2024.03.31
このように思っている人は多いのではないでしょうか?
実は猫は夜行性でなく、明け方と夕方に活発に活動する「薄明薄暮性」というバイオリズムを有しています。そして、そのように進化したことにも理由があります。
本記事では、薄明薄暮性に進化した理由や、昼行性である人間との生活リズムを合わせる方法などを解説。
猫とともに寝て起きるような、幸せな暮らしを求める人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
冒頭でも述べたとおり、猫は夜行性ではなく、薄明薄暮性を有しています。一部の例外はありますが、少なくとも家で飼育できる猫(イエネコなど)は、その性質を持っていると考えて問題ありません。
夜行性ではなく薄明薄暮性である理由としては、たとえば以下が挙げられます。
それぞれの理由に関して解説するので参考にしてください。
まず、狩りのチャンスが多い点が挙げられます。
薄明薄暮は視界が良好で、狩りをするのが容易になります。さらには主な獲物である小動物や鳥類、昆虫類が活発に活動を始めます。
特に薄暗い時間帯は、非夜行性の獲物の視界が不良になる反面、夜目を持つ猫の視界は良好。狩をするうえで圧倒的に有利な状況になります。
このような理由が重なり、狩りのチャンスが増えるため、薄明薄暮性を有するようになった、もしくは「薄明薄暮に活動する個体が生き残った」と考えられます。
また天敵に遭遇しにくいのも、薄明薄暮性を有するに至った理由として考えられます。
まだ人間による文明が完成する前の時代、猫は自身よりも大きな動物、例えばハクビシンやサル、猛禽類(タカなど)が天敵でした(現代でもカラスやヘビは恐怖の対象である)。
その他、オオカミやコヨーテなどの四足動物に襲われることもありました。
しかし天敵たちの多くは夜行性でした。つまり薄明は寝起きで活動が不活発、薄暮には眠気から運動性能が落ちています。
つまり薄明薄暮に活動している限り、天敵に襲われる可能性が低かったわけですね。よって、今のようなリズムで生きるようになったと考えられます。
光や音の刺激が少ないのも、薄明薄暮性を獲得するに至った理由かもしれません。
動体視力にすぐれる猫は、人間には「常時発光しているもの」も、「高速で点滅を繰り返している状態」だと正しく認識できます。
たとえば上記のような見え方です。しかしこれが刺激になり、ストレスや目の疲れを感じることも。
またきわめて高い聴力を有するため、日中に活動する動物が発する音を嫌う傾向もあります。この習性は、掃除機を嫌がるといったようすに現れています。
一方、薄明薄暮は、日中や夜間と比較して光源がさほど多くありません。さらに昼行性、夜行性の動物の活動も控えめになるため、音の発生も少なくなります。
したがって猫がストレスなく活動できるため、薄明薄暮性を獲得するに至ってとも考えられるでしょう。
また夜行性だった個体が自然淘汰されたのかもしれません。結果として生存に有利な薄明薄暮性を有した個体が大半を占めている、という説もあります。
同じネコ科に属するライオンやチーターなどは典型的な夜行性であることを考えれば、同じく夜間に活動するイエネコらに近い種もいたと考えられます。
しかしライオンやチーターほど屈強ではないがゆえ、夜行性動物同士の生存競争に敗れ、自然淘汰されたのかもしれません。
結果として、より生存に対して適切であった薄明薄暮性の猫が、今日まで生き残っているとも仮説立てられます。
なお猫の睡眠時間は非常に長く、1日に12時間から16時間ほど眠るとされています。
つまり活動するのは、1日8時間程度、というケースも珍しくありません。
ただし猫の睡眠の大半は浅い眠り、いわゆるノンレム睡眠に該当します。眠っているというよりも、余計な体力を使わないようにじっとしている、というのが、より実態に近いです。
上述で、猫が薄明薄暮性であることを解説しました。一方で人間は昼行性であり、生活リズムには若干のズレがあります。
したがって、猫が早朝や深夜に騒ぐなどして、飼い主側がやや暮らしにくくなることもあります。
生活リズムを合わせ、猫と人間が快く暮らすためには、以下の点を心がけましょう。
こういったことをいくつか組み合わせれば、生活リズムを合わせられます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、去勢・不妊手術をおこなうのは必須です。
猫は発情期を迎えると、早朝や深夜にも活発に動き回るようになります。
またその際に走り回ったり、大声で鳴いたりする(下動画参考)ため、飼い主や家族への悪影響は避けられません。
しかし去勢・不妊手術を実施すれば、少なくとも発情期による活発すぎる行動は抑制できます。
またこの手術は、猫の望まない繁殖を防止するためにも重要です。生後6ヶ月ごろまでには、去勢・不妊手術を完了することを推奨します。
この点に関しては猫の去勢手術はいつ受けるべき?費用・手術内容・術後のケアも解説でも解説しているので参考にしてください。
また、日中によく遊ぶのも有効な試みです。できるだけ長時間遊んで、「夜になると眠くなる」ような状態に導きましょう。
猫は日中にも頻繁に睡眠を取る習性があります。しかしあまりに眠りすぎると、夜中に熟睡できなくなります。
しかし日中に遊んでおけば、夜間にはゆっくりと眠るようになるでしょう。
一緒にじゃれたり、おもちゃを与えたりすれば、ある程度の運動量を確保できます。
また近年では以下のような自動おもちゃも販売されています。
こういったものを使えば、飼い主の負担を軽減しながら、生活リズムを近づけられます。
また就寝前にご飯を与えるのも有効です。夜中に起きにくくなる効果が得られるでしょう。
人間がそうであるように、猫も空腹の状態で入眠すると、中途覚醒することがあります。そうすると生活リズムが夜行性に偏ってしまいます。
しかし就寝前にご飯を与える習慣があれば、中途覚醒する可能性を下げることが可能。
できれば決まった時間にご飯を与え、そのままベッドで眠る、というルーティンを組んでしまいましょう。
また、猫が夜中に起きて、じゃれたり鳴いたりしても、相手をしないようにしましょう。こうすることで、「夜はかまってもらえない」と学習するからです。
基本的に猫は、何かを要求してそれが認められると、「次回からも求めに応じてもらえる」と考えます。つまり夜中に構ってしまうと、「夜の時間にも遊んでもらえる、相手してもらえる」と学習してしまうでしょう。
一方で夜中に起きても相手にしないようにすれば、「夜はかまってもらえない」と考えるようになります。そうなると、猫が本来持つ習性から考えれば、その時間帯に眠るようになるでしょう。
ただし相手にされないことが猫にとってストレスなのはいうまでもありません。夜中にかまえないぶん、昼間に十分相手をするなどして調整しましょう。
猫の睡眠習慣、もしくは人間との生活リズムの共有をはかるうえで、いくつか注意しておきたいことがあります。
猫は繊細な生き物であり、睡眠習慣に関してもある程度気を遣う必要があります。それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
可能であれば昼に起きて夜に寝て欲しいのですが、無理強いはしないようにしましょう。
猫は薄明薄暮性ではあるものの、夜目を有している、暗闇に紛れるような毛色を持つなど、夜間活動に向いている傾向があります。
つまり、どちらかというと夜に活動するのが望ましい、とも考えられるわけですね。
にもかかわらず、無理に昼型の生活を強いると、猫の健康を害する、ストレスを与える可能性があります。
人間にも昼型と夜型の人がいるように、猫にも、「昼起き夜寝」のスタイルが合わない個体もいます。
そういった背景を考えれば、無理に昼型にはさせないほうがよいでしょう。
先ほど、「昼間に遊ぶ」といったポイントを解説しましたが、とはいえ日中の眠りを邪魔しすぎないようにしましょう。
そもそも猫は1日12〜16時間は眠らないといけない生き物です。また、食事や運動のあとはゆっくりと眠ることを好みます。
それを必要以上に阻害すると、心身の不調をきたしかねません。
ある程度日中に運動するように導くのは重要ですが、一定の睡眠量は確保できるように配慮しましょう。
また一般社団法人どうぶつ予防医療協会は、以下のアンケート結果を根拠に、睡眠不足の危険性を訴えています。
(引用:一般社団法人どうぶつ予防医療協会)
こういった背景も踏まえると、猫が十分に睡眠を取れているか、ある程度配慮したほうがよいでしょう。
また一緒に寝るときは、あまりくっつきすぎないようにしましょう。距離が近すぎると怪我の原因になるからです。
猫の体は柔軟性がある一方、圧力に弱く、人間が体重をかけると容易に骨折などの重傷を負うかもしれません。
普段、猫はそういった圧力を感じると飛び上がって逃げますが、こと布団に包まったり、誰かの手が体に乗っていたりすると、それもかないません。
したがって寝るときは一定の距離を取り、寝相を変えたときに猫の体を圧迫しないように工夫しましょう。
飼い主や家族が体調不良のときは一緒に寝ないようにしましょう。
何らかの病気が猫にうつってしまう可能性があるからです。
通常、人間と猫が感染するウイルスは型が異なり、異種間で感染拡大することはありません。
しかし50種類ほど、人間から猫へ感染りうる、「人獣共通感染症(ズーノーシス)」があります。体調不良の原因がこれであった場合、密着して眠っていたら、高い確率で感染するでしょう。
したがって体調不良時は、一緒に寝ないことを強く推奨します。
本記事では猫の睡眠に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
飼い猫であれば、いつもの寝床か、やや入り組んだ場所(押入れ)などでじっとしています。
野良猫であれば、草むらや軒下、自動車の下など、外敵から発見される恐れのない場所に潜み、たいていの場合睡眠を取っています。
ただし昼行性の人間と違い、夜間もある程度活動できるため、眠っているとは限りません。夜目を活かして狩りをしたり、食べ物を探したりしていることもあります。
夜鳴きがひどい場合、以下の対処法が有効と考えられます。
夜鳴きの原因の大半は不安感であるため、こういったスキンシップを図ることで問題を解消できます。
ただし生活リズムを調整するなら、上述したとおり、かまってほしそうにしていてもある程度放っておくなどの調整が必要です。
諸説ありますが、薄明薄暮にしか活動のチャンスがなかったから、という仮説を立てることは可能です。
薄明(早朝)には夜行性の天敵が眠り出し、昼行性の天敵がまだ寝ぼけている状態。一方で、獲物もある程度います。薄暮(夕方)では夜行性の天敵が寝ぼけていて、昼行性の天敵が入眠するタイミングです。
つまり薄明薄暮がもっとも捕食のリスクが低く、一方で狩りを成功させる期待が高かったから、夜行性ではなく薄明薄暮性を選択したと考えられるでしょう。
本記事では猫のご飯に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
夜行性と思われがちな猫ですが、実際には薄明薄暮性を有しています。これを踏まえたうえで、生活リズムを合わせるように努力すると、飼い猫との暮らしもより心地よいものとなるでしょう。
昼行性ではないため、合わせられるリズムには限界がありますが、可能な範囲で睡眠習慣を一致させられるように工夫してみましょう。
関連記事