老猫の最期の看取り方とは?飼い主ができる最期にできること

  • 猫を看取るときは、どうすればよいのだろう?
  • 最期を迎えるときは、どのようなようすなのか?
  • 飼い主として、最期に何をしてあげるべきか?

このように考えている人は多いのではないでしょうか?

猫との暮らしも、いつか終わりが来ます。そのときは、やはり最期の瞬間までできる限りのことをしてやり、看取ってあげたいものです。

ここでは猫が安心して旅立っていけるように、そして残された飼い主が心を病んでしまわないように、今の段階からできることを解説します。

ぜひ参考にしてください。そして、残された時間を大切に過ごしましょう。

猫を看取る前に考えること

猫の最期が近づいてきたとき、事前に考えておきたいことがあります。

  • 延命治療か緩和治療かを決める
  • エンディングノートを書き始める
  • 死期が近づいたときのサインを理解する
  • 亡くなってからのことを考える

まず、延命治療で寿命の延長を目指すか、緩和治療で残された時間をゆっくりと過ごすか決める必要があります。

また、エンディングノートを書き始めることをおすすめします。そして死期が近づいたときのサインを理解も知っておきたいところです。

とはいえ、猫の寿命がそう長くないことを知り、精神的な落ち込みを感じている人も多いはず。無理せず、心にゆとりがあるときに、ゆっくりと考えていきましょう。

延命治療か緩和治療かを決める

猫の最後が近づいてきたら、延命治療か緩和治療、どちらを選択するか、獣医師と相談のもと決めましょう。

延命治療の場合は、基本的に動物病院に入院し、少しでも寿命が長くなるような処置を受けます。緩和治療の場合は、最終期を自宅でゆっくりと過ごせます(状況によっては入院措置あり)。

ただし本格的な延命治療は受けられず、緩和ケアが中心となるでしょう。つまり死を受け入れ、「残された時間をできるだけおだやかに過ごす」ことになります。

自身や家族の意見、獣医のアドバイス、そして猫の様子を総合し、どちらの治療にするか検討しましょう。

なお、基本的には「延命治療に入り、死期が近づいたら緩和治療に入る」か、「最初から緩和治療に入る」かどちらかが選択されるケースがほとんどです。

エンディングノートを書き始める

また、エンディングノートを書き始めることをおすすめします。ノートにより、飼い主や家族のショックを和らげられるからです。

寿命が近い猫は苦しい思いをしていますが、それを見送る側も、寂しさや喪失感などに苛まれることでしょう。そして亡くなったあとで精神的に落ち込む、いわゆる「ペットロス」に陥ることも。

そんなとき、心の支えになるのがエンディングノートです。このノートは、今までの思い出を書き残したり、来るペットロスに備えたりするために使います。

(引用:Amazon

エンディングノートを書くことで気持ちが整理され、猫を見送ったあとの心の平穏が保たれます。

猫を看取りつつも、その後の自分自身の心が穏やかになるように、準備しておくとよいでしょう。

死期が近づいたときのサインを理解する

続いて、死期が近づいたときのサインを知っておきましょう。

  • 呼吸が乱れる
  • けいれんが起こる
  • てんかんが起こる
  • 夜鳴きをする
  • 狭いところに隠れる
  • トイレを失敗する
  • 匂いが変わる

このようなサインが出たら、おそらくお別れの日はそう遠くありません。最期の瞬間、そばにいてあげられるように準備しておきましょう。

寿命はどのくらい?

ちなみに猫の平均寿命は、一般社団法人ペットフード協会の2020年調査によれば、15.45歳とのことです。

この年齢以上であって、大きく体調を崩しているなら、最期の瞬間が近いかもしれません。動物病院へ連れて行き、診断内容しだいでは看取りの準備を始めましょう。

一方で15.45歳は平均寿命であり、それ以上に長生きする猫もいます。なかには20歳前後になって、まだ元気に動くケースも。

年齢だけではなくそれぞれの健康状態によって、寿命が左右される点には注意しましょう。

関連記事▶︎猫の平均寿命は何年?長生き・長寿の秘訣も解説!

亡くなってからのことを考える

精神的に落ち着いてからでいいので、猫が亡くなってからのことを考えておきましょう。いくつかやることがあります。

  • 供養
  • マイクロチップの登録解除
  • ペット用品の整理

やはり供養は必要です。最近では、業者に依頼して火葬し、お骨を手元に置くか、ペット霊園に安置するのが主流になりつつあります。具体的にどのように執り行われるかは、以下動画を見るとわかりやすいでしょう。

どのような形を取るのか、どこの業者や霊園を利用するのか、ある程度イメージしておきましょう。

どのようにして猫を看取るか

猫が動けなくなったら、本格的な「看取り」の時期に入ります。残された時間を大切に過ごすため、以下の点を知っておきましょう。

  1. 静かな場所で楽な姿勢にしてあげる
  2. ポジティブな声かけや感謝の言葉を届ける
  3. 苦しんでいても見守る
  4. 写真や動画を撮る
  5. 遺体保存の準備をする

やはり場所や過ごし方、そしてコミュニケーションには工夫が必要です。一方で、写真や動画を撮るのも、心の健康を保つうえでポイントとなるでしょう。

なお、獣医から鎮痛剤の服用や食事療法の指示される場合があります。その場合は、必ずそれにしたがってください。

1.静かな場所で楽な姿勢にしてあげる

猫を看取るときにできることは、実はさほど多くありません。そんななかでも「静かな場所で、楽な姿勢にしてあげる」のは、数少ない、やってあげられることのひとつです。

具体的には以下のような環境が望ましいです。

  • 騒音がない場所を選ぶ
  • 人の出入りが少ない場所を選ぶ
  • 布団やクッションを用意する
  • 適切な気温を維持する
  • トイレや水飲み場は近くにする
  • 横向けの姿勢を取る(下図参照)

ただし注意したいのは、楽だからといって同じ姿勢をずっと続けてはいけないことです。

人間でも、まったく同じ姿勢をとり続けた場合、床ずれ(じょくそう)という炎症を起こすことがありますが、これは猫も同じ。

時々寝転び方を変えたり、意図的に立たせたりしましょう。こうすることで炎症を防ぎ、また血行促進による体調の安定を図ることが可能です。

2.ポジティブな声かけや感謝の言葉を届ける

病気が楽になるわけではありませんが、ポジティブな声かけや感謝の言葉を伝えるのも大切です。

海外の研究によれば、猫は声と表情から、人間の感情を読み取る能力を持っています。つまりやさしい声と表情で呼びかければ、気持ちが伝わるでしょう。

それが猫のストレスを、ある程度緩和するかもしれません。

また、亡くなってから後悔しないように、感謝の言葉を届けるのも大切です。かならずしも、最期の瞬間に「ありがとう」と言えるわけではありません。

今まで一緒にいてくれたこと、頑張って生きてくれたことに対して、ありがとうと伝えましょう。

3.苦しんでいても見守る

考え方にもよりますが、苦しんでいても見守ってあげましょう

心筋症やリンパ腫、腎不全などをはじめとした疾患を抱えている場合、つらそうにしたり、息苦しそうにしたりすることがあります。

その姿を見るのはやや辛いものですが、もっとも苦しい思いをしているのは猫本人に変わりありません。できればそばにいて、見守ってあげましょう。

また吐き戻しがあったり、トイレを失敗したりすることがあれば、始末してやる必要があります。

怖い、辛いときは無理をしない

とはいえ、猫が苦しんでいる様子を見るのは、怖かったり、辛かったりするものです。できればそばで見守りたいものですが、無理は禁物。

目を瞑ったり、目線を逸らしたりして、ショックを受けるのを避けるのもよいでしょう。

とはいえ、容態が急変したときは、誰かが見てあげなければいけません。ほとんどの人が「それでも見守る」選択をするでしょうが、あまりにもショッキングなら、動物病院への入院も検討しましょう。

また、特に苦しそうなようす(てんかん、吐血など)などは、子供などには見せないことをおすすめします。

4.写真や動画を撮る

写真や動画も撮影しておくとよいでしょう。これにはふたつの意味があります。

  • できるだけ多くの思い出を残して、後悔をなくす
  • 写真や動画を確認し、容体の悪化が見られないか確認する

エンディングノートと役割が被りますが、写真や動画は、大切な思い出となります。それを見返すことで温かい気持ちになれたり、亡くなったあとのペットロスが癒されたりするでしょう。

そして写真や動画があれば、日頃の変化もわかります。たとえば床ずれの拡大にいち早く気づき、早期に対応できるかもしれません。

写真や動画は、できるだけ多く記録しておきましょう。ただし撮影されることが猫のストレスになるケースもあるので節度を保つのが大切です。

5.遺体保存の準備をする

死期が近づいてきたら、遺体保存の準備をはじめましょう。具体的に以下のものを揃えておく必要があります。

  • ダンボール/棺(ひつぎ)に使う
  • 保冷剤・ドライアイス/火葬するまでの腐敗防止に利用する
  • タオル・毛布/棺に敷き詰める
  • お供物のおやつなどを用意する

亡くなったあと、基本的に火葬することとなります。その場合棺が必要なので、この準備が必要です。

精神的に余裕があるときに、やっておきましょう。

猫を看取ったあとにやるべきこと

猫を見送ったあとは、まず精神的に落ち着く時間を取りましょう。急ぐ必要は、まったくありません。

気持ちが落ち着いたら、猫を手厚くほうむるため、以下のステップに入りましょう。

  1. 遺体保存する
  2. 火葬をおこなう
  3. お骨を納める/手元供養する
  4. 飼育用品を整理する
  5. マイクロチップの登録を解除する

ほとんどのケースで、遺体を保存する必要があります。そして火葬をおこない、その後お骨を納めるか手元供養する流れです。

あとは飼育用品の整理などを進めましょう。

1.遺体を保存する

猫が亡くなったあと、すぐに火葬できるとは限りません。火葬日を迎えるまで、遺体を保存する必要があります。

以下の方法で、安全に保存しておきましょう。

  1. 棺(ダンボールなど)にタオルや毛布を敷く
  2. 保冷剤やドライアイスを入れる
  3. 遺体を横になるような姿勢で棺に入れる
  4. 前足と後ろ足を、胸と腹側に折り曲げる(足が伸びたまま死後硬直すると、火葬場に収まらない場合あり)
  5. お供えもの、お花を添える
  6. 保冷剤が温まったり、ドライアイスが溶けたりしたら交換する

これで遺体の損傷を避け、安全に保存にできます。

なお、本当に死亡しているかどうか、念のため確認しましょう。よく観察すると、脈が残っていたり、わずかながら呼吸している場合があります。

その場合は、かかりつけの獣医師に相談して、指示を受けることをおすすめします。

2.火葬をおこなう

続いて、猫の火葬をおこないましょう。これはペットの葬儀を執り行う、火葬業者やペット斎場に依頼するのが一般的です。これは「地域名+猫+火葬」と検索すると、すぐに見つけられるでしょう。

どのように火葬がおこなわれるのか、大阪府天王寺区の「てんのうじペット斎場」を例として解説します。

(引用:泰聖寺てんのうじペット斎場

ここではお寺の施設内で、お別れのセレモニーを実施したあと、火葬がおこなわれます。家族が立ち会うか、拾骨をするかなどは、プランによって異なります。

費用は、「てんのうじペット斎場」の場合だと20,000 円から30,000円ほどでした。

ただ火葬に関しては、業者やお寺、あるいは宗派や土地の風習によって進め方が異なるものです。どのように執り行われるのかに関しては、直接問い合わせるのがおすすめです。

3.お骨を納める/手元供養をする

火葬を終えた場合、業者もしくは斎場からお骨が返却されます。このあと、ふたつの選択肢があります。

  • 手元供養をする
  • ペット霊園などにお骨を納める

手元供養とは、「お墓をつくらず、自宅でお骨を保管すること」を指します。費用がかけられない場合は、こちらを選択するとよいでしょう。もしくはペット霊園などにお墓を建て、お骨を納める方法もあります。

 

(引用:東京動物霊園

上記は東京動物霊園の納骨棚、霊檀、共同墓地です。ここに骨壷を安置できます。費用はかなりばらつきがあるのですが、おおむね10,000円〜20,000円程度と考えましょう。

なお、自宅の庭に土葬するケースもありますが、これはおすすめできません。野生動物に掘り返されたり、異臭がしたりするからです。

4.飼育用品を整理する

続いて、猫が使用していた飼育用品を整理しましょう。

注意したいのは、「使わないから」と言って安易に捨てないことです。猫との思い出を失わないため、取っておきたいものは捨てないでおきましょう。

一方で「飼育用品を見ると悲しい気持ちになる」という場合もあるので、その場合は捨てるか、押し入れに格納するなどしたほうがよいでしょう。

なお新しい猫を迎え入れる予定がある場合は注意が必要です。死因が感染症などであれば、飼育用品に病原菌が付着している可能性があるため、廃棄する必要があります。

そうでなくとも、他の猫の匂いは新しい猫にとってストレスになるため、捨てたほうがよいかもしれません。「思い出があるから捨てたくない」と考える場合は、消臭や洗浄を徹底しましょう。

5.マイクロチップの登録を解除する

生前、マイクロチップを埋め込んでいた場合は、その登録を解除しましょう。

(引用:環境省

死亡届の提出を持ってして、マイクロチップの登録が解除されます。手続きは、上記環境省のホームページで実施できます。

また、やや酷な話ですが、死亡届の提出は飼い主の法的な義務であるとのこと。幸い、届けの提出期限は死亡後30日以内とされているので、気持ちが落ち着いてから手続きするとよいでしょう。

猫の看取りに関するよくある質問

本記事では猫の看取りに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。

  • ペットロスから抜け出すためには?
  • 安楽死すべきか? 
  • 看取りできないと後悔する?

近年増えているのが、喪失感や空虚感に苛まれるペットロスに関する悩みです。今後の暮らしを心穏やかにするためにも、ぜひ確認しておいてください。

また安楽死や看取り時の後悔に関する質問にも回答しています。

ペットロスから抜け出すためには?

ペットロスから抜け出す方法として以下が挙げられます。

  • エンディングノートを読み返す
  • アクティビティや食事などを楽しむ
  • 新しい趣味を始める
  • 人に話を聞いてもらう
  • カウンセリングなどを受けて、感情を吐露する
  • ペットロスから抜け出すための書籍を読む

エンディングノートを書いているなら、それを日々読み返すだけで、かなり気持ちは楽になります。そのほか、アクティビティをはじめとした取り組みも、ペットロスを抜け出すうえで有効です。

 

(引用:あいわクリニック

 

安楽死すべきか?

実は日本では、猫に対する安楽死処置が認められています。動物病院にて、家族の同意があれば、獣医によって処置がおこなわれます。

安楽死すべきかどうかという問題に対しては、どちらが正しいとも言えません

処置を認めれば、猫は苦しむことなく生涯を終えられるでしょう。また、家族も苦しむ猫のを姿を見ずにすむはずです。

一方「安楽死は生きようとする猫の意志に反している」「苦しんだとしても、最後まで見守りたい」とする意見もあります。

人間の安楽死の是非がそうであるように、このこともまた、人や家庭の数だけ答えがあるといえるでしょう。

看取りできないと後悔する?

猫と過ごした期間や、飼い主の価値観にもよりますが、看取りができないと後悔は残るものです。やはり最後の瞬間には側にいてあげたいでしょう。

動物病院に入院していた場合、上記のように容体が急変して亡くなることがあります。そうすると、当然最後の瞬間には立ち会えません。

後悔を残したくないなら、自宅での緩和医療を選び、最後を見届けるのがよいでしょう。

まとめ

本記事では、猫の看取りに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。 

  • 猫を看取る前に、延命治療か緩和治療(死を受け入れて穏やかに過ごす)かを決める
  • エンディングノートを書き始めて、飼い主自身も心の準備をしておく
  • 看取りでは、静かな場所で楽な姿勢で過ごせるように工夫する
  • ポジティブな声かけや感謝の言葉を伝えるのも大切
  • 写真や動画を残しておくと、ペットロスを緩和できる
  • 猫を見送ったあとは、遺体を保存したのち、火葬をおこなう
  • その後はペット霊園などに納骨するか、手元供養する

猫との幸せな暮らしも、いつか終わりが来ます。その瞬間に備えて、きちんと準備しておきましょう。

そこには、飼い主自身の「心の準備」も含まれます。猫を見送ったあとも、前を向いて生きられるように、エンディングノートを書いたり、思い出を残したりしておきましょう。

死にゆく猫は、当然ながら辛い思いをしています。それは飼い主も同様です。私たちは、すべての猫と人々が、後悔のない別れを迎えられることを祈っています。

 

 

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