2025.01.31
サイレントニャーとは「鳴いているように見えるが、鳴き声がない」鳴き方です。実際に声を出していないわけでなく、人間には聞こえない高周波数の鳴き声を出しています。
老猫のサイレントニャーは、決して声が出せないわけではありません。多くの場合サイレントニャーは愛情表現や信頼の証であり、何かを心配する必要はないでしょう。
また、猫の鳴き声は、多くの場合何らかの感情を表現しています。また、何らかの病気を示唆している鳴き声や、特殊なサイレントニャーもあります。
本記事で猫の鳴き声の意味に関して詳しく解説するので参考にしてください
猫の鳴き声は、そのときの感情によって変化します。
どのような鳴き声が、感情
主だったところだけでも、これだけのバリエーションがあります。それぞれ、どのような感情が反映されているのか詳しく解説します。
もっともよく聞かれるのが、「ニャー」という、猫らしい鳴き声です。
これには、以下のような意味合いがあります。
つまり何かしら、やってほしいことがあります。特に問題がないなら、リクエストに応えてやるのがよいでしょう。
たとえば甘えたいのに甘えられない、といったことが続くと、猫は不満やストレスを感じます。できる限りリクエストには応えたいところです。
しかしながら、飼い主にもできないことがあるでしょう。たとえば、肥満の可能性があるにもかかわらず、エサを追加で与えるわけにはいきません。
リクエストに応えるべきかその都度考えて、対応しましょう。
猫の喉元から「ゴロゴロ」という音が聞こえる場合があります。
これは喉が詰まっているわけではなく、機嫌がよいことを示すものです。
特に不調などを訴えるものではないので、心配は必要ありません。
猫が短く「ニャッ」と鳴くのは、不安感や不満を訴えるものです。
このように鳴いて注意を引き、何かしらの補助を求めていると考えましょう。
飼い主が家に帰った際などに、この鳴き方はよく聴かれます。人によっては「猫が、長く留守番させられたことに不満を述べているを」ように感じることも。
一方で、単なる「あいさつ」として、「ニャッ」と鳴くこともあります。その際は人間の言葉であいさつを返すなどするとよいでしょう。
不安感や不満を表現しているとはいえ、その度合いはさほど強くありません。あまり考えすぎないようにしましょう。
「シャー」という鳴き声を出しているのは、「怒っている」「キレている」状態です。合間に「ウー」と、唸るような鳴き声が混ざることも。
この鳴き方は、引き取り直後や、動物病院(注射)帰りのタイミングでよく聴かれます。また、野良猫との喧嘩の際にも耳にするケースがあります。
このように怒っているときは、飼い主といえど、強い力で噛みつかれたり、引っ掻かれたりするかもしれません。
しばらく放っておくと落ち着くので、距離を置きましょう。期限が直ったら、仲直りできるようなスキンシップを取りましょう。
発情期の猫の鳴き声はかなりうるさく、オオカミの雄叫びを思わせる、野生的な声を上げます。
この鳴き声は、異性の猫を呼び寄せたい狙いがあります。
ただし発情期の鳴き声は非常にうるさく、飼い主の暮らしに大きなストレスを与えることも。
また鳴き声のみならず、動き回る、かみつくといった問題行動も、多くの場合でともないます。したがって発情期を迎えないよう、去勢。不妊手術をするのがよいでしょう。
発情期に関してはで「」で解説しているので参考にしてください。
一方で、以下のような鳴き声には注意が必要です。
これらは、何らかの疾患や感情のたかぶりを示します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
ゼイゼイと、喉が締まっているような苦しい声を出している場合は、呼吸器や心臓に関する疾患を発症している可能性があります。
以下のように咳がともなうことも。
これは厳密には鳴き声でなく、咽喉部が何らかの要因で狭まってしまった際に鳴る、「喘鳴」と呼ばれるものです。
老猫は、若いころほど、心肺機能が活発にはたらきません。
猫にもっとも多く見られる内臓疾患は腎機能に関連するものです。しかし、呼吸にかかわる臓器に疾患を抱えるケースも多いです。
可能な限り、早期に動物病院での診療を受けるのを推奨します。
ナーナーという元気がなさそうな声は、印象どおり体力の低下を示します。
疲れたていたり、何かしらの不快感を感じているかもしれません。また、高齢の場合は関節痛などの痛みを感じている可能性があります。
ただ、単に甘えたい、かまってほしいときにもこの声は聞かれるので、判断はむずかしいところ。
継続してナーナーと鳴くようであれば、病院に連れて行くのがよいでしょう。
口を少し開けて、「カカカッ」という音を立てることがあります。
これは厳密にいえば鳴き声ではなく、上下の歯を繰り返しぶつける音です。一般にクラッキングと呼ばれます。
これは、獲物を捕まえる際の狩猟本能を思い出したときのしぐさです。特に鳥類など、「捕まえたいが、捕まられない獲物」など見かけたときに見受けられます。
クラッキングしているときは、感情がたかぶっているので、あまり刺激しないようにしましょう。
ただ、クラッキングは猫の習性を考えれば正常な行動であるため、ただちに動物病院に連れて行く必要はないでしょう。
老猫と暮らす場合は、鳴き声はもちろん、生活の全般で注意したいことがあります。
老猫は若い猫と異なり、衰えを感じたり、病気の発症リスクが上がったりする時期。
やはり、老猫との暮らしでは、ある程度特別な配慮が必要です。
しかし、以下のような配慮ができれば、老猫も元気よく健康に過ごせるようになるでしょう。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
定期的に健康診断するのは、老猫の健康と命を守るうえで非常に重要です。
これを受けることで、重大な疾患や障害などを早期に発見できます。悪化が進んでいない段階で見つけられれば、治療もしやすくなるでしょう。
特に腎臓病や甲状腺障害など、重篤な病気を早期に見つけられるのは重要です。
また健康診断のたびに、結果を元にした、獣医師による助言も受けられます。
猫は高齢になるほど、病気を発症リスクが高まるもの。定期的な健康診断で状態を確認するのは、非常に重要な取り組みです。
また、年齢に合わせた食事を与えるのも大切です。
老猫の消化機能は、若いころと比較して少なからず低下しています。食事を変えないと、消化に関係する器官などで疾患が生じるかもしれません。
できるだけ脂肪分が少なく、消化しやすいものを選びましょう。
基本は、シニア向けのキャットフードに切り替えること。合わせて適量のおやつやサプリメントなどを組み合わせれば、消化機能に負担をかけず、必要な栄養素を得られます。
また水分不足にも陥りやすいので、しっかりと水を飲ませるようにしましょう。
もし、飲まない場合はスポイトなどを使うのがおすすめ。簡単に水分を補給できます。
また、可能な範囲で軽い運動を取り入れるようにしましょう。
老猫の年齢や状態に応じた運動量は、筋肉の衰えや関節の保護、肥満防止などに役立ちます。
老猫のようすを見ながら、一緒に遊ぶなどするとよいでしょう。
またキャットタワーや動くおもちゃを置いて、運動の機会を作るのも有効です。
ただし老猫は、若いころほど活発には動けず、できる運動の範囲も狭まっていません。たとえば、着地などが上手にできないかもしれません。
老猫の状態と運動能力に鑑み、適切な運動量が得られるよう調整します。
歯周病ケアをおこなうのも大切です。
猫は老猫期に入ると、歯と口腔内の環境が悪化しやすくなります。その結果歯周病を発症するかもしれません。これは歯のみならず、歯槽膿漏や食欲不振につながります。
歯周病を防ぐため、定期的な歯磨きをおこなうようにしましょう。最初は嫌がるかもしれませんが、継続すれば慣れてきます。
また、可能であれば獣医師による口腔内検査を受けましょう。そこで、飼い主では気付けない異常を見つけられることもあります。
歯磨きの仕方に関しては、以下の動画が役立つかもしれません。
これまで以上に室内管理に注意すれば、老猫の健康向上を望めます。
なるべく、適温をキープできるように心がけましょう。
夏は度、冬は度で調整するのがおすすめです。
エアコンの電源は落とすことなく、できるだけ常に運転させましょう。
また、夏場と冬場は体温調節でエネルギーを使うので、それ以外の季節よりは体力を温存できるよう、ゆっくりと休ませるのもポイントです。
本記事では、老猫の鳴き声やサイレントニャーに関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
老猫のトイレ介護は、以下のように工夫しましょう。
まず、使いやすいトイレを設置するようにしましょう。
以下のように段差が小さいものがおすすめです。
また、トイレの数を、今までよりも一つか二つ増やすと、失敗しにくくなります。
老猫に限った話ではありませんが、トイレをきれいにし、使うのが嫌にならないよう配慮するのも大切。
ご飯を食べないときは以下のように対処しましょう。
このような取り組みで、老猫の食欲を刺激できます。そうすれば、ある程度はご飯を食べられるようになるでしょう。
ただしご飯を食べない期間が長く続く場合、より重篤な腎不全や胃腸炎などを発症しているかもしれません。
夜泣きが止まらない原因として、以下が挙げられます。
認知症になると、周囲の状況を正しく認識できず、不安感から鳴き叫ぶことがあります。
また眠りたいにもかか笑ず痛みや不安に苛まれている場合、夜鳴きが起こるかもしれません。
環境変化によるストレスも関係しています。
夜鳴きを止めるには、症状やストレスを緩和するほかありません。獣医師に相談するなどして、止める方法を考えていきましょう。
老猫を育てるのがむずかしい場合、動物愛護団体に引き取ってもらう方法が考えられます。
猫の健康状態が一定以上であり、引き取り費用の折り合いがつけば、問題ありません。
なお、動物愛護団体に預けたあと、老猫は施設で育てられるか、里親に出されます。
里親に出される場合でも、里親希望者が、飼い主として適当か審査されるので、ある程度安心できるでしょう。
猫種や持って生まれた性格によっては、サイレントニャーを含めて、あまり鳴かないこともあります。
たとえばロシアンブルーやシャム猫は、一般にあまり鳴き声を出さないとされています。ロシアンブルーに関しては、「サイレントキャット」と呼ばれることも。
また、通常はよく鳴く猫種でも、生まれ持った性格が穏やかなものであれば、あまり鳴きません。
猫が鳴かない場合、病気や体調不良の兆候をキャッチするのがややむずかしくなります。鳴き声以外のようすから、状態を確認できるよう、よく観察しましょう。
本記事ではサイレントニャーに関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
サイレントニャー自体は通常の行動の範疇であり、問題がある鳴き声ではありません。
ただ、猫の鳴き声にはさまざまな意味があり、本記事で述べたように体調不良を示唆するものもあります。
鳴き声に耳を傾け、猫が何を感じているか判断する習慣があると、健康を守るうえで役立つでしょう。
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