2017.04.18
老猫ホームは飼い主さんが様々な事情により猫を飼育出来なくなった際に、猫を引き取って長期間及び一生涯にわたり猫を飼育する施設のことをいいます。近年では高齢化社会が進み高齢者が飼われている猫ちゃんの行き場がなくなってしまうケースが多くなってきています。
医療の発展や食生活の向上に伴い人間の寿命が延びてきている中、犬や猫の寿命も比例して伸びてきています。ペットを看取るつもりで飼育したはずが、飼い主さんの方が先に体調が悪くなってしまったり、亡くなってしまったという相談内容がここ数年で急増しています。老後は定年退職したり、子供たちが結婚して家を出て行ったりとお金や時間に余裕が出てくる頃で、そのタイミングでペットを飼育する人が結構多くいるそうです。しかしこのタイミングで猫を飼育することが飼い主さんや猫を苦しめてしまう可能性のあるということも考えられます。
仮に飼い主さんが60歳で猫を飼育し始めるとします。60歳くらいだとまだまだ若く体も動くから問題ないと、思ってしまうかもしれませんが、猫は以前より長生きする生き物になっているのです。今日では猫の平均寿命が16才程度といわれていますので、猫を看取るとなると飼い主さんは76歳になっている計算になります。こう考えてみると正直、どちらが先に体調が悪くなったり、亡くなるかわかりませんよね。
猫の平均寿命が延びた要因として医療の発展、キャットフードの質の向上、飼育環境が挙げられます。
数十年前の猫の飼育方法は家の中と外を自由に行き来できる環境が多かったそうですが、その時の猫の平均寿命は10歳未満だったとも言われております。外に遊びに行くと、事故に遭う危険性が高まります。病気になる可能性も同様です。この様な時代背景があることにより、現在の猫の寿命を把握している人は意外に少ないのではないでしょうか?
猫を飼育する際は自分に万が一のことが起こったことも想定して家族や親せき、友人などに相談した上で検討することをお奨めいたします。また、今はまだ自分でお世話をできているけどいつ飼育することができなくなるかわからない。などの不安を抱えている方も多いかと思います。その様な悩みを抱えている方はねこほーむにご相談ください。ねこほーむや一部の老猫ホームでは生前引き取り契約や事前お預かり契約を行えるところもございます。生前引き取り契約とは、飼い主さんが健康な状態時に前もって猫ちゃんの引き取りの契約を交わしておいて、飼い主さんにもしものことがあった際には、飼い主さんの代わりに猫ちゃんを一生涯にわたり責任をもってお世話をすることを約束する契約になります。
猫が飼えなくなる事情はこの他にも下記の様なケースが多くあります
・海外転勤に猫を連れて行くことができない
・長期出張が定期的にあり猫を飼うことができない
・いきなり猫アレルギーになって猫を飼うことが難しい
・出産して育児と猫のお世話の両立が難しい
・一人暮らしの家族が亡くなってしまった
・猫の介護をするのがキツくなってきた
・近所から猫の夜泣きがうるさいと苦情が来た
・猫の性格が変わり、いきなり襲いかかってくるようになった
まさかこんな急に猫を飼えなくなるなんて、と思うような予想だにしない事情によって困る方が多いようです。
老猫ホームの他にも譲渡会や中長期のペットホテルなど様々な対処策があるので飼えなくなる事情によって既存のサービスを使い分けるといいかもしれませんね。
ここではねこほーむで生活している猫たちを例に説明いたします。
先ず入所した猫は大きなケージで生活をしてもらいます。ケージといっても高さが180センチ以上あるもので、ケージの中で運動ができるような作りになっています。なぜケージで生活してもらうかというと、猫は環境の変化によるストレスによってご飯を食べなくなってしまったり、トイレをしなくなるケースがあります。毎食の食事量を把握したり、排せつがしっかりできているかなど体調管理をする上で個別に飼育することが好ましいのです。また、入所と同時に先住猫と同じ部屋にするとケンカがをする可能性がかなり高いのです。猫は元々縄張りを持つ生き物なので自分の縄張りに知らない猫が入ってくれば本能的に闘おうとします。
この様な事から入所直後は独立したケージにおいて個別飼育を行い徐々に新しい環境や我々スタッフに慣れてもらう期間を設けています。
そして環境やスタッフに慣れてくれて、食事や排せつにも問題がないと判断がついたら次のステップに進みます。ねこほーむでの生活では最終的にケージから出て他の猫たちと一緒にキャットウォークやキャットタワーが設置されたお部屋で自由に生活してもらいます。
先ず第一段階として先住猫たちが生活している部屋の中にケージを設置して、新入りの子はまたケージで生活してもらいます。こうすることで先住猫は新しい猫が入ってきたと認識して、新入りの猫もまた周りにたくさんの猫がいる新たな環境に移されたと認識します。ここでまた慣れてきたと判断がつくまで生活してもらいます。もちろん慣れるまでにはケージ越しにケンカをしたりご飯を食べなくなったりとトラブルが発生することもありますが少しずつ時間をかけて慣れさせていきます。そしてある程度慣れてきたと感じたあたりで、ケージから出して部屋の中を散歩させてみます。10分、20分と日に日にケージの外での時間を増やしていき先住猫たちとの相性を確認しながら慣れさせていき、最終的にケージレスで先住猫たちと同じ部屋で生活ができるようになります。みんなと一緒に生活できるようになるまでにかかる期間は個体差がありますが、早い猫であれば1か月、時間を要する猫であれば1年以上かかります。人間と同じように猫にもいろいろな性格がありますので、その猫の性格や他の猫との相性を見ながらトレーニングを行っています。
定期的な健康管理
猫たちを預かるうえで健康管理を行うことはとても重要です。ねこほーむでは年齢や健康状態に応じて最低でも月に一回健康診断を施設で行います。内容は体重測定、爪切り(若い子は月二回)、触診(腫瘍や脱水など)、ノミ取り、トリミング(長毛種の皮膚病予防)などを行っています。特に触診には力を入れています。日々のお世話の中でスキンシップを行い、腫瘍ができていないか、脱水症状はないか、痛がる箇所はないかなど猫たちと触れ合いながら確認します。猫の皮膚の腫瘍は80%が癌だと言われています。しこりが見つかった場合はかなりの高確率で悪性なので早期発見がカギとなります。また、猫は腎臓病を患いやすい生き物なのですが、その兆候として多飲多尿や脱水症状が挙げられますので、脱水症状の有無などから腎臓の状態を測ることができるのです。とはいっても我々は獣医師ではなく一般の方よりも少し経験のあるお世話係といったところなので、少しずつ猫に関する知識を増やしていき猫たちの健康管理をもっと適切に行えるように努力しています。
老猫ホームの費用はその猫の健康状態や年齢、介護の要否などによって金額が変わるところが多いようですが、平均すると入所金で20万円前後、一年間の生活費で50万円くらいかかるところが多いようです。また、施設で預かりながら、里親を探してくれるところもあるそうです。
ねこほーむのようにNPO法人としてボランティアでお世話をする団体でも猫にかかってくるご飯代や猫砂代、光熱費など最低限の費用はご寄付として頂戴しているところがほとんどですが、このような低価格で猫の引き取りを行っているところは全国的に見ても少ないらしく、ねこほーむでは北海道から九州まで幅広い地域から日々多くのお問い合わせが寄せられています。様々な地域で猫を飼うことができなくなってしまった方が頼れる団体がもっと増えてくれるといいなと心から思います。
ねこほーむでは募金活動を行ったり、残念ながら飼育していた猫ちゃんが亡くなってしまって不要になったキャットフードを頂けるよう呼びかけて、低コストにて猫たちを引き取れる施設作りに励んでおります。少量でも、開封済みでも不要に猫関連の用品があればご連絡を頂けると幸いです。
ねこほーむでは猫が飼えなくなってしまった、先々猫を飼うことが出来なくなるかもしれないという相談の連絡を一日数十件頂いております。その相談の中で【飼っている猫を他所に預けたり、手放してしまう事はやはりヒドイことをしているのでしょうか?】というような言葉をよく耳にします。確かに一度は生涯を共にすると心に決めてその子を飼育していることから離れて生活することに罪悪感を覚えてしまうのでしょう。それは今まで様々な飼い主さんと猫ちゃんのお別れを見てきたので痛いほどわかります。むしろ早い段階で猫の行き場を確保しようと考えられていることに飼い主としてのしっかりとした責任感を感じ安心します。飼い主さんの中には、保健所に連れて行きたいのだけれどどうしたらいいのか、猫を外に戻したいのだけれど大丈夫か等、正直飼い主としての責任を全うできていない方からの悲しい相談も少なからずあります。
猫の介護が大変で飼い主さんの生活にも支障をきたしてしまう。体がまともに動かなくて満足に猫の世話ができない。仕事が忙しくてほとんど猫の世話をしてあげられない。猫を飼うことが出来なくなる理由は様々ですが、人間と猫それぞれの幸せ、快適な生活を送るための判断をすることも必要なのではないかと思います。猫からすると飼い主さんと一緒にいられることが一番の幸せなのはわかります。しかし飼い主さんが無理をして体を壊してしまう、負担に感じてしまう、それでは本末転倒です。逆も然りです。どちらかが我慢して一緒に生活することはペットとの共同生活をする上で本当の幸せを感じることは難しいのではないでしょうか。とても勇気のいる決断であることとは思いますが、別々に生活することによる新たな幸せを見つけることはいいのではないかとねこほーむでは考えております。
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