2026.02.26

このように思っている人は多いのではないでしょうか?
猫の腎不全とは、腎臓の機能が著しく低下する病気を意味します。
腎臓は毒素の排出や血圧調整、ホルモン分泌などの重要な役割を担います。これが機能不全になることは、時として猫の生死を左右するかもしれません。
そして腎不全の末期には、いろいろな症状が現れます。そしてその症状に鑑み、猫が少しでも楽に過ごせるように工夫するのが重要です。
本記事では腎不全末期に見られる症状や、飼い主としてやってあげられること、そして最期の看取りに関して解説します。ぜひ参考にしてください。
もくじ
猫の腎不全末期に見られる症状は、「ステージ」によって異なります。
腎不全は、血液検査の結果によってステージ1から4にまで分類されます。

(引用:ポックル病院)
いわゆる「クレアチニン濃度」が2.8から5.0でステージ3、5.0以上ステージ4、つまり末期になるわけですね。
下記ではステージごとで見られる末期症状に関して解説するので参考にしてください。また腎不全末期に併発しやすい病気に関しても解説します。
腎不全ステージ3では、以下の症状が見受けられます。
ステージ3になると、特に「尿をとおした老廃物や毒素の排出」が、機能しなくなることが増えてきます。それをカバーするために多飲多尿になったり、毒素の影響で口内炎を発症したりします。
さらに貧血や食欲低下、嘔吐などの重大な症状が現れることも。
ステージ3の段階でも、かなり重篤な症状が現れているのがわかります。病院では、少しでも症状を和らげるため、腎臓によくない薬を切ったり、食餌療法の指導が始まったりします。
指導をきちんと聞き入れつつ、猫が少しでも楽に暮らせるように配慮・工夫する必要があるでしょう。
ステージ4では以下の症状があらわれます。
血尿や痙攣など、さらに重大な症状が確認されるようになります。また後述する尿毒症などを発症し、さらに体調が苦しくなることも。
余命は3ヶ月程度と言われており、かなり深刻な状態です。
ステージ4に到達すると、獣医師が安楽死を提案するケースが増えるようす。腎不全と関連疾患に向き合うのは、猫と飼い主双方にとって、たいへんな負担があるからです。
猫が感じる苦痛や、それを見守る辛さを踏まえれば、おだやかに眠らされてあげるのも、ひとつの選択だといえるでしょう。
関連記事▶︎猫の安楽死は間違っているのか?処置方法や費用を解説
腎不全のステージが進行すると、尿毒症を併発することがあります。これは、腎不全による老廃物や毒素の排出活動が著しく低下した結果に現れる病気です。
症状の一例は以下のとおり。
ご飯を食べなくなったり、貧血で苦しそうにしたり、動けなくなったり、見守るのも苦しい症状が現れるようになります。また「症状」とは異なりますが、「極端な気分の悪さ(悪阻)」を感じた結果として、よだれを垂らすようになることも。
尿毒症を発症した猫の予後は悪く、最悪の場合数時間、数日後に死亡することも。長くとも数ヶ月程度の余命になるため、尿毒症が確認された場合は本格的な看取りの段階に入る必要があるでしょう。
飼い猫が腎不全を抱えていた場合、以下のような点が気になるでしょう。
ここでは、余命と猫のようすに焦点を当てて解説します。
腎不全末期(ステージ4)の余命は、一般的に数週間〜3ヶ月程度と言われています。
ただし、この数字はあくまで目安です。治療やケアの内容、猫自身の体力、尿毒症などの併発疾患の有無によって、大きく変わる点に注意してください。
たとえば、積極的な点滴治療や食事管理を続けることで、宣告された余命より数ヶ月以上長く生きる子も珍しくありません。
また末期の状態からある程度復活し、1年以上生きているケースも稀ながら存在します。
残念ながら、腎不全が完治するケースはほとんど聞かれません。しかし宣告された余命よりもはるかに長く生きる子もいます。
上動画の「さくら」は、腎不全と診断された猫です。余命は半年と宣告されました。
しかし飼い主のケアや積極的な治療、また薬の効き目が顕著にあわれたことから、宣告された余命半年から1ヶ月経過しても、比較的元気に動き回っています。
かならず、とはいえませんが、腎不全になったとしても、徹底したケアを実施することで、残り寿命を大きく伸ばせる可能性はあるといえそうです。
亡くなる数分〜数十分前には、以下のような経過をたどります。
まず、呼吸のリズムが乱れ始めます。ゆっくりとした呼吸と速い呼吸が交互に現れたり、数秒間呼吸が止まるような「下顎呼吸(かがく呼吸)」と呼ばれる状態になることも。
口をパクパクと動かすような様子が見られたら、最期が非常に近いサインです。
次に、手足がピンと伸びたり、全身がわずかに痙攣すると思われます。これは筋肉の制御が失われていく過程で起こるもので、猫が意図的に動いているわけではありません。
また、目が半開きのまま焦点が合わなくなり、呼びかけても反応しなくなります。
最終的には、静かに呼吸が止まります。多くの場合、激しくもがいたり大きく鳴いたりすることはなく、眠るように旅立つことがほとんどです。
腎臓病をわずらった猫が最期に経験する苦痛はかなりのものとなるでしょう。
尿毒症による吐き気・倦怠感・頭痛に近い不快感が慢性的に続いていると考えられます。人間でいえば、ひどい二日酔いや重度の食中毒のような状態が続くイメージに近いです。
ただし、猫は苦痛を表情や鳴き声に出しにくい動物です。「じっとしている=苦しくない」わけではありません。
だからこそ、「本当は苦しいのだろう」と心配し、できるだけ苦痛をやわらげるようにするのが重要です。
獣医師に相談して痛み止めや吐き気止めを処方してもらうことで、苦痛を和らげられる場合があります。可能な限り、最期の瞬間をおだやかに過ごせるようにしましょう。
腎不全の末期症状が出た場合、猫は相当な苦痛を感じています。それを少しでも軽減するには、以下の取り組みが必要です。
まず、きちんと通院することが基本となります。腎不全は症状の変化が起こりやすく、都度適切な治療を受けさせるのが、猫の健康を守る、苦痛をやわらげるうえで大切です。
またターミナルケアの実施や、暖かい環境を保つのも、腎不全時には重要なポイントとなるでしょう。それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
もっとも大切なのは、きちんと通院させることです。上記したとおり、変化する症状に対して都度適切な治療を行いましょう。
腎不全の場合、たとえば以下のような処置がおこなわれます。
このように投薬や点滴、検査や給餌など、さまざまな処置が受けられます。それぞれの症状を治療、もしくは苦痛を軽減するうえで、こまめな通院は欠かせないといえます。
ただし通院すること自体が猫のストレスになることも。その点も踏まえて、通院するペースを判断するとよいでしょう。
腎不全末期を迎えた場合は、基本的なターミナルケアを実施するようにしましょう。
ターミナルケアとは「闘病をやめ、残された時間を可能な限りおだやかに過ごすための治療」を指し示します。
基本的には以下のように、自宅でケアを実施するのが一般的です。
具体的には、排泄を手伝ったり、寝たきりで過ごすのを見守ったり、薬を与えたりします。そこまでむずかしいことではなく、今まで以上にていねいに面倒を見る、と考えればよいでしょう、
ターミナルケア自体は腎不全特有の対処ではありません。ただし多くの症状や相応の苦痛がともなう腎不全末期においては、特別な配慮が必要です。
だからこそ、ていねいなターミナルケアが重要になるわけです。この点に関しては老猫の最期の看取り方とは?飼い主ができる最期にできることで詳しく解説しているので参考にしてください。
こと腎不全の場合は、ステージにもよりますが、できるだけ食事を摂らせるようにしましょう。栄養不足に陥るのを防ぐためです。
たとえば以下の工夫が考えられます。
無理に食べさせるわけではなく、頻繁にご飯を目の前に出すようにしましょう。そうすると、意外にも食べてくれることがあります。
また、意外にも「ご飯を温める」のも有効です。「食べるか食べないか」を判断するうえで重要な匂いがより強く放たれ、食に興味を示すようになる可能性があります。
また獣医師指導のもと、点滴や強制給餌をおこなうケースも。そういった処置をおこなうかどうかは、指示にしたがうのがよいでしょう。
ターミナルケアが「残された時間を幸せに過ごす治療」であるなら、食べたいものを食べさせるのも大切です。これによって、辛い症状に苦しむ猫に、それなりに大きな幸せを与えられます。
一般には「美味しいけれど食べさせるべきではない」とされているものも、食べさせてあげましょう。
たとえば生魚や焼き魚、鰹節などが挙げられます。
本来きちんと栄養バランスが計算されていない魚類を与えるのは、よいことではありません。しかし腎不全の末期であれば、多少のバランスの乱れは問題にならないわけです。
最後に好きなものを食べさせてあげましょう。そうすることが、飼い主の精神的な安定につながる部分もあります。
暖かい環境を保つのも重要なポイントです。腎不全を患うと、低体温になることが多いからです。
体温が下がると、体調が悪くなったり、呼吸がしづらくなったりします。極端な低体温状態になると意識レベルが下がり、最悪の場合死に至ることも。
よって、できるだけ暖かい環境を整えてやる必要があります。エアコンやストーブなどを使って、高めの室温を保ちましょう。
以下のようなキャットドームを使う方法もあります。

(引用:Yahoo!ショッピング)
このようにグッズを使えば、保温するとともに、「狭いところに居たい」という猫の欲求を満たすことも可能です。ドームは1,000円から3,000円とさほど高くないので、一度購入を検討してみましょう。

出典:Something
脱水は腎不全の進行を加速させるため、水分を補う皮下点滴が欠かせません。
皮下点滴とは、背中や肩甲骨のあたりの皮膚の下に輸液を注入し、体にゆっくり吸収させる方法です。おそらく獣医師から自宅で実施するように指導されるでしょう。
これに関しては獣医師の指示どおりに実施するのが大切で、頻度などを調整する必要ありません。
たとえば心臓病を併発している猫では点滴量が多すぎると肺に水が溜まるリスクがあります。
量や頻度は必ず獣医師の指示に従い、自己判断で調整しないようにしましょう。
腎不全の特徴を踏まえて、水分補給を十分に実施しましょう。
腎不全の猫は脱水になりやすく、水分不足がさらに腎臓へのダメージを招きます。
自力で水が飲めている間は、家のいくつかの場所に水を置いて飲む機会を増やしましょう。
水を飲まなくなってきたら、スポイトで少量ずつ口に運ぶ方法が有効です。ウェットフードに切り替えて食事から水分を補う工夫もできます。
飲ませるときは一度に大量に与えず、1日数回に分けて少しずつ行うのがポイント。
無理に飲ませると誤嚥(ごえん・食べ物などが気管に入ること)のリスクがあるため、注意しましょう。
寝たきりになった猫は、同じ体勢が続くことで皮膚が壊死する床ずれ(褥瘡)が起きやすくなります。これにも十分な対策が必要。

出典:ALL動物病院グループ
特に体が痩せてくると肩や腰の骨が出てきて、その部分が圧迫されやすくなります。
これを防ぐため、2〜3時間おきに体の向きをやさしく変えてあげましょう。これを繰り返せば、床ずれの直接の原因である圧迫をある程度緩和できます。
また介護用のペットマットや低反発クッションを使うのも効果的。
一度床ずれができると、免疫力の低下と合わさって、重篤な状態に陥りがちです。この点を理解し、きちんと防止できるようにしましょう。
ストレスが発生しないことも、腎不全をわずらう猫がいる状態では重要です。
慢性的なストレスは免疫力をさらに低下させ、猫の体力を奪います。これが原因で病状が悪化するかもしれません。
騒音や人の出入りが多い場所は避け、静かで落ち着ける場所に猫のベッドを置きましょう。
過度なコミュニケーションも避けるのが望ましいです。末期では抱っこや過度なスキンシップが負担になることもあります。
また、清潔さを保つのも大切。食事する場所やトイレなどはこまめに掃除しましょう。
腎不全が末期に近づくにつれ、「まだ治療を続けるべきか」「緩和ケアに切り替えるべきか」と悩む飼い主は多いです。
どちらが正解かは猫の状態によって異なります。
判断の基準を知らなければいけません。そのうえかかりつけの獣医師と相談しながら決めていきましょう。
ここでは治療を続けるべき、緩和ケアに切り替えるべきサインと、相談方法に関して解説します。
以下のような状態であれば、引き続き治療を続けることで猫の状態を維持できる可能性があります。
ステージ4であっても、適切な治療を続けることで食欲や元気を維持できるケースがあります。「末期だから諦める」と決めず、今の状態を獣医師と一緒に見極める必要があります。
一方で治療を期待できるサインが出ていても「苦しませたくない」という気持ちから緩和ケアに切り替える選択肢もあるでしょう。実際にそのように決断するケースもあります。
また、それを批判する獣医師もまずいません。
積極治療を中止したことを『見放した』と後悔する飼い主さんも少なくありません。ただし、それも病気の進行度合、治療の副作用、本人(犬猫)の表情、家族の死生観など様々なことに折り合いをつける時期を迎えたのだと思います。本人(犬猫)が穏やかな生活を送るための前向きな決断だったはずです。
— 往診専門動物病院 犬と猫の緩和ケア (@inunekokaigo) May 23, 2023
以下のような状態が2日以上続く場合は、苦痛をやわらげることを最優先にする緩和ケアへの移行を検討するタイミングといえます。
この場合は回復を目指すにしても、かなり厳しい道のりがあります。それを踏まえれば、緩和ケアに向かうことが望ましいでしょう。
ただし、「どうしてもまだ別れたくない」と考えるなら、治療を継続する選択肢もありえます。
いずれの場合でも、自身のみの判断ではなく、獣医師と判断して方針を決めるのが重要です。
「治療を続けるべきかどうか、自分では判断できない」と感じたら、以下の3点を整理して獣医師に伝えてみましょう。
「無理に延命はしたくない」「最期まで治療を続けたい」など、飼い主の希望を率直に伝えるのが大切。
獣医師はその希望を踏まえたうえで、方針を提案します。
ただし、最終的な判断はほとんどの場合で飼い主に委ねられます。意見と方針を参考に、最終的にどのようにしたいか決断しましょう。
腎不全が末期に近づくにつれて、猫は少しずつ動けなくなっていきます。最終的には「看取り」の段階に入ります。
とはいえ「看取り方がわからない」という人も多いでしょう。具体的には、以下の方法で看取るのが一般的です。
それぞれを踏まえておけば、より苦痛の少ない穏やかな環境を提供できます。それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
根本的な治療を目標としない緩和ケアでは基本的に、穏やかに過ごさせるのが大切です。まずはこの点を理解し、猫できるだけ負担がかからないようにしましょう。
これを覚えておくだけでも、猫に対してよりよい緩和ケアを提供できるようになります。
具体的には、静かで落ち着ける場所に猫のベッドを置き、トイレや水飲み場はそばに移動させましょう。
余計に触ったり抱き抱えたりするのは避け、撫でる程度にとどめます。
写真や動画などは撮影してもかまいませんが、猫のストレスにならない範囲で実施しましょう。
緩和ケアでは、飼い主の気持ちを重要視しつつも、猫に負担がかからないようにするのがポイントです。これを踏まえたうえで、自宅でのケアを実施しましょう。
またポジティブな声かけをおこなうのも、猫の幸福につながります。なぜなら、猫は「人間の言っていることが、ある程度わかるから」です。
海外の研究によれば、猫は人間の声と表情を観察して、感情を読み取る能力を持っているとのこと。つまりやさしい声と表情でコミュニケーションを取れば、猫も喜んでくれるわけです。
そうすると、辛いターミナルケアの期間も、いくらか楽になるかもしれません。
ちなみに、人間が猫の表情を見て、感情を読み取ることも可能です。

(引用:CAPNo370 2020年4月号、ミル動物病院)
上図は猫が感じている苦痛を推測する際に使われる「ペインスケール」と呼ばれる資料です。スコアが高ければ高いほど、痛みや苦しみを感じています。
つまりスコア1、スコア2の表情をしているとき、体をさすったり、薬を与えたりすれば、よりおだやかな時間を過ごせるかもしれません。
ステージ4および尿毒症などの症状があらわれたら、余命は数週間から3ヶ月だと推測されます。このあたりから異体保存の準備を始めましょう。
具体的には以下のものを用意する必要があります。
現代では、猫がなくなったあと、火葬するのが一般的です。亡くなってから準備するのは少したいへんなので、ターミナルケア中に用意しておくとよいでしょう。
今回は猫の腎不全末期に関して解説しました。最後によくある質問に回答します。
まず、ややわかりにくい余命に関して回答します。また腎不全末期から復活する可能性などにも触れています。ぜひ参考にしてください。
末期になると頻繁に鳴く理由として、以下3つが推測されます。
まず、何らかの苦痛を感じているがゆえ、助けを求める意味で鳴くことがあります。この場合は、処方されている薬を与えるなどする必要があります。
また一緒にいてほしかったり、感謝を伝えたかったりして鳴くこともあります。その場合は、ただそばにいてあげることが、猫にとってもっとも幸せだといえるでしょう。
スポイトやシリンジで少量ずつ口に運んであげましょう。こうすると嚥下力などがなくても飲めるケースがあります。
ただし、一度に多く入れると誤嚥性肺炎のリスクがあるため、1日数回に分けて少しずつ与えることが大切です。
それも難しくなってきた場合は、水で湿らせたガーゼやスポンジを口の中に当てる方法がおすすめ。
口から水分を補えない状態が続くようであれば、獣医師に相談して皮下点滴での補給を検討しましょう。
苦しむこともあれば、眠るように静かに旅立つこともあります。どちらになるかは猫の状態によって異なりますが、多くの場合は穏やかな最期を迎えるでしょう。
ただし、尿毒症による吐き気や倦怠感は最期まで続いている可能性があります。
猫は苦痛を表情や鳴き声に出しにくい動物のため、「じっとしている=苦しくない」とは限りません。
獣医師に相談して吐き気止めや痛み止めを処方してもらうことで、苦痛をやわらげられる場合があります。
できる限りのケアをしてあげることが、穏やかな最期につながるでしょう。
本記事では、猫の腎不全末期に見受けられる症状に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
腎不全は、猫にとってかなり厳しい病気です。特にステージ4まで進行している場合は、根治よりもターミナルケア、つまり「残された時間をおだやかに過ごす」ことを目標にしたほうがよいでしょう。
きちんとケアして、快適に過ごせる環境を整備すれば、最期の時間を幸せに過ごせます。本記事を参考に、猫の最後をやさしく看取ってあげましょう。
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