2021.06.18
TNRについて、目的や流れややり方についてまとめてみました。
少しでも興味を持っていただければ幸いです。
まずTNRとは何かについて簡単にご説明します。
それぞれの頭文字をとってTNRとなっています。
意味は、捕獲して(trap)不妊手術をして(neuter)もとの場所に戻す(return)です。
TNRをする一番大きな目的は、飼い主のいない猫(野良猫)を減らすことです。
野良猫が減ることによって、殺処分されてしまう猫が減る、猫による糞害などの被害が減るなどといったことに繋がります。
野良猫を相手に、やみくもに網を振り回してもまず捕まえられないでしょう。
捕獲には捕獲器を使用することが一般的です。
籠型の罠に餌を置き、中に入った所で蓋が閉まる構造になっています。
猫は繁殖力が強く、生後半年で繁殖可能になり、1年間で2-3回の出産、1回の出産で5匹ほど産み、更には子供が子供を産むので放っておくと凄い勢いで数が増えていきます。
1年間で1匹から60~70匹くらいにまで増える可能性があるのです。
不妊手術をした猫は見た目で判断するのが難しく、そのまま戻してしまってまた捕獲してしまうと、無意味に開腹してしまうことになりかねないため、手術をしたという証に片耳の先端をV字にカットします。
耳を一部カットすることで、また捕獲器に捕まった場合でも過去に手術を受けていることがわかるようになり、その場で解放されます。
カットされた耳の形が桜の花びらに似ていることから「さくら猫」と呼ばれています。
せっかく捕獲したのなら保護すればいいのにという人がいますが、捕獲される数は相当な数になり、その全てを収容出来る施設はありませんし、お世話をする人もいません。
ずっと野良猫として生きてきた猫にとって、どこかに押し込まれるというのは相当なストレスがかかります。
そんな状態で飼育し続けると病気になってしまったりするので、自力で生きていける猫はもとの場所に戻されるのです。
TNR活動を積極的に行っている病院があり、そういった病院に捕獲した猫を連れて行くと、低料金で手術をしてくれたりします。
TNRを始めるのには事前にしっかりと準備が必要になります。
何が必要で、どういう手順で何をしなければならないのかを把握していなければ、いたずらに猫を傷つけたり衰弱させてしまったりしてしまう恐れがあります。
右も左も分からずに始めるのは効率的ではありませんし、なにより自身や猫が怪我をしてしまったり思わぬ事故が起きてしまうかもしれません。
そうならないように、近くの保健所などに問い合わせてみてください。
やり方などを指導してくれたり相談も出来ます。
事前に準備するもの
※絶対に必要ではないかもしれませんが、人に慣れていない野良猫を扱う場合には、素手だと噛み付かれたり引っ掻かれたりして怪我をする危険がありますので、必要に応じて用意してみてください。
動物病院は、予約が必要なところと必要でないところがありますので、事前にTNRについての確認をしてください。
かかる費用は、主に不妊手術の費用になります。
これは、上記した協力的な病院であれば低料金ですみます。
また、日本動物愛護協会が不妊去勢手術助成事業を行っていて、期間内に申請が受け付けられると、助成金が交付されます。
・公益財団法人日本動物愛護協会
どうぶつ基金では、無料で不妊手術が受けられるチケットが配っていたりもします。
・公益財団法人どうぶつ基金
自治体によっては、全額ではないかもしれませんが、助成金を出すところもあります。
捕獲に必要な罠は、貸し出しを行っているところもありますので、自分で購入しなくてもいいかもしれません。
毎日決まった時間に決まった場所で餌付けを行ってみて下さい。
猫がその時間や場所を学習することで捕獲の成功率が上がります。
しかし何も告知なく始めると、近隣トラブルになる可能性もあります。
過去に当ホームに餌付けをしていたらトラブルになったというご相談も寄せられています。
近所の猫に餌をあげていたらトラブルになった
なので、役所への相談や近隣住民への告知などは忘れずに行って下さい。
捕獲に成功した後に連れて行く病院に予約を入れましょう。
病院によっては予約が必要ないところもありますので、しっかりと確認して行動して下さい。
猫が餌が貰えることを学習したら、捕獲器の設置をして捕獲を試みます。
捕獲器をただ置くだけでなく、通行などの邪魔にならず安全な場所を選び、捕獲器の中には普段よりも匂いが強かったり食いつきが良さそうな物を入れてみて下さい。
設置したら、捕獲器を毛布や布でくるんで隠れるような状態にすることも大切なことです。
見事捕獲に成功したら、予約した病院へ行きましょう。
捕獲器のまま連れて行っていいのか、キャリーゲージに入れなくてはいけないのか、猫用のネットに入れなくてはいけないのかは確認してください。
不妊去勢手術は基本的には日帰りです。
連れて行ったその日に帰って来れますが、その足でもとの場所に戻していいのかは獣医師の判断に従って下さい。
おそらく手術直後は、麻酔から覚めきっていないなどの理由からもとに戻せないので、獣医師が大丈夫だという判断をしたら戻しにいきましょう。
放すときは、扉を開けるとものすごい勢いで飛び出る可能性がありますので、車や自転車や歩行者などの危険が無いか十分に注意して下さい。
捕まえた場所以外で放してしまうと、猫が環境の変化に戸惑うばかりでなく、動物の遺棄とみなされてしまいます。
そういったことも踏まえてリリースして下さい。
強制的に捕まえて不妊去勢手術を受けさせるのは、可哀想だと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この活動は、飼い主がおらず生命力が弱いがために淘汰されてしまったり、人間の都合によって殺処分されてしまう、そんな不幸な命を少しでも減らしたいという猫のためを考えての活動です。
もしこの記事を読んで興味を持ってくださいましたら、ご自身でやらなくてもお住まいの地域でTNRを行っている団体のお手伝いだけでもしてもらえるととても嬉しいです。
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