠時間の長さが気になったら、獣医師に相談するなどするとよいでしょう。
本記事では猫の睡眠時間に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
「寝る子」と言われるだけあり、猫は1日の半分以上を睡眠に費やします。
それだけに、睡眠環境を整えるのは重要です。寝心地が悪いところで長時間眠っていては、猫の健康に大きな悪影響が生じるかもしれません。
そういったことを防ぎ、より健康的な生活を支えるためには、猫の睡眠環境を整える必要があるでしょう。
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