2026.03.31

「猫の虐待ってなに? どこまでがしつけ?」
「猫の虐待を見かけたらどうすればよい?」
「もしかしたらこれは虐待?」
このような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?
近年では猫を含む動物虐待が問題視され、実際に検挙される事例も増えています。
また、「猫の虐待を見かけたのだが、どうしたらよいか」という問い合わせも、私たちの元にときおり寄せられるようになりました。
本記事では、猫における虐待の定義から、虐待を見つけたときの正しい対処法、そして自分が虐待してしまう場合の相談先まで詳しく解説します。
猫を守るために何ができるか、一緒に確認していきましょう。
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猫への虐待は、大きく4つの種類に分けられます。
「暴力をふるうことだけが虐待」と思っている方も多いですが、実際にはもっと広い行為が法律上の虐待にあたります。それぞれの内容を確認しておきましょう。
身体的虐待とは、猫に対して直接、身体的な危害を加える行為です。殴る・蹴る・熱湯をかける・刃物で傷つけるなどが代表的な例として挙げられます。
もっとも認知される虐待の形態であり、ひどいケースでは命を落とすことも。
猫を闘わせたり、過剰な運動を強いたりする「酷使」も、この積極的虐待に含まれます。
動物愛護管理法第44条では、愛護動物をみだりに殺傷した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。もちろん、ほかの虐待も例外ではありません。
身体への暴力がなくても、猫に恐怖や苦痛を与える行為は虐待にあたります。
怒鳴りつける・意図的に怯えさせる・執拗に追い回すといった行為が該当するでしょう。
猫は身体的な痛みと同様に、精神的な苦痛も強く感じる動物です。虐待を受けた猫は人間不信に陥り、特定の動作や音に対して強い恐怖反応を示すようになります。
動物愛護管理法では、精神的虐待も身体的虐待と同様に処罰の対象である点に注意しましょう。
ネグレクトとは、「やらなければならない世話をしない」消極的な虐待です。積極的に危害を加えるわけではないため気づかれにくいですが、れっきとした虐待にあたります。
ネグレクトは本人、人間に対しておこなわれる行為を指す言葉でした。
これが猫に対しても重大な虐待であると認識され、現在に至ります。
具体的には、以下のような状態が該当します。
「愛情がある」「お金がないだけ」という飼い主の事情は、ネグレクトかどうかの判断に関係ありません。猫の心身の状態と置かれている環境のみで判断されます。
遺棄とは、飼っている猫を捨てる行為です。野外への放棄はもちろん、管理を放棄して猫の行方を無視することも遺棄にあたります。これに関しては知っている方も多いでしょう。
動物愛護管理法では、愛護動物を遺棄した場合に1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。「もう飼えない」という理由があっても、無断で捨てることは犯罪です。
一方で、遺棄せざるを得ない世帯状況や経済状態に陥ってしまう人も少なくありません。
したがって、そもそも猫を飼うときに、本当に最後まで面倒を見られるのかを考えるのが重要といえるでしょう。
私たちねこほーむでは、「自分は猫を虐待したかもしれない」と述べる人と出会うことがあります。
ただし、ほとんど場合でそれは虐待ではありません。私たちは、しつけと虐待に関して以下のように切り分けて考えています。
重要な判断基準は「猫に不必要な苦痛を与えているかどうか」です。愛情があっても、猫が苦痛を感じたり、世話が行き届いていなければ虐待と判断されます。
一方で、猫が理解できる方法で何かを教える、少しの間留守番を頼むといった程度では、法的には虐待には該当しません。
また、一般的には推奨されないものの、「大きな声で怒鳴ってしまう」「ご飯をあげ忘れてしまう」といったことも、再現されていないのなら虐待とは言えないでしょう。
もし「自分の接し方は虐待ではないか?」と疑えば、上記の区分を目安としましょう。
野良猫であっても、虐待は許されません。
市街地や村落に生息する野良猫は保護対象であり、飼い主のいない猫を虐待した場合も犯罪です。
野良猫は捕まえやすく、餌付けされた地域猫は特にターゲットになりがち。
また、飼い主がいないことから、虐待の事実が発覚しやすい傾向にあります。
近隣で虐待が疑われる場合は、飼い猫の場合と同じ窓口に相談できます。
関連記事:野良猫の保護依頼は原則対応されない!保護猫の引き取り方も解説
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猫の虐待を目撃・発見した場合、正しい手順で対応することが猫を守ることにつながります。
善意から行動したことが、かえって猫の状況を悪化させたり法的トラブルを招いたりする場合があります。それぞれの対処法とポイントを確認しておきましょう。
虐待かどうかを判断するために、まず猫の状態と飼育環境を観察しましょう。以下のような兆候が見られる場合、虐待やネグレクトが疑われます。
確証がなくても「おそれがある」段階で自治体に相談できます。自分で判断しきれなくても、まず相談することが大切です。
また、虐待の事実が認められなかった場合でも、通報者がその責任を問われることはありません。
虐待を発見したら、場所・日時・状況を具体的にメモしておきましょう。写真や動画は通報時の重要な証拠になるため、地番や店舗名を含めて撮影しておくと有効です。
ただし、記録の際は不法侵入にならない範囲で行う必要があります。
通報先は虐待の種類によって異なります。
環境省のウェブサイトには、地方自治体の動物虐待等通報窓口一覧が掲載されています。証拠が不十分な段階でも通報は可能で、行政が調査のうえで判断してくれます。
虐待の現場を目撃しても、一人で直接止めに入ることは避けてください。危険な加害者に対して個人で注意すると、逆恨みによる暴行・傷害被害につながるリスクがあります。
野球部系で一番胸糞悪いのは強肩の朝日大学野球部が河原で猫に投石虐待していてそれを注意したホームレスの渡辺さんに報復で十数人で投石して殺害した岐阜の殺人野球部事件だな。
— Z李 🇺🇦 NO WAR 🕊 (@ShinjukuSokai) August 6, 2025
極端な例ではありますが、命が失われる事態も過去にはありました。
現場に遭遇したときは自身の安全を最優先にしたうえで、すみやかに110番へ通報し、対応を任せることが最善です。
猫を虐待から守るのは重要ですが、その前に自身の安全を十分に確保することを最優先しましょう。
どのような虐待があったとしても、猫を連れ出そうとしてはいけません。
野良猫は別として、飼い主のいる猫は法律上の所有物です。そのため、所有者の許可なく連れ出すと不法行為になる可能性があります。「助けたい」という善意の行動が、法的トラブルにつながるケースがあるため注意が必要です。
虐待されている猫を保護したい場合は、警察か動物愛護センターなどに通報し、行政を通じた手続きを踏まなければいけません。
のちに飼い主が所有権を正式に放棄したときにはじめて、自治体や動物保護団体が保護できます。
虐待の疑いがある情報をSNSで拡散することは慎重を要します。
情報が事実かどうか判断が難しい段階で拡散すると、無関係の人が誤って特定されたり、虐待者が証拠を隠滅・逃走するきっかけを与えてしまったりする可能性があります。
拡散した情報が誤りだった場合は名誉毀損になるおそれもあるでしょう。
SNS上で虐待動画を発見した場合は、拡散より先に最寄りの警察署への通報を優先してください。
通報が多ければ捜査につながります。インターネット・ホットラインセンターへの通報も有効な手段です。

「猫をいじめてしまう」「虐待することで、スッキリしてしまう」といった悩みを持っている人は非常に多いです。
仮に自分のやったことが「虐待である」と考えたのであれば、以下の手順を踏んでください。
私たちねこほーむは、不幸な猫を救うために組織された動物愛護団体です。同時に、「虐待をしてしまう人」の気持ちや背景を理解し、再発防止へ繋げるのが重要だと考えています。
虐待自体を容認することはできませんが、ここでその行為を批判することはありません。ぜひ落ち着いた気持ちで、以下を参考にしてください。
まず最初にすべきことは、猫を危険な状況から引き離すことです。
猫とあなた自身の安全を守るためにも、虐待が起こらないだけの距離を取りましょう。
たとえば衝動が出やすい状況では別室に移す、一時的に信頼できる人に預けるといった方法が有効です。
短期であればペットホテル、数週間から数ヶ月であればNPO法人の一時預かりサービスが利用できるかもしれません。
まずは、虐待が起こらないような距離をしっかりと確保しましょう。
「やめたい」と思っているのにやめられない場合は、心療内科やカウンセリングを受けることを検討しましょう。
動物虐待が起こる背景には、その人自身の精神状態や過去のトラウマなどが関係していると考えられます。
しかし、これらは治療することで、攻撃的な衝動に対処できるようになるかもしれません。
すでにそのような療法は確立されており、たとえば認知行動療法などは、衝動性への働きかけが有効な治療アプローチとして知られています。
「病院に行くのは大げさ」と感じる必要はありません。虐待によって、飼い主が処罰されたり、猫が命を落としたりする可能性があります。
だからこそ、病院に行くことには大きな意義があるといえるでしょう。
心療内科に通い始めても、治療の効果が出るまでには時間がかかります。その間も猫の安全を守るために、受診と同時並行で預け先を確保しましょう。
預け先の選択肢には、以下のようなものがあります。
どうしても飼育継続がむずかしい場合は、ねこほーむへのご相談も可能です。
医師やカウンセラーと相談しながら、猫との再同居を段階的に検討していきましょう。
虐待を受けた猫は人間不信になっている場合があるため、猫のペースを尊重しながらゆっくりと信頼関係を築くことが大切です。
再構築の際は、以下のポイントを意識しましょう。
深刻なトラウマが見られる場合は、動物行動専門家への相談も選択肢に入ります。
ただし、医師やカウンセラーなどが、同居しないことを勧めるケースもあります。その場合は、猫と人間が別々で暮らしたほうが、より安全と言えるでしょう。
この記事では猫の虐待に関して解説しました。
ここでは、猫の虐待に関してよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
このようなご相談は、ねこほーむでも数多く受けています。
判断の基準は「猫に不必要な苦痛を与えたかどうか」にあります。
たとえば必要がないのに、叩く・怒鳴りつける・餌を長期間与えないなどの行為は虐待にあたります。
しかし、多少ちょっかいを出したり、強めの口調で注意したりする程度では、虐待だとは判断されません。
ただし、虐待かどうかは、猫の状態と置かれた環境によって判断されます。また、「愛情があれば虐待にはならない」点にも注意しましょう。
一般的に、本人のネガティブな経験が原因だとされています。
たとえば、ストレスのはけ口として弱い立場の動物に向けてしまう、幼少期の虐待経験や不適切な養育環境が影響するケースなどが代表的です。
対象が猫かどうかはともかくとして、人間には自分より弱いものをいじめたくなる衝動をわずかには持っているもの。
しかし、それがコントロールできず、対象が猫に向いてしまうのであれば、そこには心理的・神経的な問題があると言えます。
さらに、「優越感」や「グループで注目される喜び」が、関係している事例もあるようです。
また、ときとしてこの行為に依存し、「やめたくてもやめられない」ケースが多々あります。
もしそのような衝動を抱えるのであれば、一人で原因を探ろうとせず、専門家に相談するのが重要といえるでしょう。
証拠が不十分な場合、すぐに動いてもらえないケースがあります。
そのような場合でも、あきらめずに繰り返し働きかけることが重要です。
複数人から通報が入ることで行政が動きやすくなる場合があります。
行政が動けば現場確認・聞き取り・立入検査が行われ、改善が認められなければ刑事告発へと進みます。

本記事では、猫における虐待の定義と対処法について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
猫の虐待は、発見した人が正しい行動をとることで防げる問題です。ぜひ今回の内容を参考に、まず通報先や相談窓口を確認してみてください。
「猫を一時的に預けたい」「飼育継続がむずかしい」という方は、ひとりで悩まず、まずはNPO法人ねこほーむへお気軽にご相談ください。
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