2023.11.30
このような疑問や不安を持っている人は多いでしょう。
結論からいうと乳歯が抜け始めるのは生後3〜5ヶ月です。しかし、それ以外の原因でも歯が抜けることはあります。そして原因によっては、特別な対処が必要なことも。
本記事ではその原因や対処法、あるいは猫の歯の健康を保つ方法などを解説します。
冒頭で述べたとおり猫の歯が抜ける年齢は、生後3〜5ヶ月です。このころに乳歯が抜けて、永久歯に生え替わります。
これ自体は、私たち人間同様の成長過程にしかすぎません。多少の出血がともなうことはありますが、よほどの量でない限りは放っておいて問題はありません。
しかし以下の原因で歯が抜けることもあり、その場合は適切な対処が必要です。
猫が年齢を重ねていくと、上記いずれかの問題にぶつかるでしょう。そして歯が抜ける以上の困りごとが生じるかもしれません。
それぞれがどういった症状、現象なのか、まずはおさえておきましょう。そのあとで適切な対処法を解説します。
猫の歯が抜ける原因として、まず歯周病が挙げられます。これは細菌感染により、歯茎が劣化してしまう病気。症状として以下が挙げられます。
歯が抜けることに関係するのは、歯茎が劣化して位置が低くなることです。要は歯を支える土台がすり減ってしまい、ぐらつき、最終的に抜けてしまうわけですね。
歯周病は、多くの猫が発症しうるポピュラーな口腔疾患です。これに関しては後述するように、歯磨きや歯科検診などできちんと対応する必要があります。
なお、猫が虫歯になることはほとんどありません。その理由として以下が挙げられます。
つまり虫歯菌が発生しにくい環境にあり、虫歯のリスクがほとんどないわけです。ただし下動画のような事例もあり、可能性はゼロではないので年のため覚えておきましょう。
口内炎が悪化して、歯が抜けることもあります。これは歯石による刺激や最近の繁殖、口腔内の裂傷などが原因で起こる疾患です。症状の一例は以下のとおり。
このように口内炎ひとつでさまざまな症状が現れます。特に口腔内の腫れや潰瘍が歯茎に現れた場合、歯を支持しきれず抜け落ちることがあります。
また歯槽膿漏によって歯茎の内側の組織が損傷してしまうことも。この場合もやはり歯が抜けることにつながります。
歯頸部吸収病巣は、歯と歯茎、そしてその境界部分が溶けてしまう病気です。あまり聞きなれない病名ですが、ほとんどの猫が発症する可能性を持っています。
境界部分が溶ける以外にも、腫れや涎の増量、口臭の悪化などが見受けられるようす。しかし歯が溶け切って歯茎に吸収されると、症状がおさまります。
歯頸部吸収病巣の原因は、本来抜けるべき乳歯が抜けるように仕向ける「破歯細胞」が異常増殖することで起こるようです。
(引用:Amazon Web Services)
歯頸部吸収病巣は、現代ではよくある疾患ですが、1960年以前にはほとんど症例がありませんでした。したがってキャットフードをはじめとした食事内容の変化が、同疾患の原因になっていると推測できます。
口腔内トラブルをのぞけば、固いものを噛んで歯が折れてしまったのかもしれません。これは一般に「歯折」と呼ばれます。
猫の歯は非常に固いのですが、噛んだものがそれ以上に固いこともあります。その結果以下のように、歯が折れてしまうことも。
(引用:ポラン動物病院)
特に犬歯は外部の物体に触れる機会が多いため、歯折が起こりやすい傾向にあります。
歯が折れた場合、後述するセメントでの埋め合わせなどで回復することが可能です。
老化によって歯茎などの機能が低下して、歯が抜けてしまうこともあります。一般的に10歳くらいから抜け始めます。
特に高齢な場合だと、主要な歯をのぞいてほとんどが抜け落ちてしまうことも。
また老化にともない、上述した歯周病や口内炎などの口腔内トラブルが増える傾向にあります。そのまま放置していると、次々に歯が抜け落ちてしまうでしょう。
高齢猫の場合は、口腔内の状態に問題がないか注意深く観察し、少しでも歯が抜けるのを遅らせる努力が必要となりそうです。
猫の歯が抜けてしまった場合、その原因に合った対応を取る必要があります。
生え替わり▶︎基本的には対応しなくてもよい
歯折▶︎早期に動物病院で回復処置を受ける
口腔内トラブル▶︎痛みに配慮しながら動物病院で治療を受ける
老化▶︎動物病院で治療を受けるがある程度は受け入れる
子猫の乳歯が抜けた場合、基本的には対応不要です。これは成猫になるうえで必要なステップであり、異常なことではありません。
多少の出血がともなうこともありますが、これも一般的な現象です。また間違って歯を飲み込んでしまうケースがありますが、大きさから考えて窒息なども考えづらいので、心配は必要ありません。
強いていうなら、本来抜けるはずの乳歯が抜けずに残ってしまう「残存乳歯にのみ注意が必要です。
上動画0:50あたりのように、乳歯と永久歯が同じところに生えてしまいます。この場合は歯並びが悪くなる可能性があります。
手術で抜歯できるので、動物病院にへ連れて行って相談してみましょう。
固いものを噛んで歯折した場合は、すみやかに病院へ連れて行きましょう。折れてから数日であれば、「関節歯髄覆とう法」に代表される「セメントでの埋め立て」により回復できる可能性があります。
(引用:アレックス動物病院)
費用は5,000円から10,000円程度です。しかし直接歯髄覆とう法や断髄法などの方法では100,000円から300,000円ほどの費用に跳ね上がるので注意してください。
また歯折部分の回復は、折れてから日数が経てば経つほど成功率が下がります。よって歯折が確認できた時点で、ただちに動物病院へ向かうことをおすすめします。
歯周病や口内炎などの口腔内トラブルが原因だと考えるなら、とにかく痛みに配慮しながら動物病院へ連れて行きましょう。
症状の進行度にもよりますが、基本的に口腔内の炎症には強い痛みがともないます。下手に触ったり、受信を先送りしたりすると、猫にとって大きな負担になりかねません。
動物病院では、疾患の種類やその程度に合わせて、歯石除去や抜歯、投薬などの処置が受けられます。基本的には獣医師の判断にしたがえば問題ありません。
費用にはばらつきがあり、投薬や注射なら1回あたり5,000円から10,000円ほどでおさまります。ただし歯石除去や抜歯では30,000円から50,000円ほどかかるかもしれません。
老化に関しても、動物病院で治療をおこなうこととなります。上述したとおり歯石除去や抜歯、投薬などの処置が有効となるでしょう。
しかし老猫の場合は、治療しても改善が見込めないこともあります。仮によくなっても、その直後に別な疾患が生じ、処置が追いつかないことも。
年齢や症状の程度にもよりますが、ある程度の口腔内トラブルは受容したほうがよいかもしれません。そうすることで猫の負担や治療費の支払いを減らすことが可能です。
関連記事▶︎老猫の介護はどうすればよい?トイレ・食事などすべてのケア方法を解説
人間の歯は、健康を保つうえで重要な役割を果たし、多少の虫歯や噛み合わせの悪さでさえ問題視されます。
それは、猫も例外ではありません。少々のトラブルや疾患でも、猫の健康を大きく害することもあります。歯を健全に保つため、以下の点を知っておきましょう。
人間同様に、やはり歯磨きは基本となります。デンタルガムを噛ませるのも有効でしょう。
そのほか、やはり動物病院での診察や定期検診を受けるのが重要になります。
猫の歯を守るためには、やはり歯磨きが必要です。これで歯垢・歯石を取り除いたり、殺菌したりすることが可能です。
といっても、人間のように歯ブラシや歯磨き粉は使いません。下動画のように、「歯磨きシート」を使って拭きあげる手段を取ります。
1週間に1回でも歯磨きをすれば、口腔内トラブルのリスクはある程度おさえられます。
歯磨きシート自体とは以下のようなものです。1パック500円〜1,000円程度で購入できます。
(引用:TAURUS)
歯磨き自体は簡単で費用もさほどかかりません。ぜひ一度試してみましょう。
歯磨きを実施したうえで、デンタルガムを与えるのもよいでしょう。噛むだけで口腔内環境を整えられるガムです。
(引用:Petio)
価格は200円から300円程度です。猫もおやつ感覚で楽しめます。ぜひ一度試してみましょう。
また、上述した歯磨きを強く拒む猫もいます。その場合は無理に磨かず、デンタルガムで代用する方法もあるでしょう。
先述した口内炎や歯周病に代表される口腔内トラブルが見受けられたら、ただちに病院へ行くようにしましょう。
そうすることで、歯がぐらつく程度のことはあっても、抜けるほどの事態は、多くの場合避けられます。
具体的に以下の症状を察知したら、連れて行くとよいでしょう。
定期的に健康診断を受けるのもおすすめです。これを半年もしくは一年に1回ほどのペースで受けておけば、歯が抜けるような疾患に早期対応できます。
もちろん口腔内トラブルのみならず、あらゆる病気や怪我の有無をチェックできるのもメリット。特に危険性の高い腎不全や狭心症のリスクを確認できるのは重要です。
健康診断にかかる費用は3,000円から5,000円程度。ただしレントゲン撮影や尿検査などを追加する場合は、別途費用がかかります。
とはいえ年に1、2回しか受ける必要がないので、さほど大きな負担にはならないでしょう。
関連記事▶︎猫も認知症になる?自宅でのケアや予防法を解説
本記事では猫の歯が抜けることと、その対応や予防策を解説しました。ここではよくある質問に回答します。
気になる点があればぜひ参考にしてください。
猫の歯は、すべて揃っていれば30本あります。ただし乳歯の場合は26本です。
なお生えている位置によって役割が異なります。
(引用:klublr)
もっとも目立つ「牙」のような歯は犬歯であり、猫が持つ最大の武器のひとつです。広報に位置する臼歯郡はものは、食べ物を噛み切るために使います。
人間でいう前歯の位置にあたる切歯は、歯でありながらハンティングや咀嚼には使われません。主にグルーミングする際、「くし」の役割を果たします。
口臭がひどいなら、何らかの口腔内トラブルが想定されます。
<口臭の悪化がともなう口腔内トラブル>
うち口内炎・歯周病・歯頸部吸収病巣は、歯茎の劣化などが起こり、歯が抜けることがあります。口臭の変化を感じたら、病院へ連れて行き、問題がないか診てもらうのをおすすめします。
なお腎不全や尿毒症も猫にありがちな病気かつ重篤化しやすいもの。これに関しても動物病院で診察を受けておくと安心です。
関連記事▶︎猫の腎不全末期の症状とは?少しもで楽になるターミナルケアについて
もっともわかりやすいしぐさは、ご飯の食べ方が変わることです。
このように患部が傷まないように、不自然な角度で食べるようになります。このしぐさが出ていたら、口内炎や歯周病などをうたがうべきでしょう。
そのほか、以下の変化も現れます。
結論からいうと、猫の入れ歯は存在しません。これにはいくつかの理由があります。
まず、猫の入れ歯を作るのは簡単ではありません。人間であれば歯科技工士がそれを製作できます。しかし猫の入れ歯を作る技術者及びその資格は存在しません。
また猫が入れ歯を異物と判断して嫌がるため、作っても使用するのが困難です。
こういったことから猫の入れ歯は存在せず、またその問題の大きさから、今後流通する可能性も低いでしょう。
本記事では、猫の歯に関して詳しく解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
乳歯から永久歯に生え変わる段階であれば、特に心配は必要ありません。しかし成猫の抜歯はほとんどの場合が何らかの疾患やトラブルによるため、適切な対応が必要です。
そして人間同様、歯は猫にとって大切な存在です。歯磨きやデンタルガム、定期的な健康診断により、健全な状態が保てるように努力しましょう。
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