2024.08.29
このように思っている人は多いのではないでしょうか?
たしかに猫がくしゃみをするのは、不思議に感じられるかもしれません。しかしそれにも意味があり、また何らかの疾患を示唆している可能性もあります。
そこで本記事では以下の点を解説します。
くしゃみが止まらなくなるような疾患を予防する方法
本記事を読めば、猫のくしゃみに関する重要な情報のほとんどをおさえられます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫がくしゃみをする理由は非常にシンプルで、以下ふたつのいずれかです。
それ以外のくしゃみは、猫風邪をはじめとした疾患が疑われます。
生理現象としての、普通のくしゃみが考えられます。 人間や猫のみならず、鼻を有する動物の多くは、くしゃみをおこないます。
たとえば犬や像、一部のクラゲなどにも見られるもので、特別なものではありません。猫にも同様のことがいえます。
たまにくしゃみしている程度なら、単なる生理現象であると判断して問題ありません。しかし、あまりにも頻回である、ほかにも体調が悪そうな仕草を見せるなら、何らかの疾患であることを疑いましょう。
猫のくしゃみを引き起こす理由として、鼻腔内へのゴミや虫の侵入が挙げられます。
人間も、鼻に何かが入ってきたら、それを排出しようと、くしゃみをします。それと同様のことが起こるわけですね。
ただし猫の鼻呼吸は静かであり、くしゃみをするほど大きなゴミや虫が入り込むことはほとんどありません。かなりレアなケースだといえるでしょう。
それよりもウイルスなど、目に見えない異物を排出するためのくしゃみのほうが多いです。
生理現象や遺物の侵入以外では、さまざまな感染症によるくしゃみの誘発が考えられます。
感染症 猫風邪/人間同様に風邪を発症 猫カリシウイルス感染症 猫ヘルペスウイルス感染症 クリプトコッカス症
感染症の部類では、まず猫風邪が考えられます。 そもそも人間同様に、猫もを風邪を引きます。
風邪とはつまり、各種細菌やウイルスの感染症にすぎません。それはほとんどの動物が感染しうるものであり、猫も例外ではありません。
猫風邪の場合、鼻水や鼻詰まりがともなったうえで、頻繁にくしゃみをするようになります。このようすを実際に見たことがある人は多いでしょう。
しかし軽度の風邪であれば、動物病院で診察を受け、指示どおり安静にしておけば、近いうちに回復します。
なお、猫風邪を引いている場合、口内炎で痛い思いをしているかもしれません。その場合はウェットフードを与えるなどして、配慮するとよいでしょう。
猫カリシウイルス感染症は、猫がかかりやすい疾患のひとつです。
一般にくしゃみのほか、鼻水や口内炎、口内腫瘍などをもたらします。また発熱や肺炎などを発症することも。
基本的には、猫風邪より少し症状が重いものと考えるとよいでしょう。
ただし治療はさほどむずかしいものではなく、動物病院できちんとした診察を受ければ、まず問題ありません。
心配であれば、以下動画で、獣医師の見解を聞いておくとよいでしょう。
猫ヘルペスウイルス感染症とは、気管支を中心とした不調をもたらす疾患です。
具体的には、「上気道」という部分を荒らし、非常に頻繁なくしゃみや鼻水、目やに、時として発熱を引き起こします。
さらに角膜炎など、二次的な疾患を引き起こす場合も。
とはいえ症状自体はさほど重くなく、過度に心配する必要はありません。
ただし注意したのは、猫ヘルペスウイルスが、一度感染すると、「体内で潜伏し続ける」という習性を持っている点です。したがって、その後は常に再発のリスクを抱えることになります。
そのような事態を避けるため、毎年きちんと混合ワクチンを摂取するなどの努力が必要となるでしょう。
クリプトコッカス症は鳥の糞や、汚染された土壌を媒介として感染する、主要な感染症のひとつです。
上記感染症と異なり、やや症状が重く、また根治や寛解が困難である点に留意してください。
その症状として以下が挙げられます。
さらにウイルスが目の周りに回った場合、ブドウ膜炎や網膜剥離など、重大な二次疾患に発展することも。
またクリプトコッカス症を予防するワクチンは、まだ試験運用されている段階で、一般には接種できません。
したがって、そもそも感染しないよう、完全室内飼育を徹底するなどの工夫が必要となります。
関連記事▶︎猫は外飼いしてもよい? 完全室内飼育のメリットとは?
感染症以外にも、猫のくしゃみの原因となる病気が多数あります。主だったところで以下が挙げられるでしょう。
感染症ほど危険な病気はありません。とはいえ放置を続けていると、二次的に重大な疾患につながるケースがあります。
明らかに異常なくしゃみを確認したら、上記疾患の可能性をうたがい、早期対応できるようにしましょう。
まず、アレルギー性鼻炎が考えられます。これは人間の鼻炎同様のメカニズムで起こるものです。
主にハウスダストや花粉などの「アレルゲン」を吸入したことで起こります。
この場合、くしゃみだけでなく鼻水がともなうケースが多いです。花粉の場合は皮膚の荒れが認められる場合も。
アレルギー性鼻炎に関しては、根本的治療がややむずかしい側面があります。そのため、空気清浄機を導入する、完全室内飼育をおこなうなどして、少しでもアレルゲンを遠ざけるのが有効なアプローチとなるでしょう。
人間同様に、蓄膿症を発症し、くしゃみを連発することがあります。
蓄膿症とは、副鼻腔(下図参照)に炎症が起こる疾患を示します。
出典:子猫のへや
猫と人間の鼻の作りはよく似ており、同様の疾患を発症することはままあるでしょう。
また蓄膿症は、比較的入り組んだ副鼻腔で生じるものであり、治療がむずかしく、完治まで時間がかかることもあります。
また、歯周病が原因で、くしゃみが出るようになっていることも。
歯髄や歯茎の炎症が大きくなると鼻腔あたりを刺激するようになります。それによって、くしゃみが誘発されるわけですね。
歯周病となる原因は、単純にデンタルケアの不足と考えられます。ただし猫エイズや猫白血病などに罹患している可能性も、多少は考えられるでしょう。
また高血圧によって、くしゃみが出るようになることもあります。これは、高い血圧によって鼻腔周辺の血圧が千切れて出血することに由来します。
高血圧の治療法は、人間同様の、診察と投薬になるでしょう。いわゆる「降圧剤」などを投与して、血圧を下げるのが一般的です。
また食事療法や体重コントロールなどを地道に続けていけば、血圧の平均値を下げるられます。
猫のくしゃみを予防するためには、以下のような取り組みが有効です。
これらの取り組みにより、くしゃみを予防できます。ただ、どちらかというと、「くしゃみがともなうような、重篤な感染症や病気になるのを防ぐ」ことのほうが大切です。
その点を踏まえた雨えで、それぞれの取り組みに関して学んでいきましょう。
まず、部屋の空気を清潔にするのが有効になります。感染源となるウイルスがいなければ、感染症や病気になる可能性を大幅に下げることが可能。
出典:SHARP
このような一般的な空気清浄機を設置すれば、一定の予防効果が期待できます。近年か加湿機能が付属したものもあり、そちらを導入できれば、さらに感染リスクを低減できるでしょう。
また、ブラッシングをするのも有効です。こまめに体にブラシを当てることにより、ゴミや細菌を取り除けます。
そうすると、くしゃみがともなうようなウイルスを遠ざけられるので、結果として予防策として役立つでしょう。
ただしブラッシングに関しては、それを極端に嫌う猫もいます。その場合、無理にブラシを当てるのは避けましょう。
またブラッシングではなく、トリマーのもとでトリミングやシャンプーを受けるのも、ひとつの予防策となりそうです。
また定期的に健康診断を受けるのは、かなり重要な取り組みとなります。
どれだけ予防していても、何らかの疾患や感染症を発症するリスクは否定できません。また、それに気づくのも困難です。
しかし動物病院で健康診断を受ければ、初期の段階で感染に気づき、適切に対策することが可能。
場合によっては早期発見で命が救われることもあります。
健康診断は、動物病院で受けることが可能。EPARKなどを使って、近くの病院を探してみましょう。
加湿器で湿度を高めることでも、予防策になります。これも、空気清浄機同様、一般的なものを利用して問題ありません。
たとえばこのような加湿器なら、6,000円程度で入手可能です。
また人間も風邪や感染症を予防できるので、加湿器を導入するメリットは大きいといえるでしょう。
ただし猫のなかには、湿度が高い状態を嫌う傾向にあります。
もともと寒いところに適用できるように進化した長毛類の猫にとって、行きすぎた過失はストレスになるかもしれません。
このあたりは猫の性格や猫種をよく考えたうえで、加湿器を導入するか否か考えるのがよいでしょう。
感染症などを防ぐためには、ワクチンを接種するのが大切です。最低でも年に1回は受けるようにしましょう。
これを受けるだけで、たいていの感染症に耐性をつけることが可能です。
ただしワクチンに関しては、3種から7種の混合パターンがあることに注意してください。
3種混合の場合、ヘルペス、カリシ、パルボなど、主要なウイルス感染を予防することが可能。それ以上になると、白血病、免疫ウイルスにも耐性をつけられるようになります。
費用は、1回あたり3,000円から6,000円と考えてまず問題ありません。
仮に多頭飼育の状態にある場合、各種感染症が、世帯内で蔓延しないように注意しましょう。
感染した猫と、そうでない猫を別部屋で住まわせるなどの工夫が必要になります。また、使用する容器やベッドなども別にするのがよいでしょう。
ただし非常に近い距離感で暮らしているであろう多頭飼育において、完全に感染を予防するのは困難です。
どれか一頭が発症したら、どれほど注意しても、更なる感染が発生するのは、当たり前のリスクとして捉えて準備しておくとよいでしょう。
本記事では、猫のくしゃみと、その原因となる感染症などに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
毎日ほどくしゃみをしているのは、通常考えられません。
通常なら数日に1回、くしゃみのようすが見らえるか見れないからです。
後出しますが、頻回なくしゃみは何らかの疾患を示唆している可能性があることを踏まえておきましょう。
猫も、花粉症を発症するケースがあります。
スギ、ブタクサ、ヒノキ、イネなど、さまざまな花粉に対してアレルギー反応を示す可能性があります。このあたりは人間の花粉症と大差はありません。
症状も人間同様で、くしゃみをはじめ、鼻水、目の痒みなどが生じます。ただ人間以上に、皮膚疾患が起こりやすいため、その点には注意してください。
また目の痒みに関してですが、猫は人間ほど器用に、目を「かく」ことができません。
したがって痒みを感じていることが、大きなストレスにつながることもあります。
数回連続でくしゃみをする程度なら、何ら問題はありません。
例えば異物が入ったとしたら、それが排出されるまで複数回くしゃみするのは、きわめて自然な生理的反応です。
しかしそれが十何回も続いたり、あるいは短時間で何十回何百回も繰り返したりしているなら、何らかの疾患が考えられるでしょう。
風邪やアレルギー性鼻炎で、それほどの頻回なくしゃみがあるとは考えにくいです。
したがって異常な回数のくしゃみが確認されたら、念のため動物病院で診察を受けるのを推奨します。
結論からいうと、わずかながら可能性はあります。たとえば「パスツレラ症」や「トキソプラズマ症」などは、ごくまれにヒト・ネコ間で感染するケースがあります。しかし近年はほとんど感染例が聞かれません。
このように生物としての種類を超えて感染しうる疾患は「ズーノーシス」と呼ばれます。
とはいえ、ヒト同士で蔓延する一般的な感染症とは異なり、猫の風邪をもらうなどのケースはまずないと考えて問題ありません。
最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
鼻を有する生物の大半は、生物機能として「くしゃみ」をします。それは猫も例外ではありません。
すなわち猫がくしゃみをすることは、何ら不思議ではありません。
しかしそれがあまりにも頻回だったり、何回も連続していたりすると、何らかの疾患が疑われます。
なかには、クリプトコッカス症など、それなりに症状の重い感染症に感染している可能性もあるでしょう。
そうならないように、普段からきちんと予防するのが大切になります。
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