2018.04.02
皆さんは小猫症(ドワーフキャット)という病気をご存知でしょうか。
これは先天性の病気で、ホルモンの異常により大人になっても子猫くらいの大きさで止まってしまいます。人間で言えば小人症と同じような症状が見られます。猫の発症はとても少なく認知度も低いので未だ分からない部分が多い病気です。
詳しくはとても難しそうな話になってしまいますのでざっくりと簡単に書きます。
先天性甲状腺機能低下症とは甲状腺に生まれつき異常があり、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまっている病気のことです。
甲状腺ホルモンは骨の成長、代謝の調整、尿細管の調整といった働きをしていて、生まれつきこのホルモンレベルが低いと四肢の発育不全、低体温、腎不全などの症状が出てきます。頭蓋骨の幅が広いということが特徴の1つでもあります。
下垂体前葉機能不全とは、脳の中にある下垂体と呼ばれる内分泌器官の前方部分に異常があり、成長ホルモンが上手に分泌されない状態のことです。「低ソマトトロピン症」や「下垂体性小猫症」とも呼ばれます。
成長ホルモンは骨の成長、筋肉の発育、インシュリン様成長因子-1の分泌促進といった働きをしていて、生まれつきこのホルモンレベルが低いと体の発育不全、筋肉の萎縮、低血糖、腎不全などの症状が出てきます。
これとは逆に、成猫になってから成長ホルモンの分泌が過剰になって発症する先端肥大症という病気もあります。
・体が大きくならない
・顔の幅が広い
・低体温
・便秘
・水頭症
・腹部の膨満
・運動失調 など
・頭も含め全身が大きくならない
・筋肉の萎縮
・低血糖
・慢性腎不全
・乳歯遺残と永久歯の成長遅延
・慢性腎不全 など
甲状腺機能低下症と診断された場合には、甲状腺ホルモンが投与されます。
この治療は一生涯続けなければなりませんが、甲状腺ホルモンの投与によりホルモンレベルが正常化すれば他の猫と変わらない生活を送ることが出来ます。
下垂体前葉機能不全と診断された場合には、未だ確立された治療法がありません。
犬の場合には、豚の成長ホルモンを投与することがありますが、これは犬と豚では成長ホルモンの分子構造が同じであるためにできることであり、猫においては分子構造がほんの少し異なるため効果や副作用がどれくらいあるのかが分かっていません。
全ての病気に言えることですが、小猫症/ドワーフキャットは、早期介入、早期治療が必要になります。
骨の成長がとまってからの治療では、平均的なサイズにまで成長することはありません。
子猫の時から体の大きさが変わらないなと思ったら何か別の症状が出ていなくても一度病院で見てもらって下さい。
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