コラム

猫が吐いたらどうする?病院に行くべきサインと対処法・原因を解説

猫ちゃんとの暮らしをもっと豊かにするための専門コラム

2026.06.30 猫の健康・病気

愛猫が突然吐く姿を見ると、誰でも焦ってしまいますよね。

「これって様子を見ていいの?」「すぐ病院に連れていくべき?」「うちの子、どこか悪いのかな……」

そんな不安が一気に押し寄せる飼い主さまは少なくありません。

猫はもともと吐きやすい動物です。とはいえ、様子見でよいのか急いで受診すべきかの見分けは、なかなか難しいものです。

嘔吐物の色や回数から緊急度を見分けるコツを、わかりやすく説明します。

吐いた直後の正しい対処法や、毛玉・病気といった主な原因もまとめました。

毎日の暮らしでできる予防策も紹介します。まずは、受診すべきサインの見分け方から一緒に確認していきましょう。

猫が吐いた!病院に行くべきか見極める4つのポイント

猫が吐いた!病院に行くべきか見極める4つのポイント

猫が吐いたとき、受診すべきか迷ってしまうことはありませんか。落ち着いて判断するために、確認したい4つの点があります。

ここで取り上げるのは、次の4つです。

  • 嘔吐物の色
  • 嘔吐の回数と続く日数
  • 吐いた後の元気・食欲・呼吸
  • 吐けずにえずいているか

この4つの視点を押さえておくと、受診の判断がぐっとしやすくなりますよ。

嘔吐物の色

嘔吐物の色は、体の中で何が起きているかを教えてくれる大切なサインです。

色ごとの原因と危険度を、次の表で確認してみてください。

主な原因 危険度
透明・白い泡 胃液や水の逆流(空腹・ストレス) ★☆☆ 低
黄色 胆汁の混入(空腹・慢性胃炎・膵炎) ★★☆ 中
緑色 胆汁の大量逆流(肝臓・腸の異常) ★★☆ 中
ピンク・赤 口や食道・胃粘膜からの出血 ★★★ 高
赤黒い 胃や腸の深い出血(潰瘍・腫瘍) ★★★ 高
茶色(フード色でない) 消化管奥の出血・異物誤飲 ★★★ 高

特に注意したいのは、ピンク〜赤黒・茶色の嘔吐物です。血液は胃酸と混ざると、赤黒くコーヒーかすのような見た目に変わります。

そのため「赤くないから大丈夫」とは言いきれません。

茶色の嘔吐物は、フードの色と紛らわしいこともあります。ただ、異臭が強いときは消化管出血や異物の可能性があるため、迷わず受診しましょう。

黄色や緑は、胆汁が逆流している状態を示します。空腹が原因なら、食事の間隔を調整するだけで落ち着くこともあります。

ただし繰り返す場合は、膵炎や肝臓の病気が隠れていることもあるため、早めに相談してください。

受診のときに役立つ記録のコツも、押さえておきましょう。

  • 嘔吐物をスマホで撮影し、色・量・質感がわかるようにしておく
  • 吐いた時刻・回数・直前に食べたものをメモしておく
  • 可能であれば嘔吐物の一部をラップに包んで持参する

深夜は色が正確に見えにくいので、フラッシュ撮影しておくと安心ですよ。

嘔吐の回数と続く日数

嘔吐の回数と続いた日数は、受診のタイミングをはかるわかりやすい目安です。

まず覚えておきたい基準を、次にまとめました。

回数・日数 目安となる対応
1回のみ+元気あり 半日〜1日は様子見可
1日2〜3回 24時間以内に受診
1日4回以上 腹腔内疾患の疑い・即受診
3日以上継続 腸閉塞や内臓疾患の可能性・即受診

1日4回以上の嘔吐は、お腹の中の病気が強く疑われ、緊急性が高くなります。3日以上続く場合も、消化器の病気や誤飲による閉塞の可能性があります。

異変を感じたら、すぐに病院へ連れていきましょう。

深夜や休日の受診に迷うこともありますよね。「2回目を吐いた時点で夜間救急を考える」と決めておくと安心です。

また、獣医師へ正確に伝えるための準備も大切です。次の項目をスマホにメモしておくと、診察がスムーズに進みますよ。

  • 嘔吐した時刻と回数
  • 最後にごはんを食べた時間
  • 嘔吐物の色・形状(可能なら写真や動画も)

「何回吐いたか」「いつから続いているか」を、数字で把握しておきましょう。

日々の記録が、いざというとき愛猫を守る助けになります。

吐いた後の元気・食欲・呼吸

吐いた後にいつも通りごはんを食べているなら、多くの場合は様子見で問題ありません。

しかし、ぐったりして動かない・水すら飲まない・呼吸が荒いときは注意が必要です。こうした状態が一つでもあれば、迷わず受診してください。

気づきにくいのが、「お腹を触ろうとすると逃げる・唸る」というケースです。猫は痛みを隠す動物なので、些細な変化が腹痛の大切なサインになります。

嘔吐に加えて、次の症状が重なると緊急性は大きく高まります。

  • 下痢の併発(胃腸炎や中毒の可能性)
  • 発熱・震え・お腹の張り
  • 呼吸が速い、口を開けて息をしている

嘔吐と下痢が同時に起きていると、脱水が急速に進みます。異変を感じたら、半日以内の受診を目安にしましょう。

また、高齢猫や持病のある猫は、体力に余裕がありません。急に症状が悪化しやすいため、注意が必要です。

若い猫と同じ感覚で「元気だから大丈夫」と判断するのは危険です。迷ったときは「元気・食欲・呼吸」の3点を必ず確認してください。

吐けずにえずいているか

実は、「吐いた」よりも危険な状態があります。吐こうとしているのに何も出てこない「空嘔吐」です。

お腹を波打たせて何度もえずくのに、吐物が出ないときは注意が必要です。この状態は、腸閉塞を強く疑うサインになります。

放置すると腸が壊死し、命に関わることもあります。

次の症状が重なったら、時間帯を問わず、すぐに受診してください。

  • 水を飲んでもすぐ吐き戻す
  • 背中を丸めたまま動かない、お腹を触ると嫌がる
  • 便がまったく出ていない

腸閉塞の原因として多いのが、異物の誤飲です。糸やビニール袋など、猫が好んでじゃれるものほどリスクが高くなります。

ひも状の異物は腸に絡まりやすく、緊急の開腹手術が必要になることも少なくありません。

「吐いたかどうか」だけでなく、「吐けずに苦しんでいないか」にも目を向けましょう。この視点を持つだけで、気づきにくい危険を早く見つけられますよ。

猫が吐いたあとの正しい対処法

猫が吐いた直後は焦りがちですが、正しく対処すれば愛猫の回復を助けられます。

このセクションでお伝えする内容は、次のとおりです。

  • 吐いた後のご飯や水の与え方
  • 吐いた後にやってはいけないこと

ご飯や水を再開するタイミングから、つい手を出したくなるNG行動まで、順番に見ていきましょう。

吐いた後のご飯や水の与え方

吐いた直後は「お腹がすいているかも」と、ご飯を与えたくなるかもしれません。

しかし、すぐに食べさせると再び吐いたり、誤嚥性肺炎を起こしたりする危険があります。まずは胃を休ませることを最優先にしましょう。

元気があるなら、半日〜1日は絶食にして、水は4〜6時間あけてから少量ずつ再開します。ただし長く絶食させると、脂肪肝のリスクが高まります。24時間以上の絶食は避けてください。

次のスケジュールを参考に、段階的に戻していきましょう。

経過時間 食事
0〜4時間 与えない(氷のかけらで口を潤す程度) 絶食
4〜6時間 小さじ1杯ずつ様子を見て 絶食
6〜12時間 少量をこまめに 絶食
12〜24時間 通常量へ 普段の1/4量をふやかして
2〜3日目以降 通常通り 少量頻回で徐々に通常量へ

食事を再開するときは、消化のよいフードをぬるま湯でふやかします。1日3〜5回に分けて、少しずつ与えましょう。

吐かずに食べられたら、3〜7日かけてゆっくり通常の量へ戻していきます。

吐いた後にやってはいけないこと

心配のあまり、つい手を出したくなりますが、次の3つは愛猫の回復を妨げてしまいます。

NG行動 なぜ危険か
無理に食べさせる・薬を飲ませる 胃が過敏な状態で再嘔吐や誤嚥性肺炎を招く
遊びや運動をさせる 交感神経が刺激され吐き気が悪化する
市販の胃薬・整腸剤を与える 症状が隠れて病気の発見が遅れる・薬害のリスク

「何か食べさせなきゃ」と無理にフードや薬を入れるのは危険です。嘔吐直後の敏感な胃腸を、強く刺激してしまいます。

吐き戻した内容物が気管に入ると、誤嚥性肺炎という命に関わる状態につながります。

また、気分転換におもちゃで遊ばせるのも逆効果です。体を動かすと交感神経が活発になり、吐き気がぶり返しやすくなります。

吐いた後は、そっと静かな場所で休ませてあげましょう。

意外と多いのが、人間用の胃薬や市販の整腸剤を飲ませてしまうケースです。一時的に症状が治まると、背後に潜む病気の発見が遅れてしまいます。

猫に安全な用量や成分は、人間とは大きく異なります。薬は必ず獣医師の処方を受けてから与えてください。

猫が吐く主な3つの原因

猫が吐く主な3つの原因

猫の嘔吐は、大きく「生理的なもの」と「病的なもの」に分けられます。原因を正しく見分けることが、様子見か受診かの判断につながります。

このあと取り上げるのは、次の3つです。

  • 毛玉・早食い・空腹
  • 異物誤飲・中毒
  • 腎臓病・膵炎など慢性疾患

それぞれの特徴を知っておくと、愛猫が吐いたときも落ち着いて対応できますよ。

毛玉・早食い・空腹

猫の生理的な嘔吐は、「毛玉」「早食い」「空腹」の3つに分けられます。いずれも吐いた後に元気で食欲があれば、基本的に心配いりません。

それぞれの特徴と対処の目安を、次にまとめました。

パターン 嘔吐物の特徴 受診の目安
毛玉 毛の塊が混じった円筒状の吐物 月3回以上または食欲低下時
早食い ほぼ未消化のフードがそのまま出る 吐いた後もぐったりしている時
空腹 黄色い液体や白い泡だけ 食事間隔を調整しても改善しない時

毛玉吐きは、月1〜2回なら正常の範囲です。換毛期にはやや増えることもありますが、あまりに多いときは注意しましょう。

週に何度も続く場合は毛球症の可能性があるため、獣医師に相談してください。

早食いによる嘔吐は、胃が一気に膨らむことで起こります。突起付きの早食い防止食器を使うと、一口の量が自然に減ります。吐き戻しの予防が期待できますよ。

空腹時の嘔吐は、1日2回の食事を3〜4回に分けるだけで、落ち着くことも多く見られます。

まずは、食事スケジュールの見直しから試してみてください。

異物誤飲・中毒

ひもやビニールなどを飲み込んだときは、自宅での処置はとても危険です。

絶対に吐かせたり、口から出ている部分を引っ張ったりしないでください。線状の異物は腸に絡みやすく、無理に動かすと腸が裂けて腹膜炎を起こします。

口からひもが見えていても、そのまま触らず動物病院へ向かいましょう。

もう一つ怖いのが中毒です。猫にとって命に関わる物質は、身近なところに潜んでいます。

中毒物質 危険性
ユリ科植物(ユリ・チューリップ) 花粉や葉を少量なめただけで急性腎障害
玉ねぎ・ニンニク 赤血球を破壊し重度の貧血
チョコレート テオブロミン中毒で痙攣・不整脈
アセトアミノフェン(人の鎮痛薬) 1錠でも肝不全・呼吸困難

特にユリ科植物は、花瓶の水を飲んだだけでも命に関わります。「少量だから大丈夫」という判断は、とても危険です。

中毒が疑われるときは、症状がなくても、摂取から2時間以内の受診を目指してください。時間が経つほど毒素が吸収され、できる処置が限られていきます。

原因物質のパッケージや現物を持参すると、診察がスムーズに進みますよ。

腎臓病・膵炎など慢性疾患

「猫は吐きやすい動物だから」と思い込んでいませんか。高齢猫の嘔吐には、慢性腎臓病や膵炎といった病気が隠れていることもあります。

とくに慢性腎臓病は注意が必要です。初期には嘔吐がなく、多飲多尿(水を飲む量と尿の量が増える症状)が先に現れます。

嘔吐が出はじめるのは、中〜後期になってからです。体に溜まった老廃物が胃や食道を刺激し、吐き気を起こします。

つまり吐く頃には、すでに病気が進んでいる場合が多いのです。

次のサインが重なったら、生理的な嘔吐ではなく、病気による嘔吐を疑ってください。

  • 月に2〜3回以上の嘔吐が続いている
  • 体重がじわじわ減ってきている
  • 食欲が落ちて、フードを残すようになった
  • 水を飲む量やトイレの回数が明らかに増えた

これらは単独でも気になりますが、複数当てはまるなら早めの受診がおすすめです。

7歳を超えたら、年1〜2回の定期健診で血液検査や尿検査を受けましょう。腎臓の数値は血液検査でわかり、症状が出る前に異常を見つけられます。

「吐いてから調べる」のではなく、「吐く前に見つける」意識を持っておきたいですね。日頃の心がけが、愛猫の生活の質を守る大きな差になりますよ。

7歳を過ぎた猫との暮らしでは、健康のことはもちろん、これから先のことも気にかかりますよね。猫の飼育や健康については、NPO法人ねこほーむ でもコラムで情報を発信しています。気になることがあれば、参考にのぞいてみてください。

嘔吐を繰り返さないための予防策

猫の嘔吐は、日々のちょっとした工夫で頻度を減らせる場合が多くあります。

ここで紹介する予防策は、次の3つです。

  • ご飯の回数と早食いに気を付ける
  • ブラッシングで毛玉の発生を防ぐ
  • ストレスを減らす

どれも2〜4週間ほど続けると、効果を感じやすくなります。愛猫のために、できるところから取り入れてみてください。

ご飯の回数と早食いに気を付ける

空腹の時間が長いほど、胃酸が多く分泌されます。これが、朝方に黄色い胃液を吐く原因になります。

また、一度に大量に食べると胃が急に膨らみます。未消化のフードをそのまま吐き戻してしまうことも少なくありません。

こうした嘔吐を防ぐには、1日4〜6回に分けて少量ずつ与えるのがおすすめです。仕事や外出で難しい場合は、タイマー式の自動給餌器を活用しましょう。

スケジュールの例は、次のようなイメージです。

  • 朝6時・10時・14時・18時・22時の5回に分ける
  • 日中の2〜3回は自動給餌器にセットしておく
  • 1回あたりの量は「1日の総量÷回数」で決める

早食いが気になる子には、スローフィーダー(早食い防止食器)を試してみてください。器の凹凸でフードが分散し、自然と食べるスピードが落ちます。

食器を床から5〜8cm上げると首が水平に近づき、飲み込みがスムーズになりますよ。

効果の目安は2〜4週間ほどです。カレンダーに「吐いた日」を記録しておくと、改善の度合いが見えやすくなります。

対策を続けても嘔吐が減らない場合は、食事以外の原因も疑いましょう。病気が隠れている可能性もあるため、獣医師に相談してみてください。

ブラッシングで毛玉の発生を防ぐ

毛玉吐きは「猫だから仕方ない」と思われがちです。しかし、ブラッシングで飲み込む毛の量を減らせば、しっかり予防できます。

猫はグルーミングで、抜け毛の約3分の2を飲み込みます。これが胃に溜まると、毛球症(ヘアボール)として吐き出されます。

ひどい場合は腸閉塞を起こすこともあるため、日頃のケアが欠かせません。

毛質ごとのブラッシング頻度と、使うブラシの目安は次のとおりです。

毛質 頻度 おすすめブラシ
短毛種 週2〜3回 ラバーブラシ・ピンブラシ
長毛種 毎日〜2日に1回 スリッカーブラシ

春と秋の換毛期には、抜け毛が一気に増えます。短毛種も、毎日〜2日に1回へ頻度を上げましょう。

嫌がる猫には、次のような工夫で少しずつ慣らしていくのがコツです。

  • あごの下や頬など、気持ちよい部分から始める
  • 1回1〜2分の短時間で切り上げ、嫌がったらすぐ中断する
  • 終わったあとにおやつを与えて「良い体験」として覚えてもらう

ブラッシングを続けても、嘔吐が減らないこともあります。その際は、毛玉ケア用フードや毛玉除去サプリの併用も考えてみてください。

ストレスを減らす

引越しや来客、工事音など、環境の変化は猫にとって大きなストレスになります。

心理的な負担が続くと、「心因性嘔吐」を起こすことがあります。これは検査で異常がなくても、嘔吐を繰り返す状態です。

ストレスのサインは、嘔吐だけではありません。次の行動の変化にも目を向けてください。

  • 押し入れや家具の裏にこもって出てこない
  • 食欲が急に落ちる、フードの前で固まる
  • トイレの回数や場所がいつもと違う

こうしたサインが見られたら、まずは猫だけの安心できるスペースを整えましょう。段ボール箱や布をかけたキャリーなど、隠れ場所を用意します。

キャットタワーで高い位置にも逃げられるようにすると、より落ち着きます。多頭飼いの場合は、トイレを「頭数+1」設置し、食事場所も分けてあげてください。

フェロモン製品を併用すると、数日でストレスがやわらいだという報告もあります。薬ではないので副作用の心配がなく、試しやすい方法です。

環境を整えたあとは、2〜3日ほど様子を見てみましょう。それでも嘔吐が続く場合は、消化管や内臓の問題が隠れている可能性があります。

長引くときは、早めに動物病院を受診してください。

猫の嘔吐に関するよくある質問

猫の嘔吐に関するよくある質問

ここでは、猫の嘔吐について飼い主さまが迷いやすい疑問にお答えします。

嘔吐と吐き戻し(吐出)の違いや、嘔吐物の正しい処理方法を説明します。吐いたものを再び食べてしまったときの対応も確認しましょう。

毎日吐く猫の見分け方や、受診時に伝えたい情報まで、幅広く取り上げます。気になる項目から読んでも対処できる構成です。

嘔吐と吐き戻し(吐出)は何が違う?

同じ「吐いた」に見えても、嘔吐と吐出(吐き戻し)では仕組みが異なります。この違いを正確に伝えると、獣医師の診断がぐっと早くなります。

項目 嘔吐 吐出
発生部位 胃〜腸から逆流 食道から逆流
内容物 消化途中のフードや胃液 未消化のフードや透明な液体
予備動作 お腹が波打つ・よだれ・えずき 前兆なく突然ぽろっと出る
吐いた後 再び食べようとしない 自分で食べ直すことがある
疑われる疾患 胃腸炎・腎臓病・膵炎など 食道拡張症・食道炎など

見分けるときは、吐く直前の動作に注目してください。

タイプ 見分け方
嘔吐 口をぺろぺろ舐め、落ち着きがなくなり、お腹が波打ってから吐く
吐出 「オエッ」という動作がなく、食後すぐに未消化のフードがそのまま出てくる

吐出を繰り返す場合は、食道のトラブルが隠れている可能性が高くなります。放置せず、数日以内の受診がおすすめです。

受診のときは、スマホで吐く瞬間を動画に撮っておくと役立ちます。獣医師が嘔吐か吐出かをすぐに判断でき、検査の方向性が定まりやすくなりますよ。

吐いたものを食べてしまっても大丈夫?

嘔吐物を食べてしまっても、重大な問題になることは多くありません。吐き戻したものを再び口にするのは、猫にとって珍しい行動ではありません。

未消化のフードや毛玉程度であれば、過度に心配しなくて大丈夫です。

ただし、中毒性のある食品や異物が原因だった場合は注意が必要です。毒素を再び取り込むことで、症状が悪化する恐れがあります。

何を吐いたのかを、しっかり確認しておきましょう。

誤食のあとは、次の症状が出ないか24時間を目安に見守ってください。

  • 再び嘔吐を繰り返す、または吐こうとしてえずく
  • 下痢や食欲不振が半日以上続く
  • ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が鈍い

これらの症状がなく元気に過ごしているなら、様子見で問題ないでしょう。

一方、短時間で何度も吐く・元気がなくなるといった変化には警戒が必要です。腸閉塞や中毒の可能性も否定できません。

特に子猫や高齢猫は体力の消耗が早いため、早めに受診してください。吐いた直後にすばやく片付けることが、再び食べるのを防ぐ一番の対策ですよ。

嘔吐物はどう処理すればいい?

嘔吐物は片付ける前に、スマートフォンで写真を撮っておきましょう。色・内容物・量は、診断の大きな手がかりになります。

「捨てる前に記録する」ことを習慣にしてください。

処理の手順は、次のとおりです。

  • 使い捨て手袋を着用し、素手では絶対に触れない
  • 固形物はカードなどで広げないようすくい取り、ペーパータオルへ移す
  • 汚れた箇所を食器用中性洗剤で拭き取り、酸素系漂白剤で消毒する
  • 使った手袋やペーパーはビニール袋に密閉して捨てる

受診の可能性がある場合は、嘔吐物の一部をラップに包んで冷蔵庫で保管します。実際の吐物が、獣医師の重要な判断材料になります。

処理のあとに忘れがちなのが、猫自身の再食防止です。嘔吐物のにおいが残っていると、猫が舐めに戻ることがあります。

消毒が終わるまで、猫を別の部屋に移しておくと安心です。

写真とあわせて、吐いた時刻や回数、直前の食事内容もメモしておきましょう。記録を用意しておくと、受診のときスムーズに状況を伝えられますよ。

毎日吐くけど元気なら様子見でいい?

「元気だから大丈夫」と思いたい気持ちは、よくわかります。しかし、嘔吐が毎日続いている時点で、様子見は危険です。

週2回以上の嘔吐が1ヶ月以上続く場合は、「慢性嘔吐」に当てはまります。何らかの病気が隠れている可能性が高い状態です。

見た目の元気さだけでは判断できない理由があります。次のような変化が、ゆっくり進むためです。

変化 見方
体重の減少 短期間で5%以上減っていれば、病気のサインと考える
毛艶の悪化 栄養の吸収が落ちると、被毛がパサつきはじめる
食欲の波 食べたり食べなかったりを繰り返すパターンも注意

特に7歳以上の高齢猫では、判断がさらに難しくなります。慢性腎臓病による尿毒症は吐き気を起こしますが、初期のうちは食欲がそこまで落ちません。

甲状腺機能亢進症では、むしろ食欲が増すこともあります。それなのに体重は減っていくため、異変に気づきにくいのです。

毎日の嘔吐を「吐きやすい体質」と片づけるのは危険です。まずは体重を週1回、記録してみてください。

少しでも減る傾向があれば、迷わず受診しましょう。

受診時は何を伝えればいい?

獣医師へスムーズに状況を伝えるには、情報をまとめておくことが欠かせません。「いつ・何回・どんなものを吐いたか」の3点を軸に、まとめておきましょう。

受診時に伝えたい項目を、次にまとめました。

カテゴリ 伝える内容
嘔吐の状況 初めて吐いた日時・回数・食事からの経過時間
嘔吐物の特徴 色(透明・黄色・ピンクなど)・形状・異物の有無
全身の様子 食欲・元気・下痢や発熱など併発症状の有無
日常の情報 フードの種類・誤食の可能性・服用中の薬

これらを時系列でまとめておくと、獣医師が原因を絞り込みやすくなります。

診察室では緊張して、うまく話せないことも多いですよね。そんなときに役立つのが、スマートフォンの記録です。

嘔吐物は片付ける前に、写真か動画で撮影しておきましょう。色や量を正確に伝えられるため、診察の手助けになります。

撮影が難しければ、密閉容器に入れて持参しても構いません。時刻と症状をメモアプリに入力しておけば、そのまま見せるだけで伝わります。

「記録して見せる」を習慣にしておくと、いざというとき慌てずにすみますよ。

まとめ

猫が吐いたときは、まず緊急度を見分けることが大切です。嘔吐物の色・回数・全身の状態を、しっかり確認しましょう。

毛玉や空腹による一時的な嘔吐なら、様子を見ても問題ありません。しかし、血が混じる・何度も吐く・ぐったりしているときは注意が必要です。

危険なサインがあれば、迷わず動物病院へ連れていきましょう。

愛猫の「いつもと違う」に気づけるのは、毎日そばにいる飼い主さまだけです。

猫と暮らす毎日には、体調の変化から将来のことまで、さまざまな心配がついて回ります。もし転居や入院、ご自身の事情などで、これまでどおり猫を世話するのが難しくなったときは、NPO法人ねこほーむ の生涯預かりという選択肢もあります。

預かった猫が仲間と一緒に最期まで穏やかに過ごせる環境を整えているので、猫の行く末に不安を感じる方は、一度のぞいてみてくださいね。

ねこほーむ編集部より

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。