2022.10.31
一匹で寂しそうにしているのを見かけたら、やはり「助けたい」と思うもの。しかし野良の子猫を助けるなら、慎重に検討すべきことがいくつかあります。
また、保護したあとは寝床を作ったり動物病院へ連れて行ったりするなど、子猫の健康と命を守ってあげなければいけません。 そこで本記事では以下の点を解説します。
野良の子猫を見つけた、あるいは保護した人はぜひ参考にしてください。
もくじ
野良の子猫が鳴いているときの対処は3ステップあります。
まず、いきなり捕獲してはいけません。最初に「自分で飼えるか、引き取り先を探せるか」「保護してもよい子猫か」の2点を考えましょう。
それで問題がないとわかった時点で、初めて子猫を捕獲します。それぞれのステップを詳しく解説するので、参考にしてください。
野良の子猫を見つけたら、動物病院へ連れて行ったうえで自分で飼えるのか、あるいは里親を探せるのか検討しましょう。 子猫を一度拾ったあとで「やはり面倒を見れない」といって放したりはできません。
その行為が「動物を捨てた」と見なされ、動物愛護法違反に問われることも。 よって野良の子猫を拾う前に、自分で飼うか引き取り先を見つける責任を果たせるかを確認する必要があります。
これを判断するには、以下のチェックリストが参考になります。日本動物愛護協会や各市町村のガイドラインを総合したものです。
これらの条件を満たしているなら、猫を捕獲したあとの責任もきちんと果たせます。反対に、飼育あるいは里親への引き渡しの目処が立たないなら飼い主も子猫も不幸になります。自身でを助けるのはやめておきましょう。
野良の子猫を見かけて、「どこかに連絡すれば助けてくれるのでは?」と思った人もいるでしょう。 残念ながら市役所や警察、動物愛護団体などほとんどの団体は、野良の子猫の保護依頼を受け付けてはいません。
ごく一部のケースでは対応することもありますが、予算や人員、あるいは「自然現象のひとつだから」といった理由で、保護を実施するのは困難なのが現状。
つまり野良の子猫を見つけたら、自身もしくは誰かが捕獲して面倒を見るか、あるいはそっと見守るかのどちらかとなります。
続いて、本当に保護してもよい子猫か確認しましょう。 外にいるからといって、かならず手助けが必要な野良猫だとは限りません。以下のいずれかに該当しないかチェックしましょう。
いずれにも該当しない野良の子猫だけが、助けを必要としています。間違えて捕獲しないようにしましょう。
また捕獲するつもりがないのに触るのは、できれば控えましょう。子猫に人間の匂いがつくと、母猫がそれを嗅ぎ取って「異物」と判断し育児放棄するケースがあるからです。
よって捕獲する場合にのみ、触るようにしましょう。
野良猫を保護するにあたり法的な問題はありません。 しかし保護した猫を放すのは、いわゆる「捨てる」行為だと見なされます。
これは動物愛護法違反になるので、絶対にやってはいけません。
保護する必要がある野良の子猫だとわかったら、安全な方法で捕獲しましょう。チュールなどを手に持って目の前に出すと、たいていの場合近寄ってきます。
もしくは近くの地面にチュールなどを置いて、食べにきたところを捕まえるのも手です。
どうしても警戒して近づけないなら、捕獲器と呼ばれる装置を使用する方法もあります。以下の記事で入手方法や使い方を解説しているので、参考にしてみてください。
野良の子猫を保護したら、まずふたつやることがあります。
体を温めながら動物病院へ行き、健康状態をチェックしてもらう必要があります。
野良の子猫を保護したら、第一に体温を温めましょう。 猫は寒さに弱い生き物。特に子猫は体温調節機能が発達しておらず、捕獲した段階では体が冷え切り、命の危機に瀕していることも。
以下の方法で体温を確保しましょう。
この方法で、子猫の体温をほどよく確保できます。ただし加減を間違えると火傷する恐れがあるので注意しましょう。
なお猫用のキャリケースとは以下のようなもの。
これはペットショップやAmazonなどで、数千円程度で購入できます。あると動物病院へ連れていく際にも便利なので、できれば用意しましょう。
猫の体温を確保できたら、寝床ごと動物病院へ連れていきましょう。ここでは健康状態や日齢を確認します。
子猫が過ごした環境次第では、重大なケガや疾患が見つかる場合も。獣医の指示に従って、必要な治療を受けさせましょう。
なお初回の診察では必要ありませんが、最終的に飼育、譲渡どちらを選択するにしても以下の処置を受ける必要があります。
これは猫が望まない妊娠をしたり、病気にかかったりしないために必要な処置です。費用は30,000円から50,000円が相場。
各処置を受ける時期は、子猫の成長具合や健康状態によって変わります。これは獣医の判断と指示にしたがえば問題ありません。
しかし捕獲したタイミングが運悪く診察時間外であることも。 その場合は適切にケアしながら、診察開始まで待つ必要があります。
ここで大切なのは、まず生後何日か可能な限り正確に推測すること。
子猫の時期は日齢が少し違うだけで、ミルクの量や世話の仕方が変わります。以下の表を参考に、生まれて何日経っているのか確認しましょう。
どのような世話が必要かは、猫の日齢によって異なります。特に大切なのは授乳と排泄。以下の表を参考にケアしましょう。
授乳は子猫用のミルクを与えるのが理想です。なければ低乳糖、もしくは無乳糖の牛乳で代用できます。これはコンビニで購入可能。
あとは日齢・週齢に合ったペースで与えましょう。
排泄にもサポートが必要。1週齢までは子猫の筋肉が発達しておらず、自力でトイレができません。
この場合は、ティッシュペーパーやガーゼを湿らせ、お尻を「ポンポン」と優しく刺激しましょう。これで筋肉が刺激され、排泄できるようになります。
授乳や排泄以外の世話以外では、あまり接触しないのがおすすめ。
そして動物病院の診察時間が訪れたら寝床ごと連れていきましょう。診察が遅くなると、疾患やケガを抱えていた場合にそれが深刻化するケースもあります。よってなるべく早く連れていくのが大切です。
野良の子猫を拾ったら、自身で飼育、もしくは適切な引き取り先を見つける必要があります。
どちらの場合でも、まず最低限必要な手術と検査を受けなければいけません。その後は飼育するか引き取り先を探すかで対応が異なります。
それぞれに詳しく解説するので、ご参考にしてください。
自身で飼う、引き取りを依頼する、いずれの場合でも動物病院で以下の処置を受ける必要があります。
<合計:28,000円〜50,000円>
自身で飼育する場合は、猫の安全や健康を守るため、手術と検査が必要です。また里親に引き取りを依頼する場合もこれらの処置を受けているのが多くの場合条件となっています。
もし経済的に厳しいのであれば、クレジットカードで分割支払いする方法も。東京ドクターズでカードを利用できる動物病院を探してみましょう。
自分で飼う場合は、飼育に必要なグッズを揃えて環境を整えましょう。子猫から育てるなら以下が必要です。
これだけ揃っていればまず不便はありません。成長を見越して、キャットタワーなどを用意するのもよいでしょう。
ちなみにシリンジとは、以下のように注射器に似たタイプの哺乳瓶を指します。
(引用:楽天市場)
また、子猫の安全を確保するために以下のように環境を整えましょう。
まず、落下や転倒の危険性がある物はできるだけ片付けましょう。これを忘れると、家具が破損したり子猫がケガをする原因になるので注意が必要です。
また電気コードはできるだけ隠し、噛みついて感電しないようにしましょう。
その他転倒しやすい浴室や、自宅外へ出る経路は塞いで安全を確保するのが大切です。
里親に出す場合は、まず動物愛護団体を探しましょう。これは猫を生涯預かったり、代わりに里親を探したりする施設。
ここに子猫を預ければ、整った飼育環境で大切に育てられます。まずは近くの動物愛護団体で引き取ってもらえないか相談してみましょう。
Googleで「地域名+動物愛護団体」と検索すれば、近くの施設を見つけられるはず。
なお当法人「ねこホーム」も、動物愛護団体として子猫の引き取り相談をお受けしています。お困りの方はぜひ一度お問い合わせください。
なお里親募集サイトを使って引き取り手を探す方法もあります。以下の記事で利用方法を解説しているのでご参考にしてください。
親族や友人の中から、引き取ってくれる人を探すのもひとつの方法です。生活に余裕があったり、「猫を飼いたい」と考えていたりするかもしれません。
SNSを活用して探す人も SNSに里親を募る投稿を出すのもひとつ 。
🆘里親募集のお願いです。
千葉県柏市動物愛護ふれあいセンターに収容されているサクラ猫です。もう半年近く収容されています。新しいご家族に繋がるよう皆さまのご協力宜しくお願い致します。 pic.twitter.com/vZJnCqgFWR
— ただの猫ゃで (@siba4884) October 23, 2022
過去にあった同様の投稿は、ユーザーの手によって積極的にリツイートされています。彼らの力を借りて里親を探すのもよいでしょう。
引き取り手を探すとき、警察や保健所が思いつく人もいるでしょう。しかしこれらの場所に連れていくのはおすすめできません。
たしかに警察や保健所では、一時的に子猫を保護します。しかし一定期間を過ぎると殺処分されるのがルール。 野良の子猫を預かっているなら、これらの施設への持ち込みは避けましょう。
本記事では野良の子猫を見つけた場合について解説しました。最後に重要なポイントおさらいしておきましょう。
野良の子猫を拾った瞬間に、飼い主になるか引き取り先を見つける責任が生じます。拾う前にこれを果たせるか慎重に考えましょう。
拾った場合は、まず動物病院へ連れて行きます。
そのあとは飼育と引き取り先、それぞれでの準備です。本記事を参考に子猫を飼う環境を整える、もしくは引き取り手を探しましょう。
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