猫がやたら噛むのはなぜか?やっかいな噛み癖を治す方法

  • なぜ猫は、人の手を噛むのだろう?
  • 噛まれているうちに、何らかの病気にかかるのでは?
  • あまりにも噛みつき癖がひどいので改善したい

このような疑問を持っている人は多いでしょう。猫が人を噛む理由はさまざま挙げられ、そのなかにはまったく問題がないものと、何らかの改善が必要なものがあります。

単なるじゃれあい以外の理由で噛みついているなら、飼い主が怪我をする、猫がストレスを溜め込むなどの問題が起こるかもしれません。

そこで本記事では、猫が人を噛む主な理由や、噛み癖を治す方法などを解説します。猫に噛みつかれて困っている方はぜひ参考にしてください。

猫が人を噛む主な理由

猫が人を噛む理由は多岐にわたります。極端な話、「なんとなく」噛みついているケースすらあります。

ただ、主だった理由を挙げるなら以下のようになるでしょう。

  • じゃれあい
  • 敵対心
  • 触りすぎ
  • 発情期
  • 病気

たいてい、このいずれかに該当するでしょう。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

じゃれあい/飼い主と遊び、狩りの練習をしている

第一に、単なるじゃれあいのつもりで、飼い主に噛みついている可能性があります。

これは非常に自然な行動でありほとんど問題ありません。

猫は仲間同士でも甘噛みしあい、狩りの練習をおこなう場合があります。

むしろじゃれあうことで満足し、ストレスが発散できる部分もあります。よほど頻回でない限り、気にする必要はないでしょう。

なお、去勢・不妊手術をおこなうと、じゃれあいの頻度が少なくなります。

敵対心/相手を敵だと認識して戦う姿勢を示す

敵対心の強さから、相手に噛み付いている場合があります。つまり明確な攻撃行動です。

もし威嚇するような行動のあとで噛み付いているなら、じゃれているのではなく、本当に怒っているでしょう。

なお、じゃれているときと、本気で攻撃しているときで、噛みつきの威力はまったく異なります。本気で噛みつかれたら、高い確率で出血がともなうでしょう。

猫が起こっているときは、うかつに手出ししないことを推奨します。

触りすぎ/体を触られすぎて疲れている

また触られすぎたのが不愉快で噛みつこうとするケースもあります。

猫が可愛いと思っているほどに、ついつい触ったりかまったりしたくなるもの。しかし猫にとって、いつまでもベタベタされるのは、あまり心地よいものではありません。

あまりにも長時間触ってくると、「もうやめろ」という意思表示として、噛みつこうとすることがあります。

これを継続していると、猫がストレスを溜め、飼い主のことを嫌いになるかもしれません。素直に触らないようにするのがよいでしょう。

発情期/特有の活発さが表出して暴れている

また発情期の際、やたらと噛み付くようになるケースがあります。

発情期は、飼い主が思っている以上に活発に動き回る時期。

夜中に走り回ったり、いつまでも外へ出たり、大声で鳴いたり、とにかくアクティブになります。

そしてやたらとじゃれたがるようになり、飼い主にしょっちゅう噛み付く傾向も。

発情期の猫の面倒を見るのは相当な負担になるため、基本的には去勢・不妊手術を受けるのを強く推奨します。逆にいえば手術さえ受けてしまえば、発情による噛み癖は解決できます。

関連記事▶︎猫の去勢手術はいつ受けるべき?費用・手術内容・術後のケアも解説

病気/体調が悪い自分を守るため攻撃的になっている

可能性は低いですが、病気が原因で、噛みつき癖が出ているかもしれません。

猫は体調を崩すと基本的には隠れるようになります。しかしそれがかなわないとき外的刺激を遮断するため、噛み付く、引っ掻くようになるケースも。

また、患部を触られて痛みを感じ、それに反応しているかもしれません。

この場合は動物病院へ連れていき、適切な治療を受けることが最優先されます。

【補足】猫に噛まれた場合に感染しうる病気

基本的に猫が人を噛むのは珍しいことではありません。ただし噛まれた側が出血するほどのダメージを負った場合、病気に血液感染するリスクがあります。

  • ひっかき病
  • パスツレラ症候群
  • 破傷風

いずれも発症する可能性は低いですが、重篤化するリスクがあり、治療にも時間と費用がかかるもの。

特にパスツレラ症候群は症例が多いです。

出典:恩賜財団済生会

犬猫のほとんどが関連菌を持っており、放置していると高確率で症状が現れます。

もし血が出るほどに噛まれたしまったら、すぐに流水で洗い流すなどしましょう。

また、そもそも出血するほど噛まれないようにし、もし血が出たら、洗浄と消毒をきちんとおこなうようにしましょう。

もちろんこのような病気にかかるのは、猫が、血が出るほどの力で噛みついた場合に限ります。甘噛みしているうちは問題ありません。

猫が噛む場合の対処法

猫の噛み癖に対して、ストレスを感じている人も多いでしょう。

しつこく噛みついてきたら以下のように対処しましょう。

  • おもちゃを与える
  • 手を口側に押し込む
  • 手足に香水などを振る
  • 甘噛みは放置

これで噛み癖が治るわけではありませんが、少なくとも、今噛まれているのを避けられるようになります。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

おもちゃを与える

おもちゃを与えると、注意力が分散し、噛まれずに済むようになります。

また、基本的には猫を楽しませようと思って設計されているおもちゃのほうが、興味を持たれやすいでしょう。

ただし、猫にもおもちゃに対する好き嫌いがあります。

出典:Petito

おもちゃのバリエーションは豊富なので、いろいろ試してみるのがよいでしょう。また飽きてしまうことも考慮に入れて、何種類か揃えておくと安心できます。

手を口側に押し込む

噛まれたしまったときは、手を口側に押し込みましょう。そうするとほとんどの場合、いったん解放されます。

これはおそらく、グッと押し込まれると呼吸が苦しくなるからだと考えられます。よほど怒っているケースをのぞいて、それ以上噛み続けることはないでしょう。

ただしあまりにも強く押し込むと、前歯が折れる、嘔吐するなどの原因になります。すこし押し込むだけで解放してくれるので、余計な力を入れないようにしましょう。

手足に柑橘類の香水などを振る

また、手足に柑橘類の香水やスプレーなどを振るのも有効です。これが猫よけになるからです。

猫は、レモンやオレンジなどの柑橘類の匂いが好きではありません。

出典:PETPETLIFE

そのフレーバーを利用した猫よけスプレーを使うと、まったく寄ってこなくなるほどです。

その修正を利用して、手足に柑橘類の匂いをつけましょう。そうすると猫が嫌がり、噛みついてこなくなります。

しかしずっと柑橘類の匂いをつけていると、「この人には近づきたくない」というトラウマを強烈に植え付けることになるかもしれません。

甘噛みは放置する

なお甘噛みしてくるぶんに関しては、よほど頻回でない限りは放置してかまいません

そもそも猫が甘噛みしてくるのは普通のことです。そしてそれを適度に好む個体もいます。

ただし1日に何度も噛んでくる、どれだけ叱っても改善しないなら、さすがに問題があると判断できます。

後述する方法で、噛み癖を治せるように工夫してみましょう。

猫が噛み癖を治す方法

猫が噛み癖を治す方法は、多々ありますが、たとえば以下は非常に有効です。

噛んでもかまわないようにする おもちゃを与える 手指で噛ませないようにする 普段からストレスを与えないようにする

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

噛んでもかまわないようにする

まず噛んでもかまわないことを心がけましょう。かまってしまうと、「噛みつけば相手してもらえる」と学習し、噛み癖が治らなくなるからです。

噛むのをやめさせたいなら、噛んでも無反応でいるか、冷たくあしらうようにしましょう。そうすれば、「噛んだところで自分の思いどおりにはならない」ことを学習します。

そうすれば噛む動機がなくなるので、自然と噛み癖がなくなっていくでしょう。

おもちゃを与え続ける

噛まれるたびにおもちゃを与え続ければ、噛み癖が改善する可能性があります。

先ほども触れたとおり、猫はおもちゃに対して強い興味を示します。

出典:Petito

このようなおもちゃがふんだんにあれば、少なくとも手足を噛まれる頻度は少なくなるでしょう。いくつか購入して、気にいるものがあるか試してみましょう。

またおもちゃまで用意しなくても、ビー玉や紐でも十分に遊び、満足して、噛み癖が落ち着く猫もいます。

手指で噛ませないようにする

また普段から手指を噛ませないようにしましょう。そうすることで「噛むのが異常な事態である」と学習させられるからです。

噛み癖がある猫は、多くの場合手指を噛もうとしてきます。しかして手指を遠ざけたり、噛んできたときに叱るようにすれば、「手指を噛んではいけない」と学習するでしょう。

【補足】噛むのを完全にやめさせることはできない

過度な噛み癖は異常な事態であり、できる限り改善する必要があります。

しかし適度に甘噛みしたり、時おり強い力で噛んだりするのを、完全にやめさせるのは困難でしょう。そもそも噛むのは、猫にとって当たり前の習性だからです。

それを踏まえているから、猫が噛む用のおもちゃやグッズがあります。

むしろ噛み付くことを制限しすぎると、習性どおりに生活できず、ストレスを溜めてしまうでしょう。したがって適度には、噛み付く、引っ掻くといった運動の習慣を与えるのが重要となります。

どうしてもやめないときはしつけ教室などを利用

家庭内でどれだけ工夫しても、噛むのをやめられない個体もいます。

その場合は、市区町村や動物病院が開催するしつけ教室などを利用するのをおすすめします。

たとえば大阪市では「ワンニャン教室」と称し、しつけ方や悩み相談などを受け付けています。

(引用:大阪市

こういったものに参加すれば、噛み癖を治すヒントが得られるかもしれません。またそれ以外にも、正しいしつけ方や飼育方法を学べるのは大きなメリット。

噛み癖で悩んだら、ぜひこのようなイベントに参加してみましょう。

猫の噛みつきに関するよくある質問

ここではよくある質問に回答します。

  • 猫が本気で噛む力はどのくらいか?
  • 甘えていたのに急に噛むのはなぜ?
  • ビニール袋などを噛むのはなぜ?

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

猫が本気で噛む力はどのくらいか?

猫が本気で噛んだ場合の威力はきわめて高いです。たとえば親指と人差し指に間を噛まれると、前歯に挟まれた部分が貫通する、程度の威力はあります。

出典:日本歯科医師会

日本医師会の見解では、噛む力は100kg程度にも及ぶとのこと。その力で柔らかいところを噛まれたら、負傷は免れないでしょう。

猫は、ネズミなどの小動物に噛み付くことで死に至らしめています。さらにそれを噛み砕いて食べることも可能です。

それほどに強い力を持っていることを踏まえたうえで、猫と接するようにしましょう。

甘えていたのに急に噛むのはなぜ?

甘えていたのに急に噛むのは、気まぐれにじゃれ合いたくなったからだと考えられます。

猫は気まぐれな生き物で、放っておくと寄ってくる、寄っていくとそっけなくするといった行動を示します。

その一環で、甘えていたけれど、突然噛むようになるケースもあるでしょう。

これは「じゃれたくなった」程度の心変わりであり、何ら問題のある行動ではありません。

また猫にとって、噛むこと自体が愛情表現であるケースもあります。甘えていたあとに噛まれるのは、むしろポジティブなことだと考えましょう。

ビニール袋などを噛むのはなぜ?

ビニール袋などを噛むのは、ウールサッキングという特殊行動です。本来はウールに対して発生しますが、ビニール袋や布が対象になることもあります。

ウールサッキングは、子猫時代に、母猫の乳首に吸い付いていた習慣が、成猫になって表面化したもの。

子猫時代の名残を残すのは、異常なことではありません。しかしビニール袋をしょっちゅう噛むようだと、誤飲誤植が心配されます。

ビニール片は消化できないうえ、咽喉部で詰まると窒息するかもしれません。

ウールサッキングを避けるには、「やさしく制止する」のと、「我慢できたら褒める」ことの繰り返し。

また、猫の手が届く範囲にビニール袋を置かなようにしましょう。

こういったことを続けていけば、しだいにウールサッキングに興味を示さなくなります。

まとめ

関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 猫が人を噛むのは、たいてい遊び、狩りの練習をしているだけ
  • ただ、敵対心や発情期が関係していることも
  • 触りすぎて「キレている」こともある
  • 猫が噛むのをおさえるためには、おもちゃを与えるなどの方法が有効
  • 根本的に噛み癖を治すには、噛んできてもかまわない、手指をふだんから噛ませないなどの工夫が有効

猫はとにかく噛むのが好きな生き物です。ご飯を食べるのも、獲物を狩るのも、遊ぶのも、噛むという行為のもと成り立っています。

しかし噛み癖があると飼い主も安心して暮らせません。本記事で紹介した方法で悪い癖を治し、穏やかに暮らせるようにしましょう。

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