- 猫が突然倒れて動かなくなった
- 心臓マッサージのやり方を確認したい
- 事故でケガしたので正しい対応方法を確認したい
本記事では上記の状況に遭遇した飼い主の方に向けて、取るべき対応を解説します。また心臓マッサージのやり方も述べています。本記事と猫のようすを見ながら、焦らず慎重に対応しましょう。
猫の状態を確認して状況判断する
最初に以下の順序で猫の状態を確認してください。
- ボディタッチと声かけで反応を見る
- 脈拍と呼吸を確認する
- 両方とも確認できない場合は動物病院へ連絡する
- 心臓が動いているか確認する
かならず、1から順に実行してください。
1.ボディタッチと声かけで反応を見る
最初にボディタッチや声掛けに反応するか確認してください。
顔を触ったり、名前を呼んだり、体をひっくり返したりしてみましょう。
このとき強く揺さぶったり、耳元で大きな声を出したりしないでください。
この時点でなんらかの反応があるなら、少なくとも心肺停止など、緊急性の高い事態ではないと判断できます。
ただし反応が極端に薄かったり、明らかに苦しそうにしていたりするなら、この時点で動物病院に連絡してください。
2.脈拍・心拍・呼吸を確認する
ボディタッチと声掛けに反応しない場合は脈拍と心拍、呼吸を確認しましょう。ひとつでも確認できなかった場合は【緊急時用】心臓マッサージの手順を開き、マッサージを実施してください。
脈拍は大腿動脈付近、心拍は(猫から見て)左胸あたりを触るとわかります。
呼吸は、手指を猫の鼻と口に近づけると有無が判断できます。
ひとつでも確認できかった場合は【緊急時用】心臓マッサージの手順を開き、マッサージを実施してください。
3.心拍が確認できた場合は動物病院を探す
※協力者がいる場合、一人は手順4「動物病院へ連絡して搬送する準備をする」をおこなってください。
心拍が確認できたら、ただちに動物病院を探しましょう。現在地からもっとも近い、もしくはかかりつけの病院の診察時間内か確認します。
それ以外で診察可能な動物病院を探す場合は、アニコムどうぶつ病院検索を使います。
(引用:アニコム)
電話がつながらない、診察時間内ではない、夜間早朝などである場合、「夜間・救急動物病院マップ」を使います。ここで診察可能な病院を検索できます。
明らかな心音があるなら心臓マッサージはしない
明らかに心音が感じられたなら心臓マッサージを実施する必要はありません。
心臓マッサージは、心拍停止状態であるが、適切な医療設備がない場合にやむをえずおこなうものです。
しかし心拍があるなら、そもそも心臓マッサージをおこなう必要がありません。
むしろマッサージ中に肋骨が折れたり、内臓を傷めたりする恐れがあります。したがって、する必要がないなら、やらないほうがよいわけです。
あくまでも心拍・呼吸・脈拍がない場合におこないましょう。
猫の心臓マッサージのやり方
心肺停止が疑われる場合、以下の心臓マッサージを実施してください。
- 気道を確保する
- 胸部を圧迫(マッサージする)
- 人工呼吸をする
- 2分後に心音を確認する/動物病院へ連絡して搬送する準備をする
- 動物病院へ搬送する
※協力者がいる場合、一人は手順5.「動物病院へ連絡して搬送する準備をする」をおこなってください。
1.気道を確保する
以下のような姿勢を取らせて、気道を確保してください。かならず顔が左側を向くようにします。
余裕があれば、できるだけ首がまっすぐに伸びるようにしてください。縮まっていると気道が収縮し、心臓マッサージの効果が正しく得られないことがあります。
2.胸部を圧迫(マッサージする)
続いて胸部を圧迫し、心臓マッサージをおこないます。これに関しては札幌夜間動物病院が推奨する以下の方法を参考にしてください。
圧点は、前足の「肘」のやや後ろです。そこに上動画のように手を重ねましょう。
その後、1秒間につき2〜3回のペースを意識して圧迫をおこないます。圧力は、猫のお腹が2~4cmほど凹む程度です。これを30秒間続けましょう。
これが終わったら人工呼吸をおこないます。猫の口を閉じ、鼻に(飼い主側の)口を当て、2回吹き込みます。
この30秒間の圧迫→人工呼吸→30秒間の圧迫のサイクルを2分間繰り返しましょう。
2分待ってから心音を確認する/動物病院に連絡する
2分間の心臓マッサージが終わったら、2分ほど待ちましょう。
余裕があれば、この間に近隣もしくはかかりつけの動物病院へ連絡して指示をあおぎます。
電話がつながらない、診察時間内ではない、夜間早朝などである場合、「夜間・救急動物病院マップ」を使います。近隣の救急動物病院を検索し、連絡してください。
2分ほど経ったら圧点に耳を当て、心音が回復しているか確認します。確認していない場合は、再度、心臓マッサージを実施してください。
動物病院へ搬送する
呼吸と心拍が回復するしないにかかわらず、連絡が取れた動物病院へ連れて行きましょう。電話連絡できていることが理想ですが、できていない場合は、診療時間内であれば、やむをえずその動物病院へ向かいます。
心臓マッサージで心拍が回復した場合は、猫をゲージに入れて自動車に乗車しましょう。元気を取り戻したときに動き回って怪我をする可能性があるからです。
回復していない場合は、可能な限り運転役と心臓マッサージ役のふたりで搬送をおこないましょう。一人しかいないならタクシーの利用を検討してください。
一人で自動車に乗車せざるを得ない場合は、心臓マッサージは実施しません。事故なく動物病院に到着することを優先してください。
事故・症状原因別の救急対応一覧
心拍停止や意識喪失以外の症状があるなら、以下のように対応してください。
- 出血▶︎徹底的に止血する
- やけど▶︎冷却して皮膚脱落を防ぐ
- 骨折▶︎患部にいっさい触れないようにする
- 嘔吐・血便▶︎吐瀉物・排泄物を持って病院へ連れていく
出血▶︎徹底的に止血する
出血がある場合は、体毛をかき分けて、どこに傷があるのか探しましょう。このとき、傷口を強く刺激しないように注意してください。
出血が軽度であるなら、ガーゼやティッシュを当てて止血しましょう。出血が止まったら、包帯を巻いてください。この際強く巻きつけないように気をつけましょう。
多量の出血が認められる場合は、傷口に包帯を巻いたうえで、さらに「傷口付近かつ心臓側」を止血する必要があります。
こうすることで心臓からの血液循環を遮断し、きちんと止血することが可能です。そのうえで、動物病院へ連れて行きましょう。
なお猫の出血に関しては、人間のそれよりも重大なものだと考えましょう。体が小さいぶん、少量の出血でも危険性が高くなるからです。
骨折の疑い▶︎患部にいっさい触れないようにする
骨折の疑いがある場合は、とにかく患部にいっさい触れず、また揺れないようにしましょう。骨が折れている部分を刺激すると激痛が走るからです。
したがって、自宅で患部を固定するなどの処置は実施できません。
ただちに動物病院へ連れて行きましょう。問題が骨折だけで、それが四肢や顎などで生じているなら、焦る必要はありません。翌日に連れて行っても問題ないでしょう。
しかし脊髄に近い背骨や骨盤、内臓に突き刺さる可能性がある肋骨などの骨折は命にかかわります。ただちに動物病院に連れて行きましょう。早朝や深夜であれば夜間・救急動物病院マップで診察先を見つけてください。
なお猫が骨折するとしたら、ほとんどが足部です。足の骨が折れている場合、以下のような歩き方になります。
このような歩き方をしているなら、骨折していると判断しましょう。
やけど▶︎冷却して皮膚脱落を防ぐ
軽度のやけどであれば、人間同様に冷却するのが基本となります。
ビニール袋に入った氷水などを患部に当てて、温度を落とし、皮膚脱落を防ぎましょう。
非常に考えづらいことですが、広範囲な、あるいは焦げ付くような重大なやけどを負うこともあります。これは4段階に区分される「重症度」において、Ⅱ度以上にあたる程度で、水ぶくれなどがともないます(意識不明の場合もあり)。
広範囲にわたるやけどに関しては、濡れタオルで覆うことで対応します。焦げ付くような火傷には、上記のとおりビニール袋に入った氷水などを当てましょう。
動物病院へ連れて行く場合も、上記措置は可能な限り継続してください。関係者が一人しかいない場合は、タクシーの利用などを推奨します。
感電はやけど扱い
猫は、通電している電気コードに噛みつき、感電するケースがあります。
この場合は猫の体に電気が通った際、熱が生じるため、起こる症状はやけど同様です。したがって上記した「ビニール袋に入れた氷水で冷やす」などの対応で問題ありません。
ただし感電の場合、電流による心拍停止が考えられます。その場合はただちに心臓マッサージを実施してください。
注意したいのは、感電は、命にかかわるほどの電流が通電しているにもかかわらず、外見的な変化が見受けられない点です。その場では問題がないように見えても、心肺機能に重大な影響が出ているかもしれません。
したがって感電した事実が明らかであるなら、程度にかかわらず病院へ連れて行くようにしましょう。
激しい嘔吐・血便▶︎吐瀉物・排泄物を持って病院へ連れていく
トラブルの性質によっては、激しい嘔吐や血便が生じることもあります。
嘔吐自体は猫の性質ではありますが、頻回である、「吐いても吐いても止まらない」などといったケースでは重大な疾患が考えられます。
血便に関しては、重大なアレルギー反応や悪性腫瘍など、さまざまなリスクが考えられるでしょう。
いずれの場合も吐瀉物と排泄物をナイロン袋に入れるなどしたうえで動物病院へ向かいましょう。これらは疾患を特定を助けて、ときには生命の危機を脱するきっかけになるからです。
猫の事故対応の関するよくある質問
※本項では緊急時の対応に必要な情報を取り扱っていません。緊急時でないときに参考にしてください。
本記事では猫の事故対応などに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
- 心臓が再び動く確率は何%?
- 猫の死亡・仮死状態を確認する方法は?
- 心臓発作の前兆は?
- 死後硬直から生き返ることはある?
心臓が再び動く確率は何%?
海外の獣医救急救命誌によれば、心臓マッサージを受けた犬猫の心臓が再度動くようになる確率は30%程度でした。また猫のうち13%は、20分以上、心拍が継続したとのこと。
(引用:Pubmed)
一方で日本橋動物病院によれば、心肺停止状態から回復できる確率は6〜9%程度です。したがって心臓マッサージが必要な事態にあって、生還できるケースはかなり限定されます。
しかし正しい処置が実施できなければ、さらに高い確率で命を落とすでしょう。可能性がある限りは、心臓マッサージやすみやかな動物病院への搬送など、最善を尽くすのが重要となります。
猫の死亡・仮死状態を確認する方法は?
猫の死亡を確認する方法で確実なのは、死後硬直が起こることです。死亡後数十分から数時間経っているなら、体が硬くなり、足が曲がりにくくなります。これが発生したら、死亡していると断定できます。
- そのほか、以下のサインがすべて出ているなら、死亡していると判断できるでしょう。
- 呼吸の停止/口元で耳を澄ましても呼吸音がせず、腹部の収縮がない
- 心拍・脈拍の停止/心臓部と後ろ足の付け根から拍動が感じられない
- 瞳孔の固定/猫の目に光を当てても、瞳孔が収縮しない
一方で、動いていないものの、呼吸や拍動が認められる場合は生命活動が継続しており、仮死状態にあります。この場合、心臓マッサージや動物病院での早期の処置により、死亡を避けられる可能性があります。
心臓発作の前兆は?
心臓発作の原因の多くが肥大型心筋症です。したがって、同疾患の症状が、発作の前兆と考えられます。
- 呼吸の回数が増える
- 咳をするようになる
- 食欲が低下する
- 活動量が極端に落ちる
- 冷たいものに反応しなくなる(冷感の喪失)
呼吸の回数が増えるのは、もっともわかりやすい前兆です。以下のようなようすが認められたら、肥大型心筋症をうたがったほうがよいでしょう。
死後硬直から生き返ることはある?
残念ながら死後硬直から生き返ることはありません。
猫(動物)の体は、死亡後数十分から数時間の間に死後硬直し、そのあとで解硬という現象が起こります。この解硬の際に足などが動くため、「まだ生きている」と誤解されるようです。
しかしこの現象は死亡しているからこそ起こるものであり、生き返りの可能性を示すわけではありません。
非常に残念なことですが、死後硬直が確認された場合は、できる限りていねいに供養するのが最善となるでしょう。
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まとめ
本記事では、猫の緊急事態や心臓マッサージに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 猫が動かなくなったら、最初にボディタッチと声かけで反応がないか確認する
- 反応がない場合、脈拍・心拍・呼吸を確認する
- 心拍が確認できた場合は動物病院を探すが、できない場合は心臓マッサージによる心肺蘇生を優先
- 心臓マッサージのインターバル中に受け入れ可能な動物病院を探す
- そのほかの怪我や症状があるなら、それに応じた対応を取ること
猫は、人間と同様、突如として心肺停止の状態に陥ることがあります。この場合、心臓マッサージを用いて心肺蘇生を図る必要があります。
心肺停止直後にマッサージを実施できれば、わずかながらに生還の可能性が得られるでしょう。
猫が倒れたとき、すみやかに状況判断し、必要に応じて心臓マッサージを実施できるようにしておきたいところです。
ぜひ本記事を参考に緊急時にも対応できるようにしておきましょう。
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本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。