猫が首輪を嫌がるのはなんで?装着を目標とした段階的なトレーニング

  • 「猫が首輪をつけたがらない」
  • 「すぐに外してしまう」
  • 「どんな首輪を選んでも嫌がって困っている」

このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

猫が首輪を嫌がるのには明確な理由があります。

それを把握して、適切に対処すれば、猫も首輪に慣れていきます

本記事では、猫が首輪を嫌がる5つの理由と効果的な対処法、首輪をつけるメリットについて詳しく解説します。

首輪選びに悩んでいる、愛猫に首輪を慣れさせたい方は、ぜひ参考にしてください。

猫が首輪を嫌がる理由

猫が首輪を嫌がる理由として、以下が挙げられます。

  • 身体に何かがついているのに違和感を覚える
  • 首輪の重量にストレスを感じている
  • 素材に対して不快感を覚えている
  • エリザベスカラー装着時の記憶を思い出している
  • しないはずの匂いがする

いずれか、もしくは複数が関係して、首輪を嫌がっていると考えられます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

身体に何かがついているのに違和感を覚える

まず、身体に何かがついていると違和感を覚える本能がはたらいているかもしれません。

猫は本来、身体に何も付けない動物です。また、野生の時代から「何かがくっついていること」は危険の兆候であり、現代の猫もそう感じる本能を残しています。

つまり、異物、すなわち首輪巻かれると、強い違和感を覚えます。

特に初めて首輪を付ける猫は、首元の感覚が変わることに強烈な抵抗を示すでしょう。

首輪の重量にストレスを感じている

また、首輪の重量にストレスを感じている場合も。

猫の首は細く繊細な構造であり、わずか数グラムの荷重でも相当な負荷がかかります。

体重3〜5kg程度の猫にとって、20gほどの首輪をつけるのは、人間でいえば1kg以上の重りを首に巻いているのと同じです。そう考えれば、重量がストレスになる理由がわかるでしょう。

また、GPS機能やマイクロチップなどが搭載されている首輪の場合、さらに荷重を感じてしまいます。

なお、重量が重く、かつきつく締まっていると、首輪ハゲに発展することも。

素材に対して不快感を覚えている

首輪の素材が猫の肌に合わないことも、嫌がる大きな理由です。

特に硬い革製品や合成皮革は、猫の柔らかい皮膚を刺激します

ナイロン製の首輪は比較的肌触りがよいですが、摩擦が起こりやすく、毛が絡まってしまうことも。

また、部分的な金属部品が冷たく感じたり、バックルが皮膚に当たって痛みを感じたりすることもあります。

猫の皮膚は人間よりはるかに敏感なため、素材選びは重要なポイントです。

さらに、素材によってはアレルギー反応を起こす猫もいることも知っておきましょう。、

エリザベスカラー装着時の記憶を思い出している

避妊・去勢手術や怪我の治療で、エリザベスカラーを付けた経験がある猫は、その記憶から首輪を嫌がることがあります。

猫は、基本的に経験とそれに関連したもの・ことを結びつけて記憶します。猫がキャリーゲージを嫌がるのも、これが原因。

もちろん、エリザベスカラーの装着感も例外ではありません。首に何かが巻きついていることで、トラウマを想起することがあります。

嫌な思い出と首輪の装着を切り離すまでには、ある程度時間と根気が必要です。

しないはずの匂いがする

首輪からしないはずの匂いがするから、嫌がっているのかもしれません。

新品の首輪には製造過程で付いた化学物質の匂いや、店舗での他の動物の匂いが残っています。

革製品の場合は、なめし剤の匂いが強く残っていることがあります。布製のものでも、染料や防水加工の薬品臭が猫にとって不快かもしれません。

これらを人間の数万倍すぐれた嗅覚で感じ取り、不愉快に思い、首輪を遠ざけることがあります。

また、猫は自分の匂いがついていないものを警戒する習性があります。「自分のものではない匂い」が首輪から感じられれば、やはり距離を置きたがるでしょう。

猫が首輪を嫌がるときの対処法

首輪を嫌がる猫も、適切な方法で慣らしていけば徐々に受け入れるようになります。

以下の対処法を試して、愛猫に合った方法を見つけましょう。

  1. サイズ・素材・デザインを見直す
  2. 匂いが定着するまで観察させる
  3. ごく短時間の装着を経験させる
  4. 装着した際にごほうびを与える

これらを踏まえて、少しずつ首輪に慣れさせましょう。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

1.サイズ・素材・デザインを見直す

まずは、サイズと素材、そしてデザインを見直しましょう。

首輪のサイズは、猫の首回りに指2本が入る程度が理想的です。きつすぎると呼吸が苦しくなり、ゆるすぎると口に引っかかる危険があります。

素材は柔らかいコットンやシリコンなど、肌に優しいものを選びましょう。

以下のような革製のものは避けるのを推奨します。

出典:Amazon

デザインに関しては、シンプルなものがおすすめ。余計な装飾がついていると、荷重によるストレスを感じやすいです。

このような基準で首輪を見直し、必要であれば買い替えましょう。

2.匂いが定着するまで観察させる

続いて、匂いが定着するまで観察させましょう

新しい首輪は、すぐに装着せず、まず猫の生活空間に置いておきます。猫のベッドやお気に入りの場所の近くに置くと、自然に匂いを確認するでしょう。

首輪で遊ばせるのも効果的です。おもちゃのように扱うことで、首輪への警戒心が薄れるかもしれません。

猫が首輪の匂いを嗅いでも逃げなくなったら、装着の準備が整ったサインです。

3.ごく短時間の装着を経験させる

首輪を装着する場合は、まずはごく短時間から経験させましょう。少しずつ慣れさせることで、最終的には問題なく装着できるようになります。

最初は5分程度の短時間から始めましょう。

食事中や遊んでいる最中など、猫が他のことに集中している時に装着するとうまくいきます。

問題なければ10分、15分と徐々に延ばしていきます。

また、時間を経てばかならず外すことで、「首輪は永遠に付いているものではない」と理解させるのもポイント。

これを繰り返せば、最終的には問題なく装着できるようになります。

4.装着した際にごほうびを与える

3.を実施す際、首輪を付けたらすぐにおやつを与え、「首輪=良いことが起きる」という印象を持たせましょう。

おやつではなく、猫が好きなものであれば何でもかまいません。

また食べ物に限らず、コミュニケーションもごほうびになります。

よく撫でたり、優しく声をかけたりして、安心感を与えましょう。

猫に首輪をつける理由とメリット

猫に首輪を装着することには、さまざまな理由とメリットがあります。

  • 迷子になったときに追跡しやすくなる
  • 飼い猫であることを周知できる
  • 災害時にリードでコントロールしやすくなる

特に、迷子になったときの対策として大きな意味があります。

首輪は単なるアクセサリーではなく、猫を守るための有力なペット用品でもあります。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

迷子になったときに追跡しやすくなる

まず、迷子になったとき、首輪があれば追跡しやすくなります。特にGPS機能が搭載されたものなら、かなり正確に場所を特定できます。

さらに、ほかの猫なのか、それとも飼い猫なのかを判別する目印にもなります。

目立つ色のものであれば、夜間でも視認しやすいでしょう。

やはり、特にGPS機能は強力です。首輪を購入する際は、これが搭載されているものを優先的に選びましょう。

飼い猫であることを周知できる

また、飼い猫であるとアピールできるのもメリットです。

首輪を付けた猫は、一目で「飼い猫」とわかります

つまり、野良猫と間違われて、保健所に連れて行かれるリスクを減らせるでしょう。

また、地域猫活動が盛んな地域では、首輪の有無が重要な判断基準です。首輪がない猫は、TNR(野良猫を捕獲し不妊手術をして元の場所に戻す活動)の対象になるかもしれません。

TNR活動イメージ図

出典:NECOREPUBLIC

また飼い猫であると分かれば、警察や周辺住民の手によって保護されやすくもなります。

災害時にリードでコントロールしやすくなる

災害時のことを考えても、首輪を装着するメリットがあります。

地震や火災などの災害時、猫と一緒に避難する必要が生じます。この際、首輪があれば、リードを装着して安全に移動できます

また、避難所では、ペットの管理が求められることがあります。首輪とリードのセットがあれば、管理も用意になるでしょう。

ただし、災害時に問題なく首輪とリードを装着するには、普段からこれに慣れさせておくのが大切です。

関連記事:猫と一緒にいるとき地震が来たらどうする?命を守るためにできること

猫の首輪選びで重視すべきポイント

猫にあった適切な首輪を選ぶことで、ストレスを大幅に軽減できます

以下のポイントを確認して、猫に最適な首輪を選びましょう。

  • セーフティバックルの有無を確認する
  • 軽量で柔らかい素材を選ぶ
  • 適切なサイズ調整ができるものを選ぶ
  • 反射材や蛍光色で視認性を確保する

これに加えて、先述のとおりGPS機能が搭載されたものを選ぶのがおすすめです。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

セーフティバックルの有無を確認する

まず、セーフティバックルの有無を確認しましょう。

セーフティバックル(安全バックル)は、一定の力が加わると外れる仕組みのこと。首輪が何かに引っかかった際、猫が窒息する事故を防ぎます。

出典:Amazon

上図正面、水色の部分がセーフティバックルに該当します。

通常は3〜4kgの力で外れるように設計されています。猫の体重や力に合わせて、適切な強度のものを選びましょう。

特に活発な猫や、高い場所に登る猫には必須の機能です

軽量で柔らかい素材を選ぶ

基本的に軽量化つ柔らかい素材の首輪を選びましょう。

理想的な首輪の重さは10g以下です。特にシリコン製やナイロン製の首輪は軽く、猫への負担が少なくなります。

また、コットンやフェルト素材は肌触りがよく、アレルギーのリスクも低くなります。通気性の良い素材を選べば、皮膚トラブルも防げるでしょう。

ただし、猫によって素材に対する好き嫌いがあります。猫の反応も参考に、素材を選びましょう。

適切なサイズ調整ができるものを選ぶ

できればサイズ調整ができるものを選びましょう。

猫の首回りは成長や体重変化で変わります。調整可能な首輪なら、常に適切なフィット感を保てるでしょう。

サイズの目安は、首輪と首の間に指が2本入る程度です。きつすぎると血行不良や呼吸困難の原因となり、ゆるすぎると抜けてしまいます。

また、マジックテープ式やスライド式のものも、調整がしやすいでしょう。

なお、成長期の子猫は、特に頻繁なサイズ確認が必要です。体が大きくなる見込みがあるなら、やはりサイズ調整がしやすいものが望ましいでしょう。

反射材や蛍光色で視認性を確保する

暗い場所でも猫の位置がわかるよう、反射材付きの首輪を選びましょう。これは、夜間の事故防止に効果的です。

蛍光色の首輪は、昼間でも目立ちやすくなります。迷子になった際の発見率も高まるでしょう。

出典:Amazon

LED付きの首輪もありますが、重量と電池交換の手間を考慮する必要があります。光る首輪を嫌がる猫もいるため、様子を見ながら使用しましょう。

猫と首輪に関するよくある質問

本記事では、猫が首輪を嫌がるケースに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。

  • 完全室内飼育でも首輪は必要?
  • 首輪が口に引っかかるときは?
  • シュシュタイプの首輪は安全?

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

完全室内飼育でも首輪は必要?

完全室内飼育でも、首輪の装着をおすすめします

どんなに注意していても、脱走の可能性は否定できないからです。

たとえば、来客時のドアの開閉、窓の閉め忘れ、地震による破損など、予期せぬ状況で猫が外に出てしまうことも。

災害時の避難を考えても、首輪はあったほうがよいでしょう。

ただし、24時間装着する必要はありません。日中だけ、または来客時だけなど、状況に応じて使い分けてもかまいません。

首輪が口に引っかかるときは?

首輪が口に引っかかるのは、サイズが大きすぎることが主な原因です。

すぐにサイズを調整し、指2本が入る程度のフィット感にしましょう。

猫が首輪を外そうと前足でかいているうちに、口に引っかかることもあります。首輪への慣れが不十分なので、装着時間を短くして徐々に慣らしていきます。

セーフティバックル付きの首輪なら、引っかかっても外れるため安全です。定期的な観察と適切なサイズ調整を心がけましょう。

シュシュタイプの首輪は安全?

出典:Amazon

シュシュタイプの首輪は見た目がよく、柔らかい素材で猫への負担も少ないように見えます。しかし、安全性には注意が必要です。

布が厚いため、引っかかった際に首を絞める危険性があります。セーフティバックルが付いていないものが多く、緊急時に勝手に脱落しません。

装飾目的で短時間使用する分には問題ありませんが、常用には向きません。

写真撮影など、飼い主が見守れる状況での使用に留めましょう。

猫は首輪の鈴を嫌がる?

多くの猫は、首輪の鈴を嫌がります。猫の聴覚は人間の3倍以上の周波数を聞き取れるため、鈴の音は想像以上に大きく聞こえています。

常に音が鳴ることで、ストレスが蓄積し、行動が消極的になる猫も。

神経質な猫や高齢猫には、鈴なしのものを選ぶのがよいでしょう。

どうしても鈴が必要な場合は、音の小さいものを選び、慣れるまで時間をかけましょう。猫の様子を観察し、ストレスサインが見られたら使用を中止すべきです。

まとめ

本記事では、猫が首輪を嫌がる理由と対処法について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

  • 猫が首輪を嫌がるのは違和感や重さ、素材への不快感が原因
  • サイズや素材を見直し、段階的に慣らすことが大切
  • 一度慣れたら、問題なく装着を継続できる
  • 首輪は迷子対策や災害時の備えとして重要な役割がある
  • セーフティバックル付きの軽量な首輪を選ぶべき
  • GPS機能はできる限り確保したいところ
  • 鈴の有無は猫の性格と環境に応じて慎重に検討する

猫が首輪を嫌がる理由を理解し、適切な対処すれば、基本的には問題ありません。

ぜひ本記事を参考に、愛猫に合った首輪選びと慣らし方を見出しましょう。

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