猫の餌の量はどれくらいが適切?計算方法や与え方のポイントを解説

  • 猫のご飯の量は、どのくらいが適切なのか?
  • 1日何回与えるべきなのか?
  • 何を食べさせてあげればよいか?

このような疑問を持っている人は多いでしょう。猫に与えるご飯の量や回数を適切に保つのは、健康維持、肥満防止、誤食などを防ぐうえで重要です。

また猫が空腹に苛まれず、幸福に過ごせるといった面でも大切なポイント。

そこで本記事では、猫の適切なご飯の給餌回数などに関して解説します。猫の食事に関して疑問を持っている人はぜひ参考にしてください。

猫のご飯の量・回数はどのくらい?簡単な計算方法

まずはご飯の量と回数の簡単な計算方法を掲示します。

合わせて以下3つのステージにおける餌やりのポイントも解説します。

  • 子猫期
  • 成猫期
  • シニア期

計算方法と早見表だけでなく、各ステージのポイントもおさえておくと安心です。

猫のご飯の量計算方法

猫のご飯の適正量を計算する方法は、獣医学的に確立されています。

まずDER(栄養要求量)を求め、そこから適正量を計算するのが一般的。

ただ計算式がやや複雑なので、簡単に適正なご飯の量を計算できる「食事量計算シート」を活用しましょう。

(引用:チボリ動物医療センター

ボックスに必要な数値を入力するだけで適正量を計算できます。迷ったら、基本的にはこれを使うようにしましょう。

ただ、ドライフードなどであれば1日のだいたいの適正量が記載されているケースがあります。そちらを参考にしてもかまいません。

続いて、子猫期からシニア期に至るまでのポイントに関して解説します。

子猫期/生後〜1歳前後

子猫期では、月齢に応じて給餌の回数と量を変える必要があります。下図を参考にしてください。

またこの段階ではドライフードではなくミルクを与え、22日以降から離乳食を併用することになります。

この点に関しては子猫の育て方・しつけ方・ミルクのあげ方・注意点などを一挙解説で説明しているのでそちらを参考にしてください。

成猫期/1歳〜7歳

肉体的に成猫期を迎える成猫期では、体重は2.0から8.0kgになります。先述の食事量計算シートでいうと、おおむね1日あたり30gから70gのドライフードを与えるのが基本です。

もちろん、そのなかにおやつが入っていても問題ありません。

ただし注意したいのが食べ過ぎです。後ほど詳しく解説しますが、置き餌を控える、食事の時間を定めるなどして、成猫期特有の勢いに任せて食べ過ぎるのを避ける必要があります。

シニア期/8歳〜14歳

シニア期では、猫の体重がわずかずつ落ち、運動量も低下していきます。近年は猫の平均寿命が長くなり、シニアである時期は長期化しています。ゆえにシニア期での餌の与え方は、猫の健康を守るうえで重要となるでしょう。

とはいえ、しばらくは成猫期とさほど食事の摂り方は変わりません。

ただし14歳前後になってくると、寿命が目前であり、ご飯の量は相当少なくなります。1日1食くらいで満足するケースも出てくるでしょう。

さらにドライフードが噛み砕けない、といった問題も出てきます。その場合は後述するようにふやかしたり、ウェットフードを使ったりして、食べやすいように工夫しましょう。

猫が必要量食べない・食べすぎる場合の対処法

猫が必要量のご飯を食べない、もしくは食べ過ぎるのはよくあることです。その場合は以下の対処法が有効です。

  • ドライフードの場合はふやかす・変える
  • ウェットフードをまぜる
  • 香りを変える
  • 置き餌を控える
  • 食事の時間を定める

うちいくつかの方法を組み合わせれば、基本的には正しい食習慣を確立できます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

ドライフードの場合はふやかす・変える

ドライフードの場合、「ふやかす」という方法があります。これにより、猫が必要なご飯を食べられるようになる可能性があります。

特に子猫期前後の猫は顎の力が弱く、ドライフードをうまく噛み砕けないことが。また匂いが弱いので、食欲をそそられない側面もあります。

しかしドライフードにお湯をかけてふやかせば、柔らかく、そして香りが強くなるため、食べやすくなるわけですね。

それでも食べないならドライフードそのものを変えましょう。フレーバーを変えれば、よく食べるようになるかもしれません。

(引用:Amazon

このように、さまざまなフレーバーがセットになった商品もあります。こういったものを購入し、猫の好みを見つけるのもおすすめ。

ウェットフードをまぜる

ドライフードにウェットフードをまぜることで、必要なご飯を食べるようになることもあります。

ウェットフードとは、魚肉を細かくして、ゼリー状の「あん」と混ぜ合わせたもの。基本的に多くの猫がこれを好みます。

(引用:カルカンブレッキーズ

どうしても食べないときはウェットフードを混ぜて、猫の食欲を刺激しましょう。またチュールなどのおやつやかつおぶし、猫缶などを与えるのも有効です。

香りを変える

香りを変えるのも有効な方法です。

景色をモノクロでしか認識できない猫は、「食べられるか食べられないか」の判断を、主に「どのような匂いがするか」によって決定しています。

つまり香りが出ていないなら、それは食べ物として認識しにくいわけですね。

しかしかつおぶしをまぶしたり、魚の煮汁をすこしかけたりすると、猫が興味を持つかもしれません。

また、カリカリに出汁パックを接触させることで、香り付けするテクニックも有名です。

食欲アップ!フードを与える時のひと工夫 | 相模原市の動物病院『アム動物病院』

(引用:アム動物病院

もし家にだしパックがあるなら、ぜひ試してみてください。

置き餌を控える

ここからは、「食べない」ではなく「食べ過ぎる問題」を解決する方法に関して解説します。

食べ過ぎが気になるなら、まず置き餌を控えましょう。つまり、キャットフードやおやつを常時食べられる状態しない、ということです。

片付けの手間や食事を途切れさせてはいけない意識から、置き餌をしているケースは多々あります。もちろんそうすることで、猫がお腹を空かせずに済むメリットはあるでしょう。

しかし置き餌をすると、対して栄養が不足しているわけでもないのに、余計に食べてしまうことがあります。

さらに置き餌をすることで風味が劣化し、主要な栄養源であるドライフードを食べなくなることも。

なお置き餌に関しては、多くの獣医師が避けるように主張しています。そういった理由からも、ご飯を出しっぱなしにせず、毎回片付けることを推奨します。

食事の時間を定める

また、食事の時間を定めるのも重要です。これが猫にとっての習慣になると、他の時間ではご飯を必要としなくなり、食べ過ぎを防止できます。

さらに毎日の食事量を把握できるため、食欲の減退などに気づきやすくなるなどのメリットも得られるでしょう。

食事の時間に関しては、朝と夕方の2回に分けるのを推奨します。このように定めておけば、1日をとおして栄養を十分に供給できます。

猫のご飯量などに関する注意点

猫のご飯の量、もしくは与え方に関しては、いくつかの注意点があります。

  • おやつ・ウェットフードを与えすぎないようにする
  • 保存方法には気を遣う
  • 食器を定期的に清掃する

猫の健康状態は、食事によって左右され、飼い主が十分に注意を払う必要があります。しかしそれが周知されていないのが実情です。

ここでは上記した重要な注意点に関して解説するので、参考にしてください。

おやつ・ウェットフードを与えすぎないようにする

まず、おやつやウェットフードを与えすぎないようにしましょう。そればかり食べるようになるからです。

基本的に猫は、カリカリよりもおやつやウェットフードを好む傾向があります。これは、子どもが通常の食事よりもおやつを好むことに似ています。

つまりおやつやウェットフードばかり与えていると、カリカリに興味を示さなくなる場合も。そうすると基本的な栄養バランスが崩れてしまい、結果的に健康を害することになります。

猫が体調を守るためにも、おやつやウェットフードを与えすぎないようにしましょう。

人間の食べ物を与えるのも基本的にはNG

また、人間の食べ物を与えるのは、基本的にNGと考えましょう。たとえば以下のものは、猫が食べてはいけない「禁忌物」の代表例です。

  • 生イカ
  • 生タコ
  • じゃがいも
  • 長ネギ
  • ニラ
  • アルコール
  • ナッツ類
  • チョコレートetc.

アルコールやじゃがいもを与えることは、まずないでしょう。

しかし「猫は海産物が好き」という先入観から、生のエビやイカなどを与えてしまうのは、意外にもありがち。

こういった禁忌物の存在を把握し、与えない、誤食しないように工夫しましょう。

なお観葉植物も、猫にとっては禁忌物である可能性があるので、撤去するなどの対処が必要にあります。

保存方法には気を遣う

また保存方法には細心の注意を払うようにしましょう。

ドライフードの保存状態が悪いと、腐る、湿気るなどの問題が生じます。そうすると食あたりや食欲減退などのトラブルが起こるかもしれません。

チャック式のものであれば、チャックを閉めたうえで、巻き寿司のように巻き込み、輪ゴムで止めるなどしましょう。

そのほかジップロックなどの容器に保存するのも有効です。

さらに近年では、真空状態でドライフードを保存する容器なども販売されています。これはAmazonなどで数千円で購入可能です。

食器を定期的に清掃する

基本的なことではありますが、猫用の食器を定期的に清掃、洗浄するようにしましょう。

あまり頻繁に洗われない傾向にありますが、当然ながら放置しているとばい菌が繁殖します。極端な例では、それが原因で感染症にかかるかもしれません。

したがって食器に関しては定期的に清掃、洗浄しましょう。

なかには「抗菌」と銘打たれたものもありますが、それでも念のため、きちんと洗うこを推奨します。

時間がないときは、アルコールティッシュで拭くなどの対処でもかまいません。

よくある質問

本記事では猫のご飯の量に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。

  • おやつの適量はどれくらいか?
  • 留守番時のご飯量調整はどうすれば?
  • やはり高額なキャットフードのほうがよい?

いずれも猫の健康に深く関わるものです。それぞれ詳しく回答するので参考にしてください。

おやつの適量はどれくらいか?

多くの獣医師やブリーダーが、「おやつは1日の総摂取カロリーのうち10〜20%が望ましい」としています。

たとえば成猫において推奨される総摂取カロリーは200〜350Kcal、つまりおやつの適量は20〜70Kcalとなります。このような計算のもとで与えるようにしましょう。

ただしおやつの適量を大幅にオーバーすることは、そうありません。

(引用:いなばペットフード株式会社

これはおやつとして広く普及しているCIAOちゅ〜るの商品概要です。画像青枠内のとおり1本あたりのカロリーは7Kcalと低くおさえられています。

他のものも基本的には低カロリーでおさえられており、よほど偏った与え方をしない限り、適正量を逸脱することはないでしょう。

留守番時のご飯量調整はどうすれば?

留守番時のご飯量を調整するなら、自動給餌器を使うのがおすすめです。

このように、時間になると必要量のドライフードを排出します。価格は5,000円程度です。

自動給餌器があれば、留守時の食事量もきちんとコントロールできるでしょう。

やはり高額なキャットフードのほうがよい?

メーカーやブランドによっては、高額なキャットフードは、栄養面ですぐれているかもしれません。

ただし、それは必須ではありません。一般的な価格のキャットフード(カルカンブレッキーズなど)でも栄養バランスは十分に整えられており、また着色料を使わないなどの配慮もされています。

よほど特殊な事情がない限り、高額なキャットフードを与える必要はないでしょう。

まとめ

本記事では猫のご飯に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 猫のご飯の量は食事量計算シートで計算するのがおすすめ
  • 子猫期は、月齢に合わせた回数と量のミルクを与える(こちらの記事も参照のこと)
  • 成猫期は食べ過ぎに注意、シニア期は老化に配慮した量の調整を
  • ご飯を必要量食べない場合は、フードをふやかす、香りを変えるなどの工夫が必要
  • おやつやウェットフードは与えすぎないように
  • 適切な保存、食器の清掃も重要

猫のご飯の量の調整は、健康維持、肥満防止をはかるうえで重要です。基本的にフードのパッケージに適正量が書かれているので、それにしたがえば問題ありません。

ただし記載がない、もしくはそれ以上に厳密な量の調整を実施したいなら、食事量計算シートを利用しましょう。また、猫の食欲などに応じて、食べやすいように調整する、逆に食べすぎないよう配慮するといったことも重要になります。

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