2023.07.31
このように思っている人は多いでしょう。
慣れるまでの期間は、野良猫の性格や用意する環境、そして引き取り主の接し方により異なります。具体的には早ければ2週間、長ければ6ヶ月ほどかかるでしょう。
野良猫の性格は変えられないので、今できるのは環境を整え、引き取り後の接し方を知ることです。本記事でそれらの点を解説するので参考にしてください。
もくじ
保護猫を引き取る場合、事前に以下の準備を済ませておきましょう。
これだけ準備しておけば、保護猫も早い段階で慣れてくれるでしょう。
なお2週間ほどお試しで引き取る「トライアル飼育」を実施する場合も、上記の準備が必要です。
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
※保護猫の引き取り、もしくはトライアル飼育をするまでの流れはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。
最初にやるべきは脱走防止です。
連れて来られた保護猫は、ほとんどの場合脱走するうえ、逃げ出したあとで帰ってくることもありません。
トライアル飼育の場合は猫を行方不明にさせたことになるため、保護猫団体に大きな迷惑をかけることになります。脱走させないために、以下の対策を取りましょう。
特に効果的なのはケージ内で飼育することです。慣れないうちにこれを徹底すればまず脱走されません。
ケージを使わない場合は、とにかく扉や窓から出られないように徹底して防ぎましょう。押入れやクローゼットの中には出入りできる隙間があるケースもあるので、確認する必要があります。
なお防止柵の設置に関しては以下が動画が参考になります。
動物病院でのマイクロチップ注射をするのもおすすめです。これなら万が一脱走した場合でも、探し出せるようになります。
(引用:環境省)
動物病院では、GPSで位置情報を発信するマイクロチップを注射で埋め込むことが可能です。費用は5,000円〜10,000円で、処置にかかる時間は数分程度。
お金はかかりますが、行方不明になる心配を避けたいならおすすめです。
なおトライアル飼育中の保護猫に、無断でマイクロチップ注射を打ってはいけません。
怪我や物の破損を防ぐため、以下のように住環境を整えます。
猫は好奇心が旺盛で、危険を顧みず移動したり、物に触ったりします。こういったことを避けるため、上記のように環境を整えましょう。
飼育に必要な猫用品もきちんと揃えましょう。
かなりの種類が必要ですが、猫を育てるためには最低限これだけのグッズが必要です。引き取りが決まる前から、少しずつ買い揃えていくとよいでしょう。
ちなみに手袋は怒った保護猫の噛みつきによる怪我を防ぐために使います(下動画参照)。
ひっかきやかみつきでケガをすると病気にかかることがあるので注意してください。
ケガをしたら消毒液と絆創膏で手当てしましょう。
引き取る前に隠れ場所を用意しておきましょう。
保護猫は引き取られた直後、緊張や恐怖から強いストレスを感じています。負担を軽減するため、一匹で隠れられる場所を用意する必要があります。
そう考えるならキャットタワーがおすすめ。猫は高くて狭いところが好きなので、タワーの頂上でほっと一息つけるはずです。
キャットタワーを用意するのが厳しければ、段ボールなどを使うのもよいでしょう。それを押入れやクローゼットなどに配置して、隠れ場所にしましょう。
関連記事▶︎保護猫シェルターとは?猫を引き取ってもらうには?作り方も解説
最後に、近所にあいさつしておきましょう。これである程度トラブルを予防できるからです。
猫を飼い始めると、少なからず騒音や匂いが発生します。近隣住民に対して、事前にその点を説明し、「できるだけ迷惑かけないように努力する」と伝えましょう。
特にマンションの2階以上に住んでいる場合、下の階層の住民には必ずあいさつしましょう。猫の足音は階下に響くため、理解を得ておかないとトラブルになりやすいからです。
そして実際に迷惑がかからないように、騒音や匂いに関してきちんと対策しましょう。
保護猫に慣れてもらうためには、相当の工夫が必要です。具体的には以下のステップで進めるのがおすすめです。
引き取り直後の猫は、不安や恐怖を感じています。その点に配慮し、慎重に距離を縮めていけなければいけません。
それぞれのステップを解説するので参考にしてください。
保護猫を引き取りした場合、ケージ飼育から始めましょう。
引き取られた直後は攻撃的になっており、まともにコミュニケーションが取れません。
ケージがないと保護猫に余計なストレスがかかったり、こちらが攻撃されて怪我をしたりします。
またここでつまずくと「恐ろしい敵」と認識され、その後まったく仲良くなれないかもしれません。
最初はケージで飼育するようにしましょう。
ケージで飼育している際、設置した布や段ボールに隠れて出てこないことがあります。この場合、無理に引っ張り出す必要はありません。
そもそも猫は狭くて暗い場所を好みます。しかも引き取り直後は不安や恐怖を感じています。
そのため、いっそう狭くて暗い、外敵が入ってこられない場所にこもりがちなわけですね。
にもかかわらず無理に引き出そうとすると、大きなストレスになってしまいます。隠れているときは、出てくるまで気長に待ちましょう。
ケージ飼育をしながら、以下のように少しずつコミュニケーションを取りましょう。
保護猫の様子が落ち着くまで、このようなコミュニケーションを繰り返しましょう。最初はケージ越しに引っ掻いたり噛みついたりしようとしますが、徐々におとなしくなるはずです。
なおチュールを与えるなどする際は、怪我とそれにともなう感染症を防ぐため、かならず軍手やゴム手袋をつけましょう。
保護猫の攻撃的な態度が落ち着いたら、ケージの外に出し、フリーローミング(自由に歩かせるトレーニング)を実施しましょう。
もし外に出した段階で怒っているようなら、もう一度ケージ内に戻します。問題がなさそうなら、自由に歩かせましょう。
風呂やトイレ、どこを歩かせてもかまいません。ただし脱走だけには注意しましょう。
この段階ではまだ住宅を「自分の家」とは思っておらず、逃げたまま帰ってこない可能性が高いです。先ほどのとおり窓やドアを閉じたり、ネットをつけたりして、逃げさ出せないようにしましょう。
また以下のような防止柵を設置するのも有効です。
フリーローミングが終わったら、以下のように猫と触れ合いましょう。
このような触れ合いを通じて、少しずつ距離を縮めていきます。
注意点は、可愛いからといってベタベタしすぎないことです。猫は人間とは分かり合える生き物ですが、常に引っついていたいわけではありません。
ずっと触られたり構われたりするとストレスになってしまいます。あまりかまって欲しそうにないなら、そっとしておきましょう。
猫と仲良くなれたら、いったん健康状態を確認しましょう。
ここまである程度ストレスを感じているため、心身になんらかの影響が出ているかもしれません。もし気になることがあれば、ただちに動物病院へ連れていきましょう。
よりスムーズに保護猫を慣れさせるには、以下のコツを実践しましょう。
これだけのことができれば、保護猫との距離もグッと縮まるはずです。それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
保護猫に慣れてもらいたいなら、とにかくグッズを充実させましょう。
最近では猫との暮らしを支えるため、以下のような便利で役立つ猫用グッズが多数販売されています。
このようなグッズを揃えて活用しましょう。
たとえばチュールは、人に慣れてもらううえで非常に役立ちます。多少機嫌が悪くてもチュールさえあれば何とかなる場面もあります。
(引用:Amazon)
もちろん与えすぎは良くありませんが、仲良くなるためのきっかけとしてうまく活用しましょう。
まずは猫が怖がらない接し方を身につけましょう。ポイントは以下3つです。
もっとも大切なのは目線を平行にすることです。「自分と同じくらいの大きさの生き物」と思わせられるので、恐怖心を与えません。
意外とやりがちなのが、猫をじっと見つめることです。獲物として狙われていると誤解され、嫌われてしまうかもしれません。
まずはこの接し方を覚えて、普段から接するようにしましょう。
猫を撫でるのはよいことですが、場所には気をつけましょう。
(引用:南大阪動物医療センター)
上図は、猫がどこを触られたとき、どう感じるかを示した図です。
顔や頭、尻尾の付け根あたりは喜びます。しかし後ろ足の付け足を触られるのは好みません。
そしてお腹は相当仲良くなってからでないと触るべきでありません。「しばくぞ(=叩くぞ)」とされているように、触った途端噛みつかれることもあります。
まだ慣れていないなら、後ろ足の付け根やお腹は触らないようにしましょう。もちろん仲良くなれれば触れるようになり、それがよいコミュニケーションになることもあります。
以下のような猫が嫌う匂いは、できるだけ出さないようにしましょう。特に以下には注意が必要です。
これらの匂いは、芳香剤や洗剤で使われており、完全に取り除くのはむずかしいでしょう。
ただ、使用量を減らしたり、匂いが弱いものに変えたりして、できるだけ保護猫のために配慮するのがおすすめです。
タバコに関しては、消臭スプレーを撒いてカバーしましょう。また千葉県によれば「副流煙は猫の健康に悪影響を与える」とのことです。
(引用:千葉県)
保護猫と暮らすなら、禁煙したり、外で喫煙したりするなど工夫したいところです。
また、しばらくは模様替えをしないようにしましょう。環境の変化が、保護猫のストレスになるからです。
猫は常に「周囲の状況が、昨日と同じかどうか、新しい危険が迫っていないか」を細かく確認しています。家のあちこちを歩き回ったり、外へ出てパトロールしたりするのは、この習性によるものです。
よって模様替えでモノの位置が変わったり、見たことのないものが置かれていたりするとストレスになります。特にお気に入りの段ボールやキャットタワーなどが動かされると、より強い不安を与えるでしょう。
保護猫が慣れていないあいだは模様替えを控えるのをおすすめします。
本記事では、保護猫に関して解説しました。ここでは引き取りなどに関するよくある質問に回答します。
保護猫の引き取りに関しては、事前に知っておくべきことがたくさんあります。
特に上記に関しては、よく理解しておきたいところです。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
残念ながら保護猫の引き取りに失敗することはあります。たとえば以下の理由で、飼育を断念したり、トライアル飼育の段階で終了したりするかもしれません。
保護猫を引き取るにはいろいろなハードルがあり、うまくいくとは限らないのが実情です。しかし住環境を整えたり、別な保護猫とマッチングしたりすれば、問題なく引き取れることもあります。
保護猫と暮らす方法がないか、諦めずに探ってみましょう。
先住猫がいる場合は以下のように対応してください。
先住猫がいる場合、ほんの少しずつ距離感を縮めていく必要があります。
喧嘩やケガを避けるため、いきなりお互いが触れ合える状態で対面させるべきではありません。匂いの交換から始めて少しずつ距離を縮めていきましょう。
なお梅本獣医科の公式サイトでは、先住猫と保護猫を対面させるまで2週間ほどの隔離期間を設けるべきだとする見解がありました。
(引用:梅本獣医科)
私たちが新しく猫を引き取る場合にも、同様の隔離期間が必要だと考えています。対面させるまでの期間は2週間を目安にしてください。
まれに一生なつかない猫もいます。
たとえば人間にいじめられたり、他の動物に食べられそうになったりして、トラウマを抱えている子です。近づくものすべてを敵と認識し、ずっと仲良くなれないかもしれません。
とはいえ、基本的に猫は人間と分かり合える動物です。下記動画のように、引き取り直後は攻撃的でも、時間が経てば仲良くなれるケースが大半。
大切なのは、猫に信頼されるため、思いやりを持って接することです。仲良くなれると信じて地道に関係性を築いていきましょう。
本記事では、保護猫が家に慣れるまでの期間に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
保護猫は繊細な生き物で、新しい環境に慣れるまで少なくとも2週間、長ければ半年かかります。
そして、環境を整えたりグッズを購入したりとやることもたくさんです。
しかし時間と労力をかければ、ほとんどの場合で保護猫は心を開いてくれるはず。たいへんな取り組みですが、根気よく続けて、猫との新しい暮らしを迎えましょう。
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