保健所で猫を引き取りしてもらえる?やむを得ず殺処分する場合について

本記事を読んでいる人は、何らかの理由で猫が飼えなくなり、引き取って欲しいと考えているでしょう。

この場合国が運営する保健所に持ち込めば、制度上は引き取ってもらえる可能性があります。

しかし引き取りしてもらうための条件は相当厳しく、また処分費用も必要です。

そこで本記事では以下について解説します。

  • 保健所で、猫を引き取り(殺処分)してもらう場合の条件や費用、手続きの流れ
  • 殺処分ではなく、猫を生涯大切に育ててくれる保護施設と里親について
  • 【里親希望者向け】殺処分前に猫を引き取る方法

猫の引き取りを考えている方は、本記事で引き取り先を見つけましょう。

保健所で猫を引き取り(殺処分)する場合の費用・条件・手続きの流れ

ドリームボックス制御装置

まずは保健所で猫を引き取ってもらう、つまりやむをえず殺処分するケースを考えましょう。

最初に断っておくと、連れて行った途端にすぐ引き取りしてもらえることはあり得ません。

まずは保健所が定める条件と費用、手続きの流れを知りましょう。

引き取りの条件はかなり厳しい

最初に知って欲しいのは、保健所での引き取り条件は非常に厳しく、殺処分ケースはほとんどないことです。

引き取られるのは、以下のように最大限努力しても猫を飼えない場合に限ります。

  • 新しい飼い主は探したか?
  • 複数の仔猫なら何頭か譲れないか?
  • 老猫ならあと少しの間一緒に過ごし看取ることはできないのか?
  • しつけは十分か・うまくいかないならNPO法人などでのトレーニングを受けたか?
  • 行政に飼い続ける方法を相談したか?
  • 転居するなら、ペット可の住居を選ぶことはできないか?
  • 拾ってきた猫なら責任を持って自分で飼えないか

つまり飼い主には飼い続けるために最大限の努力をしたか、厳しく問われています。 まだほかにできることはないか、一度振り返ってみてください。

引き取り条件が厳しい理由

引き取り条件が厳しいのは、自治体がただの一頭でも殺処分対象の猫を減らしたいからです。

環境省の発表によれば、2020年度には19,705頭の尊い命が、ガス室で蒸し焼きにされて失われています。

この状況を変えるために引き取り条件を厳格にし、不幸な猫を減らそうとしているわけです。

アクションプラン

(引用:環境省)

上記のようなアクションプランを考え、官民一体で殺処分を減らそうとしています。

その背景を踏まえて、本当に殺処分で良いのか、一度冷静に考えましょう。

相場は1頭あたり4,000円〜6,000円

引き取りにかかる相場は1頭あたり4,000円〜6,000円です。

東京都、埼玉県に問い合わせたところ、大抵がこの金額を費用として設定していました。

仔猫の場合の費用生後91日未満でなら、埼玉県のケースでは10頭ごとに4,000円、つまり仔猫だとさらに1頭400円となります。

殺処分での金銭的負担は大したものではありませんが、お金以上に大切なものを失わないかよく考えましょう。

猫を引き取ってもらうまでの流れ

保健所で猫を引き取ってもらうまでの手続きの流れは以下のとおりです(埼玉県の場合)。

  • 自治体の保健所に連絡する
  • 保健所から飼育状況についてヒアリングを受ける
  • 引き取りを回避する方法についてアドバイスを受ける
  • 引き取りの条件を満たされたと判断された場合は猫を保健所に連れて行く
  • 処分費用を支払い、猫を引き渡す

文字に起こすとスムーズそうですが、下記のように実態は簡単ではありません。

保健所は殺処分を回避するために全力を尽くす

保健所は猫の引き取り依頼があったとき、殺処分を回避するためなら全力を尽くします。

埼玉県などいくつかの自治体にある保健所へ問い合わせたところ、以下のように回答されました。

  • 問い合わせがあれば、本当に殺処分しか道がないのか、徹底的に状況ヒアリングする
  • なんとかして飼い続ける方法を見つけられないか粘り強く説得・指導する
  • 保護施設も積極的に紹介する

手続きの中で、徹底して殺処分を避けられるように動きます。 素直に説得・指導を受け入れたほうが、猫の命も救われるし、よほど理に適うのではないでしょうか?

殺処分以外の道を全力で模索しよう

猫の命を守るために、保健所以外の選択肢がないか考えてみましょう。

以下3つの方法なら、お金こそかかりますが猫を引き取りしてもらえるうえ、生涯にわたって大切に育ててくれます。

  • NPO法人に引き取ってもらう(250,000円〜500,000円)
  • ボランティア団体に引き取ってもらう(30,000円〜45,000円)
  • 里親を募集する(30,000円〜45,000円)

NPO法人とボランティア団体は、「地域名+猫+引き取り」と検索すれば、周辺でいくつか見つかるはずです。 里親を探す場合は募集サイトを利用し、信頼できる引き取り手を探しましょう。

引き取り条件はさほど厳しくない
引き取り条件はさほど厳しくない不妊手術・猫ウイルス検査・混合ワクチンの接種ができていれば問題ありません。

殺処分前に猫を引き取りたい・個人として里親になりたいときはどうすれば良い?

上を向く猫

保健所では、毎日数十頭の猫たちがガス室で窒息死させられています。

残酷な現実を直視し、「自身が引き取りたい」と感じた人も多いでしょう。

もしその思いがあるなら、動物愛護センターに申し出ることで、里親になることが可能です。

動物愛護センターとは?動物愛護センターとは?都道府県が運営している動物の保護施設で、保健所に引き取られた猫はすべてここに集められる仕組みです。

そのうえでセンターは、里親の希望や猫の引き渡しを実施しています。

ぜひしかるべき方法で、殺処分を待つしかない猫たちに手を差し伸べてほしいと思います。

まずは動物愛護センターに直接問い合わせる

里親になる考えがあるなら、まず各自治体の動物愛護センターに問い合わせ、引き取りの手続きをはじめましょう。

ここでは京都府動物愛護センターをモデルケースとして、基本的な手続きを紹介します。

京都動物愛護センター

(引用:京都動物愛護センター

  1. 里親を希望する申し込み書を記入する
  2. こちらが希望する猫の紹介を受ける
  3. 問題がなければ猫を引き取りする
  4. 責任を持って最後まで飼育することを約束する譲渡誓約書にサインする

上記の手続きにより、里親として猫を迎え入れることが可能です。

里親としてのあり方を学ぶ
里親としてのあり方を学ぶ自治体によっては里親の心構えを学習する譲渡前講習会を受けることもあります。

ペットショップで売れ残りになった猫の里親にはなれるが少したいへん

ペットショップで売れ残りになった猫の里親になることも可能ですが、少したいへんです。

NPO法人やボランティア団体は、売れ残りだった猫の引き取り家庭を里親募集サイトで探しています。

ただ、その猫がペットショップからやってきたとは逐一書いていないケースが多いので、探すには時間がかかるもの。

そのため売れ残りの子を探し出して助け出すのは、少したいへんです。

ペットショップでの売れ残りの猫を救う意味
ペットショップでの売れ残りの猫を救う意味売れ残ったあとで引き取り手が見つからない場合には、実験用にされたりするので、この子たちを救うことには大きな意味があります。

センターから引き取りする場合1,000円から3,000円かかるかも

センターから猫を引き取りする場合は、里親にも譲渡手数料として1,000円から3,000円の費用が発生することもあります。 京都府の例では1,050円を手数料として求めるとのことでした。

自治体によって費用が異なるので心配なら事前に確認しましょう。

猫を迎え入れるうえで求められる条件

自治体や里親サイトのルールにもよりますが、猫を引き取って里親になるにはおおむね以下の条件をクリアする必要があります。

  • ペットを飼える住宅に住んでいる(書面での証明が必要)
  • 先住猫がいるなら不妊手術が済んでいて、完全室内飼育である
  • 引き取る猫が不妊手術を済ませていないなら、自身で受けさせると誓約する
  • 飼育放棄しないことを誓約する

条件が厳しいと感じた、あるいは「自分がひどい里親だと疑われている」と思った人もいるでしょう。

このようなハードルが設けられるのは、ひとえに猫を信頼できる家庭へ送り届け、ただの1頭でも殺処分するケースを減らしたいから。

したがってこの大切な条件を受け入れられるのか、里親になる前に一度点検してみましょう。

まとめ

仔猫

本記事では保健所での猫の引き取り(殺処分)、もしくは里親になることを解説しました。 最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • 保健所での猫の引き取り条件は非常に厳しい
  • 費用は成猫なら1頭4,000円〜6,000円、仔猫なら1頭400円が相場
  • 本当に殺処分でよ良いのか深く考えて欲しい
  • NPO法人をはじめとした保護施設なら引き取ってもらうことが可能
  • 費用は250,000円〜500,000円と高額だが、猫は生涯にわたり保護(殺処分されない)
  • 殺処分を待つ猫の里親になりたいなら各動物愛護センターに連絡する
  • 里親になるにも誓約書へのサインなど細かい条件がある

保健所で引き取られた猫は、ほとんどの場合殺処分され、ガス室で呼吸に苦しみながら窒息死させられます。

しかしNPO法人をはじめとした保護施設なら、殺処分されず生涯にわたって猫は保護してもらうことも可能。 本当に殺処分するしかないのか、今一度考えてみましょう。

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