2022.11.28
この記事を読んでいる方の中には、上記のように考えている場方も多いのではないでしょうか?結論からいえば、子猫用ミルクが手元になくても、自宅やコンビニで手に入るもので代用できます。
しかし代用品は、子猫にとって安全なレシピで作らなければいけません。同時に適切な姿勢・分量・頻度で授乳する必要があります。そこで本記事では以下を解説します。
子猫用のミルクが手元にない方はご参考にしてみてください。
もくじ
最初に理解が必要なのは、普通牛乳をそのまま与えるのはできるだけ避けたい点。獣医師の成田有輝氏は以下のように述べています。
牛乳には、乳糖(ラクトース)と呼ばれる炭水化物が100gあたり4.4gも含まれています。猫は、この乳糖を分解する乳糖分解酵素(ラクターゼ)の活性が高くありません。そのため、乳糖を消化吸収できず、下痢を引き起こしてしまうことがあります。(引用:ペット&ファミリー損害保険株式会社)
わかりやすくいえば「”乳糖”が多すぎると消化できず、下痢をするかもしれない」と述べています。
したがって、普通牛乳以外の以下3つが代用品候補です。
これらは自宅もしくはコンビニで手に入り、子猫にとっても安全かつ健康的です。それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。
子猫に普通牛乳を与えてはいけません。しかし低乳糖・無乳糖の牛乳なら問題なく与えられます。ほとんどのコンビニで取り扱いがあるので探してみましょう。
(引用:雪印メグミルク)
低乳糖・無乳糖を懸念なく与えられるのは、消化しづらい乳糖の含有量が少ない、もしくは含有されていないから。
つまり子猫でも消化吸収しやすいため、普通牛乳と比べて下痢・腹痛が起こりづらくなります。
低乳糖・無乳糖牛乳はパッケージに「お腹を壊さない」「ゴロゴロしない」などと書かれているのが特徴。このような記載がある商品を探しましょう。
なお、普通牛乳と同じく無脂肪乳を与えるのは避けましょう。これも子猫にとって安全とは言い難いからです。
無脂肪乳は脂質が入っていないだけであって、乳糖が多く含まれているかもしれません。したがって、無脂肪乳ではなく低乳糖・無乳糖の牛乳を与える方が安全です。
無脂肪乳か、低乳糖・無乳糖の牛乳か勘違いしやすいため注意しましょう。
低乳糖・無乳糖牛乳がないなら豆乳を与える方法もあります。
普通牛乳には乳糖が含まれているのは上記のとおり。
子猫はこれをうまく消化吸収できません。しかし豆乳には乳糖が含まれていません。
したがって豆乳であれば、下痢や腹痛のリスクを避けられます。
注意したいのは、アレルギー反応が起こらないと言い切れない点。子猫によっては生まれつき大豆アレルギーを持っており、豆乳の摂取で嘔吐や口周りの炎症を起こすかもしれません。
この可能性は松波動物病院メディカルセンターでも指摘されています。もしアレルギー反応が見受けられたら直ちに豆乳を与えるのをやめましょう。
低乳糖・無乳糖牛乳、そして豆乳がないなら砂糖水を与えましょう。これで最低限の栄養は補給できます。
「砂糖水を飲むのか?」と思う人もいるでしょう。しかし下記動画のようにむしろ好んで飲む猫も多くいます。
特にブドウ糖が摂れるのは重要です。糖分が補給できていないと、死亡のリスクもある低血糖症になる可能性があります。
こと子猫に関しては、獣医師の平松育子によって「成猫より子猫のほうが低血糖になる確率が高い」と指摘されていました。
子猫や老猫は健康的な成猫に比べて、低血糖になる確率が高いので、もしもの時に備えて、糖分を摂取できるような補助食品を常備しておくと安心できますね。(引用:ねこちゃんホンポ)
砂糖水の濃度は、お湯100ccに対して4g程度。また冷たい状態ではなく、人肌程度に温めたものを与えましょう。
「代用品よりも正規の子猫用ミルクを与えたい」と考える人もいるでしょう。その場合、ドン・キホーテへ行けばほぼ確実に入手できます。
同時に授乳で必要な哺乳瓶・シリンジも確保可能。
実際、ドン・キホーテ草津店に問い合わせたところすべて販売していました。もし夜間帯などでペットショップなどを利用できない場合、公式サイトから近隣の店舗を探してみるのも一つの手です。
子猫用ミルクはドラッグストアでも販売されている可能性があります。
ココカラファインでは定番品であるミオ・子猫のミルク取り扱いが確認できました。
(引用:ココカラファイン)
ドラッグストアはペットショップと比較して閉店時間が遅い傾向にあります。中には23時ごろまで営業しているケースも。
時間帯によっては当日中に間に合う可能性があるため、一度近隣のドラッグストアが開いてないか確認しましょう。
「子猫ミルクや哺乳器はコンビニで手に入る」と聞いた人もいるでしょう。しかし2022年11月現在、コンビニ大手三社(ローソン・セブンイレブン・ファミリーマート)での取り扱いは確認できません。
またTwitterなどでも「コンビニで子猫ミルクを入手できた」といった趣旨のツイートが見当たりませんでした。
ただし代用品となる低乳糖・無乳糖牛乳や豆乳、あるいは砂糖なら調達できます。
子猫にミルクおよび代用品を与える場合、正しい方法と手順で健康と安全を確保する必要があります。以下のステップで安全に栄養補給させましょう。
まずはこのステップどおりにミルクを与えましょう。最後にミルクの分量と回数についても解説します。
※以下、子猫用ミルク、代用品、砂糖水を便宜上”ミルク”と原則統一して呼称します。
子猫にミルクを与える前にトイレを済ませましょう。これで、お腹がすっきりしてミルクをたくさん飲めるようになります。
ただし子猫の年齢によっては自力で排泄できないケースがあり、その場合排泄介助が必要です。
海浜動物医療センターによれば、濡れティッシュなどで、お尻の部分を「トントン」と軽くたたくのがよいとされています。これで筋肉を刺激し、排泄を促すことが可能です。
続いて子猫が安全に飲めるミルクを作りましょう。ステップは以下のとおり。
シリンジと哺乳瓶は必ず洗いましょう。これは免疫力の低い子猫を細菌による感染症から守るうえで大切です。
温度も適切に調整しましょう。日本ペットフードは、子猫に与えるミルクは40度前後、人肌よりやや温かい程度が適切としています。
とはいえ40度を正確に測るのは困難。手の甲に落として、極端に熱くないか確認するだけでも問題ありません。
なお、以下の動画もミルクを作る際の参考になります。
子猫を急きょ保護した場合、哺乳瓶やシリンジが手元にないかもしれません。これは綿棒や脱脂綿で代用できます。
ミルクを適量染み込ませて、猫の口元に運びましょう。欲しがるそぶりを見せないなら、口の左右から綿棒や脱脂綿を差し込んで歯茎あたりに塗り込みます。
続いて正しい姿勢でミルクを与えましょう。これにはふたつのパターンがあります。
ひとつ目は以下の動画。4本立ちの状態で頭を”ホールド”しながら与えます。
ふたつ目は子猫の体をつかんで、”宙ぶらりん”の状態で飲ませる方法です。
この方法で、子猫に負担をかけず安全にミルクを与えられます。
なお以下の仕草が見られたら「それ以上欲しくない」の合図です。
十分に飲ませたら口周りを拭き取りましょう。
代用品を使っているなら、翌日には子猫用ミルクとシリンダー・哺乳瓶を調達しましょう。
あくまでも一時的に代用できるだけで、長く飲ませ続けると栄養バランスに偏りが出ます。
例えばずっと豆乳を飲ませていると、カリウムの過剰摂取による高カリウム血症などの発症へつながるかもしれません。最も栄養バランスがよく、また余計な成分が入っていない子猫用ミルクが必要です。
子猫を保護したり、引き取ったりしたなら、しばらくはミルクを与え続ける必要があります。以下の表を参照に、日齢に合った回数と分量を保ちましょう。
ただし上記はあくまでも目安です。子猫の体調や様子を観察して、回数と分量を適宜調整しましょう。
また、分量以上に与えているのにもかかわらず、より多くのミルクを求めるケースもあります。
ただし過剰な摂取は、下痢や腹痛、臓器不全の原因。健康を保つために、欲しがっても必要以上には与えないように注意しましょう。
逆に、本来は飲むべきタイミングでミルクを飲まないこともあります。この場合は、以下の工夫が有効です。
飲まないときは、何かを少し変えるだけで見違えるように飲むようになるケースもあります。そのうち、子猫がミルクをよく飲む条件がわかってくるはずなので、根気よく探ってみましょう。
ここまででミルクの代用品とその与え方を解説しました。しかし、子猫を育てるうえではそれ以上に気をつけたいポイントが3つあります。
まず子猫の健康・命を守るため、適切に保温しなければいけません。そしてトイレの介助も必要です。
また状況を見て動物病院へ連れて行き、必要な検査を受ける必要もあります。猫を保護、もしくは引き取った方はご参考にしてください。
まだ動物病院で検査を受けていないなら、ただちに連れて行きましょう。
特に野良の子猫を保護した場合は、なんらかの疾患や怪我を抱えている可能性が高いもの。重大な症状を見逃したままだと命に関わるため、必ず獣医師による検査を受けましょう。
動物病院はGoogle検索で「地域名+動物病院」などと検索すれば見つけられます。
関連記事:野良の子猫を拾ったら…?自分で飼えない場合は里親を探そう
子猫のうちは、とにかく適切に保温するようにしましょう。成猫になるまでは体温調節が苦手で、体を冷やしがち。これを怠ると命に関わるケースも。
保温するためには、寝床を作るのが重要です。猫用のキャリーケースを用意し、中に毛布などを敷き詰めます。
さらに湯たんぽや使い捨てカイロを毛布で包み、隅に置いておきましょう。これで子猫の体温を冷やさず、適切に保温できるようになります。
キャリーケースがなければ、一時的にダンボールで代用可能です。湯たんぽや使い捨てカイロは、お湯の入ったペットボトルなどで代用できます。
とにかくなんらかの形で寝床を作り、最低限の保温ができるようにしましょう。
また、しばらくの間トイレの介助も必要です。
日齢1ヶ月くらいまでは筋肉が発達しておらず、自力で排泄できません。そのままトイレができなければ体調を崩すため、排泄介助が必要です。
具体的には、濡れティッシュでお尻の周りを「トントン」と叩きましょう。この方法で筋肉を刺激し、排泄を促せます。
(引用:うんむぎはちむーの保護猫シェルター)
上記は保護猫シェルターのスタッフが排泄介助を実施する様子。手際よく、子猫に負担をかけず排泄を促しています。やり方がわからないときは参考にしましょう。
本記事を読んでいる一部の方は上記の状態にあるでしょう。
この場合、まず子猫を野生に返してはいけません。生まれた子猫はもちろん、一時的にでも保護したにも関わらず放したなら、動物愛護法の定める遺棄、つまり違法行為に該当するからです。
自身で飼育できない場合は引き取り手を見つけなければいけません。その場合、大きく分けて3つの選択肢があります。
最も安心できるのは、動物愛護団体に保護を依頼する方法。この団体は猫を引き取って、生涯に渡り安全に飼育します。また状況に応じて代理で里親を探すケースも。
そのほか里親募集サイトを使ったり、SNSやチラシで引き取り手を探す方法もあります。この点は「野良の子猫を拾ったら…?自分で飼えない場合は里親を探そう」で詳しく解説しているのでご参考にしてください。
子猫が飼えないとき、保健所への持ち込みを考える人もいるでしょう。しかし保健所は、「飼育が困難だ」といった理由での引き取りを固く拒否しています。
また運よく引き取りが認められても、ほとんどの場合子猫が殺処分される仕組みになっています。
よほどの事情がない限り、保健所への持ち込みはおすすめできません。
なお保健所での引き取りに関して「保健所で猫を引き取りしてもらえる?やむを得ず殺処分する場合について」で詳しく解説しているので、ご参考にしてください。
本記事では子猫用ミルクの代用品とその与え方を解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
子猫用ミルクがなくても慌てる必要はありません。コンビニか自宅にあるもので代用品を作れます。ドン・キホーテなら子猫用ミルクそのものを調達可能。
ただし、代用品はあくまでも一時しのぎであるため、次の日には正規の子猫用ミルクやシリンジ、哺乳瓶を入手しましょう。
なお「子猫を拾ったものの自宅では飼育できない」と判断したなら、一度NPO法人ねこホームまでご相談ください。
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