2023.05.31
このように考えている人は多いでしょう。結論からいえば一人暮らしでも保護猫を引き取るのは、やや条件は厳しいながら可能です。
ただし単身世帯で猫を育てるのは、かなりたいへんなこと。引き取る前に、本当に飼えるかどうか、じっくりと検討する必要があります。
そこで今回では以下の点を解説します。
本記事を読めば、引き取り方や育て方がわかり、本当に保護猫を育てられるかの判断がつけられます。ぜひ参考にしてください。
もくじ
一人暮らしで保護猫を引き取るステップは以下5つに分けられます。
「どこでどうやって保護猫を飼い始めるのか?そもそもどこに猫たちはいるのか?」と思っている人も多いでしょうが、ここですべて解説するので安心してくださいね。
まずは保護猫を引き取ったあとで、飼育可能か判断しましょう。具体的に以下の点をチェックします。
かなり厳しい基準ですが、猫の暮らしを守るためには、クリアする必要があります。
一人で面倒を見るのがむずかしいなら、家族や友人にどれだけ協力してもらえるかがポイントです。
一時的に預けたり、家にきて面倒を見てもらえたりできないか、相談してみましょう。
続いて飼育した場合の飼育・医療費用を計算し、支払えるかどうか確認しましょう。
シニアガイドによれば、猫にかかる1年間の飼育費用は231,450円とのことです。
(引用:シニアガイド)
もし一人暮らしの生活がギリギリなら、飼育するのはかなりたいへんそうです。
もし費用面で苦しいなら、生活費を見直すなどして、飼育費をねん出できないか考えてみましょう。
続いて飼育環境と猫用品を準備します。
環境に関しては以下のように整備しましょう。
そして以下のような猫用品も用意しましょう。
これだけ用意しておけば、ほぼ不便することはありません。
続いて動物病院の位置と預かり先を把握しましょう。
動物病院は、猫になんらかの異変があったとき、すぐに連れて行けるように位置を知っておく必要があります。
「E PARK」を使えば、近隣の動物病院を見つけることが可能です。また開院日や診察時間もチェックできます。
(引用:E PARK)
また、猫の預かり先も見つけておきましょう。長期旅行や出張などで家を空ける際には、誰かに預かってもらう必要があるからです。
基本的には家族や親戚、知人の家が候補になるでしょう。合わせてペットホテルなども見つけておけばさらに安心です。
ペットホテルに関しては「ペットホテルとは?料金や特徴、利用時に猫にストレスを感じさせないための工夫」で解説しているので参考にしてください。
準備ができたら、各種団体から保護猫を引き取ります。具体的な流れは以下のとおり。
ポイントになるのは、審査とトライアル飼育です。
審査では、一人暮らしの状態でも飼育できるか、譲渡条件をクリアしているかチェックされます。
トライアル飼育では、自分自身が猫を育てられるか判断するうえで重要です。もし飼育するのがむずかしいと感じたら、正式な引き取りを辞退してもかまいません。
問題がなければ譲渡契約の書類手続きをして、正式に引き取りとなります。
このステップに関しては「猫の里親になる条件は?準備や手続きの流れも完全解説」も参考になるでしょう。
上記では保護猫の引き取り方を解説しました。しかし、本当に大切なのは、これからどのように暮らしていくかです。
猫が安全かつ幸せに過ごすためには、いくつかポイントがあります。
一人暮らしだと、これらをすべて実施するのは簡単ではありません。しかし、少しでも楽にやり切れる方法を解説するのでぜひ参考にしてください。
保護猫を引き取ったあとは、安全対策を徹底しましょう。先ほども解説しましたが、あらためて大切なポイントを掲載しておきます。
大切なのは、これをきちんと継続することです。猫との暮らしに慣れてくると、安全対策はおろそかになりがち。
飼育に慣れるのはよいことですが、安全の確保には油断しないようにしましょう。
動物病院での定期健診を受けるのも重要です。これを受ければ、万が一病気が見つかっても早期対応でき、結果として猫の健康を守ることが可能です。
頻度に関しては、多くの動物病院が「少なくとも1年に1回」を推奨しています。
(引用:兵庫みなと動物病院)
1回あたりにかかる費用は5,000円から10,000円程度。毎年1回はこの出費があることを見越して、家計を組み立てるとよいでしょう。
保護猫と暮らすなかでは、日頃のケアを継続するのも大切です。細かい手入れをすることにより、猫は心身ともに健康に過ごせます。
こういったことができていれば、猫は快適に暮らせるでしょう。
しょっちゅう毛づくろいをする習性からもわかるように、猫は相当なきれい好きで、不潔な状態にあると強いストレスを感じてしまいます。
日頃のケアを続けるのはたいへんですが、なるべく細かいところまで配慮してあげるようにしましょう。
日頃のケアや世話でわからないことがあったら、猫コミュニティで情報交換するのがおすすめです。
これは猫の飼い主が集まってコミュニケーションを取る、SNSのようなもの。一例として「NYATCHING」が挙げられます。
(引用:NYATCHING)
こういったコミュニティでは、猫の飼い主同士が積極的に情報交換しています。
ここで質問すれば、他のユーザーが回答してくれるかもしれないし、アーカイブに解決策が残されているかもしれません。
猫との暮らしをよりよいものとするため、ぜひ猫コミュニティを活用しましょう。
適切なふれあいとスキンシップは、猫の精神的なストレスをやわらげるうえで役立ちます。
海浜動物医療センターの西田しのぶ獣医師は、「一緒に寝たり、スキンシップしたりするのが、ストレスを軽減させるかもしれない」と推察しています。
(引用:ハグニャン)
私たちは猫を見ると、ついハグしたり撫でたりしますが、それらは猫の健康を守るうえでとても大切なことです。
積極的にふれあいやスキンシップの時間を持つようにしましょう。
とはいえ毎日ベタベタするようだと猫も疲れてしまうので、ほどほどにするのが大切です。
「一人暮らしでは保護猫の里親になるのがむずかしい」と見聞きした人も多いでしょう。
たしかに、家族家庭で引き取るよりもむずかしそうですよね。
ここでは保護猫の里親になる条件と、一人暮らしの人が引き取る場合の難易度を解説します。
合わせて一人暮らしでも保護猫の里親になるためのポイントにも触れているので、参考にしてください。
保護猫の里親になる条件は譲渡元によって異なります。ここではNPO法人Happy-Wildcatsを一例として見てみましょう。
(引用:Happy-Wildcats)
全部で14の項目が設定されており、「最後まで責任を持って面倒を見ること」を重要視するようすがうかがえます。
また飼育環境の確認が必要だったり、ワクチンや血液検査が必須だったり、かなりシビアです。
他の団体も上記とさほど変わらない条件を提示しており、保護猫の里親になるのはむずかしいといえるでしょう。
関連記事▶︎猫の里親になる条件は?準備や手続きの流れも完全解説
一人暮らしで保護猫の里親になる場合は、さらにむずかしくなります。
とくに「一人暮らし不可」とする団体が多いのが厳しいところ。
(引用:Happy-Wildcats)
「あまりにも一人暮らし不可のケースが多く、引き取りたくても引き取れない」という人は少なくありません。
また仮に不可ではなかったとしても、家族家庭に引き渡すケースと比較して団体側が躊躇してしまう部分もあります。こういった背景から、一人暮らしで保護猫を引き取るのはむずかしいわけです。
とはいえ、「一人暮らしだから里親になれない」と決まったわけではありません。以下のように工夫すれば、保護猫を引き取れる可能性は高くなるでしょう。
まずはOMUSUBIなどを使って、一人暮らしでも引き取り可能な譲渡会を探しましょう。
近隣の動物愛護団体や、市区町村が運営する動物愛護センターに連絡でも、里親募集があるかもしれません。とにかく総当たりで連絡してみましょう。
そして審査や面談の際は、とにかく「飼育の準備は十分にできている」とアピールし、譲渡元を安心させるのがポイントです。以下のようなことを伝えるとよいでしょう。
このように準備を徹底していることを伝えれば、譲渡元も安心します。きちんと飼育の準備をしたうえで、審査や面談できっちりとアピールして信頼を勝ち取りましょう。
関連記事▶︎動物愛護センターから猫を引き取りするには?保健所から移送された猫を救おう
一人暮らしで保護猫を育てるのはたいへんなことですが、やはりそれ以上にいろいろなメリットがあります。
とくに重要な点として以下が挙げられるでしょう。
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
保護猫を引き取れば、きっと幸せに暮らせるでしょう。
ペット保険を取り扱うアニコム損保保険株式会社の調査によれば、99.7%の人が、「猫と暮らし始めて幸福度が上がった」という趣旨の回答をしています。
(引用:アニコム損保保険株式会社)
また、猫を飼っている人は「と暮らしてよかったこと」として、以下のように振り返っています。
(引用:アニコム損保保険株式会社)
とくに「癒される」と感じている人は90%にも及びます。
生きる活力が得られたり、家の中を片付けるようになったりした人も。
「さみしくない」という人もおり、猫は一人暮らしの孤独を癒してくれる存在だとも言えます。
一人暮らしの人が保護猫を引き取れば、今までもよりもずっと幸せに暮らせるでしょう。
初期費用がかかりにくいのも、保護猫を引き取るメリットです。
猫の引き取りに関しては、多くの場合、動物病院で以下の処置を受けさせる必要があります。
つまり飼い始める時点で、最低でも30,000円近い費用が必要です。
しかし保護猫は、保護団体によって上記の処置が行われており、引き取り手が費用を負担するケースはあまりありません。
保護猫は他の動物と比較して共に暮らしやすいパートナーです。その理由として以下が挙げられます。
保護猫は人慣れしており、譲渡会で人前に出しても問題がないほどです。
野性を強く残している野良猫を飼うよりも、ずっと飼いやすいでしょう。
保護猫の面倒を見ることが飼い主の成長につながることもあります。たとえば以下のような変化が期待できるでしょう。
一人暮らしで保護猫を引き取るのはたいへんなことです。だからこそ飼い主としての責任を果たそうと工夫することが、飼い主自身の成長にもつながります。
また保護猫を引き取ることで、捨て猫や殺処分の問題の根深さに気づくこともあるでしょう。
保護猫を引き取ることは、殺処分数を減らすという社会貢献になります。
環境省によれば、令和3年度に殺処分された猫は11,718頭です。
(引用:環境省)
年々減ってはいるものの、まだ多くの猫が殺処分されているのが実情です。
しかし保護猫を引き取ることで、犠牲になる猫を確実は確実に減っており、殺処分数を減らすという形での社会貢献になります。
関連記事▶︎犬猫の殺処分がなくならない理由と今の私たちにできること
本記事では一人暮らしでの保護猫引き取りに関して解説しました。ここではその他よくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
後見人がいないと引き取りできないと決まったわけではありません。
いなくても保護猫を譲渡しているケースは多々あります。
仮に後見人が条件になっていて、自身で見つけられない場合は、「アニマルエイド」などの後見人サービスを利用する手も。
(引用:アニマルエイド)
有償ですが、責任を持って後見人として猫の面倒を見てくれます。
特別に引き取りの条件がゆるい譲渡会や動物愛護団体は、ほぼありません。
いずれの組織や団体も、猫の命に対する責任を非常に重く考えており、厳しい条件を設定しています。
ただし他と比較して条件項目がやや少なく、引き取りしやすいといったケースはあります。
そういった団体がないか、OMUSUBIなどの譲渡会情報サイトを使って探してみましょう。
特殊なケースですが、SPAという団体が引き取り条件なしで譲渡しています。
(引用:SPA)
ただし飼育にあたっては団体のサポートが入り、飼い方などに関して指導がおこなわれるもようです。
一般的な保護猫の引き取りとはようすが異なる点に注意しましょう。
また引き取りする側に60,000円の譲渡費用が発生するとのことです。
保護猫を無料で引き取れるケースはまずありません。多くの場合は数千円程度の譲渡費用が生じます。
ただし以下のような方法での譲渡には費用がかかりません。
譲渡された猫が避妊・去勢手術やワクチン接種を済ませていない場合は、それらの費用がかかるので注意してください。
本記事では一人暮らしでの保護猫の引き取りに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
一人暮らしの人が保護猫を引き取るには、いろいろな準備が必要です。また「一人暮らしへの譲渡は不可」とする団体も多く、チャンスが限られている部分も。
また一人で猫の面倒を見るというのは、それなりに負担のかかることです。
しかし保護猫との暮らしは、それを補ってあまりあるほど幸せなもの。本記事でも紹介しましたが、アンケートでは実に99.7%の人が「猫と暮らして幸せになれた」という趣旨の回答を残しています。
ハードルはやや高いですが、本記事を参考に、ぜひ保護猫を引き取れるように行動してみましょう。
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