2024.04.30
猫は、時おり布団や体を前足で交互に踏むような仕草を見せます。これは「ふみふみ」とも呼ばれ、猫の可愛らしい行動として親しまれています。
しかし、「どうしてふみふみをするのだろうか」と疑問に思う人もいるのはないでしょうか。
実はこの仕草には、猫のさまざまな心情が反映されています。また「ふみふみ」のやり方によっては、健康上の問題が起こっている場合も。
本記事では「ふみふみ」をする理由や注意すべきパターン、またそれに関連して猫特有の仕草を見せる理由に関しても解説します。
もくじ
猫が「ふみふみ」をする理由は多岐に渡りますが、主だったところは以下です。
「ふみふみ」と一言にいっても、背景はさまざまです。それぞれ解説するので参考にしてください。
ほとんどの場合は、母親・飼い主に対する甘えたい気持ちや愛情を表現するため、「ふみふみ」をします。
これを説明するには、まず子猫時代の習性をおさえましょう。
子猫のころは、母猫の母乳を飲んで育ちます。しかし、母乳は簡単には出てきません。
だから子猫は、母親のお腹を「ふみふみ」して刺激し、ミルクが出るようにしているわけですね。そしてお腹がいっぱいになって、母親の胸元で安心して眠るまでがルーティンとなっています。
つまり「ふみふみ」をしているのは、飼い主とのスキンシップなどでその安心感を思い出し、つい前足が動いているわけですね。
人間も、布団に包まると胎児だったころを思い出し、安心するとされています。同様に「ふみふみ」をしている猫は、非常に心地よい安心感を得ているといえるでしょう。
人間のお腹は膝に対して「ふみふみ」してくることがあります。
このときは、好きなようにさせましょう。
基本的に「ふみふみ」は猫にとって気持ちがよいものです。その喜びを取り上げてしまうのはかわいそうですよね。
「ふみふみ」から感じる加重は微々たるもので、また爪を立てるわけでもありません。気が済むまで自由にさせてやりましょう。
また空腹を感じているから、「ふみふみ」することもあります。要はおねだりのような意味合いですね。
先ほども触れたとおり子猫は母乳を得るために、「ふみふみ」をおこないます。つまりお腹が空いているがゆえの行動なわけですね。
お腹が空くと、時としてそのときの記憶や「ミルクが飲めた」という成功体験を思い出します。だから思わず「ふみふみ」をしてしまうわけです。
鳴き声や喉がゴロゴロと鳴る音がともなっていれば、たいていはお腹が空いているサイン。食べ過ぎでないならご飯を食べさせてあげましょう。
そこが自分のなわばりだと主張するため、「ふみふみ」することがあります。
猫の足には、自らの匂いを発する器官があります。そこから発せらる匂いをつけることで、マーキングするわけですね。
なお猫がなわばりを主張するときは、基本的に体を擦りつけたり、転がったりもします。
こういう動作ができない対象には、「ふみふみ」でのマーキングを試みるようです。
寝床を作るために、「ふみふみ」をしていることもあります。
もともと猫が暮らしている自然環境に、毛布やベッドはなく、不安定な場所で眠る必要があります。
だから「ふみふみ」することで整地して、眠りやすくしているわけですね。
もしくは「リラックスしている」「眠い」といった感覚を思い出し、あまり意味はないけれど、つい「ふみふみ」してしまう、ということもあります。
前足を「ふみふみ」するのは、狩りの前の準備運動と言われています。
野生に生きている猫にとって、狩りを成功させるのは重要です。失敗すると、飢えて死んでしまうかもしれません。
その狩りの成功率をすこしでも高めるため、前足を動かし、姿勢を低くし、そしてダッシュして対象を狙います。
このときばかりは、普段の可愛い姿ではなく、まるでハンターのような雰囲気をかもし出しています。
基本的に「ふみふみ」は猫の基本的な仕草であり、何ら問題はありません。「その姿がかわいい」と見守っていてよいでしょう。
ただし、以下のパターンでは、ストレス発生や病気などの問題が起こっているかもしれません。
もし該当した場合は、きちんとした対策を実施するのを推奨します。
まず、過度なウールサッキングがともなう場合は、それをやめさせる必要があります。
これはウールもしくはそれに近いものをかじったりしゃぶったりする行動のこと。
これ自体はよく見られるもので、たまにかじる程度なら問題ありません。しかしこれが頻回だと、病気の状態だとみなされます(常同障害)。
ひどい場合、以下のように好んで布を食べることも。
ウールサッキングが定着していると、誤嚥や窒息などの重大なトラブルが起こるかもしれません。
これを止めるには、「ウールサッキングを始めたらやさしく制止し、我慢できたら褒めるの方法が考えられます。それでもうまく行かないときは、動物病院で相談するなどしましょう。
「ふみふみ」は、主に前足を使っておこなわれます。
しかし後ろ足で「ふみふみ」していて、かつオス個体だった場合、それは発情していることを表しています。
つまり発情期にあり、よそのメスと交尾したり、家の中で暴れ回ったりなどの問題行動を起こす可能性があります。
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いつまで経っても「ふみふみ」しているなら、それはストレスを感じているのかもしれません。
基本的に「ふみふみ」は、猫にとってリラックス効果のある行動です。つまり意図的に精神的に落ち着こうとして、ストレスを軽減しようとしているのかもしれません。
もちろん、適度な「ふみふみ」は猫にとって好ましいものです。しかしそれが頻回になると、強いストレスを感じていると判断できるでしょう。
どうしてストレスを感じているのか把握し、対策する必要があるでしょう。
また認知症などで認知機能が低下し、する必要のない「ふみふみ」を延々とやってしまうこともあります。この場合は老猫なりのケアが求められるでしょう。
「ふみふみ」以外にも、猫特有の仕草がいくつかあります。なお猫に限らずネコ科に属するライオンや虎も、同じような仕草を見せることがあります。
このような仕草も、「かわいい」と言われ、親しまれています。しかし、以外にもこれには猫なりの深い考えがあるもの。それぞれの詳しく解説するので参考にしてください。
まず、床や地面にゴロゴロ転がることがあります。無邪気に転がっている姿は非常に愛らしいものとして受け止められ、YouTube動画では人気を博しています。
ゴロゴロと転がる目的は、体の匂いをつけてマーキングすること。マーキングして、そこが自分のなわばりの一部であると主張しています。
一方、発情期を迎えて転がるようになることも。もしまだ不妊・去勢が済んでいないのなら、飼育をラクにするためにも、手術を受けるのを推奨します。
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前足をグーにしてパーにするのを繰り返す「グッパ猫」もいます。
厳密には指を伸縮させるのではなく足首を曲げる運動。それがグッパをしているように見えるわけですね。
このしぐさには、足の筋肉を伸ばす目的があります。
また子猫時代は、グッパで母親の乳房を刺激し、ミルクが出るようにしていました。そのころ思い出している可能性もあります。
子猫時代を思い出しているのは、基本的にリラックスしているので、そのままにしてやりましょう。
猫が喉をゴロゴロと言わせるのは、上機嫌であることを知らせているものだと言われています。そのまま機嫌を損ねないよう、そっとしておいたり、体を撫でたりするのがよいでしょう。
ただし、普段よりもゴロゴロの音が低いこともあります。これは期限がよいのではなく、苦しんだり、怒ったりしている証拠です。
もし長時間にわたって低音でゴロゴロ言っているなら、なんらかの疾患を患っているかもしれません。必要に応じて病院へ連れて行くようにしましょう。
顔を拭くしぐさを見せることもあります。これはよく知られていますね。
このしぐさには以下の意味合いがあります。
基本的には顔をきれいに保つために拭う傾向にあります。また何らかのストレスを感じて、それを落ち着ける目的があることも。
このような行動は「転移行動」と呼ばれます。
本記事では猫の「ふみふみ」に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
「ふみふみ」しなくなる原因として以下が考えられます。
唯一問題になるのは、リラックスできていないケース。普段はしていたのに、とたんにしなくなった場合、それは「ふみふみ」するほど精神的に安定していないのかもしれません。
病院に行くとか、そういうレベルでの話ではありません。ただ、何かしらストレスを感じている原因を推測して、大事にしてやる必要はあるでしょう。
「ふみふみ」してもらうためには、とにかく信頼してもらうのが重要です。以下のように接するとよいでしょう。
このように信頼関係を築けば、「ふみふみ」してもらえるかもしれません。
ただし生まれつきに「ふみふみ」をしない猫もいます。生来のものは変えられないので、無理に導くのは避けましょう。
どの程度の激しさで「ふみふみ」しているかにもよりますが、もしかしたら認知症などの兆候があらわれているかもしれません。
仮に発症しているなら、ほかの部分でも認知能力の低下が感じられるはずです。
たとえばジャンプに失敗したり、水をこぼしたりすることがあります。
そういう傾向が認められたら、認知症、もしくは認知能力に影響を与える病気の可能性をうたがったほうがよいでしょう。
(引用:新宿経済新聞)
なおこのような認知症チェックシートも存在します。心配ならチェックしてみるのがよいでしょう。
関連記事▶︎猫も認知症になる?自宅でのケアや予防法を解説
本記事では猫の「ふみふみ」に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
猫にとっての「ふみふみ」は、基本的に甘えたい気持ちや愛情の表れ、あるいはリラックスしていることの証明です。
非常に好ましい仕草なので、ぜひそのまま「ふみふみ」させましょう。
ただし本文中で触れたように「ふみふみ」にも注意が必要なものもあるので、その場合は適宜動物病院へ連れていくなどして対処しましょう。
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