2024.07.31
子猫を保護した場合、おそらくこのような疑問が生じることでしょう。
特に生まれたてであった場合は、死亡リスクも十分に考えられます。したがって、きちんとした手順で安全を確保し、動物病院へ連れていく必要があるでしょう。
そこで本記事では、生まれたての子猫を拾った場合の対処や、その後飼育する場合の準備に関して解説します。
また今回の記事は、自宅の成猫が出産した場合にも想定した内容になっています。該当する状況にある方も本記事を参考にしてください。
もくじ
生まれたての子猫を拾った場合は、以下の方法で対処ししょうかてください。
この手順で対応すれば、命の安全を確保することが可能です。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
なお、自宅の成猫が出産した場合も同様の流れで対応して問題ありません。
また仔猫を拾う際は、「飼い猫ではないか」を確認する必要がありますが、ここでは緊急を要し、その判断がつかない状態で保護したケースを前提とします。
最初にやるべきなのは、体を温めることです。
子猫は体温調節が非常に苦手で、これが原因で体温を下げ、そのまま命を落とすことすらあります。
以下の方法で体温を確保しましょう。
このような環境を用意すれば、体温調節の問題はほぼ確実に解決できます。ただし加減を間違えると火傷することがあるので注意してください。
なお猫用キャリーケースとは以下のようなものです。
ただし無理して揃える必要はなく、段ボールでも十分に対応できます。
寝床を確保できたら、ミルクを用意しましょう。生まれたてかつ野良であったなら、おそらく栄養が欠乏しているため、すみやかに栄養補給する必要があります。
ただし人間用の生乳は、子猫の胃腸では消化吸収できないため、与えてはいけません。
可能であれば子猫用ミルクを与えます。もしくは、コンビニでも手に入る「無乳」と呼ばれるミルクでもかまいません。とにかく乳糖が入ったものだけは避けましょう。
ミルクを与えるにあたっては専用の哺乳瓶やスポイトを使うのがのぞましいですが、ストローやガーゼ、醤油差しなどでも代用できます。
ミルクを飲ませる場合は、以下のように「4つ足で前方を向かせて、その前に飲み口を差し出す」とスムーズに行きやすいです。
関連記事▶︎子猫がミルクを飲まないときはどうすれば?正しい作り方と飲ませ方も解説
ミルクを飲まない、あるいはミルクだけでは栄養不足だと予測される場合、砂糖水を与える方法もあります。
ぬるま湯100m lに4gの砂糖を溶かし、冷ましてから与えましょう。
もしミルクを飲まなくても、砂糖水なら好んで飲むことがあります。
ただし砂糖の量を増やしすぎると高血糖の症状を引き落とす可能性があります。安易に分量を変えないようにしましょう。
動物病院の診療時間外であった場合、開院するまで自宅で過ごすことになります(時間内である場合は、ただちに連れて行って問題ありません)。
寝床のキャリーケースや段ボールの扉ないしフタを閉めて、安静にさせましょう。ただし数時間に一度はようすを見て、先ほどのようにミルクや砂糖水を与える必要があります。
それ以外は、基本的には寝床で、一頭きりで過ごさせましょう。何度も見たり触ったりすると、ストレスや体力消耗の原因になるからです。
またフラッシュもストレス要因であるため、写真を撮るなどの行為もおすすめしません。
ここまでの応急処置が終わったら、動物病院へ連れて行きましょう。この際は、上述の寝床ごと運ぶ必要があります。
動物病院に到着したら、獣医に診てもらい、必要な処置を受けましょう。子猫が過ごした環境しだいは、重大なケガや疾患が見つかる場合も。
また初回の診察では必要ありませんが、最終的に飼育ないし譲渡を選択する場合、のちに猫ウイルス検査や避妊・去勢手術を受ける必要が生じます。
なお診察料に関しては自己負担になりますが、多くの場合クレジットカードを使うことは可能。
カード決済できる動物病院は東京ドクターズなどで絞り込んで検索できます。
(引用:東京ドクターズ)
生まれたての子猫を保護し、動物病院へ連れて行ったあとでは、以下の点に注意してください。
特に重要なのは、飼育か譲渡かどちらを選択するかです。また、後述するように自然に返す選択肢が取れない点にも注意してください。
まず、飼い猫でないか再度確認しましょう。
上述したとおり、子猫を保護する際、緊急を要したがゆえ、飼い猫かどうかを確認できなかったケースもあるでしょう。
したがって状況が落ち着いたら、再度その点を確認する必要があります。
迷い猫、地域猫である可能性も含めて、上記の表を参考にしてください。
また近所で電柱などに、飼い猫の行方を追う張り紙などが出ていたり、X(旧Twitter)で同様の趣旨のポストがなされることもあります。
念のためこのあたりも確認しておきましょう。
子猫の時期は、つい可愛がりたくなりますが、無理にかまいすぎないようにしましょう。体力の枯渇を避けるためです。
子猫期は体力、知力とも未発達であり、しばらくは歩くことすらままなりません。さらにストレスにも弱く、しつこく触られると精神的な異常をきたすこともあるでしょう。
したがって子猫の時期は、無理にかまわないようにしましょう。
ただしある程度週齢がかさむと甘えてくるようにもなります。その場合はかまってあげることで正常な愛着が形成されるので、そのようにして問題ありません。
状況が落ち着いたら、保護した子猫を飼育するのか、譲渡するか考えましょう。
法律の観点から見ると、一度保護した猫を野良に戻してしまうと、一応は違法行為になってしまいます。したがって飼育するか、譲渡するかを考える必要があるでしょう。
自力で飼育できない場合は、里親や動物愛護団体への譲渡を選ぶことになります。なお、私たちねこほーむも、行き場のない子猫と成猫を保護するNPO団体のひとつです。
子猫の譲渡や引き取りに関してお悩みの方はぜひ一度ご連絡ください。
保護した生まれたての子猫を育てる場合は、その準備が必要となります。具体的には以下は確実に実施しておきましょう。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
まず、飼育に必要なものをそろえましょう。以下のものをそろえておけば十分に育てられます。
ここまで買い揃えても、20,000円から40,000円ほどの予算でおさまります。
これに加えて、キャットタワーなどもあるとよいでしょう。ただ、今すぐに必要なものではないので、予算が厳しければ先送りしてもかまいません。
続いて、怪我や破損、あるいは誤食を避けるため、以下の片付けを実施しましょう
特に意外なのが観葉植物で、たいていのものは猫にとって毒性のある食物になります。以下のように、毒性のない植物もあるので、可能であれば置き換えを検討しましょう。
脱走の原因となる経路はすべてふさぎます。具体的には以下を常に施錠するようにします。
とにかく考えうる限りの扉と窓は施錠しましょう。
玄関とベランダの扉はもちろんですが、その扉が存在する空間への扉も施錠するクセをつけましょう。
そうしないと、飼い主が帰ってきて、猫が玄関扉で待ち構えたとき、開けたとたんに脱走する可能性があります。
また子猫期はあまり心配する必要はありませんが、成猫になるとベランダに出て、ジャンプして階下へ降りることもあります。
将来的にはベランダにネットを張るなどの工夫が必要になるでしょう。
基本的にバスルームとランドリーには入れないようにしましょう。
これは浴槽での溺死と、「洗濯機に入った状態で、衣類とともに回される」などのトラブルを避けるための処置です。
洗濯機を回す前に必ず中に猫ちゃんが隠れていないか確認してください⚠️特にドラム式洗濯機は居心地が良いようで、閉じ込めによる窒息や気づかず回して溺死してしまう事故も起きています。また乾燥機でも重度の熱中症になった猫ちゃんが数例報告されています。普段からフタは閉めておくと良いですね! pic.twitter.com/PvxPardQHh
— 獣医にゃんとす (@nyantostos) March 24, 2022
生まれたての子猫は、日齢、月齢で考える必要があります。
それに合わせて、以下3つの期間に分けて、育て方を考えていきましょう。
基本的には、食事の内容を切り替えるのがポイントになります。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
生後1日目から1ヶ月目は、子猫用のミルクを与えて育てることになります。
そしてその回数と分量は以下を目安にしてください。
生後14日目を迎えるまでは、夜中でも起きてミルクを与える世話をかける必要があります。しかしそれを過ぎれば、ある程度楽になるので、そこまでは何とか頑張りましょう。
ミルクの与え方に関しては子猫の育て方・しつけ方・ミルクのあげ方・注意点などを一挙解説を参考にしてください。
生後1ヶ月を過ぎると、ミルクを卒業し、ペースト状ミルクや離乳食を食べるようになります。
(引用:Amazon)
たとえば上記のような、缶詰タイプのペースト状離乳食があります。ほかにもパウチタイプ、またはフレーバーが異なるものなど、多々あるので、いろいろと試して食いつきがよいものを主食として与えましょう。
なおペースト状ではなく、半固形タイプのものもあります。猫の「噛む力」が育ってきたらそちらに切り替えてもよいでしょう。
2ヶ月目から3ヶ月目は、著しい心身の成長が見受けられる生育期となります。離乳食をやめ、ウェットフードやふやかしたドライフードを与えることとなります。
回数に関しても、授乳期や離乳期ほどでなくともかまいません。シンプルに朝昼夜、と考えてもよいでしょう。
なおこの時期は、ウェットフードなのかドライフードなのか、離乳食にいったん戻すべきか、といった判断がむずかしくなります。
ただしさほど悩む必要はなく、基本的には猫が食べたそうにするものを与えれば問題ありません。
本記事では生まれたての子猫を保護した場合の対応や育て方に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
成猫になるのは1歳を迎えたころ、とするのが一般的な見方です。動物病院などでも、このタイミングで子猫から成猫として扱うようになります。
体重としては、猫種にもよりますが、おおむね4〜5kg前後となるでしょう。
成猫になると、自分でご飯を食べられるようになり、飼い主にかかる世話の負担なども軽くなります。
キトンブルーとは、生後間もない子猫の眼球が、やや青く見える現象のことです。
まだ十分にメラニンの生成ができておらず、太陽光などが虹彩の奥部まで到達します。その際に放たれる反射光が青色であるため、このように見えるわけですね。
基本的には生まれてから1〜2ヶ月ほど経てば、キトンブルーは見られなくなります。
またこれ自体は危険なものではなく、成長過程において一般的に見受けられるものなので、心配する必要はありません。
生まれたての子猫が鳴かないのはおかしなことではありません。生後数日は、耳も聞こえず、目も見えず、発声もできない状態であるケースがほとんどです。
したがって鳴かないからといって、それだけで体調が崩れていると判断されるわけでないので安心してください。
ただし、以下の動画のように、さかんに鳴くケースもあります。この場合はむしろ発育が良好であり、健康状態もよいと判断できるでしょう。
諸説ありますが、私たちねこほーむは、人口飼育下でも生存率は80%〜90%程度だと考えます。
自然環境化であれば、生存率はどれほど高くても50%程度となるでしょう。
つまり人口飼育下でも、10匹に1匹は子猫期で命を落としうるでしょう。
ただしきちんとした環境、給餌、温度管理を組み合わせ、動物病院からの指示を受ければ、まず無事に成猫になれるでしょう。
しかし、生まれつき体が弱い、障害を抱えているといったケースもあります。その場合は育て方や世話の仕方のよしあしにかかわらず、好ましくない結果に終わる可能性が高いでしょう。
本記事では生まれたての子猫を拾った場合の対応に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
野良で拾ってきた場合は、とにかく健康状態が心配されます。体を温め、ミルクを与え、命をつなぐようにしましょう。
また、ここで特に重要なのが、「保護した猫を飼育するか譲渡するか」という点です。
もし子猫の譲渡や引き取りに関してお悩みの方は、動物愛護団体である我々ねこほーむに、ぜひ一度ご連絡ください。
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