2025.11.29

このような疑問を持っている飼い主の方は多いのではないでしょうか。
猫の健康診断は、病気の早期発見・早期治療につながる重要な機会です。
猫は体調不良を隠す習性があるため、飼い主が異変に気づいたときにはすでに病気が進行しているケースも少なくありません。
今回は、猫の健康診断が必要とされる理由や検査内容、費用の目安、発見できる病気について詳しく解説します。
愛猫の健康を守りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
猫の健康診断には、病気の早期発見をはじめ、さまざまなメリットがあります。主な理由は以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
健康診断の最大のメリットは、病気を早期に発見し、すぐに治療を開始できる点です。
猫は言葉で体調不良を伝えられないため、血液検査や画像検査で臓器の状態をチェックすることが欠かせません。
健康診断で早めに見つかれば、治療によって元気に過ごせる期間を延ばせます。
健康診断を受けている猫の24%で病気や異常が見つかっており、7歳以上では30%に上るというデータもあります。

参考文献:PRTimes-<ペットの健康管理に関する実態調査>犬猫の定期健康診断受診率は増加が続く!~2月22日(にゃんにゃんにゃん)は「猫の健康診断の日」~
特に泌尿器の病気は発見率が高く、見つかった病気の38%を占めています。
猫には、けがや病気を周囲に気づかれないよう隠す習性があります。野生動物としての本能で、弱っている姿を見せると外敵に狙われやすくなるためです。
不調を感じた猫は、飼い主から見えない場所に隠れてしまうことも珍しくありません。
限界まで辛さを我慢してしまう傾向があるため、飼い主が異変に気づいたときには病気が進行しているケースも多いのです。
だからこそ、飼い主が積極的に健康状態を確認する必要があります。
健康診断では、猫が元気なときの数値を記録として残せます。体調が悪化した際に、普段の数値と比較することで異常を見つけやすくなるためです。
たとえば、貧血の指標であるHCTの基準値は32〜45%です。普段42%だった猫が32%まで下がっていた場合、数値上は正常でも何らかの異常が起きていると判断できると言えるでしょう。
心臓や腎臓の大きさも健康なときに測定しておくと、のちに異常の早期発見に役立ちます。
健康診断は、猫の生活習慣やお手入れについて獣医師に相談できる貴重な機会でもあります。
普段の診察では聞きにくい細かな質問や、飼い主だからこそ気づく微妙な変化についても相談可能です。
食事やおやつの選び方、かかりやすい病気の予防法、歯垢や口臭が気になる場合のケア方法など、あらゆる情報を得られるでしょう。
このような貴重な情報を得られるのは、健康診断ならではのメリットです。
猫の健康診断では、さまざまな検査を通じて体の状態を詳しく調べられます。ここでは検査内容や費用について解説します。
検査内容を理解し、必要があればオプション検査も検討しましょう。
猫の健康診断で行う基本的な検査は、「身体検査」「血液検査」「尿・便検査」の3つがセットになったものです。
身体検査では、体重・体温測定に加え、視診・触診・聴診で全身の状態を確認します。また、目視により目や耳、口の中、皮膚などを観察し、触診ではリンパ節の腫れやしこりの有無をチェックします。
血液検査では、赤血球・白血球・血小板などを測定する「血球計算」と、肝臓や腎臓などの臓器機能を調べる「生化学検査」を実施します。
さらには尿検査では尿タンパク、pH、結晶の有無などを確認し、猫に多い泌尿器疾患の早期発見を図ります。
基本的な検査項目だけで、しっかりと健康状態を確認できるといえるでしょう。
検査内容に関して、ロイヤルカナンの獣医師解説も参考となります。
健康診断の所要時間は検査項目によって異なりますが、基本的な検査であれば15分〜30分程度で終わることが多いです。
ただし、超音波検査など詳細な検査を追加する場合は、1〜2時間程度かかることも。
診断は、まず問診から始まります。普段の食事の量や排泄の様子、気になることなどを獣医師に伝えましょう。食欲の変化や飲水量、排尿・排便の回数などを聞かれる場合もあるので、控えておくとよいでしょう。
その後、触診・視診・聴診を含む身体検査を行い、採血や尿検査・便検査と進みます。
検査結果は当日わかるものが多いですが、外部の検査機関に送る項目は数週間かかることもあります。結果の説明を受ける際に、気になることがあれば遠慮なく質問しましょう。
猫の健康診断にかかる費用は、動物病院や検査項目によって異なります。ただ、基本的な検査の目安は10,000円〜15,000円と考えて問題ありません。
基本検査には問診、身体検査(視診・触診・聴診)、血液検査、尿検査、便検査などが含まれます。
レントゲン検査は3,000〜5,000円、超音波検査は5,000〜10,000円を追加すれば実施できます。
春や秋には以下のような健康診断キャンペーンを実施している動物病院もあるため、費用を抑えたい場合はそうした機会を活用するとよいでしょう。

出典:淀川中央病院
そのほか、以下のオプション検査を受けることも可能。
ただし、毎回受けるのは一般的ではありません。
過去に疾病があった箇所のみを受けるなど、カスタマイズするのがよいでしょう。
たとえば過去に眼科的な疾病があった場合にのみ、眼科検査を受けるなどの方法が考えられます。
健康診断では、猫に多い病気を早期に発見できます。ここでは代表的な病気と予防策を紹介します。
それぞれの特徴と予防策を詳しく見ていきましょう。
慢性腎臓病は高齢猫の代表的な病気で、15歳以上の猫のたいていがかかっているという報告があります。
腎臓の機能が徐々に低下し、老廃物や毒素を体外に排出できなくなる病気です。死に至る可能性も多く、もっとも警戒が必要な病気だと言えるでしょう。
初期症状として多飲多尿(水をたくさん飲み、尿の量が増えて色が薄くなる)が見られます。
飲水量が急に増えた、トイレの回数が増えたと感じたら要注意です。進行すると食欲低下、体重減少、嘔吐、被毛の光沢低下などの症状が現れるのも特徴。
腎臓は機能の約7割が失われるまで症状が出にくく、一度壊れると元に戻りません。
早期発見が重要で、尿検査や血液検査で腎機能の低下を見つけられます。予防策として、塩分の多い食事を控えること、新鮮な水をいつでも飲める環境を整えること、定期的な尿検査が推奨されます。
また、「イヌトウキ」と呼ばれる植物を使ったサプリメントでも改善するといった報告もありました。
関連記事:猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)とは?治療法や予防法を解説
甲状腺機能亢進症は、喉の近くにある甲状腺(体の代謝をコントロールする器官)からホルモンが過剰に分泌される病気です。
典型的な症状として以下が挙げられます。
一見元気に見えるため見逃されやすく、家庭における観察ではまず発見できません。放置すると心筋症や高血圧などの合併症を引き起こすなど、リスクも高い病気です。
診断は血液検査で甲状腺ホルモン(T4)を測定して実施します。
治療には内服薬、療法食、外科手術などの選択肢があり、早期発見と適切な治療で症状を管理しながら良好な経過が期待できます。
こういった病気を発見できることからも、健康診断は重要だと言えるでしょう。
糖尿病は中高齢の猫に見られる病気で、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の作用不足により血糖値が高くなります。
主な症状は多飲多尿、食欲の増加または減少、体重減少など。
甲状腺機能亢進症と症状が似ている(よく食べるのに痩せる)ため、正確な診断には血液検査が必要です。
進行するとケトアシドーシス(体内に有害な物質が蓄積する状態)という命に関わる状態に陥ることもあります。
健康診断では血液検査で血糖値を確認し、尿検査で尿糖の有無をチェックして早期発見につなげます。
なお猫の糖尿病は肥満と強い関連があり、特に去勢手術後の猫は太りやすいため注意が必要です。
膀胱炎や尿路結石は猫に多い泌尿器疾患で、健康診断で見つかった病気の38%を占める病気。
膀胱炎は頻尿、血尿、排尿時の痛みなどの症状が見られ、トイレ以外の場所で排尿することもあります。
尿路結石は尿路に石がたまる病気で、尿道に詰まると尿が出せなくなり命にかかわることもあります。猫は尿を濃縮する能力が高いため、結石ができるのは珍しくありません。
尿検査を受ければ、尿における成分の異常値、結晶や細菌の有無、尿比重などを確認し、早期発見につなげられます。
予防策として、十分な水分摂取を促すこと、適切な食事管理、トイレを清潔に保つことが挙げられます。
ウェットフードを取り入れたり、複数の場所に水飲み場を設置したりする工夫もよいでしょう。
参考文献:PRTimes-<ペットの健康管理に関する実態調査>犬猫の定期健康診断受診率は増加が続く!~2月22日(にゃんにゃんにゃん)は「猫の健康診断の日」~
本記事では、猫の健康診断に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
猫の健康診断は0歳から受けられます。先天的な病気を見つけるためにも、0歳のうちに受けることが、獣医師らから推奨されています。
実際に0歳〜3歳の子猫に血液検査を実施したところ、4.1%で異常値が検出されたというデータもあります。
初めての健康診断は、2回目の混合ワクチン接種時(生後3〜4か月頃)が目安。
成猫は年に1回、7歳以降のシニア猫は年に2回の受診が推奨されています。
保護猫を迎えた場合は、先住猫がいる場合の感染症リスクを考慮して早めに受診しましょう。
参考文献:Team HOPE-猫の健康診断はどうして必要なの?
病院嫌いな猫でも工夫次第で健康診断を受けられます。まず、普段からリビングにキャリーを置いておき、中でおやつをあげることで「キャリー=病院」というイメージを払拭しましょう。
キャリーを日常の一部にすることで、移動時のストレスを軽減できます。
移動時はキャリーにタオルをかけて外が見えないようにすると、猫が安心しやすくなります。暴れる猫には洗濯ネットが有効で、そのまま足だけ出して検査を受けることも可能。
どうしても難しい場合は、往診を検討する方法もあります。
また、まずは尿だけを病院に持っていく方法もおすすめです。これなら、猫は尿検査から見つけられる病気だけは見つけられるでしょう。
キャリーケースではなく普通のバッグに入れる方法もあります。
猫とお出かけ。
この子はキャリーケースは嫌がるけど
普通のバッグだと大人しく座っていてくれる
この街は車は通行禁止の街なので
轢かれる心配が無いの良い🙏 pic.twitter.com/QUT5VF1c3b— 梵栽 (@sapoterenaco) December 21, 2024
血液検査やエコー検査を受ける場合、基本的には絶食が必要です。お腹に食べ物が残っていると、血糖値や中性脂肪などの検査結果に影響を与えることがあるためです。
一般的には12時間ほどの絶食が推奨されており、検査が午前中なら前日の夜から食事を抜きましょう。
水は飲んでも問題ない場合が多いですが、予約時に具体的な指示を確認しておきましょう。
持病があって薬を飲んでいる場合は、当日の投薬についても獣医師に確認が必要です。
基本的に、猫の健康診断の費用はペット保険の対象外です。健康診断は病気の治療ではなく予防や早期発見が目的のため、保険適用となりません。
ただし、健康診断で病気が見つかり治療が必要になった場合、その治療費は保険対象になることがあります。
詳細は加入している保険会社に確認しましょう。病気になった際の治療費と比較すれば、定期的な健康診断のほうが安く済みます。
本記事では、猫の健康診断について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
猫の健康診断は、愛猫と長く一緒に暮らすための大切な習慣です。ぜひかかりつけの動物病院に相談して、定期的な健康診断を始めてみてください。
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