2023.10.31
人間は、脳梗塞などの原因で、突然命を落とすことがあります。そして猫も同様に突然死してしまうことがあるのです。
当然ながら、突然の別れは避けたいところですよね。
そこで本記事では突然死の原因やそれを防ぐ方法に関して解説します。また、残念ながら命を落とした場合の看取りや葬儀、そして飼い主の精神的な安全を守るペットロス対策に関しても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
最初に、そもそもなぜ突然死が起こってしまうのか知っておきましょう。
結論からいうと、「肥大型心筋症」という病気で命を落とすケースが多いようです。
これがどういう病気なのか、まず解説します。
また、それ以外の原因に関しても解説しているので、ぜひ参考にしてください。事前に原因を理解することは、今後、突然死を予防する方法を考えるうえで役に立つでしょう。
多くの獣医師や動物病院関係者は、もっとも多い突然死の原因として、肥大型心筋症を挙げています。
(引用:みんなのどうぶつ病気大百科)
肥大型心筋症とは、心臓の「左心室」の筋肉が分厚くなってしまう病気です。そうすると心室が圧迫され、血液を送るポンプとしてうまく機能しません。
そうすると全身に酸素を送り込めず、酸欠になったり、血栓ができたりします。それが原因で死にいたるというものです。
肥大型心筋症は6ヶ月〜16歳の間に起こるとされており、ほとんどすべての猫が発症しうる病気だといえるでしょう。
肥大型心筋症を発症したあと、以下のような症状、行動が現れます。
幸いにも、肥大型心筋症が生じた場合の症状は明らかに異常だとわかるものです。もし上記のようすが見受けられたらすぐにでも病院に連れて行きましょう。
もちろん猫が突然死する原因は、肥大型心筋症に限りません。
以下のような原因で、突如として命を落とすことがあります。
このように突然死の原因になる病気はさまざまです。
もちろん、これら一つひとつに対策するのはむずかしいでしょう。よって全体をカバーするように、普段の生活習慣をきちんと管理したり、定期検診で全身を診てもらったりするのが重要になります。
また、子猫に多い突然死の原因として、「子猫衰弱症候群」が挙げられます。これは発達不良や先天性疾患などが原因で、生後数日から数ヶ月のあいだに亡くなってしまう現象を指します。
以下のようすが認められたら、子猫衰弱症候群かもしれません。
子猫衰弱症候群の兆候があるなら、そのままにしておくのは危険です。すぐに病院へ連れて行く必要があるでしょう。
突然死とはやや異なりますが、不慮の事故で亡くなることもあります。
特に猫を外に出す形で飼育している場合、不慮の事故に遭遇する可能性は高くなります。
たとえば自動車事故は心配になるところでしょう。猫は自動車との距離感を測るのが苦手で、ほとんど減速していない状態で衝突することがあります。
不慮の事故を避けるには、完全室内飼育を徹底したほうがよさそうです。
memo:中毒症状を避けるために食べさせてはいけないもの一覧
ちなみに中毒症状とは、主に禁忌とされる食物を食べることにより発生します。いわゆるアレルギーですね。
以下の食物は、中毒症状の原因になるため、食べさせてはいけません。
(引用:楽天)
特に花や観葉植物の誤食には注意が必要です。放っておくと、勝手にかじることがあります。猫を飼育するなら、花や植物は部屋に置かないほうがよいでしょう。
猫の突然死は、回避のしようがないと考える人もいるでしょう。
しかし、まったく対策がないわけではありません。以下のような方法で、突然死の可能性をある程度下げられます。
これらの方法を組み合わせれば、突然死のリスクはある程度コントロールできるでしょう。それぞれ解説するので参考にしてくだださい。
ややむずかしいことですが、突然死の兆候を理解して、異常に気づけるように努力しましょう。これで命が守られるケースもあります。
<突然死の兆候一覧>
こういった兆候は、猫が体調を崩している際に現れるものです。また、突然死になりうる病気の症状を含みます。
このような兆候を理解しておきましょう。そしてそれが確認できたら、病院へ連れて行くなどの対処を取り、突然死を防ぎましょう。
先ほど触れたとおり、完全室内飼育をおこなうのは、突然死および不慮の事故を避けるためにも重要です。外に出なければ、以下のような危険から保護できます。
病気はともかく、感染症と事故のほとんどを回避できるようになります。
前は猫は嫌いってレベルだったのにスルスルと私の中に入ってきて今や親バカにしてきたので、ラインハルト様は偉大。あ、猫ってこういう生き物なのかーって勉強にもなった。飼うとやっぱり可愛いし、完全室内飼育だと楽。辛い思いをしてる猫は減って行く方向に行って欲しい。#ベンガル pic.twitter.com/1CvBqmOCzH
— ヒロ マサミ (@HERO_WOLFDOG) November 9, 2017
ちなみに完全室内飼育は、非常に楽な飼育方法だとされています。可能であれば、完全室内飼育に切り替えましょう。
定期検診を受けるのも有効です。これにより、突然死の原因となる肥大型心筋症をはじめとした病気を初期段階で見つけられるかもしれません。
定期検診の内容や費用ですが、下図を参照にしてください。
(引用:すずのき犬猫病院)
このように数千円の費用で、身体中をきちんとチェックできます。最低でも年に1回、できれば半年に1回くらいは定期検診を受けさせるとよいでしょう。
もちろん、普段から栄養バランスに気をつけるのも大切です。
栄養が偏ると、さまざまな病気にかかるリスクが増えます。もちろん、そのなかには突然死の原因になるようなものもあるでしょう。
それを防ぐためにも、栄養バランスに気をつけるのが大切です。
具体的には、以下のような点に注意しましょう。
ただし肥大型心筋症や心筋梗塞など、一部の病気は遺伝的要因によって発症する病気です。したがって栄養バランスを整えることが、すべてを解決するわけでないので注意してください。
そして、「迷ったら病院に行く」姿勢を徹底しましょう。これで疾患を早期に発見し、突然死を避けられる可能性があるからです。
もちろん、「こんなささいなことで、病院に行く必要があるのか?」と思う場面もあるでしょう。しかしそこで来院したことにより、救われる命もあります。
上記動画では、飼い主が猫の「やや元気がない」「呼吸が浅い感じがする」といった微妙な変化を察知し、病院へ連れて行った、という趣旨のレポートです。診断の結果は、突然死の原因になりうる心臓病でした。
もし飼い主が「ちょっと疲れているだけだろう」と片付けていたら、突然死につながったかもしれません。
このように、病院へ連れて行くか、判断に窮する場面には遭遇するはずです。しかしそういうときに、「万が一のことを考えて連れて行く」ことを徹底しておけば、突然死のリスクは下げられるでしょう。
残念ながら、猫が突然命を落としてしまうこともあります。その場合は、以下のように対応しましょう。
それぞれに関して詳しく解説するので参考にしてください。
突然死ではあるものの、まだ時間が残されている場合は、きちんと看取ってあげましょう。
死の直前は、おそらく寝たきりの状態になると思われます。できるだけそばにいてやりましょう。
上動画のように、そばにいながらコミュニケーションやスキンシップを取りましょう。
また、できる限り写真や動画を残しておくことをおすすめします。これは、飼い主のペットロスによる精神的なダメージを軽減するうえで役立ちます。
猫が亡くなったようすなら、死亡したかどうかを確認しましょう。ポイントはふたつあります。
両方とも停止しているなら、死亡していると判断できます。
呼吸の有無を確認するには、お腹の動きをチェックしましょう。停止している場合、お腹が膨らんだり、縮んだりしません。
瞳孔の反応も確認しておきましょう。猫の目にライトを当てて、瞳孔の大きさが変わらないかチェックします。
これで死亡したかどうかを判断できます。しかしその判断に自信を持てない場合は、動物病院で獣医師に診てもらうとよいでしょう。
その後はエンゼルケアをほどこし、遺体を棺に入れます。詳しくは「猫が亡くなったあとでやることとは?葬儀や供養に関して解説」の記事を参考にしてください。
続いて、猫の葬儀をおこないましょう。これは、火葬業者やペット斎場でおこなうのが一般的。
「近くの地域名+猫+火葬」と検索すると、すぐに見つけられるでしょう。
どのように火葬がおこなわれるのか、大阪府天王寺区の「てんのうじペット斎場」を例として解説します。
(引用:泰聖寺てんのうじペット斎場)
ここではお寺の施設内で、お別れのセレモニーを実施したあと、火葬が実施されます。家族が立ち会うか、拾骨をするかなどは、プランによって異なります。
費用は、20,000 円から30,000円ほどでした。
詳しくは「猫が亡くなったあとでやることとは?葬儀や供養に関して解説」の記事を参考にしてください。
ここまでで猫にしてあげられることは、すべてやりきりました。ここからは、飼い主の精神的ダメージ、いわゆる「ペットロス」を癒す段階に入ります。
具体的には以下のように対策するとよいでしょう。
このような方法で、精神的なダメージをある程度緩和できます。
ちなみに最近ではカウンセラーによる「グリーフケア」というサポートもあります。
(引用:ボイスマルシェ)
どうしても辛いときは、カウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。
本記事では猫の突然死に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
急死とで何が違う? 蘇生することがある? ストレスで突然死することはある?
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
結論からいうと、急死とは、「およそ死亡が予想されていないにもかかわらず、容態が急変して死亡することを示します。
そして突然死は、「急死のなかでも、特に症状の発症から死亡するまでの時間が短いケース」を指すものです。人間でいえば「発病後24時間以内に死亡する」事象が該当するとのこと。
(引用:日本救急医学会)
つまり「急死」というくくりのなかに、「突然死」があるわけですね。
なお「それまで健康だったかにもかかわらず突然に死亡すること」が突然死と誤解されることがありますが、これは誤りです。
結論からいうと、蘇生することはまずありません。ごくごくまれに「生き返った」という伝承が聞かれますが、ほとんどがフィクションだと考えてよいでしょう。
「蘇生することがある」と言われますが、これはおそらく死後硬直を誤って解釈しているものだと思われます。
猫が亡くなったあと、血液が回らなくなり、遺体は少しずつ冷えて硬直していきます。そのとき足がピクリと動いたり、お腹が波打ったりするわけですね。
しかしこれは「生き返った」から起こるのではなく、残念ながら「命が失われている」がゆえの現象です。非常に心苦しいのですが、突然の別れを受け止め、前を向いていかなければいけません。
ストレスだけで突然死する可能性は、まずないでしょう。もしかしたら驚いた拍子にショック死するケースもあるかもしれませんが、世界的にもほとんど聞かれません。
ただし過度なストレスが猫の寿命を縮めうるのは事実です。
本記事では猫の突然死に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
可能性として高いわけではありませんが、突如として猫が命を落とすことはありえます。
本記事で紹介したようなできる限りの工夫で、突然死を避けられるように対策しておきましょう。
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