2023.09.30
愛する猫の最期を目前に控え、このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
猫が亡くなったあとでは、きちんと棺に納めてやり、葬儀や供養をおこなう必要があります。今回は、その方法や流れを解説します。猫との最後の時間を大事に過ごしつつ、気持ちに余裕があれば、本記事を参考に準備を進めて行きましょう。
もくじ
猫が亡くなったあとにやるべきこととその流れは、おおむね以下のとおりです。
まず、確実に死亡を確認する必要があります。これは専門的な知識がなくても見分けることが可能です。
そのあとエンゼルケアを実施して、棺に入れます。最後にボディタッチしておくと、心も満たされるでしょう。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
最初に、死亡したかどうか確認しましょう。それを確かめるポイントはふたつあります。
呼吸や瞳孔の動きの有無を見分けるのは、さほどむずかしくありません。
呼吸の有無は、お腹の動きを見るとわかります。すでに亡くなっている場合は、お腹が膨らんだり縮んだりしません。
また、瞳孔の反応も確認しておきましょう。猫の目にライトを当てて、瞳孔の大きさが変わらないか確認します。
両方とも動きがないなら、死亡していると判断して問題ありません。
とはいえ、「本当に死亡したか、自己判断するには不安が残る」という人もいるはず。その場合は動物病院に連れて行き、獣医師の判断を得るとよいでしょう。
続いてエンゼルケアを実施しましょう。これは、亡くなった猫の見栄えを整えるための、身体的なケアを指し示します。
このようなエンゼルケアを実施することで、猫をきれいなすがたで送り出すことが可能です。また飼い主にとっても、「最後まできちんと面倒を見れた」という実感を得られます。
なお、エンゼルケアを実施するタイミングに家族全員が揃うまで、遺体を安置するサービスもあります。
ときどき、「猫の目がうまく閉じられず、諦めた」という人がいます。しかし、以下の方法でスムースに目を閉じることが可能です。
遺体になってしまうと、目が開いた状態で固定されてしまうことがあります。しかし数分ほど閉じた状態をキープすれば、ほとんどの場合は閉じられるはずです。
うまくいかなければ、何度か同じ手順を繰り返しましょう。
続いて、遺体を棺に入れてあげましょう。棺といっても、猫の場合はもっぱら段ボールが使われます。ここにタオルなどを敷き、遺体をそっとおきます。
そして、お花や御供物をおいてあげましょう。
ここで重要になるのが、きちんと冷却することです。このあと、ほとんどの場合お寺などで火葬することになります。
しかし火葬を申し込んだ当日に、対応してもらえるわけではありません。よってそれまでの間、腐敗を防ぐために冷却してあげる必要があります。
ナイロン袋などにドライアイス等を入れて、遺体のそばに置いておきましょう。
なお、土葬する場合、このステップ3自体を省略してかまいません。
遺体を棺に収めたら、最後にボディタッチしましょう。つまり、撫でたりさすったりするわけです。
このあと、猫の遺体はほとんどの場合火葬されることになります。となると、毛並みがある状態で触れるのは、このタイミングが最後になるでしょう。
よって後悔しないように、心が満たされるまでボディタッチしておくことをおすすめします。
また髭や体毛をカットして、遺品やお守りにする人もいるようです。その場合は、このタイミングで行いましょう。
関連記事▶︎老猫の最期の看取り方とは?飼い主ができる最期にできること
近年では、猫が亡くなったあと、葬儀を執り行うのが一般的になりました。その葬儀も、大きく分けて3つのパターンがあります。
人間と同様に、火葬するケースが増えています。また自治体で引き取ってもらったり、訪問火葬を利用したりする方法もあります。
一方、私有地内で土葬する、という形を選ぶ人も。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
きちんとした葬儀を執り行いたいなら、お寺などで火葬することになります。
上記は臨済宗に属する、「慈恵院」に付属する犬猫霊園です。大正10年からペットの供養や葬儀にかかわってきた、歴史あるお寺です。
慈恵院では、お別れのあいさつ・出棺・火葬・その後の読経供養や繰り上げ初七日など、かけがえのない存在である猫を見送るにふさわしいセレモニーを執り行うことが可能です。
慈恵院は東京都にありますが、ほとんどの地方に犬猫霊園が付属するお寺があるはず。一度検索してみましょう。
費用に関しては、他の家族との合同葬であれば15,000円前後、一家個別でおこなうなら50,000円前後です。
自治体の引き取りサービスを利用し、火葬してもらう方法もあります。たとえば大阪府東大阪市では、管轄の環境事業所をとおして、遺体の回収をお願いできます。
費用も、本格的な葬儀と比較すれば大きな負担ではありません。
注意したいのは「お骨が返ってくるわけではない点」です。引き取ってもらった時点でお別れになり、その後の供養もできなくなるため注意してください。
猫との思い出を大事にしたい気持ちを踏まえれば、自治体での引き取りを利用するのは、よほど経済的に困窮している場合に限られるでしょう。
火葬ではなく土葬を選択する方もいます。この場合費用が火からず、またペットを身近に感じることが可能です。
ただし土葬するには、それなりの準備が必要である点に注意してください。
<必要なもの>
これらを揃えるだけでも5,000円ほどかかるでしょう。
また土葬する場合は、最低でも60cmほどの墓穴を掘削する必要があります。でなければ異臭がしたり、野生動物に掘り起こされたりするからです。
火葬と比較して、手間がかかったり、その後のリスクが大きかったりするので、その点を踏まえて、本当に土葬するか考えることをおすすめします。
火葬が済んだら、続いては人間同様に供養をおこないます。つまりお骨を何らかの形で保存します。
具体的な供養の方法として以下が挙げられるでしょう。
ペット霊園での納骨か、手元供養するのが一般的です。それぞれがどのような供養なのか、費用面も含めて解説しているので、参考にしてください。
納骨するのは、もっとも手厚い供養のあり方です。具体的にはお寺内の納骨堂や斎場、もしくはペット霊園に骨壷を保存します。
上記は福岡県糸島市にある「葬儀動愛園」の納骨堂です。一匹ごとに専用の棚が設けられ、骨壷が祀られています。
納骨費用は施設によりますが、10,000円から20,000円と考えましょう。
また人間と同様に、ペット霊園で個別墓を建てる方法もあります。この場合の費用は100,000円から200,000円程度と高額になります。
しかしここで大切なのは、費用ではなく気持ちです。経済的に無理のない範囲で、できる限りのことをしてあげれば、猫も喜んでくれるでしょう。
ペット霊園に納骨せず、お骨を自宅で保管するケースもあります。いわゆる「手元供養」です。
この場合、専用の祭壇を設置し、そこに骨壷を保管するのが一般的です。祭壇の費用は安価なものであれば5,000円程度であり、さほど大きな出費にはなりません。
手元供養をおこなうメリットとして「亡くなってからもなお、そばに居られる」「納骨にまつわる費用がかからない」2点が挙げられます。特に骨壷の状態とはいえ、そばに居られるのは大きなメリットでしょう。
また霊園などでは、安くても年間で5,000円から10,000円程度の納骨費がかかることがありますが、手元供養ならその支払いも不要です。
一方で祭壇と骨壷を置くためのスペースが必要で、生活が不便になるかもしれません。そのデメリットも踏まえたうえで、手元供養するかどうか考えるとよいでしょう。
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地域や宗教観によってはお骨を散骨するケースもあります。多くの場合、自宅の庭に散骨するようです。
変わったところでは、海や初めて出会った場所、「大自然に還す」という発想から山林に骨を撒くケースも。
ただし散骨は、どこでもできるわけではありません。公共の道路や、第三者の私有地に散骨することには、法律上のリスクがあります。
余計なトラブルを避けるため、散骨してはいけない場所で骨を撒かないようにしましょう。ただ自由に散骨してよい場所は限られており、私有地である自宅の庭などに撒くのが現実的なようです。
火葬したあとで残ったお骨を土葬するケースもあります。これは京都府京都市やその南部に位置する市町村などで見られる供養のあり方です。
この方法をでは、祭壇を置くスペースを作る必要がなく、また遺体の掘り起こしなどのリスクもありません。変わったやり方ですが、意外にも理に叶っています。
ただし特殊なやり方ゆえ、家族や親族が反対するかもしれません。
火葬後のお骨の土葬を実施する場合は、周囲の同意を得るようにしましょう。
本記事では、猫が亡くなったあとのことに関して解説しました。ここでは、よくある質問に対して回答します。
まず、猫の死後に飼い主を悩ませるペットロス対策を解説します。また死後硬直からの生き返りなど、気になる疑問に関しても回答しているので、参考にしてください。
私たちは、ペットロスから脱するため方法として以下を推奨しています。
生前の写真や動画を見返せば、温かい気持ちになるでしょう。また新しい趣味に取り組んだり、人に話を聞いてもらったりすることも、癒しにつながります。
最近では、ペットロスから脱するためのカウンセリングもあります。
(引用:あいわクリニック)
「写真や動画を見ても辛いだけで、何もする気にならない」といった状況にあるなら、カウンセリングを受けるのもひとつです。
もし猫がまだ亡くなっていないなら、今のうちに積極的に記録を残しておきましょう。
写真や日記を残しておくと、あとで見返して、猫との別れによる悲しみやショックを和らげられます。ペットロスを癒すうえでも役立つでしょう。
ただしカメラを向けられることが猫のストレスになることもあります。よって、写真や動画の撮影はほどほどにとどめておきましょう。
結論からいうと、死後硬直から生き返ることはあり得ません。もし生きていたら、「硬直」がそもそも起こらないはずです。
「生き返ることがある」と噂される原因は、「解硬」と呼ばれる現象にあるでしょう。
これは、死後硬直のあと筋肉の位置が自然に動き、表情や姿勢がわずかに変化する現象です。しかし筋肉が動いただけで、魂そのものがそこに戻ってきたわけではありません。
したがって、「火葬中に生き返ってしまう」といったことを心配する必要もありません。
スピリチュアルの観点からいえば、亡くなった猫の魂は、「一度飼い主の手元に戻ってくる」と言われています。そして飼い主の精神状態が落ち着いたのを見届けて、天国へ行く、というのが定説です。
別で「虹の橋で飼い主を待つ」「そのまま飼い主をそばで見守る」と考える人も。
とはいえ、スピリチュアルに関しては「自分が好きな解釈」を取ることが可能です。自分自身の気持ちが楽になったり、幸せを感じたりできる説を信じるのがよいでしょう。
猫の魂に対する解釈は、多くのコーチやセラピストが発信しています。
彼らのコンテンツを見れば、腑に落ちる解釈が見つかるかもしれません。
本記事では、猫が亡くなったあとの葬儀や供養に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
猫が亡くなってからは、棺に入れて、葬儀をおこない、供養を……と、やることがたくさんあります。また葬儀にも供養にもいくつかの選択肢があります。本記事を参考に比較検討して、ベストなやり方を見出しましょう。
とはいえ、猫が亡くなる経験は、飼い主や家族にとって辛いものです。猫との最後の時間を大事に過ごすことや、精神的負担をやわらげることを最優先にしてくださいね。
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