いま猫と暮らしていて、この先も飼い続けられるかどうか分からなくなっている。そんな状況でこのページにたどり着いた方に向けて、猫の引き取り先とそれぞれの費用・手続きを整理しました。
引越し、入院、家族の事情、経済的な事情。理由はさまざまでも、決めなければならないことは共通しています。どこに、いつまでに、いくらで託すのか。この3つが決まらないまま時間だけが過ぎてしまう前に、まずは選択肢の全体像を確認してください。
その託し先のひとつが、東京都町田市で猫の生涯預かりを行っているNPO法人ねこほーむです。預け先が決まらないまま期限だけが迫ると、選べる相手はそのぶん減っていきます。裏を返せば、動き出すのが早いほど愛猫を託せる先は多く残ります。
この記事で扱うのは、次の内容です。
- 引き取り先5つの比較と、それぞれの手続き
- 引き取りにかかる費用の目安と、公開されている金額の例
- 保健所・動物愛護センターが引取りを断ることがある法律上の理由
- 信頼できる預け先を見分ける5つのチェックポイント
- 手放す前に試せることと、やってはいけないこと
猫の預け先を探している方へ|NPO法人ねこほーむ
東京都町田市で、さまざまな事情で飼えなくなった猫を生涯にわたってお預かりしています。ご相談は無料です。どこに託すか決めきれていない段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。
お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。
どうしても猫を飼えなくなったら選べる引き取り先は5つ
この先ずっと飼い続けるのが難しいとき、猫を託せる先は大きく5つに分かれ、向いている人も費用も決まるまでの時間もそれぞれ違います。入院や出張のあいだだけ預けたいなら、「一時的に飼えないだけのとき」から読んでください。
| 引き取り先 | 向いている人 | 費用の考え方 | 決まるまでの目安 | 猫のその後 |
|---|---|---|---|---|
| ①親族・知人に引き継ぐ | 身近に猫を受け入れられる人がいる | 飼育費の分担を相談する | 相手が決まっていれば早い | 知っている人のもとで暮らす |
| ②里親を自分で探す | 時間に余裕がある | ワクチンや検査の実費がかかることが多い | 数週間〜数か月 | 新しい飼い主のもとへ |
| ③保護団体・NPOに相談する | 自分で里親を探すのが難しい | 費用の負担を求められるのが一般的 | 受け入れの空き状況による | 里親を探す団体と、生涯世話をする団体がある |
| ④生涯預かり施設(老猫ホーム)に預ける | 高齢・持病があり、最期まで託したい | 初期費用と継続費用の二階建てが一般的 | 面談と書類手続きを経て | 施設で生涯を過ごす |
| ⑤自治体(保健所・動物愛護センター)に相談する | ほかの手段を尽くしても決まらない | 引取り手数料がかかる | 事前相談が必要 | 返還・譲渡に努められるが、殺処分となる場合もある |
どれを選ぶにしても、猫の年齢、持病の有無、ワクチンの接種状況は必ず聞かれます。母子手帳や検査の証明書があるなら、先に手元にまとめておいてください。ここからは、5つを順に見ていきます。
①親族・知人に引き継ぐ
猫にとっていちばん負担が小さいのが、すでに面識のある人に引き継ぐ方法です。環境は変わっても、来客として会ったことのある相手なら警戒が薄れやすくなります。
相談するときは、次の情報をそろえて伝えてください。
- 年齢と、これまでにかかった病気。獣医師から処方されている薬があればその内容
- いつも食べているフードの銘柄と量
- 使っているトイレ砂の種類
- 性格とくせ(人見知りの度合い、触られて嫌がる場所、先住動物との相性)
- かかりつけの動物病院の名前と連絡先
費用の分担や、体調を崩したときの連絡についても、口約束にせず簡単な書面にしておくと後々おだやかです。親しい相手ほど、あいまいなまま渡してしまいがちなので気をつけてください。
②里親を自分で探す
自治体は、飼い主が引取りを求める前に、新しい飼い主を探す努力をするよう求めています。横浜市も「動物の引取りは飼い続ける努力、新たな飼い主を探す努力を尽くした後の最後の手段です」と明記しました(出典:横浜市・犬または猫が飼えなくなってしまったら)。
探し方には次のような手段があります。
- 里親募集サイトに掲載する
- かかりつけの動物病院に、里親募集の掲示をお願いする
- 自治体や公的な団体のマッチング事業を利用する(千葉県では公益財団法人千葉県動物保護管理協会が「新しい飼い主紹介」を行っています)
- 職場や地域の知り合いに声をかける
譲渡先が見つかったら、渡す前に確認しておきたいことがあります。飼育環境が完全室内飼いか、先住の動物がいるか、家族全員が同意しているか、そして連絡が取れる状態が続くか。譲渡誓約書を交わし、身分証で本人確認をしてから引き渡してください。
持病があり獣医師から薬を処方されているなら、それも隠さず伝えることが大切です。あとから発覚すると、猫が再び行き場を失うことになりかねません。問い合わせへの返信を早くする、質問にごまかさず答えるといった誠実な対応の積み重ねが、結果として決まるまでの時間を短くします。引き取り手の探し方はこちらでもくわしく説明しました。
あわせて読みたい不幸な猫たちを引き取りするには?引き取って欲しい人にも方法を解説 「不幸な猫たちの里親になりたい」 「ウチでは飼えなくなったので引き取りして欲しい」 このように考えている人は多いのではないでしょうか? 動物愛護団体など…
③保護団体・NPOに相談する
行き場のない猫を引き取り、里親を探したり生涯世話をしたりしている団体があります。自分で里親を探すのが難しいときの相談先になります。保護猫カフェを運営しながら里親を探している団体も、相談先の候補のひとつです。
ただし、次の点は前提として知っておいてください。
- 受け入れには条件がある:ワクチン接種や不妊手術を済ませていることを求める団体が多い
- 空きがないと待つことになる:一頭を受け入れると長く枠がふさがるため、すぐには決まらない場合がある
- 費用の負担を求められるのが一般的:猫の一生ぶんのフード代・トイレ砂代・医療費・施設運営費がかかるため
- 団体によって役割が違う:里親を探す団体と、施設で生涯世話をする団体がある
問い合わせるときは、まず「里親を探す形か、生涯預かる形か」を確かめると話が早く進みます。動物愛護団体から猫を引き取りできる?引き取ってもらう方法も解説では、団体に相談する際の流れをまとめています。保護シェルターという仕組みそのものを知りたい方は、次の記事もご覧ください。
あわせて読みたい保護猫シェルターとは?猫を引き取ってもらうには?作り方も解説保護猫シェルターとはどのような施設なのだろうか? 引き取りをお願いするには、どうすればよいのか? 自分自身でシェルターを立ち上げられないか? 保護猫シェルタ…
④生涯預かり施設(老猫ホーム)に預ける
飼い主に代わって猫の一生を世話する形の預かりもあります。高齢の猫や持病のある猫を、最期まで託したいときの選択肢です。
この形の預かりは、法律上は第一種動物取扱業のうち譲受飼養にあたり、都道府県知事等の登録を受けなければ営めません(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律 第10条第1項、同法施行令 第1条第2号)。登録した事業者は事業所ごとに登録番号を記した標識を掲げる義務があるので、見学に行けば自分の目で確かめられます(同法 第18条)。
費用は、契約時にまとめて払う初期費用と、預かっているあいだ継続してかかる利用料の二階建てが一般的です。金額の幅は施設によって大きく、相場と内訳は別の記事に整理しました。
あわせて読みたい老猫ホームとは?費用相場と選び方・全国の施設一覧年老いた猫の介護が、そろそろ自分ひとりでは支えきれない。そう感じ始めている方に向けて、老猫ホームという預け先について整理しました。 老猫ホームは、高齢になっ…
なお、期間を区切って預ける長期預かりと、最期まで託す生涯預かりの違いは猫を生涯・長期で預かりしてもらうには?2つのサービスと利用条件・費用を解説!で説明しています。
この記事を運営しているNPO法人ねこほーむも、生涯預かりを行っている団体のひとつです。参考までに、受け入れの条件をお伝えします。
- 対象:原則として完全室内飼いの猫ちゃん。外で生活していた猫は室内での集団生活に順応するまで時間とストレスがかかるため、性格などをうかがったうえでの判断になります
- 預かり日までにお願いしている処置:三種以上の混合ワクチン、猫ウイルス検査(猫エイズ・猫白血病)、血液検査、避妊・去勢手術、ノミ取り・爪きり
- 処置が難しい場合:当ホームで代行できます(費用は実費)。施設まで連れて来られない場合は有料でお迎えにも伺います
- 高齢猫・持病のある猫:病状や治療方法をうかがい、かかりつけの獣医師とも相談したうえで可否を判断いたします
- 費用:猫の生涯にかかる費用の一部を寄付金としてお願いしています。金額は猫の年齢や健康状態で変わるため、個別にご案内する形です
④の生涯預かり施設を検討される方へ
ねこほーむでは、面会や写真付きの近況報告にも対応しています。飼い主様のご希望に合わせて里親をお探しすることもできます。
お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。
⑤自治体(保健所・動物愛護センター)に相談する
ほかの手段を尽くしても決まらない場合の相談先が、お住まいの自治体の動物愛護センターまたは保健所です。ただし、思っているような手続きにはならないことが多いので、先に実際の運用を知っておいてください。
- 事前相談が必要:連絡せずに持ち込むと断られることがあります
- 有料:引取り手数料が定められています
- 原則として返還されない:横浜市は「一度引き取った犬や猫は、原則返還することはできません」と明記しています
- 最後の手段という位置づけ:飼い続ける努力と新しい飼い主を探す努力を尽くしたあとの手段とされています
(出典:横浜市・犬または猫が飼えなくなってしまったら、千葉県・犬・猫の引取り、神奈川県・犬や猫などのペットが飼えなくなってしまったら)
案内の書き方は自治体によって差があります。神奈川県のように県のページで手続きの入口だけを示す例もあれば、横浜市のように断ることがある理由と手数料まで公開している例もあります。お住まいの市区町村名と「動物愛護センター」で検索して、地元の窓口を先に確かめてください。
相談すれば、里親探しの方法や飼育の困りごとについて助言を受けられる場合もあります。まずは電話で状況を伝えるところから始めてください。保健所に相談する場合の流れは、こちらでくわしく扱いました。
あわせて読みたい猫を保健所に持ち込む前に|条件・費用と他の選択肢猫を保健所に持ち込むしかないのだろうか。そこまで追い詰められてこのページにたどり着いた方に向けて、実際の条件と手数料、そして持ち込む前に取れる手を整理しまし…
猫を飼えなくなったら引き取りにいくらかかる?費用の目安
「無料で引き取ってくれるところはないか」と探している方もいるでしょう。結論からいえば、費用がまったくかからない選択肢はほとんどありません。
理由は単純で、猫を引き受けた側にその後の費用が発生し続けるからです。フード代、トイレ砂代、ワクチンや検査の費用、病気になったときの治療費、そして施設を維持する費用。生涯を引き受けるなら、それが十数年ぶん積み上がります。
公開されている引き取り費用の例
費用は、引き受ける側が里親を探すのか、最期まで世話をするのかで大きく変わります。各団体・自治体が公開している金額は次のとおりです(2026年9月27日確認。老猫ホームは8月29日確認)。
| 引き取りの形 | 費用の考え方 | 公開されている金額の例 |
|---|---|---|
| 保護団体(里親を探す形) | 引き取り時に寄付をお願いする形が多い | 公開例:1回の寄付で2万〜25万円(犬猫譲渡センター。猫の年齢で変わる。下の表) |
| 保護団体(ペット後見による終生飼育) | 最期までの飼育費を一括で預ける | 公開例:1頭100万円から(人と動物の共生センター) |
| 生涯預かり施設(老猫ホーム) | 初期費用と継続費用の二階建て | 公表例:初期費用30万円台、年単位の利用料50万円前後、終身一括130万円から |
| 自治体(保健所・動物愛護センター) | 条例で定めた引取り手数料 | 横浜市は生後91日以上1頭4,000円 |
(出典:犬猫譲渡センター・引取り・保護にかかる費用、NPO法人人と動物の共生センター・犬・猫が飼えなくなったときの引き取り費用について、横浜市・犬または猫が飼えなくなってしまったら。老猫ホームは各施設の公式サイトで確認し、内訳を老猫ホームの記事で説明しています)
犬猫譲渡センターは、猫の年齢によって寄付の額を分けています。
| 猫の年齢 | 引き取り時の寄付(1匹・1回のみ) |
|---|---|
| 子猫(生後2か月未満) | 2万円 |
| 幼猫(生後2か月〜1歳) | 2万〜5万円 |
| 成猫(2〜4歳) | 5万円 |
| 成猫(5〜9歳) | 10万〜15万円 |
| 高齢猫(10〜14歳) | 15万〜20万円 |
| 超高齢猫(15歳以上) | 15万〜25万円 |
ワクチン接種や不妊・去勢手術が済んでいない場合はその実費を、元地域猫・元野良猫でウイルス検査を受けていない場合は検査費用を、別に負担する決まりです(出典:犬猫譲渡センター・引取り・保護にかかる費用、2026年9月27日確認)。
並べてみると、猫の年齢が上がるほど、そして最期まで世話をする形になるほど金額は高くなります。どの団体・施設も金額の決め方はそれぞれなので、候補が決まったら必ず見積もりをとってください。ねこほーむの寄付金も猫の年齢や健康状態によって変わるため、ご事情をうかがったうえで個別にご案内しています。
引き受ける側にかかる猫の生涯の飼育費
金額にこれだけの幅が出る背景には、引き受ける側がこの先負う飼育費の違いがあります。
アニコム損害保険の「家庭どうぶつ白書2025」によると、猫1頭にかかった年間の支出は合計178,418円でした(2024年調査・回答1,966頭)。回答者はペット保険の契約者で、この合計には保険料29,791円が含まれています。猫の平均寿命は14.5歳(2023年度)なので、生涯を引き受けるということは、この規模の支出を十数年にわたって続けることを意味します。
年齢とともに医療費がかさむ点も、金額が年齢で変わる理由のひとつです。同じ白書の年間診療費は次のとおりです。
| 猫の年齢 | 年間診療費の平均 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0〜4歳 | 39,102円 | 15,510円 |
| 5〜9歳 | 55,845円 | 21,450円 |
| 10歳以上 | 106,158円 | 46,606円 |
(出典:アニコム損害保険・家庭どうぶつ白書2025。診療費は2023年度・269,938頭の集計)
どの年齢でも平均が中央値の2倍を超えており、一部に高額な治療を受けた猫がいることがうかがえます。10歳を超えた猫や持病のある猫を託すときに引き取りの金額が上がりやすいのも、こうした医療費を引き受ける側が負うことになるためです。
自治体ごとに違う引取り手数料
自治体の手数料は条例で定められており、金額は地域によって異なります。横浜市の場合は、生後91日以上の犬または猫が1頭につき4,000円、生後91日未満が1頭につき1,000円です(出典:横浜市・犬または猫が飼えなくなってしまったら、2026年8月29日確認)。
いっぽうで、金額を公開せず相談時に案内している自治体もあります。千葉県の案内は「引取りは有料ですので、相談の際に確認してください」という書き方でした(出典:千葉県・犬・猫の引取り、2026年8月29日確認)。お住まいの自治体の金額は、必ずその自治体の窓口で確認してください。
無料をうたう相手に確かめる4つのこと
「無料で引き取ります」とうたう相手に出会ったときは、次の4点を必ず確かめてください。
- 引き取ったあと、その猫はどうなるのか(里親を探すのか、施設で世話をするのか)
- 施設を見学させてもらえるか
- 第一種動物取扱業の登録があるか。登録番号を答えられるか
- 書面を交わせるか
この4つに答えられない相手には渡さない。それだけで、猫が行方の分からない場所へ流れていく事態はかなり防げます。ねこほーむでも同じ考えから、お預かりの前に面談と施設見学を行い、申込書と同意書を交わしてからお迎えする流れにしています。
猫を飼えなくなったら保健所に頼める?引取りを断られる場合
ここは誤解の多いところなので、法律の条文にそって説明しましょう。
都道府県等は、所有者から犬または猫の引取りを求められたときは、これを引き取らなければならないと定められています。ただし条文には続きがあり、環境省令で定める場合には引取りを拒否できるとされています(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律 第35条第1項)。
その「環境省令で定める場合」は、次の7つです(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律施行規則 第21条の2)。
- 犬猫等販売業者から引取りを求められた場合
- 引取りを繰り返し求められた場合
- 子犬または子猫の引取りを求められた場合であって、繁殖を制限するための措置に関する自治体の指示に従っていない場合
- 犬または猫の老齢または疾病を理由として引取りを求められた場合
- 引取りを求める犬または猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合
- あらかじめ引取りを求める犬または猫の譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合
- そのほか、都道府県等の条例・規則等に定める場合
ただし、これらにあてはまる場合であっても、生活環境の保全上の支障を防ぐために必要と認められるときは、この限りではないとされています。
横浜市はこの内容を自らのページに掲載しており、「犬猫の高齢化・病気等の理由」や「あらかじめ新たな飼い主を探す取り組みをしていない場合」を断る理由として挙げています(出典:横浜市・犬または猫が飼えなくなってしまったら)。
読み取れることは二つあります。「高齢だから」「病気だから」を理由に持ち込もうとしても、断られる可能性が高い。そして、相談する前に里親を探す取り組みをしておく必要がある。高齢や持病を抱えた猫の預け先を探しているなら、自治体ではなく民間の生涯預かりを先に当たったほうが早く進みます。
保健所に引き取られた猫のその後
「引き取られたら殺処分される」と聞いたことがある方は多いでしょう。実際の数字を確かめてみます。
環境省の令和6年度(2024年4月〜2025年3月)の統計によると、猫の引取り数は22,010頭で、そのうち16,854頭が新しい飼い主へ譲渡されました。殺処分数は4,866頭です(出典:環境省・犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(令和6年度))。
殺処分数の内訳は、国の基本指針にそって3つに分けて公表されています。千葉県の説明にならって整理すると、次のようになります(出典:千葉県・犬・猫の引取り)。
| 分類 | 内容 | 令和6年度の猫の頭数 |
|---|---|---|
| ① | 譲渡することが適切でない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等) | 2,387頭 |
| ② | ①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難) | 780頭 |
| ③ | 引取り後の死亡 | 1,699頭 |
また、殺処分された4,866頭のうち2,579頭(53.0パーセント)は幼齢の個体でした。法律も、引き取った犬猫について「殺処分がなくなることを目指して」返還と譲渡に努めることを自治体に求めています(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律 第35条第4項)。
つまり、引き取られた猫が必ず処分されるわけではありません。それでも、譲渡先を確保できずに処分された猫が令和6年度に780頭いたことは事実です。この数字をどう受け止めるかは人それぞれですが、自治体に持ち込む前にできることが残っていないか、もう一度だけ確かめる価値はあります。
東京都に住んでいる場合の相談窓口
東京都にお住まいなら、東京都動物愛護相談センターが、譲渡団体の紹介や犬猫の引取りの相談を受け付けています。新宿区の案内では、センターの電話番号として03-3302-3507が示されています(出典:新宿区・ペット(犬猫)を飼えなくなった、2026年9月27日確認)。
区によっては、ボランティア団体と連携して保護や譲渡まで支援する仕組みを整えているところもあります。新宿区の場合、相談の対象になるのは次の2つをどちらも満たすときです。
- 飼い主の健康上の理由など、真にやむを得ない事情で犬猫を飼い続けられない
- 次の飼い主を探したが、見つからない
区の衛生課に相談すると、区がボランティア団体に保護を依頼し、団体が対応できれば新しい飼い主へ譲渡されます。対応できない場合は、センターでの引取りになることもあります(出典:同上)。
まずはお住まいの区市町村の保健所(衛生課)に、こうした仕組みがあるかを聞いてみてください。東京都以外の方も、お住まいの自治体のページで「飼えなくなった」という案内を探してみてください。
猫を飼えなくなったら確かめたい預け先の条件と見分け方
民間の引き取り先は数が多く、対応も費用も一律ではありません。託す前に、受け入れの条件と、信頼できる相手かどうかの2点を確かめておきましょう。
預け先ごとに違う受け入れの条件
「条件が厳しくて、うちの子は受け入れてもらえないのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。実際、民間の預け先が求める条件は次のようなものが中心です。
- 混合ワクチンを接種していること(証明書の提出を求められることが多い)
- 猫エイズ・猫白血病のウイルス検査を受けていること
- 不妊・去勢手術を済ませていること
- 完全室内飼いだった猫であること
- 申込書や同意書などの書類を交わせること
ただし、これらを満たしていないと門前払いになるとは限りません。ねこほーむの場合、動物病院へ連れて行けない事情があれば、検査や処置を実費で代行しています。高齢の猫や持病のある猫も、病状をうかがってかかりつけの獣医師と相談したうえで判断します(出典:NPO法人ねこほーむ・猫のお預かりについて)。
条件の一覧を読んで自分で線を引いてしまう前に、いまの状況を伝えて聞いてみてください。受け入れの枠が埋まっていて順番待ちになることもあるので、早く相談するほど選べる先は多くなります。
信頼できる引き取り先を見分ける5つの点
次の5つを順に確かめれば、判断の材料はそろいます。
- 第一種動物取扱業の登録があるか:費用を負担して猫を託す形の預かりは登録が必要な業種です。事業所には登録番号を記した標識を掲げる義務があるため、見学時に確認できます(動物の愛護及び管理に関する法律 第10条第1項・第18条)
- 見学できるか:断られる場合は候補から外して構いません
- 動物病院との連携があるか:急病や事故の緊急時に、どこへ運びどう連絡をもらえるのかを聞いてください
- 費用の内訳が説明されるか:あとから加算される費用があるかどうかまで確かめます
- 書面を交わせるか:契約書や同意書がないまま渡さないでください
加えて、預けたあとに面会できるか、近況の報告があるかも聞いておくと安心です。
参考までに、ねこほーむの場合は登録番号を公開しており(東京都譲第101833号・東京都譲第102142号)、事前にご連絡いただければ施設をご見学いただけます。提携動物病院と連携した健康チェックを行い、お預かりの際は申込書・同意書を交わします(出典:NPO法人ねこほーむ・団体の概要、猫のお預かりについて)。ほかの施設に問い合わせるときも、同じ形で答えが返ってくるかを目安にしてみてください。
猫を飼えなくなったら手放す前に続けられる方法を確かめる
ここまで引き取り先の話をしてきましたが、事情によっては手放さずに済む道が残っていることもあります。急いで決める前に、次のどれかにあてはまらないかだけ確かめてみてください。
転居先がペット不可のとき
ペット可の物件が見つかれば、一緒に暮らし続けられます。会社の指示でペット不可の物件を指定されているなら、別の家に住めないか相談する余地があるかもしれません。ペット不可の住宅で隠れて飼うことは賃貸借契約の違反にあたり、契約の解除を求められる場合があるため、交渉の道を先に探してください(ペット禁止・不可の住宅で猫を飼ったらバレない?バレる原因や交渉のポイント)。
離婚で転居がともなう場合、猫を飼いはじめたタイミングが判断の手がかりになります。結婚前から飼っていたなら、その人のものとして扱われるのが一般的です。結婚後に迎えた場合は共有の財産として扱われることが多く、話し合いが必要になります。ただし個別の事情によって結論は変わるため、判断が分かれるときは弁護士や家庭裁判所にご相談ください。夫婦お互いの気持ちに整理がついてからでよいので、猫の面倒はどうするのかゆっくり話し合いましょう。
世話をする時間や体力がないとき
ペットシッターに頼る方法があります。自宅を訪問して飼い主に代わり、食事やトイレの世話、爪切りなどを引き受けてくれるサービスです。
心身ともに疲れ果てているなかで、猫の世話まで手が回らないのは仕方のないことです。全部を自分で背負う前に、外の手を借りられないか考えてみてください。
医療費が払えないとき
動物病院に分割払いの相談をしてみる方法があります。どこまで応じてもらえるかは病院ごとに異なるので、まずは現状を正直に伝えてください。クレジットカードに対応している動物病院を探すのもひとつです。
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一時的に飼えないだけのとき
入院や出張、家の建て替えなど、飼えない期間が決まっているなら、生涯の引き取りではなく一時預かりを探すほうが負担は軽く済みます。数日から数週間であれば、ペットホテルという手も選べるはずです。神奈川県も、困ったときの解決方法のひとつに「一時預かり先の確保」を挙げています(出典:神奈川県・犬や猫などのペットが飼えなくなってしまったら)。
ボランティアによる一時預かりの使い方と費用は、次の記事で説明しています。
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数日単位で預けるなら、ペットホテルの料金や選び方も確かめておいてください。
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そして、ここまで試したうえで続けられないと判断したなら、愛猫を手放すことを選ぶのは無責任ではありません。十分に世話ができない状態を続けるより、しっかり世話をしてもらえる場所へ託すほうが、猫にとってよい結果になる場合もあります。限界まで抱え込んでから動くよりも、まだ選べるうちに相談先をあたってみてください。
「飼うんじゃなかった」と感じてしまう自分を責めている方は、こちらの記事も読んでみてください。
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続けられる見込みが立たないときは、預け先を並行して当たっておくと期限に追われずに済みます。
猫を飼えなくなったら捨てるのは犯罪|やってはいけない3つのこと
どれほど追い詰められていても、猫を外に放したり置き去りにしたりすることは法律で禁じられています。引き取り先が見つからないときほど、次の3つだけは避けてください。
猫を捨てることは犯罪です。愛護動物を遺棄した者は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定められています(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律 第44条第3項)。自治体のページには「懲役」と書かれているものもありますが、これは法改正前の表記です。
相手の身元を確かめずに渡すのも避けてください。連絡が取れなくなれば、その後どう扱われたかを知る手立てがなくなります。身分証の確認と譲渡誓約書は、相手を疑うための手続きではなく、猫を守るための手続きです。
ペット不可の住宅で隠れて飼い続けるのも、解決にはなりません。賃貸借契約の違反にあたり、契約の解除を求められることがあります。管理会社に相談するか、ペット可の物件へ移るか、どちらかの道を選んでください。
猫を飼えなくなったときによくある質問
Q. 猫を無料で引き取ってもらえますか?
A. 費用がかからない選択肢はほとんどありません。自治体の引取りは有料で、保護団体や生涯預かり施設も費用の負担を求めるのが一般的です。引き受けた側に、その後の飼育費と医療費が発生し続けるためです。
Q. 高齢の猫や病気の猫でも引き取ってもらえますか?
A. 自治体については、老齢または疾病を理由とする引取りを拒否できると環境省令で定められています(出典:e-Gov法令検索・動物の愛護及び管理に関する法律施行規則 第21条の2第4号)。民間の施設は、病状や治療内容をうかがったうえでの個別判断になります。まずは猫の状態を伝えて相談してみてください。
Q. 保健所に引き取られた猫は殺処分されますか?
A. 必ずそうなるわけではありません。令和6年度の統計では、猫の引取り22,010頭に対し16,854頭が譲渡されています。ただし、譲渡先を確保できずに処分された猫が780頭いたことも同じ統計から読み取れます(出典:環境省・犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(令和6年度))。
Q. 引き取ってもらった猫を返してもらえますか?
A. 自治体は原則として返還しません。横浜市も「一度引き取った犬や猫は、原則返還することはできません」と案内しています。民間の施設は取り決めによるため、契約前に返還の条件と費用の精算方法を書面で確かめてください。
Q. 決まるまでにどのくらいかかりますか?
A. 里親探しは数週間から数か月かかることがあります。保護団体や生涯預かり施設も、受け入れの空き状況によっては待つことになります。いつまでに決めたいかを先に決めて、複数の選択肢を並行して当たってください。
Q. 飼い主が入院したり亡くなったりしたとき、猫はどうなりますか?
A. 新宿区や神奈川県は、飼い主が先に亡くなった場合でもペットが安心して暮らせる環境を用意しておくことを、飼い主の務めとしています。そのための方法として東京都動物愛護相談センターが紹介しているのが、遺言書と信託契約です。遺言書は亡くなったときにしか効力がありませんが、信託契約なら介護施設への入所や入院など、存命中に一緒に暮らせなくなった場合にも備えられます。ペット信託やペット後見と呼ばれる備えです。託す先の施設は、元気なうちに見学しておくことも勧められています(出典:東京都動物愛護相談センター・すべての飼い主さんが考えたい“万が一の備え”、新宿区・ペット(犬猫)を飼えなくなった、神奈川県・犬や猫などのペットが飼えなくなってしまったら)。
飼い主が亡くなったあとの引き取り先と、事前にしておける準備は次の記事にまとめています。
あわせて読みたい飼い主死亡でペットの引き取り先は?費用と手続き家族が亡くなり、ペットが残された。あるいは、自分にもしものことがあったらこの子はどうなるのか。どちらの立場でこのページを開いた方にも、まず何をすればよいかが…
まとめ
猫を飼えなくなったときにできることを整理しました。要点は次のとおりです。
- 引き取り先は、親族・知人/里親探し/保護団体・NPO/生涯預かり施設/自治体の5つ。一時的に飼えないだけなら、一時預かりやペットホテルを探す
- どれを選んでも費用と時間がかかる。金額は猫の年齢が上がるほど、最期まで世話をする形になるほど高くなり、その土台には猫1頭の十数年ぶんの飼育費と医療費がある
- 「無料」をうたう相手には、その後の扱いと登録の有無を確かめる
- 自治体は、老齢や疾病を理由とする引取りや、譲渡先を探す取組をしていない場合の引取りを断ることがある
- 民間の預け先は、登録番号・見学・書面の3点で見分ける
そのうえで、いまの状況に合わせて次の一歩を選んでください。
- 期限が迫っている方:生涯預かりを行う団体へ早めにご相談ください。ねこほーむへはお電話(042-370-0778)またはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください
- 時間に余裕がある方:この記事の「②里親を自分で探す」に戻り、「①親族・知人に引き継ぐ」の一覧を参考に、猫について伝える情報を書き出すところから始めてください
- まだ続けられる余地がある方:「手放す前に続けられる方法を確かめる」の章にあてはまるものがないか確かめてください
ひとりで抱えたまま期限を迎えると、選べる道はいちばん狭くなってしまいます。決めきれないうちでも構いません。
期限が来る前に、相談先だけでも持っておいてください
NPO法人ねこほーむは、東京都町田市で猫の生涯預かりを行っています。ご相談は無料です。お預かりできるかどうかは、猫の状態とご事情をうかがったうえで個別にご案内します。
お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。



本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。