コラム

野良猫の子猫を見つけたらどうする?保護の手順と費用・相談先

猫ちゃんとの暮らしをもっと豊かにするための専門コラム

2026.04.30 子猫の育て方

「家の近くで子猫が一匹で鳴いている……」「親猫が見当たらない、このまま放っておけない」「保護したいけれど、何から始めればいいかわからない」

野良猫の子猫や、生まれて間もない赤ちゃん猫に出会ったとき、不安と善意で胸がいっぱいになる方は多いでしょう。しかし、いきなり捕獲するのではなく、親猫の有無や子猫の状態を冷静に確認することが、子猫の命を守ることにつながります。

その見きわめ方を整理したのは、東京都町田市で猫の保護と生涯預かりを行っているNPO法人ねこほーむです。本記事では、発見直後の判断から保護の手順、かかる費用、保護後のお世話、自分で飼えない場合の相談先まで、順を追って解説します。今まさに目の前に子猫がいる方も、もしものときに備えたい方も、ぜひ参考にしてください。

子猫の行き先に困っている方へ|NPO法人ねこほーむ

東京都町田市で、猫の保護と生涯預かりを行っています。ご相談は無料です。生涯のお預かりは原則として完全室内飼いの猫が対象のため、外で暮らしていた猫は性格などをうかがったうえでの個別の判断になります。

お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。

野良の子猫を見つけたらまずやるべき3つのこと

草むらにいる野良の子猫

子猫を見つけても、いきなり抱き上げるのは禁物です。まずは次の3つを順番に行ってください。

  1. 触らずに離れた場所から様子を見て、親猫が戻るか確認する
  2. 子猫の状態を見て、緊急に保護が必要かを判断する
  3. 保護するか、見守るかを決める

おおいた動物愛護センターは「自宅の敷地内で子猫を見つけても、できるだけ捕まえて移動させないでください」と呼びかけ、宇都宮市も「子猫を見つけてもさわらないで」というタイトルで同じ趣旨の注意を出しています(出典:おおいた動物愛護センター宇都宮市)。順に見ていきましょう。

すぐに触らず親猫が戻るか様子をみる

子猫を見つけたら、まずは触らずに距離を取って観察してください。母猫が餌を探しに出ている間、一時的に子猫だけが残されているケースも多いためです。

公益財団法人日本動物愛護協会は、母猫が仔猫を連れて引っ越しをする習性があることを説明しています(出典:公益財団法人日本動物愛護協会)。子猫だけがそこにいるからといって、置き去りにされたとは限らないということです。

観察の目安として示されている期間は、情報源によって幅があります。

情報源 示されている観察期間
おおいた動物愛護センター 1〜3日は観察を
宇都宮市 1〜2日は、そっと見守る・観察する

つまり、数時間で判断せず、少なくとも1日は様子を見るのが公的機関の考え方です。ただし後述する衰弱のサインがある場合や、真夏・真冬、交通量の多い場所では、待たずに保護へ切り替える判断が必要になります。

観察するときは、子猫から十分に離れた場所から静かに行ってください。人が近くにいると母猫が近づけません。

母猫が近くにいるかを見分けるサイン

母猫の姿が見えなくても、世話を受けている子猫にはいくつかの特徴が出ます。次の点を、離れた場所から確認してみてください。

  • お腹がふくらんでいる:直前に授乳を受けている可能性があります
  • 体が温かそうで、毛が汚れていない:母猫が舐めて世話をしている状態です
  • 複数匹がかたまって静かに眠っている:母猫が戻る場所として選んだ寝床かもしれません
  • 鳴き方が弱々しくない:空腹や衰弱ではなく、母猫を呼んでいる可能性があります

宇都宮市は「警戒心の強い母猫は人前に姿を見せないこともあります」と注意を促しています。姿が見えない=いない、ではありません。

なお、これらはあくまで目安です。判断に迷ったときは、お住まいの自治体の動物愛護担当窓口や、地域の動物愛護団体に電話で状況を伝えて相談してください。

子猫の状態と緊急度を確認する

観察しても母猫が戻らない、あるいは子猫が弱っている様子があるなら、緊急保護に切り替える判断が必要です。

子猫のおおよその月齢は、見た目から推測できます。ただし以下は目安であり、正確な月齢は獣医師の診察で確認してください。個体差が大きく、栄養状態によっても見え方が変わります。

見た目の特徴 推定される月齢 この時期に必要なこと
目が閉じている、自力で動けない 生後0〜2週ごろ 保温と授乳、排泄のサポートが数時間おきに必要
目が開き、よちよち歩く 生後3〜4週ごろ 授乳の間隔が延び、離乳食への移行が始まる
走り回り、歯が生えている 生後5週以上 子猫用の固形フードを食べ始める

衰弱の主なサインは次のとおりです。

  • 呼吸が浅く、苦しそうに見える
  • 体が冷たい、ぐったりして反応が薄い
  • 目やにや鼻水がひどく、目が開かない
  • 鳴く力もなく、ほとんど動かない

これらが1つでも見られる場合は、母猫の確認を待たず、すぐに保護して動物病院へ連れて行く判断が命を救います。

保護するか見守るかを判断する

ここまでの観察をもとに、次の表で判断してください。

親猫の状況 子猫の状態 とるべき行動
戻ってくる 元気 見守る。保護は不要
戻らない 元気 季節と場所を見て判断する(下記)
戻らない 衰弱している すぐに保護する
確認できない 衰弱している すぐに保護する

親猫が戻らず、衰弱もない中間のケースでは、季節と周辺環境を加味します。猛暑や寒波の日、交通量の多い道路のそば、側溝や駐車場など逃げ場のない場所では、生存のリスクが高まるため早めに保護したほうが安全です。

「保護してよかったのか」と後から不安になる方もいます。命の危険を前にして動いたこと自体に意味があります。

野良猫の子猫が一匹だけでいる・鳴き続けているときの見方

「一匹だけで鳴いている」「ずっと鳴きやまない」という状況は、判断がとくに難しい場面です。ここでは、その背景と待ち方を整理します。

一匹だけでいる理由と、どのくらい待つか

子猫が一匹だけでいる背景には、いくつかの可能性があります。

  • 母猫が引っ越しの途中:一匹ずつくわえて運ぶため、順番待ちで残されている
  • きょうだいとはぐれた:移動中に離れてしまった
  • 母猫が餌を探しに出ている:数時間戻らないこともある
  • 育児放棄:数は多くないものの、起こりうる

いずれの場合も、前章の観察期間の考え方が基本になります。鳴き声が弱々しい、体が冷たい、ほとんど動かないといった衰弱のサインが出ていれば、待たずに保護してください。逆に、しっかりした声で鳴き、体温がありそうなら、母猫を呼んでいる可能性があります。

待つ間は、その場に人が留まらないことが大切です。近くのお宅や車の中など、子猫から離れた場所から見守ってください。

親子で見つけたとき・敷地内で産まれたときの考え方

母猫と子猫を一緒に見つけた場合と、自宅の敷地内で産まれてしまった場合は、対応の順序が変わります。

まず、母猫がいるなら子猫だけを連れ去らないでください。授乳期の子猫にとって、母猫のミルクと世話に勝るものはありません。人の手で育てるより生存率も上がります。

自宅の敷地内で産まれた場合は、次の順に進めます。

  1. まず観察する:母猫が世話をしているなら、離乳するまで見守るのが猫にとっては最善です
  2. 自治体や動物愛護団体に相談する:地域によって対応や制度が異なるため、早めに窓口に状況を伝えます
  3. 不妊去勢手術(TNR)を検討する:次の出産を防がないかぎり、同じことが翌シーズンにも起きます

宇都宮市は「あなたは子猫をどうしたいですか?」という問いを立て、「関わりたくない・そこにいてもらっては困る」「保護したい・新しい飼い主を探したい」「飼えないけれど餌だけでもあげたい」の3つに分けて対応を示しています。まずご自身がどうしたいのかを決めることが、相談窓口に伝える第一歩になります。

親猫が子猫を連れてくるのはなぜ?

野良の親猫が人家の近くに子猫を連れてくる行動には、いくつかの理由があります。

  • 安全な場所と認識している:以前に餌をもらったり、危害を加えられなかった経験がある
  • 巣の引っ越しの途中:天敵に巣を見つけられたなど、より安全な場所を探している
  • 子離れのサイン:子猫が自立できる月齢に近づき、新しいテリトリーを覚えさせている

連れてきた子猫がそのまま残されたなら、親猫は別の場所へ移動した可能性があります。観察しても戻らないなら、保護を検討するタイミングです。

子猫を保護する前に決めておくこと

タオルにくるまれた子猫

保護すると決めたら、その先をどうしたいのかを先に決めておいてください。選択肢は大きく4つあります。

この先どうしたいか この記事で読むところ
自分で飼いたい 下の「自分で飼えるかをチェックリストで確認する」から、保護の手順・費用・お世話へ
里親を探したい 「自分で飼えないときに子猫を救う3つの方法」へ
預け先を探したい 同じく「自分で飼えないときに子猫を救う3つの方法」へ
見守るだけにしたい 前章の「保護するか見守るかを判断する」へ戻る

決めきれないまま保護すると、子猫にとっても自分にとっても苦しくなります。ここで一度、立ち止まって考えてみてください。

自分で飼えるかをチェックリストで確認する

野良の子猫を拾って自分で飼う場合、10年を超える責任が生じます。次の項目を冷静に確認してみましょう。

確認すること 「いいえ」の場合に考えること
ペットを飼ってもよい住まいに住んでいる 飼育は難しい。里親か預け先を探す
同居家族の同意を得られる 先に話し合う。アレルギーの有無も確認する
家族に猫アレルギーの懸念がない 医療機関で確認してから判断する
猫が寿命を迎えるまで飼育できる 10年以上先の生活を見通せるかを考える
毎日の世話に時間を割ける とくに授乳期は数時間おきの世話が必要
老猫になったとき介護する覚悟がある 通院や介護が必要になる時期がある
転居しても継続して飼育できる 転勤や進学の予定があるなら要検討
経済的な負担を受け入れられる 次章の費用の目安を確認する
飼えなくなった場合の引き取り先を考えられる 先に相談先を調べておく

「いいえ」が多くても、子猫を救う道が閉ざされるわけではありません。無理に自分で抱え込むより、引き取り先を一緒に検討するほうが、結果として子猫のためになります。

自分で飼えない場合の引き取り先を考える

自分で飼えなくても、子猫を救う選択肢はあります。主な引き取り先は次のとおりです。

  • 動物愛護団体・保護施設:保護や里親探しに対応するNPO法人や民間団体
  • 里親探し:知り合い、SNS、里親募集サイトを通じて新しい飼い主を見つける
  • 自治体の窓口:地域によっては譲渡会で里親を探す取り組みがある

「市役所や保健所に連絡すれば引き取ってもらえるのでは」と考える方もいます。しかし、所有者の判明しない猫の引取りについては、法律上、自治体が断ることができると定められています。動物の愛護及び管理に関する法律第35条第3項は、拾得者などから引取りを求められた場合について、同条第1項ただし書を「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合その他の」と読み替えて準用するとしています(出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」第35条)。実際、宇都宮市も「保健所では保護した野良猫の引取りは行いません」と明記しています。

対応は自治体によって異なるため、まずはお住まいの自治体に確認するのが確実です。詳しい引き取り先の選び方は、後半の「自分で飼えないときに子猫を救う3つの方法」で解説します。

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保護してから行き先を探すと、預ける側の条件と合わないことがあります。保護する前に確かめておくと、そのあとが動きやすくなります。

ねこほーむに条件を聞いてみる

保護に法的な問題はないか知っておく

野良の子猫を保護する行為自体に、法的な問題はありません。ただし、保護したあとに屋外へ放すのは「遺棄」にあたります。

動物の愛護及び管理に関する法律第44条第3項は、愛護動物を遺棄した者を一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金に処すると定めています。同条第4項で、猫はこの「愛護動物」に含まれます(出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」第44条)。

「やっぱり飼えない」と感じたときは、元の場所に戻すのではなく、引き取り先を探す形で対応してください。

子猫の保護にかかる費用の目安

保護を決める前に知っておきたいのが費用です。子猫の保護には、最初にまとまった医療費がかかり、そのあとも毎年の飼育費が続きます。

なお、動物病院の診療料金は自由診療で、全国一律の料金表はありません。ここで示すのは処置の内容と、統計から見た実際の負担額の目安です。具体的な金額は、かかりつけの動物病院に事前に確認してください。

保護した直後にかかる医療費の内訳

保護してから当面の間に必要になる処置は、おおむね次のとおりです。

処置 目的 時期の目安
初診・全身の健康チェック 脱水、低体温、外傷、寄生虫の有無を確認する 保護後できるだけ早く
ノミ・ダニの駆除 貧血や皮膚のトラブルを防ぐ 初診時
寄生虫の駆虫 下痢や栄養不良の原因を取り除く 初診時〜数週間
猫ウイルス検査(FIV/FeLV) 猫エイズ・猫白血病の感染を調べる 生後2〜3か月以降が目安
血液検査 栄養状態と内臓の働きを確認する 獣医師の判断による
混合ワクチン接種 複数の感染症を予防する 生後2か月ごろから複数回
避妊・去勢手術 望まない繁殖と関連する病気を防ぐ 生後6か月ごろが一般的な目安

実際の負担額の参考として、アニコム損害保険が保険契約者の請求データを集計した調査では、0歳の猫の年間診療費は平均52,460円、中央値19,756円でした(出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」2-3-5 猫の年齢別の年間診療費・2023年度・対象269,938頭・通院と入院と手術を含む)。

平均と中央値に2倍以上の差があるのは、一部の高額な治療が平均を押し上げているためです。多くのケースは2万円前後で収まる一方、体調によってはそれを大きく超えることがある、と読んでください。なおこの集計はペット保険の契約猫が対象で、避妊去勢手術などの予防的な処置は診療費に含まれていません。

飼い続ける場合に毎年かかる費用

保護した子猫をそのまま迎える場合、費用は毎年続きます。同じアニコム損害保険の調査(2024年1月1日〜12月31日の支出をインターネットアンケートで集計・回答数1,966頭)では、猫1頭にかけた1年間の費用は合計178,418円でした。

主な費目 1年間の金額
フード・おやつ 61,283円
ケガや病気の治療費 32,458円
ペット保険料 29,791円
光熱費(飼育に伴う追加分) 15,635円
ワクチン・健康診断等の予防費 13,977円
日用品 11,079円
合計(上記以外を含む) 178,418円

(出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」1-33 1年間にかけた費用

回答者はペット保険の契約者で、合計にはペット保険料29,791円が含まれます。同じ白書によれば猫の平均寿命は2023年度で14.5歳ですから、保護した子猫を迎えるということは、この水準の支出が10年以上続くということでもあります。

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費用の負担を抑える方法

費用が心配で保護をためらう方もいるでしょう。次の方法で負担を抑えられる場合があります。

  • 自治体の助成制度を使う:避妊去勢手術の費用の一部を助成している自治体があります。「お住まいの市区町村名+猫+不妊去勢+助成」で検索するか、動物愛護担当窓口に問い合わせてください
  • 動物病院に支払い方法を相談する:クレジットカードの分割払いに対応している病院があります
  • 動物愛護団体の医療サポートを利用する:地域の団体が保護活動者向けの支援制度を持っている場合があります
  • 先に相談してから保護する:緊急でなければ、保護する前に団体に相談することで、費用と役割の分担ができることがあります

子猫を保護するときの正しい手順

キャリーケースに入った子猫

保護すると決めたら、次の3ステップで進めます。

  1. 安全に捕獲する
  2. 体を温めて落ち着かせる
  3. 動物病院へ連れて行く

安全に捕獲する

警戒心が薄い子猫であれば、おやつを差し出すと近づいてくることがあります。地面に置いて食べに来たところを、タオルで包むようにすくい上げてください。

警戒心が強く近づけない場合は、次の道具が役立ちます。

  • 洗濯ネット:捕獲後に入れると暴れにくく、移動中の安全確保にも役立つ
  • タオル:引っかかれないよう、包むようにすくい上げる
  • 捕獲器:動物愛護団体や自治体が貸し出している場合がある

すぐに捕まえられなくても、焦る必要はありません。決まった時間に餌を置き続けると、警戒心が少しずつほぐれていきます。捕まえ方の詳しい手順は、以下の記事にまとめています。

あわせて読みたい野良猫を捕まえる簡単な方法と引き取り時にやるべきこと一覧「野良猫が捕まえられない」 「どうすれば、捕まえられるのか」 「捕まえたあとはどうすればよいのか?」 このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか…

体を温めて落ち着かせる

子猫は体温調節の機能が未発達で、保護した時点で体が冷え切っていることがあります。捕獲後は、動物病院へ行く前にまず体を温めてください。

環境省の「猫の適正譲渡ガイドブック」も、「子猫にとって体温の低下は、命の危険にもつながります」として保温の重要性を明記し、ヒーターを使う場合はタオルなどをかけて使用するよう示しています(出典:環境省「猫の適正譲渡ガイドブック」収容期間中の管理ケア)。

  • 猫用キャリーケースか段ボールを用意する
  • 毛布やタオルを敷き詰めて寝床を作る
  • 湯たんぽや使い捨てカイロをタオルで包んで寝床に置く

カイロや湯たんぽが直接子猫に触れると低温やけどの恐れがあるため、必ずタオルで包んでから配置してください。子猫が自分で熱源から離れられるよう、寝床の一部だけを温めるのがコツです。

すぐに動物病院へ連れて行く

体温が確保できたら、寝床ごと動物病院へ向かいます。獣医師が健康状態と日齢を確認し、必要な処置や今後のケア方針をアドバイスします。

野良の子猫は、ノミやダニ、ウイルス感染、栄養失調、隠れたケガを抱えていることがあります。早めの受診で気づければ、適切な対応につなげられるでしょう。飼育と引き取りのどちらを選ぶ場合も、受診は最初にやることです。

診察時間外は日齢に合ったお世話をする

夜間や休日に保護した場合は、診察が始まるまでの間、家庭でケアする必要があります。まずは日齢を可能な範囲で推測しましょう。

NPO法人犬と猫のためのライフボートは、保護した子猫の授乳について次の目安を公開しています(出典:NPO法人犬と猫のためのライフボート「必要な授乳回数とミルクの量」・2016年公開)。

生後日齢 1日の授乳回数 1回あたりの量
生後1〜7日目 6〜8回 5〜10ccずつ
生後8〜14日目 4〜8回 5〜15ccずつ
生後15〜21日目 4〜6回 5cc〜欲しがるだけ
生後22日〜1か月 徐々に減らす 離乳食を与えてから飲ませる

同団体は、授乳は2〜3時間間隔が基本であること、生後14日ごろまでは8時間以上ミルクを飲まずにいると低血糖の心配があること、必ずうつぶせの姿勢で飲ませること(仰向けにしない)も示しています。ただし体格や体調による個体差が大きいため、量と間隔は必ず獣医師に確認してください。

排泄は、生後1週齢ごろまでは自力でできません。湿らせたティッシュやガーゼでお尻を優しく刺激して促します。授乳と排泄以外の時間は、できるだけ静かに休ませてください。

子猫用ミルクが手元にないときの対応と、育て方の詳細は以下の記事にまとめています。

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保護したあとに必要なお世話

ミルクを飲む子猫

初診を受けたあとも、成長段階に合わせたケアが続きます。一時保護でも飼育でも共通する内容から見ていきましょう。

一時保護に必要なグッズを揃える

保護期間が短くても、最低限のものは揃えておくと安心です。

  • 寝床:キャリーケースか段ボールに毛布を敷く
  • 保温用品:湯たんぽ、使い捨てカイロ、ペット用ヒーター
  • 子猫用ミルクと哺乳瓶:注射器型のシリンジでも代用できる
  • トイレ用品:猫砂、ペットシーツ
  • 隠れ場所:段ボールなどで身を隠せる場所を作る
  • 爪とぎ:段ボールで手作りしてもよい

環境省のガイドブックは、猫が本来臆病な動物であり、不安を感じたときに身を隠す場所があると精神的にも落ち着きやすくなると説明しています。同じ母猫から生まれたきょうだいを複数保護した場合は、一緒にしておくほうが安定するとも示されています。

自分で飼う場合は、これに加えて月齢に合ったキャットフード、食器、爪とぎ、おもちゃ、ケージなどを揃えます。家の中の安全対策も忘れずに進めてください。落下しやすい物を片付け、電気コードは隠すかカバーで保護し、浴室や玄関の脱走経路を塞いでおくと安心です。

月齢別にミルクや食事を与える

月齢が進むにつれて、食事の内容と回数は変わっていきます。

月齢 食事の内容 1日の回数
〜4週齢 子猫用ミルク中心 3〜4時間ごと(夜間も含む)
4〜8週齢 ミルクから離乳食へ移行 4〜5回
8週齢以降 子猫用キャットフード 3〜4回

ミルクから離乳食への切り替え期は、ふやかしたフードを少量ずつ加え、ゆっくり慣らしていきます。急な切り替えは下痢の原因になるため、1〜2週間かけて段階的に進めてください。

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健康診断とウイルス検査を受ける

野良出身の子猫は、感染症や寄生虫のリスクが家庭出身の子猫より高くなります。何をいつ受けるかは獣医師が体調と月齢を見て判断しますが、代表的なものは次のとおりです。

  • 血液検査:栄養状態、内臓の働き、感染の有無を確認する
  • 猫ウイルス検査(FIV/FeLV):猫エイズ・猫白血病ウイルスの感染を調べる
  • 混合ワクチン接種:複数の感染症を予防する

検査を受ける時期は月齢や体調によって変わります。いつ何を受けるかは、獣医師と相談しながら決めてください。

先住猫がいる場合に必要な感染対策

すでに猫を飼っている家庭で野良の子猫を保護する場合、先住猫への配慮が欠かせません。検査の結果が出るまでは、同じ空間で過ごさせないでください。

  • 部屋を分ける:子猫は独立した部屋かケージで過ごさせる
  • 食器・トイレ・タオルを分ける:使い回さない
  • 世話の順番を決める:先住猫を先に世話し、子猫は最後にする
  • 手洗いと着替えを徹底する:子猫に触れたあとは手を洗う

隔離をいつまで続けるか、どの段階で対面させるかは、検査の結果と子猫の体調によって変わります。自己判断せず、動物病院の指示に従ってください。猫の所有者は、動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、予防のために必要な注意を払うよう努めなければならないと定められています(動物の愛護及び管理に関する法律第7条第2項)。

避妊・去勢手術を検討する

避妊・去勢手術は、生後6か月ごろが一般的な目安です。早すぎると体への負担が重く、遅すぎると発情期の行動が定着してしまうため、獣医師と相談しながらタイミングを決めます。

手術のメリットは次のとおりです。

  • 望まない妊娠を防ぐ
  • 発情期の鳴き声やマーキングを抑える
  • 性ホルモンに関わる病気のリスクを下げる
  • 多頭飼いがしやすくなる

なお、猫の所有者は、みだりに繁殖して適正な飼養を受ける機会を与えることが困難になるおそれがあると認める場合、繁殖を防止するため生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならないと定められています(動物の愛護及び管理に関する法律第37条第1項)。里親に出す場合も、手術済みであることを条件にしている団体が多いため、譲渡を考えている方も検討しておきたい処置です。

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自分で飼えないときに子猫を救う3つの方法

「責任を持って飼える自信がない」と感じても、子猫を救う方法はあります。方法は大きく3つです。

方法 対応してもらえること 向いている状況 注意すること
動物愛護団体・保護施設に相談する 保護、医療、里親探し。団体によって対応範囲が異なる 何から始めるか分からない段階 どの団体にも定員がある。複数に打診する
知り合いやSNSで里親を探す 新しい家族に迎えてもらう 健康で人に慣れている子猫 相手の飼育環境を確認する。条件を決めておく
自治体の窓口に相談する 地域の制度や譲渡会の情報 地域のルールを知りたい場合 引取りには法令上の条件があり、断られる場合がある

動物愛護団体や保護施設に相談する

動物愛護団体は、保護した猫の医療や里親探しを行うNPO法人や民間団体です。地域によって対応範囲は異なりますが、多くは相談から受け付けています。

団体を探すときは「地域名+動物愛護団体」または「地域名+保護猫」で検索すると見つかります。問い合わせの際は、子猫の状態(推定月齢、健康状態、保護した場所、頭数)を整理して伝えるとスムーズです。

行き先が見つからないときのご相談先として

NPO法人ねこほーむは、飼育放棄された動物の保護と、里親・引取り先の募集を行うNPO法人です。法人化以前から猫の引き取りと野良猫の不妊去勢手術(TNR活動)に取り組んできました。

飼えなくなった猫を生涯にわたってお預かりするサービスもありますが、こちらは原則として完全室内飼いの猫ちゃんを対象としています。外で暮らしていた猫ちゃんについては、性格などをうかがったうえでの個別の判断となりますので、まずはご相談ください(お預かりについて)。

知り合いやSNSで里親を探す

身近な人やSNSを通じて、新しい飼い主を探す方法もあります。

  • 親族・友人に声をかける:猫を迎えたいと考えている人がいれば、相性を見ながら紹介する
  • SNSで里親を募集する:写真と情報(推定月齢、性格、健康状態)を添えて投稿する
  • 里親募集サイトを使うジモティーペットのおうちでは、地域や条件で絞って里親候補を探せる

譲渡を決める前に、次の点を決めて相手と共有しておくとトラブルを防げます。

  • 完全室内飼いにしてもらうか
  • 避妊去勢手術をどちらが行うか
  • 医療費の負担をどうするか
  • 飼えなくなったときに連絡をもらえるか

引き渡したあとも、最初の数週間は様子を聞いておくと、新しい暮らしに馴染めているかが分かって安心です。

保護団体に断られたときに次にやること

相談した団体から「受け入れできない」と言われることがあります。これは冷たい対応ではなく、どの団体にも収容できる頭数の上限があるためです。断られたら、次の順で進めてみてください。

  1. 複数の団体に同時に打診する:1団体ずつ待つと時間がかかります。隣接する市区町村まで範囲を広げましょう
  2. 一時預かりのボランティアを探す:里親が決まるまで預かってくれる個人が地域にいることがあります
  3. 自治体の譲渡会の情報を集める:定期的に開催している自治体があります
  4. 自分で一時的に世話をしながら里親を探す:現実的にはこの形になることが多く、その場合は前章のお世話が必要になります

4つ目を選ぶ場合、子猫が人に慣れるまでの進め方は以下の記事が参考になります。

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飼えなくなった猫の相談先を広く知っておきたい方は、こちらもご覧ください。

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野良の子猫の保護に関するよくある質問

野良の子猫を触ってはいけないのはなぜですか?

人が近くにいると母猫が戻れなくなるためです。おおいた動物愛護センターは、子育て中の猫が安全な場所を求めて何度も引っ越しをする習性があるとして、敷地内で子猫を見つけても捕まえて移動させないよう呼びかけています。宇都宮市も同じ趣旨で「さわらないで」と注意しています。

ただし、体が冷たい、ぐったりしている、交通量の多い場所にいるといった場合は例外です。その場合はすぐに保護してください。

野良の子猫の生存率はどのくらいですか?

屋外は気温、感染症、事故など、子猫にとって過酷な環境です。具体的な数値と背景は別の記事で詳しく解説しているので、保護を判断する材料として参考にしてください。

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子猫を捕獲できないときはどうすればよいですか?

無理に追いかけず、時間をかけて警戒を解く方法に切り替えましょう。決まった時間と場所に餌を置き、安心して食べに来られる環境を作ります。距離を保ちながら毎日同じ姿で観察を続け、慣れてきたら捕獲器を設置します。

それでも捕獲できない場合は、地域の動物愛護団体に相談すると、捕獲器の貸し出しやアドバイスが受けられることがあります。

近づくと逃げてしまう子猫はどうすればよいですか?

逃げるのは道具の問題ではなく、人に慣れていないことが理由です。前の質問の「捕まえられない」とは対処が変わります。追いかけると警戒が強まるだけなので、まず距離を取り、餌を置く時間と場所を毎日固定してください。

数日から数週間かけて、人が近づいても逃げない距離を少しずつ縮めていきます。急ぐと振り出しに戻るため、焦らないことが結果的に近道です。

警戒心の強い子猫を人に慣れさせるには?

野良出身の子猫は、家庭環境に慣れるまで段階的なステップが必要です。数週間から数か月かけて進めます。

  1. 隔離期間(数日〜1週間):静かな部屋で1匹だけにし、新しい環境に慣れさせる
  2. 距離を保った観察(1〜2週間):同じ部屋で過ごしつつ、無理に触らず様子を見守る
  3. 餌付け(2週間〜1か月):手から餌を与えるなど、人を「良いもの」と関連づける
  4. スキンシップ(1か月以降):子猫から近づいてきたら、少しずつ撫でる時間を増やす

野良出身の子猫は警戒心が強いのが普通で、慣れるペースには個体差があります。焦らず信頼関係を育てていきましょう。

保健所や市役所に相談できますか?

相談は可能ですが、引取りには条件があります。動物の愛護及び管理に関する法律第35条第3項により、所有者の判明しない猫の引取りを拾得者などから求められた場合、自治体は「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合」などには引取りを断ることができます(出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」第35条同法施行規則第21条の3)。

実際に宇都宮市は「保健所では保護した野良猫の引取りは行いません」と明記しています。ただし対応は自治体によって異なり、譲渡会の情報提供や助言をしてくれるところもあります。まずはお住まいの自治体の動物愛護担当窓口に、状況を伝えて確認してみてください。

まとめ

本記事では、野良猫の子猫を見つけたときの判断から保護の手順、費用、保護後のお世話、自分で飼えない場合の相談先までを解説しました。押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 触る前に、離れた場所から親猫が戻るか観察する(公的機関の目安は1〜2日、または1〜3日)
  • 体が冷たい、ぐったりしているなどの衰弱サインがあれば、待たずに保護する
  • 保護したら体を温めてから動物病院へ。体温の低下は命に関わる(環境省)
  • 保護後の医療費は動物病院により異なる。0歳の年間診療費は平均52,460円・中央値19,756円という統計がある(アニコム損害保険・2023年度)
  • 飼い続ける場合、年間178,418円という調査結果がある(同・2024年調査)。これが10年以上続く
  • 保護した猫を屋外へ放すのは遺棄にあたり、法律で罰則が定められている(同法第44条第3項)

そのうえで、この先どうしたいかによって次にやることが変わります。

  • 自分で飼う:チェックリストで条件を確認し、動物病院で検査の計画を立てる
  • 里親を探す:健康状態を整えてから、条件を決めて募集する
  • 預け先を探す:複数の動物愛護団体に同時に相談する
  • 見守る:母猫がいるなら手を出さず、次の出産を防ぐ相談を自治体にする

子猫を見つけた瞬間、誰もが「助けたい」という気持ちでいっぱいになります。その気持ちを大切にしながら、子猫にとっての最善を一緒に考えていきましょう。行き先に困ったときは、NPO法人ねこほーむにもお気軽にご相談ください。

行き先が決まらないときの相談先として

NPO法人ねこほーむは、東京都町田市で猫の保護と生涯預かりを行っています。ご相談は無料です。外で暮らしていた猫については、性格や健康状態をうかがったうえで個別にご案内します。

お預かりの条件と流れはお預かりについてをご覧ください。

ねこほーむ編集部より

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続く場合や判断に迷うときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。