愛猫の死に耐えられない「ペットロス」とは?心を落ち着けて立ち直る方法

  •  「愛猫が亡くなってから毎日が辛い」
  •  「この悲しみはいつまで続くのか?」
  •  「もう立ち直れないかもしれない」

このように感じている人は多いのではないでしょうか?

家族の一員だった猫との別れは、想像以上にショックをもたらします。

この状態は「ペットロス」と呼ばれます。

本記事では、ペットロスの症状や対処法、事前にできる心の準備について詳しく解説します。

愛猫を失った悲しみと向き合っている方は、ぜひ参考にしてください。

愛猫の死に耐えられない「ペットロス」とは?

ペットロスとは、家族同然のペットを失ったときに感じる深い悲しみや喪失感を指します。

別れを経験した飼い主の多くに見られるもので、珍しいものではありません。

ここでは、以下の点に関して解説します。

  • ペットロスによる精神的な変化
  • ペットロスによる身体的な変化
  • 症状が続く期間と脱出期の兆候

それぞれの症状を理解し、自身の状況を客観的に理解しましょう。

ペットロスによる精神的な変化

ペットロスは、主に精神的な変化をもたらします。

もっとも顕著に現れるのが深い悲しみや喪失感です。また、罪悪感や怒り、無気力や孤独感をもたらすケースも。

また、涙が止まらなくなったり、何度も猫の夢を見たりすることもあります。

さらに深いペットロスでは、幻覚や幻聴を経験することも。

具体的には、いないはずの猫の姿を見たり鳴き声を聞いたりします。

これは愛着の深さがゆえの経験であり、疾患による幻覚や幻聴ほど危険なものではありません。もちろん、一般的な悲しみや喪失感もあって当然の感情の動きです。

とはいえ、精神的な落ち込みや罪悪感をはじめとする感情により、本人が苦しむのであれば、十分なケアが必要です。

ペットロスによる身体的な変化

ペットロスがより深刻なものであれば、さまざまな身体症状も現れます。体調を崩す人も少なくありません。

もっとも多いのが睡眠障害です。寝付けない、夜中に目が覚める、悪夢を見るなどして、質の良い睡眠がとれなくなります。さらに睡眠不足から連鎖して、細かい体調の不良を訴える人も少なくありません。

身体的症状の詳細に関しては以下の表を参考にしてください。

症状の種類 具体的な症状
睡眠障害 不眠、過眠、中途覚醒、悪夢
摂食障害 食欲不振、過食、味覚の変化
消化器症状 下痢、便秘、吐き気、腹痛
その他 頭痛、めまい、倦怠感、発熱

これらの症状が2週間以上続く場合は、うつ病を発症している可能性があります。後述するように、ペットロスに由来する精神疾患には注意が必要。

明らかな日常生活に支障が出ているときは、早めに医療機関を受診しましょう。

症状が続く期間と脱出期の兆候

ペットロスの症状は、多くの場合3ヶ月から6ヶ月程度で日常生活に戻れるようになります。しかし、約18%の人は1年以上も症状が続きます。

回復が遅れる要因として、周囲の理解不足が挙げられるでしょう。。「たかがペット」という心ない言葉に傷つき、より深く落ち込むことがあります。

一方で回復傾向を辿る場合、以下の変化が認められます。

  • 涙を流す頻度が減る
  • 楽しい思い出を振り返られるようになる
  • 猫に対して感謝できるようになる
  • 食欲の減退などがあった場合はそれが回復する

このような回復傾向が見えてくるまで、どのようにショックをやわらげるかがポイントとなるでしょう。

精神疾患の発症には注意しよう

長らく強い症状が続く場合は、ペットロス症候群と呼ばれる精神疾患(病理的な悲嘆)を発症しているのかもしれません。

また、うつ病などを発症している可能性も疑われます。

この状態では、専門的な治療が必要になります。必要に応じて投薬も検討されるでしょう。

仮に自殺願望や自傷行為、アルコール依存などの症状が現れたら、すぐに心療内科や精神科を受診してください。

カウンセリングや薬物療法により、症状の改善が期待できます。

愛猫の死に耐えられないときのメンタルケア

愛猫を失った悲しみから立ち直るには、適切なメンタルケアが必要です。

ここでは、ペットロスを乗り越えるため、以下の具体的な方法を紹介します。

  • 納得いくまで悲しみ続ける
  • お別れのセレモニーを実施する
  • ペットロス専門のカウンセリングを受ける
  • 新しい猫を迎え入れる
  • 猫の思い出の品を整理する

それぞれの方法を組み合わせることで、回復への道筋が見えてくるでしょう。精神的に問題がない範囲で一つずつ試してみましょう。

納得いくまで悲しみ続ける

悲しみがあるのなら、無理に抑え込まず、納得いくまで悲しみましょう。感情を表現することは、心の傷を癒す最初のステップになります。

特に、思い切り泣くのがおすすめです。涙を流すことで、ストレスホルモンが体外に排出され、副交感神経が優位になります。泣き腫らすとすっきりする、ということがありますが、これと同じ効果が得られます。

自律神経が副交感神経が優位な状態に。一粒の涙を流すだけで1週間ストレス解消効果が持続。

出典:NEWSCAST

ただ泣くだけではなく、気持ちをSNSで表明したり、日記に記したりすることでもかまいません。

ペットロスの克服とは、猫を忘れることではありません。思い出を大切にしながら、前を向いて歩いていくことが真の回復といえるでしょう。

お別れのセレモニーを実施する

葬儀などのセレモニーを通じて、愛猫の死を現実として受け入れることができます。きちんとお別れをすることで、心の整理がつきやすくなるのです。

ここでのセレモニーとは、本格的な葬式や火葬を指すものではありません。たとえば、飼い主がお墓参りに行く、祈り言葉をつぶやくといったアクションを示します。

可能な範囲で、猫に感謝を伝えて、前を向けるようにしてみましょう。

なお、セレモニーをおこなうことで、最後まで責任を持って見送ったという達成感を得られます。この達成感が、新たな一歩を踏み出すきっかけになるでしょう。

ペットロス専門のカウンセリングを受ける

自身ではどうにもならない場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。ペットロスに詳しいカウンセラーなら、悲嘆のプロセスを理解したうえで適切な支援をしてくれます。

以下のことがあれば、カウンセリングの利用を検討しましょう。

  • ペットの死後、数週間経っても悲しみが和らがない
  • 日常生活に支障をきたすほどの喪失感がある
  • 周囲に理解してもらえず孤独を感じている
  • 罪悪感が強く、自分を責め続けている
  • 新しいペットを迎えるか迷っている

最近ではオンラインカウンセリングも充実しています。これらを利用するのも一つの方法です。

人に話すのがむずかしい場合は、Web上のコミュニティを利用する手もあります。

出典:Forever family

たとえばForever familyは、ペットロスで精神的なダメージを受けた人同士が、励まし合うコミュニティ。ここでメッセージを発信すれば、勇気づけられるような返信が得られるでしょう。

新しい猫を迎え入れる

新しい猫を迎えることは、ペットロスを乗り越える強力な手段です。

ただし、迎え入れる前に確認すべき点があります。

まず、純粋に「新しい子を迎えたい」という気持ちがあるかどうかです。ペットロスから逃れるためだけに迎えると、前の猫と比較してしまい、両者にとって不幸な結果となるかもしれません。

また、そもそも責任を持って猫を育てられるかどうかも、改めて確認する必要があります。年齢や経済面で不都合がないか、よく確認しましょう。

そのうえで新しい猫を迎え入れれば、ペットロスの辛さは相当にやわらぐはずです。

猫の思い出の品を整理する

遺品整理は、心の整理をつけ、精神的に落ち着くための有効な取り組みです。

無理のない範囲で、少しずつ思い出の品の整理を進めていきましょう。これがひと段落した時点で、精神的な落ち着きを取り戻すケースもあります。

なお、思い出の品は後悔が残らないよう慎重に取り扱う必要があります。以下の点を参考にしてください。

整理方法 具体例
残すもの 写真、首輪、お気に入りのおもちゃ
リメイクするもの 首輪をストラップに、洋服をクッションカバーに
供養するもの 使い古したトイレ、劣化したおもちゃ
寄付するもの 未使用のフード、きれいなケージ

「もし愛猫が死んだら」と考えたときの準備

仮に猫が存命なら、ペットロスをむかえたときの準備をしておくのがおすすめ。

ここでは、事前にできる心と実務の準備について解説します。

  • できるだけ多くのコミュニケーションを取る
  • たくさんの思い出を形に残しておく
  • 葬儀の流れを把握しておく
  • 感情表現できる場所や人をあらかじめ見つけておく

これらの準備で、ペットロスのショックをある程度やわらげられます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

できるだけ多くのコミュニケーションを取る

まず、できるだけ多くのコミュニケーションを取りましょう。

十分に世話をしたという達成感を得られる、思い出をたくさん作るといった意味で、コミュニケーションは重要です。

ペットロスの状態にある飼い主は、「もっと多くの時間を共有すればよかった」「十分に世話をできなかった」といった後悔を抱えるケースがあります。

しかし、より多くのコミュニケーションを取っておけば、「あれだけ一緒にいられたから、後悔はひとつもない」と、前向きな気持ちを持ちやすくなるでしょう。

特に高齢猫の場合は、体調が悪いときも無理のない範囲でそばにいてあげましょう。最期まで愛情を伝え続けることが、ペットロスのショックをやわらげるポイントです。

たくさんの思い出を形に残しておく

また、たくさんの思い出を形に残しておくのも重要です。思い出を振り返ることで、精神的な安定を取り戻しやすくなります。

具体的には、以下を記録しましょう。

  • 写真
  • 動画
  • 日記
  • 過去に使用していたペット用品

これを揃えておき、つらいときは見返しましょう。そうすることで、少し前向きな気持ちを持ちやすくなります。

また、「猫の体毛を抜いて、それをお守りにする」といった手段を取る飼い主もいます。

自分自身に合ったかたちで、思い出を残しておきましょう。

葬儀の流れを把握しておく

事前に葬儀について知識を持っておくことで、いざというときに慌てずに済み、お別れの時間も確保できます。葬儀方法や費用、流れなどを調べておきましょう。

火葬方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。

確認事項 詳細
葬儀方法 ペット霊園、訪問火葬、自治体サービス
火葬プラン 合同、個別一任、個別立会
供養方法 納骨、手元供養、散骨
必要な物品 安置用の箱、保冷剤、タオル、お花

 

連絡先も事前に準備しておくと安心です。かかりつけの動物病院やペット火葬業者、24時間対応の業者などを確認しておきましょう。

感情表現できる場所や人をあらかじめ見つけておく

ペットロスになったときに相談できる人や場所を事前に見つけておくことで、症状の重症化を防げます。

一人で抱え込まないために、準備をしておきましょう。

身近にペットを飼っている友人がいれば、心強い味方になってくれます。

もちろん、カウンセリングを利用する、SNSで交流する手段を持っておくのもよいでしょう。

ペットロスになることは恥ずかしいことではありません。また、悲しみを表現することも非常に重要なプロセスです。

そのプロセスを辿る方法を、何かしらの形で準備しておきましょう。

ペットロスに関するよくある質問

本記事では愛猫を失った悲しみに関して解説しました。

ここでは、よくある質問に回答します。

  • 猫に対して罪悪感があるときは?
  • ペットロスで後追いする人はいる?
  • ペットロスで自律神経失調症になることはある?
  • もう飼わないほうがよい?

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

猫に対して罪悪感があるときは?

猫に対して罪悪感があるときは、まず、そう考える必要がないことを認識しましょう。

そもそも猫を最後まで看取った時点で、責任は十分に果たされています。

仮に飼育の方針に不備があったとしても、それは反省点であったとしても、罪悪感を覚える対象ではありません。

自分自身を許し、反省すべき点は反省し、次のステップへ進みましょう。

ペットロスで後追いする人はいる?

残念ながら、ペットロスが重症化し、後追いを考える人は存在します

それに近しい願望がある場合は、ためらわずに精神科や心療内科を受診してください。

これは精神医学的には希死念慮と呼ばれ、適切な治療によって十分な改善が見込めます。

後追いするほど猫を愛することは素晴らしい一方で、死ななければいけないわけではありません。

希死念慮に囚われていることを客観視し、冷静になり、適切な治療を受けましょう。

ペットロスで自律神経失調症になることはある?

ペットロスが原因で自律神経失調症を発症することがあります

具体的にはめまい、動悸、頭痛、不眠などの症状が予想されるでしょう。

自律神経失調症は、多くの場合生活リズムの乱れと精神的なストレスによって発症します。

つまり、発症を避けるには、規則正しい生活と精神的な癒しが必要です。

自律神経失調症の詳細は、以下の医学的な分析を参考にしてください。

もう飼わないほうがよい?

飼うか飼わないかは飼い主個人の判断に委ねられるため、正解はありません

もし飼ったほうがよいなら飼うべきであり、そうでないなら飼育するべきではありません。

ここで重要なのは、やはり新しい猫と飼い主が一緒に暮らして、双方が幸せになるかどうかです。その基準に照らし合わせて、飼うか飼わないか決断するのがよいでしょう。

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まとめ

本記事では、愛猫の死に耐えられない「ペットロス」について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

  • ペットロスは深い愛情の証であり恥じることではない
  • 精神的・身体的な症状は3〜6ヶ月で改善することが多い
  • 悲しみを抑え込まず納得いくまで感情を表現することが大切
  • 葬儀やカウンセリングなど適切なケアで回復が早まる
  • 元気なうちから準備することで後悔のない別れができる

ペットロスは、時間とともにかならず和らいでいきます。

ぜひ適切なケアを受けながら、自分のペースで回復の道を歩みましょう。

また、ペットロスから立ち直ることと、猫を忘れることがイコールではない点も、よく理解しておきましょう。

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