- 家の猫、後ろ足に力が入らないみたい
- 原因はなんなのだろうか?
- もう高齢だから、仕方ないのだろうか?
このように思っている人は多いでしょう。
猫は高齢になると、後ろ足に力が入らず、引きずるように歩くことがあります。そしてこの原因はさまざまです。
なぜ脱力が生じているのかを理解して、適切にケアするのが重要といえるでしょう。
そこで本記事では、高齢猫の後ろ足に力が入らない原因や対処法を解説。また筋力の維持する方法にも触れているので、ぜひ参考にしてください。
高齢猫の後ろ足に力が入らない原因は?
後ろ足に力が入らない原因は、さまざま考えられます。ただほとんどの場合で以下のいずれかに該当するでしょう。
- 後ろ足周りを怪我している
- 脳に腫瘍ができている
- 心筋症にかかっている
- 老衰で筋力が落ちている
筋力の低下や怪我、そして病気など、とにかく多岐にわたります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
後ろ足周りを怪我している
緊急性が高い原因として、後ろ足周りを怪我しているのかもしれません。たとえば以下が考えられます。
- 足裏の怪我
- 捻挫
- 膝蓋骨の脱臼
- 椎間板ヘルニア
- 関節炎
- 足骨部の骨折
活発に動き回る猫は、時として足を捻ったり、骨を折ったりします。またヘルニアや関節炎などを発症することも珍しくありません。
これらは放置していると重大な後遺症が残りうるので、ただちに動物病院へ連れて行きましょう。
唯一、足裏の怪我だけは、放っておいても自然治癒するので、診察を受ける必要がありません。
心筋症にかかっている
また、心筋症の影響で、後ろ足がうまく動かせなくなっているのかもしれません。
心筋症とは、心臓の筋肉に異常が生じて、心肺機能が正しく動かない病気を指します。特に肥大型と呼ばれる心筋症は、猫が発症しやすいものとして警戒されています。

(引用:みんなのどうぶつ病気大百科)
これを発症していると、血液が巡らなくなったり、血栓ができたりして、後ろ足が脱力してしまうことがあります。
また呼吸の乱れや口呼吸、足のけいれんなどがともなう場合も。
心筋症は、後ろ足のみならず猫の生命そのものを脅かしうる重大疾患です。この可能性が否定できない場合はかならず病院へ連れて行きましょう。
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脳に腫瘍ができている
さらに危険な例として、脳に腫瘍ができているのかもしれません。ただちに病院へ連れていく必要があります。
脳に腫瘍ができると、後ろ足を動かす神経に異常が生じます。そうすると「力を入れる」電気信号が届かなくなり、後ろ足を引きずるようになるわけですね。
なお、後ろ足の脱力以外にも、以下のような症状があるなら、脳腫瘍が疑われます。
- 食欲がない
- 睡眠時間の増加
- 意識レベルの低下
- 同じところをぐるぐる回る
- ヘッドプレシング(壁に頭を押し付ける)etc.
明らかに異常な症状が現れやすいので、すぐに気がつくでしょう。
脳の腫瘍は、心筋症以上にリスクが高い病気です。
このように、まったく動けなくなってしまうかもしれません。「しばらく様子を見る」といった楽観的な構えでなく、すぐさま病院へ連れていく判断が必要です。
老衰で筋力が落ちている
高齢であることを踏まえれば、老衰による筋力低下が考えられます。
本来、猫の後ろ足は、自らの身長をはるかに上回るほどの力を秘めています。
しかし、高齢になってはその限りではありません。ジャンプするどころか、多少引きずらないと歩けなくなる場合もあります。
老衰で筋力が低下している場合、それを回復させるのはややむずかしいでしょう。
なお若い猫でも、著しい運動不足があった場合、後ろ足の脱力が見られることもあります。
その他考えられる要因
そのほかにも以下の原因が考えられます。
- 変形性関節症
- 重症筋無力症
- 骨肉腫
- 骨軟化症
- 糖尿病
- 脳炎etc.
猫の後ろ足は、猫自身の健康状態を示すバロメーターでもあります。力が入らない、引きずるなどの問題があるなら、大きな病気の初期症状であることが多いです。
「足裏を怪我している」で説明できない後ろ足の脱力があるなら、上記の病気を発症している可能性を踏まえて、やはり動物病院へ連れていく必要があるでしょう。
高齢猫の後ろ足に力が入らないときの対処法
通常、猫は後ろ足を実に器用に使う生き物です。しかし高齢になると、力が入れられず、うまく使えなくなることがあります。
そういったことがあれば、以下のように対応しましょう。
- 軽傷なら自宅で手当てする
- 自宅で手当てできないなら病院へ行く
- しばらくは安静にさせる
- 定期的な健康診断のスケジュールを立てる
基本的に1から試していくのがおすすめです。それぞれの対処法に関して解説するので参考にしてください。
1.軽傷なら自宅で手当てする
まず、明らかに軽傷の怪我が原因なら、自宅で手当するようにしましょう。
たとえば足裏の怪我で後ろ足を引きずっているなら、そう大したことではありません。しばらく安静にさせておけば自然に治癒します。
必要であれば、ワセリンを塗ってやるなどしましょう。

病院へ連れていくのも、治療を受けさせるのも猫にとって大きなストレスです。もし軽傷だと判断できるなら、自宅で手当を済ませてしまいましょう。
2.自宅で手当てできないなら病院へ行く
怪我の程度が大きい、あるいは原因がわからないなら、自宅で対応できません。迷わず動物病院に連れて行きましょう。
そしてここで診断と応急処置を受けることになります。そして獣医師によって、今後どのように治療を進めていくか決まるわけですね。
診察や応急処置の内容は状況により異なります。触診だけで終わることもあれば、X線検査やMRI検査などがおこなわれるケースもあります。
診察の結果が出たら、獣医師の指導にしたがい、治療を進めていきましょう。
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(引用:兵庫みなと病院)
ほとんどの動物病院は、高齢猫の定期検診に関して年2回以上の頻度を推奨しています。
猫をより長生きさせたいなら、年2回を目安に検診をスケジューリングしましょう。
なお定期検診は1回あたり3,000円から5,000円ほどで受けられます。3回受けても10,000円前後なので、さほど大きな負担にはならないでしょう。
高齢猫の筋力を維持する方法
「うちの猫には、筋力を維持させたい」、「後ろ足に力が入らなくなるような病気にはさせたくない」と思う人は多いでしょう。
そのためには、筋力の低下と病気の発症を、日々の暮らしから予防するのが大切です。具体的には以下を習慣づけましょう。
- 適度に運動させる
- 年齢に合った栄養バランスを意識する
- 定期検診を受ける
- 完全室内飼育に切り替える
基本的なことばかりですが、きちんとやっておけば、筋力の低下や病気の発症をある程度予防できます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
適度に運動させる
適度に運動させることは、筋力維持の基本です。適切な負荷の運動習慣を実施し、衰えないようにしましょう。
具体的な方法として以下が挙げられます。
- キャットタワーやアスレチックを設置して遊ばせる
- おもちゃを与えて遊ばせる
- 一緒にじゃれる時間を設ける
- あえて餌を隠すなどして、動き回る時間を作る
こういった方法で、1日15分から25分ほど運動する時間を取るとよいでしょう。
また最近では、以下のようなキャットホイールもあります。これも運動不足解消に役立つでしょう。
ただし運動するだけではいけません。運動量に見合った食事を与え、筋肉の成長をうながしましょう。
年齢に合った栄養バランスを意識する
また、年齢に合った栄養バランスを意識するのも重要です。きちんと栄養を摂取していれば、運動量や筋肉量を維持したり、病気を予防したりすることが可能。
栄養バランスで基本となるのは、年齢にフィットするフードを与えることです。
ほとんどのブランドで、「シニア向け」「⚪︎歳向け」などと、年齢別でフードが分けられています。基本的にその分け方にしたがいましょう。
よりよいバランスを追求するなら、猫用のサプリメントを与えるのもおすすめです。
このように、不足しがちなビタミンなどを補給できるサプリメントが安価で売られています。そのほか不足しがちなカルシウムやEPAなどを与えるのも検討しましょう。
完全室内飼育に切り替える
完全室内飼育に切り替えるのは、猫の怪我や病気を防ぐうえで有効です。
もし猫が足裏を負傷したり、骨折や捻挫を負ったりするなら、おそらく室外でのトラブルが原因でしょう。人から逃げる、獲物を深追いするなどして怪我をするケースは多いものです。
また室外を歩き回って体力が低下した結果、重い病気をわずらうケースもあります。さらには蚊を媒介にした感染症にかかることも。
その点、完全室内飼育は、怪我や病気の大半を予防できるすぐれた方法です。
可能であれば完全室内飼育に切り替えましょう。
時おり「完全室内飼育はかわいそうだ」といった趣旨の意見が聞かれます。たしかに、限られた空間での生活が強いられる点に関しては不憫に感じられるかもしれません。
しかし、元来猫は狭い範囲で生活するのを好む生物です。外に出られないからといって、ストレスになるわけではありません。
また室内に遊び場があったり、十分な食事が与えられたりしていれば、猫からすれば何の不自由もないわけです。
ちなみに室内で飼育すれば、寿命が2.5年ほど伸びるといったデータもあります。
(引用:一般社団法人ペットフード協会-令和3年全国犬猫飼育実態調査結果)
これらの点を踏まえれば、完全室内飼育はかわいそうとは言えないでしょう。むしろ、猫にとって幸せな選択であるとも考えられるでしょう。
定期検診を受ける
多少の費用はかかりますが、やはり定期検診は受けておいたほうがよいでしょう。これは大きな病気を防ぐうえでもっとも強力な方法です。
どれだけ猫と長く暮らしていても、やはり獣医師免許を持たない人には気付けないことが多いものです。大病の兆候を見逃して、体が動かなくなったり、命を落としたりするケースもあるでしょう。
しかし定期検診を受けておけば、病気のきざしを早い段階で発見できます。また健康状態から発症が予測される病気に対策することもできるでしょう。
先ほども触れたとおり、高齢猫に関しては年2回以上の定期検診が推奨されています。費用は1回あたり3,000円で済むケースもあり、決して高額なものではありません。
できる限り頻繁に定期検診を受け、そもそも病気にならないようにしましょう。
高齢猫の筋力に関するよくある質問
本記事では高齢猫の後ろ足に力が入らない、という点に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 後ろ足に異変を抱えやすい猫種がある?
- 後ろ足のマッサージは有効?
- 適正体重を保つには?
ぜひ気になる項目を参考にしてください。
後ろ足に異変を抱えやすい猫種がある?
結論からいうと、「どの猫種が後ろ足の異変を抱えやすいか」をまとめてデータは確認できません。ただ、異変が生じやすい肥大型心筋症になりやすい猫種は程度わかっています。
<心筋症になりやすい猫種>
- メイン・クーン
- スコティッシュフォールド
- アメリカンショートヘア
- マンチカン
- ブリティッシュショートヘア
- ラグドールetc.
(参考:埼玉県獣医師会)
いわゆる純血種は、肥大型心筋症になりやすいとされます。一方で日本ではもっともポピュラーな雑種に関しては、同疾患を発症しにくいようです。
後ろ足のマッサージは有効?
結論からいうと、マッサージが後ろ足の機能を回復させる手段として、有効だとする情報は見受けられません。
たとえば脳腫瘍や心筋症が力が入らない原因だとしたら、問題は脳か心臓にあり、後ろ足に刺激を与えてもあまり意味はないでしょう。
また骨折や捻挫が原因の場合は、症状を悪化させる原因になります。後ろ足に力が入らない問題に対して、マッサージは有効でないでしょう。
ただ、リラクゼーションにはなるようです。
このようにマッサージをしてやると、かなり心地よさそうな表情をします。ストレスの発散などには役立つかもしれません。
適正体重を保つには?
猫の後ろ足の機能を守るため、適正体重を保つというアプローチもあります。そうすることで後ろ足にかかる余計な負担を軽減できるからです。
(引用:マディー動物病院)
これは、猫のボディバランスを示す「BCS」と呼ばれる基準です。適正体重とされるのは4、5で、それ以上になると肥満の傾向、つまり後ろ足に余計な負担がかかると考えられます。
もし6以上であれば、フードを減らす、運動機会を作るなどして、ダイエットさせるとよいでしょう。
まとめ
本記事では、高齢猫の後ろ足の問題に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 高齢猫の後ろ足に力が入らない理由はさまざま考えられる
- 怪我や心筋症、腫瘍、もしくは老衰による筋力低下
- 「足裏の怪我」以外は大病の可能性もあるため、直ちに病院に行くべき
- 高齢であることを考えれば、治療後も安静に過ごす時間を確保したい
- 高齢猫の筋力を維持するには、適度な運動や栄養バランスの管理が重要
- 定期検診などもきちんと受けておきたい
猫は、高齢になると後ろ足に力が入らない症状を呈することがあります。心筋症などのリスクを考えれば、基本的には動物病院へ連れて行ったほうがよいでしょう。
そうでなくとも後ろ足が動かせないのは、猫にとって不便かつ体力的に厳しいものです。できるだけすみやかに獣医師に診てもらうようにしましょう。
また老衰で後ろ足が満足に動かせなくなることもあります。それを防ぐためにも、普段の運動や食事の瞬間を正すように心がけましょう。








本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。