発情期の猫の鳴き声が気になる!うるさいときの対策とは?

  • 猫が発情期を迎えたら、鳴き声がうるさくなった
  • どうやったら静かになるのか
  • やはり去勢・避妊手術を受けさせた方がよいのか

このように思っている人は多いのではないでしょうか?

猫は発情期を迎えると、オスメス関係なくしきりに鳴くようになります。おそらく何らかの対策を取らないと、おだやかに暮らせないでしょう。

そこで本記事では、発情期の猫の鳴き声対策に関して解説します。また、去勢や避妊の手術に関しても解説するので参考にしてください。

発情期の猫がうるさいときの対策

発情期の猫がうるさいときの対策はいくつもあります。

  • 去勢・避妊手術を受ける
  • 飼い主側が鳴き声をシャットアウトする
  • 防音効果のある場所に入れておく
  • 日中の運動量を増やす
  • またたびを与える

第一に伝えておきたいのが、最優先すべきで、もっとも有効な解決方法は、去勢・避妊手術を受けること

発情期に猫が鳴くようになるのは自然なことで、根本的に解決するには手術しかありません。それ以外は一時的な対処法、もしくは猫にストレスを与える手段です。

それを踏まえたうえで、下記を読んでいきましょう。

去勢・避妊手術を受ける

上記のとおり、もっとも有効なのは去勢・避妊手術を受けることです。発情がなくなるとともに、鳴き声もおさまります。

去勢・避妊手術とは、オスであれば睾丸、メスであれば卵巣(ときおり、卵巣と子宮)を摘出する手術。

この手術を受ければ発情期が来なくなり、それに由来する鳴き声もおさまります。

去勢・避妊することには、感染症を防ぐ、望まない妊娠を防ぐなどの意味合いでも重要。

なおやや古いデータではありますが、平成23年時点での飼い猫の去勢・避妊手術の実施率は、環境省によればおよそ83%でした。

(引用:環境省

ほとんどのケースで手術を受けているのがわかります。

「どうしても子供を産んでほしい」といった特殊なケースをのぞいて、基本的には去勢・避妊手術を受けさせるようにしましょう。

去勢・避妊手術を受けさせるのはかわいそう?

たしかに、「本人(本猫)の意思に反して、生殖能力を奪う」という点では、かわいそうかもしれません。しかし以下の理由から、去勢したほうが、猫にとっても幸せだといえます。

  • 望まない妊娠を避けられる
  • 感染症を避けられる
  • オスの場合、猫同士の喧嘩による怪我を回避できる
  • 生殖しなくても心おだやかでいられるetc.

去勢・避妊手術を受けさせたからといって、不幸になるとは限りません。むしろ長く穏やかに生きることをよしとするなら、手術を受けるのは猫にとって望ましいことといえるでしょう。

飼い主側が鳴き声をシャットアウトする

上述のとおり、去勢・避妊していない猫の鳴き声をおさえるのはむずかしいので、飼い主がそれをシャットアウトするのが現実的です。

イヤホンで音楽を聴く、離れた部屋に行く、耳栓をするなどするのがよいでしょう。

(引用:Amazon

耳栓ならAmazonで700円程度で購入できます。

しばらくはこういった方法で鳴き声をシャットアウトし、タイミングを見計らって去勢・避妊手術を受けるのがよいでしょう。

防音効果のある場所に入れておく

また、防音効果のある場所に猫を入れておく方法もあります。

猫にストレスが生じるため、長く使える方法ではありませんが、一時的に鳴き声を遠ざけるうえでは役立つでしょう。

具体的には飼い主がいる部屋から離れた部屋、押し入れなどが考えられます。しばらくはそれで鳴き声をしのぎ、タイミングを見計らって手術を受けさせるのがよいでしょう。

とはいえ、鳴き声という理由があろうとも、猫をどこかに閉じ込めてしまうのは、ストレスが生じるうえ、倫理的とは言い難いでしょう。

なるべくこの方法を取る前に、手術を受けさせるのを推奨します。

日中の運動量を増やす

夜間の鳴き声が気になる場合は、日中の運動量を増やす方法が有効です。

昼間に外を歩き回らせたり、より長い時間遊んだりすれば、夜間に睡眠を取るようになります。

そうすれば、少なくとも夜鳴きに悩まされるケースは減るでしょう。

しかし猫は本来夜行性であり、夜に動き回れなかったことがストレスになるかもしれません。

飼い主が耳栓を使うなどして、猫ばかりに負担がかからないように工夫しましょう。

またたびを与える

またたびを与えることで、一時的に鳴き声をおさえる方法もあります。

(引用:Amazon

またたびは、Amazonなどで簡単に購入できます。

これを与えれば、一時的に酩酊状態となり、鳴き声がおとなしくなるでしょう。

しかしまたたびを与えすぎると、心身に負担がかかる、中枢神経に異常をきたすなどの問題が生じます。

与えるペースは、週に1〜2回程度にするのがよいでしょう。

ただ、発情期を迎えるたびにまたたびを用意するのもたいへん。やはり去勢・避妊手術するのがもっともよい方法だといえます。

【補足】発情以外の理由で鳴いている可能性もある

また、発情以外の理由で鳴いている可能性も考慮しましょう。たとえば、以下の疾患や精神状態の悪化が考えられます。

  • 全般的な体調不良
  • 消化不良
  • 気管支炎
  • 鼻炎
  • 尿結石
  • 感染症
  • 分離不安(親しい人物との別れによる不安)
  • 極度のストレス

発情が考えにくいなら、上記のいずれかである可能性が高いです。

特になんらかの気管支炎や尿結石、感染症は重篤な症状に発展することがあります。発情以外の原因が考えにくいなら、ただちに診察を受けるようにしましょう。

去勢・避妊手術を受けて猫の発情期を避けるメリット

上述のとおり、去勢・避妊手術を受けて猫に発情させないのを強く推奨します。

手術さえ受ければ、生殖に対する欲求がなくなり、鳴き声もおさまります。

その他、手術を受ける具体的なメリットとして以下が挙げられるでしょう。

  • 問題行動を避けられる
  • 望まない妊娠を避けられる
  • 育てやすい性格になる
  • 脱走のリスクを避けられる
  • 感染症リスクを低減できる
  • 近所迷惑にならずに済む

猫の発情期を受け入れながら育てるのはたいへんです。しかし去勢・避妊手術を受ければずいぶんと楽になります。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

問題行動を避けられる

まず、手術を受けると、以下のような問題行動も避けられるようになります。

  • 頻繁に鳴く
  • 部屋のなかで尿をして匂いを残す
  • 異常に外へ出たがろうとする
  • 攻撃的になる
  • メス猫の場合は甘えてくるetc.

なかには可愛らしいものもありますが、尿をしたり、攻撃的になったりするのは大きな問題です。

部屋が汚れたり、飼い主が怪我をしたりするかもしれません。特に子供が猫にじゃれつき、反撃されるパターンが心配です。

しかし去勢・避妊手術を受けておけば、上記の問題行動のほとんどを避けられます。

望まない妊娠を避けられる

飼い猫がメスだった場合、望まない妊娠を避けられるのもメリットです。

完全室内飼育を実施していない場合、発情期のメスが外へ出ていったとき、妊娠して帰ってくることがあります。

なお、猫の交尾における妊娠率はほぼ100%。つまり、外で少し魅力的なオスがいて行為に発展したなら、まず間違いなく妊娠するでしょう。

(引用:大阪市

なお妊娠した場合、上図のとおり、平均6頭を出産します。猫との暮らし方や環境に関して、大幅な変更は避けられないでしょう。

多頭飼育崩壊のリスクもある

なお、一度に妊娠が多頭飼育崩壊につながることもあります。

多頭飼育崩壊とは、猫が繁殖しすぎて、とうてい飼育しきれないほどの数に達することを指します。

たとえばメスが産んだ子世代のメスが避妊をしなければ、完全室内飼育でないかぎり、孫世代を産むでしょう。また、兄妹間で交尾することもあります。

それを繰り返すことで、上動画のような状態になるかもしれません。もちろん、ここまでの事態になるのは珍しいですが、「数が多すぎて生活がままらなくなる」程度のことは現実的に起こり得ます。

去勢も避妊もしないなら、多頭飼育崩壊の状態にならないようにするのが大切です。

関連記事▶︎多頭飼育崩壊の猫の引き取りはむずかしい?まずは市役所の生活課に相談してみよう!

育てやすい性格になる

去勢手術を実施すると、基本的には育てやすい性格になります。具体的には以下のように変化するでしょう。

  • 穏やかでおとなしくなる
  • やや甘えん坊になる
  • マーキングやスプレーなどをしなくなる
  • 遊びやじゃれあいなどの社会的行動に興味を示すようになる
  • 眠ったり休んだりすることを好むようになるetc.

去勢手術を実施する前は、性ホルモンのはたらきにより、攻撃的、積極的な性格をのぞかせます(人間に置き換えて考えれば、男性的である)。

しかし去勢するとホルモンバランスが変化して、育てやすい性格に変化するわけです。

ただし生まれ持った気質から、去勢したあとも活発に動き回る個体も。

とはいえ、発情期ほど激しく動き回ったり、頻繁に鳴いたりするわけではありません。いわゆる「元気な猫」程度の活動強度であり、さほど心配する必要はありません。

感染症リスクを低減できる

感染症リスクを低減できるのも重要です。猫が交尾するなかでは、人間同様にさまざまな病気にかかる可能性があります。

  • 猫エイズウイルス感染症
  • 伝染性腹膜炎
  • クラミジア感染症
  • 猫白血病ウイルス感染症

もちろんワクチンを接種しておけば感染しにくいものもあります。しかし、交尾する以上可能性は否定できません。

そのリスクを避けられる意味でも、去勢・避妊手術は重要な意味を持つでしょう。

関連記事▶︎猫のFIP(猫伝染性腹膜炎)とは?治療法や予防法を解説

近所迷惑にならずに済む

近所迷惑にならずに済むのも重要です。

飼い主が「うるさい」と思うなら、近隣住民も同様の感想を抱くでしょう。

実際、そのことを嘆く人は決して少なくありません。

特に発情期の大きくて頻繁な鳴き声は、近隣住民にとって大きなストレスになりえます。それが原因でトラブルになるかもしれません。

このようなリスクを避けられるのも、手術を受けるメリットのひとつです。

メリットを理解したら去勢・避妊手術を受ける

ここでは去勢・避妊手術を受けるメリットを解説しました。弊法人としても、この手術を受けるのを強く推奨します。

去勢・避妊手術は、動物病院で受けることが可能です。まずは近くの病院に連絡してみましょう。

費用に関しては、以下を目安にしてください。

  • 去勢手術▶︎15,000円〜30,000円
  • 避妊手術▶︎20,000円〜30,000円

手術の難易度は低く、後遺症などが残る可能性はほぼありません。

ただし手術後は安静にさせるなどのケアが必要です。この点に関しては、「猫の去勢手術はいつ受けるべき?費用・手術内容・術後のケアも解説」で解説しているので参考にしてください。

猫の発情期に関するよくある質問

本記事では猫の発情期の鳴き声に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。

  • 猫の発情期がうるさいのはいつまで続く?
  • 発情期を放っておくとどうなる?
  • 発情期に季節で決まる?
  • 近所の猫がうるさいときはどうすれば?

発情期に関しては悩みを抱えている人も多いでしょう。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

猫の発情期がうるさいのはいつまで続く?

猫の発情期は、一般に5日から14日ほど続くとされています。長く続く個体だと、飼い主、猫ともにかなり疲弊するでしょう。

また猫の発情期には周期があります。

猫の繁殖期における発情と交尾行動について写真や動画で学ぶ | 子猫のへや

(引用:子猫のへや

つまり5日から14日の発情を経て最大68日の休止期があり、また発情期に入るサイクルを繰り返します。

この休止期が極端に短い個体だと、より負担が大きくなるでしょう。

発情期に季節で決まる?

「この季節だから発情期になる」とは決まっていません。1月から9月、つまりほぼ年中は発情期に入りうる状態です。

ただ、それでも一定の傾向はあり、2月〜4月(冬から春)、6月から8月(夏)は発情しやすいようです。

したがって去勢・避妊手術を選択しないなら、この期間に発情期の準備をしておくとよいでしょう。

とはいえ、毎年対策したり、猫を我慢させたりするのは大きな負担になります。もちろん、それ以外の時期でも、周期に沿って発情期が訪れます。

やはり去勢・避妊手術を選択するのが現実的でしょう。

発情期を放っておくとどうなる?

発情期を放っておくと、それが済むまで、以下の行動が続きます。

  • 頻繁に鳴く
  • マーキングする
  • 異常に外へ出たがろうとする
  • 攻撃的になる
  • メス猫の場合は甘えてくるetc.

マーキングとは、自身の匂いを擦り付けることです。

その方法として、上動画のような「転がり」が挙げられます。

これだけなら問題はありませんが、ところまわず尿をすることでマーキングするケースもあります。もちろん部屋のなかも例外ではありません。

これらの行動は猫の本能に基づくものであり、しつけなどで制御できるものではありません。

先ほど触れたとおり猫の発情期は5日から14日ほど続きます。去勢・避妊手術を選択しない場合、飼い主もこの期間は相当に我慢する必要があるでしょう。

近所の猫がうるさいときはどうすれば?

近所の猫がうるさいときの対応は、管理素体に相談するのがおすすめです。ただし連絡先は住宅の種類によります。

  • マンション▶︎不動産管理会社および管理組合
  • 賃貸マンション▶︎不動産管理会社に連絡する
  • 一戸建て▶︎自治会もしくは警察相談電話専用ダイヤル(#9110)に相談

そうすれば、電話連絡で注意する、張り紙で注意喚起するなどの対応が取られるでしょう。

なお、飼い主に直接苦情を言うのは、トラブルに発展しやすいため、おすすめしません。

まとめ:やはり去勢・避妊手術を受けるのが最優先

本記事では発情期の猫の鳴き声に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 猫の発情期がうるさいときは、とにかく去勢・避妊手術を受けるのが有効
  • それ以外の方法では根本的な解決にはならない
  • 強いていうなら、耳栓をつける、またたびを与えるなどの方法がある
  • しかし発情期を迎えるたびに対策するのはそれなりにたいへん
  • 猫にとっても欲求不満の時期が続くため、辛い経験になる
  • しかし去勢・避妊手術を受ければ、これらの問題のほとんどを解決可能
  • 育てやすい性格になる、感染症を予防できるなどの重要なメリットも
  • 近所迷惑をならずに済むなどの利点も見逃せない

猫は頻繁に発情期を迎える生き物です。また、その際はとにかく活発に動き、そして鳴き声を上げる習性があります。本記事で何度か触れている去勢・避妊手術をはじめ、できる限りの方法で対策しましょう。

最後に、猫が発情期を迎えて鳴き声を上げるのは、生態上普通のことです。それを制限するのは、猫にとってストレスになります。

またそれを「うるさい」と断ずることを、「自分勝手だ」とする意見もあります。

そのような点に鑑みれば、やはり去勢・避妊手術を受けるのが最優先だといえるでしょう。

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