2024.06.30
このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか
雌猫は生後5ヶ月で、雄猫は8ヶ月で生殖能力を獲得し、発情期を迎えるようになります。そしてその際の問題行動に困らされるケースも少なくありません。
そこで本記事では、猫の発情期のサイクルや、発情した際に起こること、そして問題行動の対処法を解説します。
猫の発情期は、基本的に以下4期を繰り返します。
これを1ヶ月ほどかけて一周するのが、猫の発情サイクル。ただしサイクルを有するのは雌猫だけです。雄猫の発情期に関しては別途解説します。
発情期の初期を迎えた雌猫は、明らかに活動量が上がります。大きな声で鳴いたり、あちこち歩き回ったりします。
またトイレの回数が増える、攻撃的になるといった傾向も。飼い猫の場合は、飼い主にべったりと甘えるなどするケースがあります。
この段階でも後述するような問題行動が見受けられ、飼い主が疲弊してしまうこともあります。
一方で食欲が低下し、やや栄養不足に陥る側面も。
しかしながら実際に雄猫から交尾を迫られると拒絶するなど、矛盾した行動を示します。
中期を迎えると、発情のピークを迎えます。これまで以上に大きな声で鳴き、あちこち転がったり、走り回ったりします。
実際に雄猫からの求めに応じるのもこの中期。
交尾に同意した雌猫は、お尻の部分を持ち上げる、いわゆるロードシスという姿勢を取るようになります。これは雄猫が周囲にいない場合でも見かけられます。
なお雄猫の場合は、雌猫を求めて走り回ったり、他の猫と喧嘩したりします。雄雌ともに活動が活発で、怪我や望まない妊娠に十分な注意が求められる期間といえるでしょう。
後期を迎えると、交尾のあるなしにかかわらず発情期が終焉に近づきます。
実際に交尾があった場合は、これまで以上に隠密に行動するようになります。なお猫に行為があった場合の妊娠率は100%。
したがって交尾後は間違いなく妊娠し、身を隠すようになると考えて問題ありません。
交尾がなかった場合も排卵が起こり、性ホルモンが分泌されなくなります。このホルモンの打ち止めを持ってして、発情期が終焉を迎えます。
なお発情期が訪れるのは自然現象ですが、現代ではその限りではありません。人工照明によって、発情が促進されている、という報告も存在します。
排卵が終わったあとは、交尾を求めない非発情期に入ります。
このあたりの過ごし方は普段どおりであり、特別な動きはありません。
しかしこの期間はかなり短く、わずか1〜2週間でふたたび発情期の前期に戻ります。ただし交尾して妊娠している場合はその限りではありません。
飼い猫である場合、発情期が終わったにもかかわらず、またすぐに活発に動き回るようになり、飼い主をさらに疲弊させるケースが少なくありません。
後述する去勢・不妊手術が強く求められ、多くのケースで実施される理由は、このサイクルの速さによる飼い主の負担の大きさにも起因します。
(引用:環境省)
なお雄猫は基本的に発情期サイクルを持ちません。そのかわり、雌猫の発情の影響を受けて発情行動を示します。
雌猫の発情期に鳴き声やフェロモンを知覚すると、興奮状態になり、交尾の機会を得ようとします。
雌猫にやや強引に迫るのもこの頃。
もし雄の飼い猫を完全室内飼育していない場合、外に出ると、雌猫の影響を受けて発情する可能性があるでしょう。
また、いつどのタイミングでも、発情期を迎えた雌猫は存在しえます。その影響をいつでも受けられることを考えれば、雄猫は年間にわたりいつでも発情しうるといえるでしょう。
なお雄猫は、交尾したあとで母猫や子猫と行動を共にすることはありません。人間と異なり、交尾が終わればどこかへ行ってしまいます。
続いて発情期における習性や行動の変化を解説します。
そして重要なのは発情期における多くの行動が、猫と人間が共生するうえで、問題になる点です。そしてこの問題行動が、生活を破綻させるほど深刻になりうることを理解しなければいけません。
まず発情期にはどのような変化が生じるのか確認しましょう。
なお今回は雄猫と雌猫、それぞれに分けて述べています。
雄猫の場合は、その習性と行動に以下のような変化がともないます。
雄猫の場合は、マーキングがともないます。これは地面を転がって匂いをつけたり、尿を振り撒いたりする形で表現されます。
また見境なく攻撃したり、よその猫と以下のように激しく争ったりすることも。
雌猫の場合は以下のような変化が訪れます。
大きな鳴き声を出すのは、雄猫と同様です。
一方で先述したロードシスや、飼い主に対する愛情表現が顕著になります。
また雄猫と異なり、食欲が減退気味になるのも特徴。
一方で人間でいう月経のような現象はなく、それにかかる体調不良や出血などはともないません。
上述した習性のうち、以下は猫と人間が共生するうえでの問題行動となります。
まず、あまりにも大きな鳴き声は、飼い主にとって大きなストレスとなります。
まじでこれ。
実家の近くで猫に餌やってる人いるけど本当に迷惑糞は庭にされるし発情期はうるさいし
おかげで猫好きじゃないよ— 九条 葵 おおい済み (@Aniloveaoiiii) June 23, 2024
さらに近隣にも聞こえるほど大きい声を出すので、人間同士のトラブルになることも。尿によるマーキングも、人間社会で大きな問題になりえます。
また攻撃や闘争は、飼い主と猫を傷つける要因となります。怪我をして感染症を患い、命の危機に瀕するケースも少なくありません。
猫の発情期における問題行動は、以下のような方法で対処できます。
去勢・不妊手術を受ける 鳴き声をシャットアウトする 行動範囲を限定する 外に出さないようにする マーキングはきれいに掃除する
最善は去勢・不妊手術を受けることです。そうでないなら、鳴き声をシャットアウトする、行動範囲を限定するなどの対策が有効です。
猫の発情期における問題行動をおさえる最高の対処法は、去勢・不妊手術を受けることです。
雄猫の場合は睾丸を摘出、雌猫の場合は卵巣や子宮を除去。これにより性ホルモン分泌を制限し、発情期が訪れるのを避けられます。
そもそも発情しないため、問題行動を取ることはありません。飼い主もストレスなく過ごせるうえ、望まない妊娠も避けられるようになります。
「子猫を産んでほしい」といった特殊な事情がない限りは、去勢・不妊手術を受けるのを強くおすすめします。
なお去勢・不妊手術にかかる費用は15,000円から30,000円前後。この処置に関しては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事▶︎猫の去勢手術はいつ受けるべき?費用・手術内容・術後のケアも解説
発情期の問題行動でもっとも重大な問題は、大きな声量が伴う頻繁な鳴き声です。これは飼い主のストレスや近隣トラブルの原因となります。
以下の方法できちんと対策しましょう。
とはいえ、飼い主がどれだけ努力しても、発情期の鳴き声を完全にコントロールするのは困難です。ある程度は我慢するしかないでしょう。
なおフェロモンスプレーとは、以下のようなものを指します。
(引用:ロケットニュース24)
これは猫を精神的に落ち着かせるスプレー。1セット3000円ほどで購入できます。お金に余裕があれば使ってみるとよいでしょう。
また行動範囲を限定するのも重要です。そのままにしておくと、家財の破損や猫の負傷などにつながるかもしれません。
特に窓やドア付近での行動には注意が必要。飛んだり跳ねたりするなかで、ガラスを割るなどする可能性があります。
また人間に対する攻撃も懸念されます。発情期で興奮した結果、飼い主に怪我をさせるかもしれません。
こういったことがないように、キャットツリーやケージを用意して行動範囲を限定するとよいでしょう。あるひとつの部屋に閉じ込めておく、という方法もあります。
しかし本来走り回りたい発情期に、行動範囲を限定するのは、猫にとって大きなストレス。このようにやや無理のある対策を取るのではなく、去勢・不妊手術を受けさせるのを推奨します。
当然ながら、発情期を迎えた猫は外に出さないようにしましょう。交通事故や他の猫との喧嘩、望まない妊娠や性病感染など、大きなリスクが多々考えられるからです。
外に出さないようにするには、以下の点に注意しましょう。
脱走防止用ネットとは、以下のようなものを指します。
ベランダで猫が三匹くつろいでいます。太陽の日射しを浴びて気持ち良さそうです😸
(ベランダには脱走防止策として、防鳥ネットを張っています)
今週は(水)(木)(金)と三日間連続で朝7時から昼すぎまで猫ポラをしました。疲れましたが、毎日しっかり睡眠とっているので大丈夫です💮 pic.twitter.com/s6tCwlZgTp
— うつりにけりな (@uturinikerina) April 26, 2024
このようなネットを張っておけば、ベランダからの脱走を完全に防止できます。
発情期には、尿をあちこちにかけてしまうマーキングが問題になりがちです。これを防ぐ方法はかなり限定されますが、先ほども紹介した猫用フェロモンが役立つかもしれません。
(引用:ロケットニュース24)
これを部屋に巻くだけで、精神的に安定し、マーキングをしたいという衝動をコントロールできる可能性があります。
ただし猫用フェロモンが効かない個体もいるので、当たり外れがある点に注意してください。
本記事では猫の発情期に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
猫の交尾は非常に短い時間でおこなわれます。雌猫が伏せるようなポーズを取り、雄猫がそれに覆いかぶさるような姿勢で交尾します。
このとき雄猫は雌猫の首元に噛み付きます。これは、雌猫を精神的に落ち着かせ、交尾をしやすくする効果があるようす。
なお雌猫にとって交尾に相当な痛みがあるらしく、大きな叫び声を上げることが挙げます。これは雄猫の方に、排卵を刺激する突起が多数あり、それが卵管を刺激するからです。
猫の発情期は基本的に終わりがなく、生涯にわたって継続します。
一般的には生後5ヶ月から1歳までに最初の発情期を迎え、それ以降は一定のサイクルで発情するようになります。
そして老猫と呼ばれる年齢になっても、そのサイクルが途絶えないというのが一般的です。
結論からいうと、発情を止められる可能性があります。ただし実行するのはおすすめしません。
雌猫の卵巣付近を綿棒で刺激し、無理やり排卵させる方法があります。排卵すると性ホルモンの分泌が止まるため、理屈のうえでは強制的に発情期を終わらせることが可能。
しかしこのような行為は卵巣や卵管、子宮などを傷める可能性があります。また、無理やりに排卵すること自体が、猫にとって大きなストレスになるかもしれません。
かつては民間療法的に、強制的に排卵させる方法が使われていました。しかし今はその危険性が認知されており、実行するケースはほとんどありません。
したがって綿棒を使った発情のコントロールは実行しないようにしましょう。
仮に去勢・不妊手術を実施しない場合は、発情期に対応する必要があります。同時に以下のような「やってはいけないこと」にも注意しましょう。
特に避けたいのが、問題行動に対して叱りつけることです。
まず、これらの行動は、厳しく叱ってもおさまることはありません。厳しく非難されたことに対する恐怖や不快感が残るだけなので、やめましょう。
また、発情期中にまたたびを与えると、呼吸困難になってしまう可能性があります。
そして、大きな音を立てるのも避けましょう。猫は発情期中、音に敏感になっており、騒音を聞くだけでもストレスになってしまいます。
しかしやってはいけないことを避けようとするほど、今度は飼い主の精神的負担になるのが問題です。
こういった問題を回避するためにも、やはり去勢・不妊手術を受けるのが基本線となるでしょう。
本記事では、猫の発情期に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
発情期を迎えた猫は、普段からは想像もつかないほど元気に動き回るようになります。
やはりペットである前に生物である以上、生殖に関する活発な活動を制限するのは現実的ではありません。
本記事でも何度か述べたように、やはり去勢・不妊手術を受けることを推奨します。
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