2021.05.08
猫も人間同様に、年齢を重ねれば老化が見られます。
勿論、全ての猫に当てはまる訳ではありませんので、愛猫のこれからのご参考程度にお考え下さい。
年老いた猫、所謂「老猫」というのは、何歳からと決まっている訳ではありません。
老化が始まるのもいつからと決まっているわけではありませんので、しっかりと見極めてあげて下さい。
老化といってもどのようなものがあるのか、大体いつ頃から始まるのか、個体差はあるものの老化しない猫はいないので知っておく事が大事です。
人間であっても猫であっても、おじいちゃんおばあちゃんになれば似たような状況になります。
例えば
といったことは同じです。
猫特有の事柄でいえば、毛繕いをしなくなって被毛の毛艶が悪くなったり毛玉が出来てしまうことがあります。
また、猫は歳をとると腎不全になる割合が非常に高く、腎不全になると飲む水の量が増えておしっこの量も増えます。
そういった事柄も老化現象のひとつです。
上記したように、正確にいつから始まるというものではありませんが、猫の年齢を人間の年齢に換算すると想像しやすいかも知れません。
猫の年齢について
猫の年齢でいえば6歳を過ぎたあたりで人間の40歳を超えたくらいになり、猫が9歳にもなると人間では50歳を超えていることになります。
人間も人それぞれですが、一般的にこれくらいの時期から老化が始まるのではないでしょうか。
老化に伴い患いやすい病気をいくつか紹介します。
これまでと違う動きや様子が見られたら、放置せず病院へ連れて行ってあげて下さい。
体力や免疫力も低下しているので、発見や治療が遅れると大事になってしまうかもしれません。
猫の加齢による病気で一番可能性が高いのはやはり腎臓病です。
猫と腎臓病はつきものだとおっしゃる獣医師も多くいらっしゃいます。
腎不全は、腎臓の機能が75%低下している状態のことをいいます。
この状態になると
といった症状がでます。
腎臓病は不可逆で、一度機能が低下すると回復することはありません。
腎臓は機能していないと、血中の老廃物を排出する事が出来なくなってしまい体内に蓄積してしまいます。
猫は歯垢や歯石が溜りやすいので、ある程度時間が経過したところで歯周病になってしまうことが多くあります。
歯周病が進行すると歯が抜けてしまいます。
さらに、これらが口臭の原因にもなります。
腫瘍には、良性と悪性のものがあり、良性のものであれば完治させることや場所などによっては放置すら出来てしまうものもありますが、悪性のもので所謂「癌」である場合には治療自体が難しくなってしまいます。
猫は血液系とリンパ系に癌が多いとされており、リンパ腫はFeLV(猫白血病ウィルス)に感染した猫の3割程が発症するといわれています。
甲状腺が肥大してしまったり癌が出来てしまったりすることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
ホルモンの過剰分泌によって、やたらと活動的になったりします。
そのため、元気になったと勘違いして見逃してしまう方もいらっしゃいます。
すぐに命が危ぶまれる病気ではありませんが、放置することは出来ません。
平均寿命を超えるくらいの年齢になると、認知症になるリスクも出てきます。
認知症になると、意味もなく大きな声で鳴き続けると行った行動が見られるようになります。
明らかに今までと違った行動が見られたら、一度検査をしてみるのもいいと思います。
加齢、老化を止めることは誰にも出来ません。 何をどうしようとも、生きていれば歳をとって、次第に衰えていくのです。 なので、衰えが見えてきたらそれに合わせた準備をしていきましょう。
シニア用のフードは簡単に手に入れられるので、頃合いをみて切り替えてあげましょう。
持病などがある場合には、かかりつけの獣医師と相談してどのフードをあげるのかを決めるのもいいのではないでしょうか。
切り替える時には、突然ガラリと違うものにしてしまうと、猫が拒絶してしまうかもしれませんので、今まで食べていたフードに混ぜるようにして徐々に慣らしてあげるのも一つの手です。
筋力が衰えることで、高い所に上がることが少なくなります。 また、高い所から下りる時も落ちる可能性があります。
年齢を重ねるごとに上下運動出来る環境から、平坦で危険が少ない環境へと変える必要があります。
何を残して何を撤去するのかは、その猫ちゃんの運動能力の鑑みて決めて下さい。
キャットタワーなどを撤去した場合には、運動不足になりがちなので、おもちゃなどでしっかりと遊ぶ時間を作りましょう。
被毛や爪のケアを自ら行うことがなくなる高齢猫に対しては、飼い主さんがやってあげましょう。
被毛は放っておくと毛玉になり、その毛玉が大きくなって皮膚炎の原因となったりします。
爪は長い間切らないでいると、巻き爪になり肉球に刺さってしまいます。
そうならないように、細部にまで注意を払いましょう。
NPO法人ねこほーむは、飼えなくなった猫ちゃんを引き取る老猫ホームです。 なので、施設には老猫ちゃんたちがイッパイいます。 ここからは、施設で実践している老猫ちゃんたちへのケアを紹介します。
猫はストレスからの影響が大きく出ます。
ご飯が食べられなくなったり、免疫が落ちてしまい風邪をひいたり持病が悪化することだってあります。
これが老猫ちゃんであればあるほど、命へのリスクも大きくなってしまうので、ストレス除去には重きを置いています。
ねこほーむで引き取って施設に来たばかりの猫ちゃんの99%はガチガチに緊張していて、周りのにおいや音などにかなり警戒しています。
施設に来た直後は、どんな猫ちゃんであってもケージでの生活になるので、光を遮らないようケージをすっぽりと覆い隠し、猫ちゃんの視界から全てをしばらく遮断します。(場合によっては光も遮断する場所も作ります)
時間の経過とともに慣れてきたら、少しずつ開くようにしています。
若い猫ちゃんと違い、老猫ちゃんは起きている時間が短いです。
そのため、こちらから無理に遊びに誘ってしまうと余計に疲れてしまうことになりかねません。
なので、老猫ちゃんに対しては老猫ちゃんからのアピールがあった時や確実に活動時間である時を見計らって遊ぶようにしています。
老猫ホームの施設は、その名前の通り老猫ちゃんのために作られた施設なので、引き取った老猫ちゃんが過ごしやすい環境を作っています。
全てを紹介しきれませんが、一部だけでもご紹介いたします。
ねこほーむでの生活は、基本的にケージではなく部屋の中で自由です。
その部屋は、壁にキャットウォークが張り巡らされていたり、キャットタワーが設置されていますが、上り下りが出来ない老猫ちゃんのため、部屋の中央付近などには何も置かずに広く開けた空間を作っています。
キャットウォークは、まだまだ元気に飛び跳ねる10歳くらいの猫ちゃんには問題ありませんが、筋力が低下した高齢猫ちゃんには難しい高さに作っているので、間違って登ってしまい落下して怪我をするという心配がないようになっています。
ケージで生活する時、上下運動が出来ない猫ちゃんとそうでない猫ちゃんで入るケージを変えています。
上下運動出来ない猫ちゃんには、平屋のようなケージで広く使えるケージを用意しています。
低層の猫マンションを設置することで、老猫ちゃんでもちゃんとパーソナルエリアの確保が出来るようにしています。
どんなに猫好きな猫ちゃんであっても、独りになりたい時や静かに寝たい時だってあるはずです。
これのおかげで猫ちゃん同士の争いが減っています。
命あるものは、いずれ老いていくものです。
これは人間であっても猫であっても犬であっても例外はありません。
分かっていることだからこそ、事前に準備や心算が出来るのです。
愛猫には是非長生きしてもらいたい、そのためにはしっかりと対策をしてあげましょう。
ねこほーむでの対策については、この他にもフードを細かく砕いたり柔らかいものを用意したりしていますが、とても紹介しきれないので今回はこれくらいにします。
気になる方はSNSなどでご確認下さい。
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