2018.04.13
乳がんは人間と同じく乳腺という組織にガンが発生した状態。猫は乳腺及び乳頭(乳首)が左右4つ合計8つあります。その8つ全ての乳腺で腫瘍が発生する可能性があり、単体での発生や複数での発生することもあります。
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類があり、悪性腫瘍が所謂ガンです。猫の場合は良性腫瘍と悪性腫瘍は2:8の割合で発生し、10才以降の発生が多く見られます。
ひとくちに乳がんといっても組織的分類がありいくつか種類があります。
・非浸潤性腺癌
・管乳頭状腺癌
・硬性腺癌
・櫛状腺癌
・扁平上皮細胞腺癌
・粘液性腺癌
・腺肉腫
・良性腫瘍内腺癌(肉腫)
・乳腺炎
乳腺でおきた炎症が原因で細胞がガン化してしまう可能性があります。
猫との関係はまだ分かりませんが、犬の場合には乳腺炎を患うと腫瘍の発生確率が9倍になるというデータがあります。
・ホルモン
発情を迎える前に卵巣を摘出すると摘出しなかった時と比べ腫瘍の発生率が1/7になるというデータがあることからホルモンが関係していること考えられていますがはっきりとしたメカニズムは分かっていません。
・猫種
シャムは他の種類と比べ乳腺腫瘍の発生率が2倍高いと報告されています。しかし猫種との関係においてもはっきりとしたことが分かっていません。
その他、原因不明ということも少なくありません。
良性腫瘍、悪性腫瘍に関わらず乳腺に腫瘍が発生した場合にはいずれかの症状が出ます。
・お腹を触られるのを嫌がる
・乳頭(乳首)の腫れ
・乳頭からの不正分泌物
・腋の下やモモの付け根の腫れ
・食欲低下(悪性)
・体重減少(悪性)
・外科手術
乳がんに関しては腫瘍の切除が真っ先に行われます。
同じリンパ管で繋がっている乳腺の間でガンが発生しやすいため、腫瘍は発生した部分だけでなく同じ片側の乳腺を全て切除することは一般的です。両側で発生した場合に、まず片側を全て切除し、時間をあけて反対側を全て切除します。
術後の生存確率は腫瘍のサイズによって代わり、目安は以下の通りです。
直径2cm
3年〜4年半
直径3cm
2年
直径3cm以上
半年
上記の直径とは、発生した腫瘍全ての合計です。
・化学療法
所謂、抗がん剤治療のことをいいます。抗がん剤治療は、ガンの根治を目指すものではなく、症状悪化を抑制するためと生活の質を維持する目的で行われます。
・光線力学療法
光を受けると活性酵素をつくる物質を投与し、そこに特殊な光をあてて活性酵素によってがん細胞の増殖を防ぎます。
原因でも書いたように、発情を迎える前に避妊手術を行うと腫瘍の発生率が1/7になると報告されていることから、予防に繋がると考えられています。繁殖などをお考えでない場合には早めに避妊手術を行うほうがいいでしょう。
ガンと診断されたときには飼い主さんもとても辛いと思います。ですが猫ちゃんに少しでも勇気と元気を与えてあげて下さい。飼い主さんの献身的なサポートによって猫ちゃんが病気であっても幸せに暮らせると思います。
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