2023.06.30
このように思っている人は多いのではないでしょうか?
野良猫は強い警戒心を持っており、仲良くなるのは簡単ではありません。しかし、野良猫の気持ちを理解し、上手な距離の縮め方を実践すれば近づくことができるかもしれません。
本記事では猫と仲良くなるために必要な知識と、具体的な方法を解説します。ぜひご参考にしてください。
もくじ
野良猫が感じる気持ちは、「とにかく生き残りたい」、この一言に尽きます。具体的には以下のように考えているでしょう。
眠ったりくつろいだりしている時間をのぞき、このような気持ちでいます。そして、これを理解できれば、野良猫と仲良くなる方法も見えてくるでしょう。
下記でより詳しく解説するので参考にしてください。
野良猫はとにかく「敵に襲われたくない」と考えています。これは、「猫には古来から天敵が多かった」という歴史が関係します。
猫は、自然の世界であまり強い存在ではありません。犬や鳥、アライグマや蛇などのあらゆる天敵に囲まれていました。
警戒心の薄い猫はあっという間に命を落としていたでしょう。しかし周囲が天敵だらけであることを知った猫は、長い歴史を経て、とにかく注意深い動物として進化しました。
現代で天敵になるのは(都市部であれば)カラスくらいですが、未だ警戒心は失われていません。体格が大きい人間はいっそう警戒されてしまうかもしれません。
野良猫は、運よくご飯に恵まれた日をのぞいて「ご飯を食べたい」と思っています。
家猫と違い、毎日ご飯を食べられるわけではありません。また食べられたとしてもその量が十分とは限らず、栄養バランスも理想的ではないでしょう。
下記動画のように小さな虫なども食べるなどして、食いつないでいるのが実情です。
私たちが猫に餌をあげると、喜んでそれを食べるようになります。時には人間がすぐそばにても警戒せず、寄ってくることも。
危険を冒してでも餌を選ぶほど、野良猫はお腹を空かせています。
食べ物を探すなどの事情がない限り、猫は「狭くて暖かい場所にいたい」と思っています。そこにいれば天敵から身を守りやすいからです。
前述のとおり、猫はあらゆる天敵に囲まれながら生きてきました。その歴史から獲得した本能から、自分より大きな生物が入れない場所を好むようになったと言われています。
暖かい場所を好むのは、もともと寒がりな生き物だからです。普段見かける野良猫たちのルーツは、以下の「リビアヤマネコ」という猫種にあります。
(引用:Sippo-朝日新聞デジタル-Facebookでシェア-猫と人類はどこで出会った? 愛猫のもとはリビアヤマネコ)
リビアヤマネコはジャングルや熱帯などの暑い環境に生まれ、その特徴は現代の野良猫たちにも引き継がれています。
つまり日本にいる野良猫たちは、本来生きるべき熱帯よりも、ずっと寒い場所で暮らしているのです。そのため、狭くて安全で、できれば暖かい場所にこもりたがります。
野良猫は、「自分が定めたテリトリーを守りたい」と思っています。そうすることで他の猫との食べ物や繁殖機会の取り合いを防げるからです。
野良猫同士が喧嘩しているのを見たことはないでしょうか? これは、どちらかもしくは両方がお互いのテリトリーに入ってしまい、「ここは俺の場所だ」「いや俺の場所だ」と言い争っているわけです。
これほど必死で怒っている様子を見れば、野良猫がどれほどテリトリーにこだわっているかわかるでしょう。
仕草からも、野良猫の気持ちはある程度わかります。水前寺公園ペットクリニックは以下の見解を示しています。
(引用:水前寺公園ペットクリニック)
(引用:水前寺公園ペットクリニック)
また怒るときは、以下動画のように身体中の毛を逆立て、体を横向けにします。尻尾は下向きになり、目は大きく開くようです。
野良猫が喜ぶ仕草を見せていたら、一時的にでも警戒心は弱まっているでしょう。そういったタイミングで近寄れば、仲良くなれるかもしれません。
反面、怒ったり悲しんだりしているときに近寄ってもうまくいかないでしょう。
猫が逃げてしまうのは、危険を避ける本能によるもので、仲良くなるのは簡単ではありません。
しかし以下の方法を使えば、野良猫の警戒を解いて仲良くなれるかもしれません。
そもそも野良猫に好かれる接し方というのがあります。そのため、まずは接し方を身につけるとよいでしょう。また、嫌われるような匂いを出さないのも重要。
そして餌をあげるテクニックも、場合によっては有効です。それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
野良猫と対面したら、猫に好かれる接し方を実践しましょう。これは3つのステップで説明できます。
とにかく大事なのはしゃがんで体を小さく見せること。猫が人間から逃げてしまうのは、「圧倒的に体が大きく見えるから」です。よって目線の高さが合うほど小さく見せれば、ある程度安心させられます。
「ゆっくりとしたまばたき」も強力なテクニックです。英国の学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」によれば、目があったときにこれを繰り返すだけで、猫との絆がはぐくまれ、仲良くなりやすくなるそうです。
以下動画のように野良猫もまばたきを返してきたら、一定の信頼関係が生まれたと考えましょう。
そして、静かに慎重に近づきましょう。大きな動きは「攻撃」と誤解されるので避けるべき。このようにていねいなアプローチを実施すれば、手で触れる距離にまで近づける可能性があります。
野良猫と出会ったとき、ぜひ試してみてくださいね。
野良猫と仲良くなりたいなら、猫が本能的に嫌う匂いを出さないようにしましょう。
これらが発する人工的な匂いは、猫に不快感や不安を与えます。これでは野良猫に近づいても、好いてはもらえません。
野良猫に近づくときは、上記のような匂いを出さないようにしましょう。
餌をあげるのは、野良猫と仲良くなるうえで強力なテクニックです。同じ場所で定期的に餌やりすれば、しだいに仲良くなれるでしょう。
ただし、「この人とは仲良くしてもよい」と思ってもらえるような、おいしい餌をあげるのが重要です。
基本的に「飼い猫用の食べ物」が人気。とくにチュールは相当おいしいらしく、以下動画のようにすごい勢いで食べることも。
うまく餌を使って、仲良くなりましょう。
一方で、猫の禁忌とされる食べ物は与えてはいけません。
これらを与えると、貧血や中毒、腎疾患を引き起こすかもしれません。
基本的に「猫が食べなさそうなもの」を避ければよいのですが、意外にも生魚が危険である点に注意。寄生虫に寄生されたり、「タミン」という酵素によってビタミン不足を引き起こしたりする可能性があります。
魚を与えるなら、火が通ったものにしましょう。
野良猫に触るときは、嫌がられないような場所を触りましょう。
(引用:南大阪動物医療センター)
上図は南大阪動物医療センターによる、「触られる場所ごとの猫の感情」を示したものです。
関西弁で少しわかりにくいのですが、要するに顔まわりと尻尾の付け根を触ると喜びます。胴体も顔に近いのであればそれなりに気持ちがよいようです。
一方で足は「絶対あかん(ダメ)」、お腹は「しばくぞ(本気で怒るぞ)」と評価されており、触るべきではないでしょう。
上記した方法を実践すれば、時間はかかるものの、野良猫と仲良くなれるでしょう。ただし、いくつか気をつけることがあります。
まず、餌やりで近隣に迷惑をかけないようにしましょう。
また飼い猫には干渉しないことも大切。そして、触ったら必ず手を洗いましょう。
それぞれ詳しく解説するのご参考にしてください。
野良猫に餌をあげるときは、とにかく近隣に迷惑をかけないようにましょう。
餌やりをすると、その場所に野良猫たちが集まってきて、以下のような問題を引き起こすことがあります。
ほんとにほんとにほんとに毎日野良猫のうんちに悩まされてます😭もう35年になります!
2〜3日で買い物袋がいっぱいになるくらい庭や車庫、玄関前などにされます😤
野良猫にエサを与えてる人
責任もって飼うか、うちの野良猫のうんち取りに来てくれませんか?
ほんとに迷惑です— ちゅーりっぷ🌷 (@2424saiai) June 22, 2023
野良猫エサやりおじさんがまた来てる。
集まってきた猫がワイのバイクに悪さをするので他人の迷惑も考えて…— CP (@CP_mist) June 25, 2023
他にも餌の不始末や猫同士の喧嘩なども問題視されていました。
近隣住民に迷惑をかけないためには、とにかく住宅街から離れた場所で餌やりすることです。雑木林や公園などであれば、問題は起こりにくいでしょう。
さらに余った餌はきちんと持ち帰ったり、早朝や夜間は避けるなど時間帯に気を付けたりするなら、周囲に迷惑をかける可能性を抑えられます。とにかく周囲に悪影響が出ないように細心の注意を払いましょう。
ただし、餌やり自体が法律や条例で禁止されているケースも。この場合、もちろん餌をあげてはいけません。
(引用:産経新聞-野良猫餌やりに「科料」…和歌山県議会規制条例可決)
和歌山県では、殺処分を減らすために餌やりが禁止されています。違反した場合は5万円以下の過料が課せられます。
自身が居住する自治体にも、同様の法律や条例があるかもしれません。その場所での餌やりが違法でないか、事前に確認しましょう。
都道府県が定める法律や条例は、Googleで「都道府県名+餌やり+禁止」で検索すれば確認できます。自治体のほうを確認する場合は、条例Webアーカイブデータベースで検索するとわかりやすいでしょう。
野良猫と間違えて、飼い猫に触らないようにしましょう。飼い主にその場面を見られると、トラブルに発展しうるからです。
とくに必要以上に撫で回したり、許可なく餌を与えたりする行為は、飼い主から強く批判されても仕方ありません。
飼い猫と野良猫を見分けるには、以下のポイントに注目しましょう。
雑種に見えないなら、血統書付きの飼い猫かもしれません。また体が大きかったり、毛並みにツヤがあったりするのは、栄養に恵まれた飼い猫の特徴です。
人慣れしている場合も、普段は飼われている猫である可能性があります。飼い猫のように見えるなら、むやみに近づかないようにしましょう。
野良猫に触ったあとはかならず手を洗いましょう。感染症を予防する必要があるからです。
野良猫が過ごす環境はきわめて不衛生で、身体中に雑菌やノミ、ダニが付着しています。それを触った手で食事を摂るなどすると、深刻な感染症を罹患するかもしれません。
極端なケースでいえば、野良猫に噛まれてウイルス感染し、死亡したケースもありました。
(引用:読売新聞オンライン-野良猫に触るのは危険!「死に至る病」感染の恐れも)
命を落とすのはまれですが、そうでなくともさまざまな症状を引き起こす感染症は恐ろしいものです。野良猫に触ったら、かならず手を洗いましょう。
本記事では野良猫の気持ちや、仲良くなる方法を解説しました。最後によくある質問に回答します。
こういったことを知っておけば、野良猫と仲良くなったり、家族として迎え入れたりするうえで役立ちます。ぜひ興味がある項目を参考にしてください。
野良猫は普段、暗くて狭い場所にいます。
軒下や天井裏は屋根があるので、猫にとって過ごしやすい場所です。また温まったエンジンから暖を取るため、自動車の下に潜り込むことも。
自然環境のなかでは、草むらや雑木林を好みます。意外と木登りが得意なので、枝の上でのんびりしていることもあります。
木を見上げると、意外とこういった姿が見られるかもしれません。野良猫と出会いたいなら、こういった場所を探してみるとよいでしょう。
野良猫を飼うには、まず捕獲する必要があります。方法は「野良猫の保護依頼は原則対応されない!保護猫の引き取り方も解説」で解説しているので参考にしてください。
ただし野良猫ではなく飼い猫である可能性もあるので気をつけましょう。
そして、最後まで責任を持って面倒を見切れるかが重要です。法律的には、一度拾ったら最後まで飼い続けることが義務付けられています。
仮にそうでなくとも、人間の都合で捨てたり、保健所に連れて行ったりするべきではありません。
野良猫を飼うときは、寿命をまっとうするまで面倒を見切れるのか、今一度よく検討しましょう。
野良猫を飼い始めて、なつくまで1ヶ月ほどかかります。最初は「天敵に捕まった」と思っているため、以下動画のように攻撃的な態度を示すでしょう。
しかし、いつまでも分かり合えないわけではありません。餌をあげたり、体を撫でたり、愛情を持って接していれば少しずつなついてくれます。
ただし天敵だと思われているときは、噛みつかれたり、爪で引っ掻かれたりして怪我をするケースもあるので注意してください。
野良猫のほうから寄ってきてもらうには、定期的な餌やりが有効です。
特定の場所で何度も餌を与えれば、「この人間は安全だし、食べ物もくれる」と思ってもらえます。しばらくすれば野良猫のほうから寄ってくるようになるでしょう。
ただ、先ほどのとおり野良猫への餌やりは近隣住民に迷惑がかかりがち。
裏の家の猫がケンカしてて、うるさすぎて起こされた😭
おはようございました☀️
野良猫にエサをやるのはやめましょう🥺
近所迷惑です。— 🎐ドドンちゃん🎐 (@Wi6Gu3M6mjTCuXm) July 9, 2022
猫の餌やりに対して、否定的な人も少なくありません。餌をあげるなら、住宅街から離れた場所を選ぶなどして、迷惑がかからないようにしましょう。
野良猫と仲良くなっても、すぐにどこかへ行ってしまうことがあります。これは「ひとつのことに集中しない」という猫の習性によるものです。
現在の猫の先祖たちは、あらゆる天敵に囲まれながら暮らしていました。その中で生き残るため、何かに集中しすぎず、あらゆることに注意を向ける習性を身に付けています。
だから一度は人間に興味を示しても、どこかへ行ってしまうことがあります。「猫はマイペース」「わがまま」と言われる原因も、この習性にあるでしょう。
逆にいえば「ひとつのことに集中させられる」のは、野良猫の天敵に対する注意を邪魔するようなもので、大きなストレスになるかもしれません。どこかへ行きたそうにしているなら、自由にさせてやるのがよいでしょう。
本記事では野良猫の気持ちや考えていること、仲良くなる方法を解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
古来から猫は、天敵だらけの環境で暮らしていました。それでも生き抜くために長い歴史を経て獲得したのが、あの強い警戒心です。
その警戒を解いて仲良くなるのは簡単ではありません。しかし接し方を工夫したり、匂いに気を遣ったりすれば、仲良くなれるかもしれません。
なかなかうまくいかないかもしれませんが、何度もアタックして、「この人には近づいてもよい」と思ってもらえるように粘り強く頑張りましょう。
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